老犬がふらつく・踏ん張れない!4段階の歩行の介護方法を解説

犬種や個体によって大きく異なりますが、一般的には10~12歳以降のハイシニア期になると歩行に問題が見られ始める傾向があります。

この記事では、歩行の介護を4段階に分け、ふらつきが出始めた状態から完全に歩けなくなる状態までを解説します。愛犬に無理のない範囲で活動させ、イキイキとした老犬生活を過ごせるようにサポートしてあげましょう。

犬の歩行機能の低下の過程

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多くのシニア犬は、以下のような段階を経て歩行機能が衰えていきます。お家にシニア犬がいる方は、愛犬が現在どの段階にいるのかをチェックしてみましょう。

ただし、昨日までは普通に歩けていたのに急に歩けなくなったような場合は、何らかの病気の可能性がありますので、まずは動物病院を受診することをおすすめします。

1. 歩くのがおぼつかない

シニア期に入ると、徐々に足の筋肉が衰え、ふらつきやよろけることが増えたり、足で体を支えきれずに足がクロスしたりするようになります。

2. 自力で立ち上がれないが、歩くことはできる

さらに足の筋力が衰えると、自力で立ち上がれなくなります。しかし、立ち上がれれば、ふらつくことはあるものの、自力で歩くことは可能です。

3. 後ろ足が踏ん張れず、自力で歩けない

筋力の衰えがさらに進むと、立たせてあげても自力で歩けなくなっていきます。しかし、この段階では補助具などを使用してサポートすることで歩行が可能です。

4. 補助があっても歩けない

補助しても歩くことが難しくなり、寝たきりの状態になります。

介護度①歩くのがおぼつかない

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歩行時にふらつきなどが見られるようになったら、ハーネスを使用して歩行をサポートしましょう。

中~大型犬の場合は、背中に手を入れて支えるハンドルのついた通常のハーネスを使用し、ふらついた時に支えてあげましょう。この際、リードを短めに持つと、犬の体をよりコントロールしやすくなります。

小型犬の場合は、人間の手から犬の背中まで距離があるため、よろけた時にすぐに支えられません。そのため、介護用のハーネスの利用をおすすめします。

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介護度②自力で立ち上がれないが、歩くことはできる

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自力で立ち上がれなくなった場合は、立ち上がる際に補助してあげて、その後は自力で歩かせるか、先述したハーネスを使用して歩行を補助しましょう。

立ち上がりの補助方法

  1. 急に触られて犬が驚かないように「立つよ~」と声をかける
  2. 片手で犬のお腹の下を支え、もう片方の手で後ろ足の付け根辺りを支えて持ち上げる
  3. 犬の前足を突っ張らせながら、後ろ足を持ち上げて立たせる

立たせる際には、床材によっては足が滑ってしまう場合があります。そのため、犬が寝そべる場所の下にバスタオルやヨガマットなどを敷くことで滑りにくくなるので、ぜひ試してみてください。

また、犬の足裏の毛が伸びていて滑りやすい場合もあります。定期的に足裏の毛をカットし、肉球に専用クリームやワセリンを塗ってケアすることで滑りを軽減できます。

介護度③後ろ足が踏ん張れず、自力で歩けない

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立たせてあげても後ろ足で踏ん張れず、ヘナヘナと座り込んでしまうような場合は、後ろ足用の歩行補助ハーネスを使って歩かせてあげましょう。

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胴体のみを支えるタイプの補助ハーネスは、パンツタイプに比べて装着が簡単というメリットがありますが、犬の体型によっては装着がズレて使いにくいというデメリットもあります。

介護度④補助があっても歩けない

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いよいよ歩けなくなってしまった場合は、基本的には抱っこで移動します。歩けなくても、外出を制限しなければならないような病気がない限り、気分転換や認知症予防のためにも、お散歩に出ることをおすすめします

小型犬の場合は、室内では抱っこで、外出時にはペットカートやペットスリングを利用しましょう。

大型犬の場合は、室内では毛布など滑りやすい布に乗せ、二人がかりで四方を引っ張り、ゆっくりと滑らせながら移動します。また、移動が楽になる介護用品もあるので、そちらを利用することも検討してみてください。

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大型犬の外出時に使用できるペットカートもありますが、サイズがかなり大きいため、「カートが大きすぎて玄関から出られなかった」といった問題が起こることもあるようです。カートの乗せやすさやサイズ選びには注意しましょう。また、坂道ではかなりの力が必要になるため、特に下り坂では注意が必要です。

歩行介護の3つのポイント

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シニア犬の歩行介護において、押さえておきたいポイントを3つ解説します。

1. まずは動物病院を受診する

病気がある犬を無理に歩かせるなど、良かれと思って行った行為が、犬にとって大きな苦痛になる場合もあります。かかりつけの獣医師に、希望する介護方針を伝え、医学的な判断を仰ぎましょう。

2. 声をかけてから犬に触る

歩行介護に限らず、介護全般において重要なポイントです。シニア期を過ぎると耳が遠くなる傾向があり、突然触られることに驚いたり、びっくりして咬みついてしまうこともあります。介護を始める前に、「〇〇するよ~」と声をかけ、犬が気づいてからケアを始めましょう。

3. 頑張りすぎない

体の大きな大型犬の介護だけでなく、小型犬の場合でも長時間前かがみの姿勢をとることで、飼い主が首や腰を痛めてしまうこともあります。また、愛犬が年老いてだんだん弱っていく姿を見ていると、精神的に辛くなる場合もあるでしょう。

愛犬の状態と同じくらい、ご自身の状態もしっかり把握しましょう。辛さを感じたらデイケアを利用したり、家族や友人に頼ったりして、愛犬の介護を継続するために自身のケアも大切にしてください。

まとめ

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年をとって徐々に歩けなくなっていく愛犬を見るのは辛いものです。しかし、残された時間を老犬なりにもイキイキと過ごさせてあげたいものですね。

この記事が皆さんと、その愛犬の幸せな老後に役立てれば幸いです。

[シニア犬]老いても心身共に健康!日々実践したいこと5選

一般的には7才を越えた犬を「シニア犬」と呼ぶことが多く、体調や動き、睡眠時間など様々な点で変化が見られやすくなります。ペットとしての犬の平均寿命が延びていることでシニア犬のお世話をする人も増え、愛犬の変化に不安や悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか。

この記事では、シニア犬も豊かで不安のない日々を過ごすために実践していただきたいことを5つ紹介します。

伸びる犬の平均寿命

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アニコム家庭どうぶつ白書2022」のデータによると、2020年度の犬の平均寿命は14.1歳と発表されています。2019年度から変化はありませんが、同調査の結果では2009年度の13.1歳から年々平均寿命が伸び続けています。

体の大きさ別に平均寿命をみると、小型犬の方が大型犬・中型犬よりもやや寿命が長い傾向にあるようです。寿命が年々伸びている背景には、ドッグフードの質が上がったことや医療の発達、室内飼い、愛犬のケアの浸透などが大きく影響していると考えられます。

参考:一般社団法人ペットフード協会 (犬の平均寿命の推移)

シニア犬にも必要な刺激と栄養

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シニアになると寝ている時間が増え、体調にも変化が見られやすくなるでしょう。しかし、寝ているばかりでは愛犬の日々は退屈で老化も進む一方です。

無理のない範囲でこれまで通りの運動や良い刺激を与え、しっかりと栄養も摂ることが心身の健康につながります。

実践したいこと①筋トレ

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身体を支える足腰の運動は欠かさないようにしましょう。犬は後ろ脚から弱っていくことが多いため、後ろ脚を動かす機会を意識的に作りましょう。

①坂道ジグザグ歩き

坂道をまっすぐ歩くのではなく、ジグザグに歩きます。すると、すべての脚が均等に使われ筋肉が刺激されます。お散歩時には坂道を探して、挑戦してみましょう。

②飼い主さんの脚またぎ

飼い主さんが床に座って脚を横に開き、その上を愛犬に跨ぎながら歩いてもらいます。
跨ぐ際にしっかりと四つ脚を使うことができます。飼い主さんの脚以外にもバスタオルを巻いたものや、愛犬が跨ぎやすいものであればどんなものでもOKです。

③バランスディスク

ご自宅にバランスディスクがあれば、愛犬にも使うことができます。前脚、後脚、四つ脚すべて乗せるなど、愛犬ができる範囲でおやつを使いながら挑戦してみましょう。脚だけでなく、全身の筋肉にも良い刺激になります。

はじめはバランスディスクに乗ることを恐がる場合もありますので、少しずつ乗れるように練習をしましょう。できなかったことができるようになる経験をするのもとても大切です。

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実践したいこと②動物性タンパク質の摂取

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食事も非常に重要です。シニア犬用の一般的なドッグフードは、代謝が落ちることからカロリーを抑えたものが多いですが、それは要注意です。

シニアは筋肉や内臓なども衰えていくため、動物性のタンパク質をこれまで以上に摂取する必要があります。また、小麦や豆、コーン、米などが使われたドッグフードは消化に時間がかかり内臓にも負担がかかりやすくなります

主原料の異なるフードの消化時間の比較

あるドッグフードメーカーが、主原料が異なる3種のフードの消化にかかる時間を比較しました。比較に使われたフードは以下の3種です。

  1. 動物性のタンパク質が90%以上使われたフード
  2. 主原料がグルテンのドライフード
  3. 増粘剤が使われた缶詰のウェットフード

結果は、1. 動物性タンパク質のフードが約4時間と一番短く、次に2.ドライフードが約12時間、3.缶詰が約16時間となりました。

この結果から、動物性のタンパク質のほうが消化時の胃腸への負担が少ないことがわかります。逆に、身近なドライフードや缶詰は消化に半日以上かかり、胃腸への負担が大きいことを意味します。胃腸への負担という点でも愛犬のフードを選ぶ際は、動物性のタンパク質の量をひとつの基準にしてもいいかもしれません。

実践したいこと③水分補給

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シニアになると運動量も減り、自分で水を飲む回数も少なくなりがちですが、水分補給はシニアでも非常に重要です。摂取量の目安は、体重1kgあたり50mlと言われています。

水分が足りずにおしっこの頻度が減ると膀胱炎になったり、腎臓に負担がかかってしまいます。特にシニアは免疫力も低下しやすいため、注意が必要です。

おすすめの水分補給方法

①身体を動かす

身体をしっかり動かすと、必然的に喉も乾きやすくなります。愛犬自ら水を飲みたくなるくらいにお散歩も含めた適度な運動をする機会をしっかり作りましょう。

ただし、気温が20度を越える日は熱中症にも注意し、水分補給はもちろん日陰など涼しい場所での十分な休憩もとりましょう。

②お肉のおやつを水に浮かべる

お肉メインでできたおやつやフードを水に浮かべることでニオイが増し、水を飲みやすくなることが多いです。水に浮かんだおやつだけを食べるのではなく、水も飲めるようおやつのサイズも調整しましょう。

③ご飯に水またはぬるま湯をかける

ご飯に水分をプラスしてあげることで、食事と一緒に水分摂取が手軽にできます。ふやかす必要はありませんので、ごはんをあげる直前に水分をプラスしてあげましょう。

④飲み水をこまめにかえる

水を飲んでいないからと言ってそのまま置いておくと余計に飲みにくくなることがあります。新鮮な水が飲めるよう、意識的に取りかえましょう

在宅中は飲んでいない時でも1時間に一回、飲んだ時はその都度かえるのがおすすめです。夏場はもっと頻繁にかえてもいいでしょう。

実践したいこと④温活

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冷えにも注意しましょう。冷えると体が固まりやすく体を動かしにくくなってしまいます。

また、シニアになると体温調節も苦手になってくるため、室内の温度管理も大切です。体の大きさによって多少の違いはあるものの、気温は25℃前後、湿度は50~60%くらいが良いとされています。

冬場や夏のクーラーの中では、関節や筋肉を温めてあげましょう。ペットボトルにぬるま湯を入れ、うすいタオルで巻いて愛犬が嫌がらない範囲で脚やお腹などに当ててあげましょう。
冬場はペット用の電気毛布を使ったり、飲み水もぬるま湯にするのもおすすめです。内臓も温めましょう。

実践したいこと⑤ノーズワーク

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ノーズワークとは、嗅覚を使って決められたニオイやおやつを見つける仕事や遊びです。最近日本でも流行っており、手軽にできるノーズワークマットなども売っています。

ノーズワークのメリットはたくさんありますが、シニア犬は脳を活性化されることによる認知症予防と、おやつを探し、見つけて食べられた時に得られる精神的な充足感の二点が特に大きなメリットになるでしょう。

ノーズワークのやり方

ノーズワークマットを使用するのももちろん良いですし、愛犬が見ていない時に空き箱におやつを何個か入れておいて嗅覚を使って探してもらうこともノーズワークになります。

愛犬のレベルに合わせることがとても大切です。もしうまく見つけられない場合は、愛犬が見ていない時に床に何個か置いて探してもらっても良いでしょう。

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まとめ

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シニア犬は寝てる時間が増えますが、寝たままでは老いが進む一方です。「もうシニアだからやらない」のではなく、これまで通り愛犬に無理のない範囲で体をちゃんと動かし、嗅覚や頭を活性化し、水をしっかり飲んで、動物性のタンパク質をしっかりと摂取することがおすすめです。

愛犬も飼い主さんも不安や痛みが少なく、充実したシニア期を過ごせるよう、できることから少しずつ日々に取り入れてみてはいかがでしょうか。

シニア犬に現れる6つの変化と、整えたい10の生活環境

「シニア犬」という言葉にははっきりとした定義はありませんが、概ね7才以上を指すことが多く、シニア期に入ると、これまでのよく動き、よく遊び、よく食べるといった様子から少しずつ変化が見られます。

また、体調にも変化が出ることも多く、それに合わせて愛犬の生活環境も整えてあげることが望ましいです。

今回は、愛犬がシニア期になったら注意したいことと、整えるべき生活環境についてご紹介します。

シニア期に現れる愛犬の6つの変化と注意点

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シニア期によく見られる身体的変化を見ていきます。
ご自宅での対応も必要ですが、もし何か変化があり、心配な時は早めに信頼できる獣医師に診てもらいましょう。

①足腰が弱る

これまでは思い切り走り、坂道や階段もスタスタ歩けていたのが、坂道で止まったり、歩くスピードがゆっくりになったり、歩くのを好まなくなったりと変化が少しずつ出てきます。

また、フローリングで滑りやすくなる、立ち上がりにくくなるなど、動作の軽快さが減り、動作に時間がかかるといった変化が見られます。
特に、犬は普段から後脚を意識的に動かさないとされており、前脚と比較すると後脚を使うことが元々少なく、その分後脚から衰えていくことが多いです。

②目が見えにくくなる

加齢や白内障などの病気により、視力が衰えていきます。愛犬の目が白濁していたり、視力が一気に低下したなど、心配な時は獣医師に早めに診てもらいましょう。特に、急性の緑内障は発症から数時間〜数日で失明に至る非常に危険な病気です。目に異常が見られた場合はすぐにかかりつけの動物病院で診てもらった方が良いでしょう。

視力が低下することによって、物や壁にぶつかりやすくなる、つまづく、段差や階段から落下してしまうといった危険があります。

③耳が聞こえにくくなる

聴力も低下します
これまで声で伝えていた指示に反応しにくくなったり、聞こえないことで飼い主が側にいることに気付かず、撫でたり抱っこした時に、驚くようになるといった変化もあります。

【聴力の確認方法】
愛犬がどれくらい聞こえているかは、以下の方法で確認できます。

①ご飯が大好きな子の場合、普段ごはんをあげる時の袋のガサガサ音や、おやつの袋の音などにも反応するかどうかで、どのくらい聞こえているかを確認しましょう。
②普段からご飯の音に反応しない子の場合は、これまで愛犬が喜ぶ反応を示す音を出し、その時の反応で確かめることもできます。

④体温調整がしにくくなる

体温の調節機能も低下するため、暑さや寒さに弱くなります。飼い主基準ではなく、愛犬を基準にした温度・湿度管理が必要です。

⑤低い位置での食事が負担に

これまで床に置いてあったごはん皿や水飲みも、首や足腰の筋力の低下により、身体的辛さや、食べ辛さを感じるようになります。

また、飲み込む力も衰えていきますので、首が下を向いた状態は、口が食道よりも下になり、ごはんや水がうまく飲めません。そのため、誤嚥する可能性があります。そしてそのまま誤嚥性肺炎になってしまうこともあり、非常に危険です。

【食べやすさの確認方法】
愛犬の食べ付きが悪くなった、食べづらそう、飲みづらそうといった様子が見られたら、食器の高さの調整が必要です。

⑥不安や寂しさも増す

犬自身も自分のネガティブな体調の変化に不安を抱くようになります。そして、この体調の変化から来る不安によって、ひとりでいることにも不安や心配を抱くようになってきます。

【心配・不安の確認方法】
これまで鳴かなかったようなタイミグで鳴くようになったり、落ち着かなくなってきた時には不安や寂しさのサインかもしれません。
愛犬の居場所を移動させるなどが必要です。

10の整えたい生活環境

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ご自宅で注意してあげたい点や、具体的にどのように生活環境や過ごし方を整えてあげるといいかを紹介します。
一部シニアに特化したものもありますが、多くはシニア期に関わらず、若いうちから行っていただきたいものですので、犬を飼う上でぜひ参考にしてください。

①段差をなくす

段差が見えずに転倒したり、つまづいてしまいケガをする恐れがあります。階段も落下事故に繋がります。

段差は緩やかで滑りにくい幅の広いスロープを付け、階段は柵をして行けないようにしましょう。階段の昇り降りはシニアにとっては負担が大きいです。階段を使わない、または、抱っこをするなどして、愛犬の負担を減らし安全を確保してあげましょう。

【スロープの注意点】
スロープはシニアになってから取り付けた場合、すぐに使えるとは限りません。できるだけ若いうちからスロープに慣れさせてあげましょう。
ただし、バランスが取りづらくなってくるとスロープから落下する可能性もありますので、注意が必要です。

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②角や壁をガード

視力の低下により、壁や角にぶつかることも多くなります。当然ですが、ぶつかれば痛みを伴い、打ちどころによってはケガの恐れもあります。
角や壁には緩衝材を貼り、ケガをしないようにしましょう。

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③隙間を作らない

足腰が弱ることで、自由に動けなくなり、狭い隙間に入ったまま出られなくなってしまうこともよくあります。
隙間は柵やクッションなどで埋めて、愛犬が入れる隙間をなくしましょう

④これまで以上に温度管理はしっかりと

体温調整が苦手になる分、エアコンやサーキュレーター等を使っての温度管理が非常に大切です。室内の温度は、体の大きさによって多少の違いはあるものの、25℃前後、湿度は50~60%くらいが良いとされています。

短頭種や心臓・気管等の病気があったり、太り気味の子は、熱が体にこもりやすくなります。特に夏場は安静時にも常にハアハアしている場合は、少し室温を下げて様子を見ましょう。

なお、温度や湿度を計測する時は、愛犬が過ごす床に温度計を置くのがおすすめです。

夏場の対策

冷気は下にたまりやすく、寝ている時間が多いシニア犬には、冷えすぎてしまう可能性があります。そのため、サーキュレーターを使い、空気が部屋全体に循環するようにしてあげましょう。ただし、サーキュレーターや扇風機の風が犬に直接当たらないよう注意も必要です。

冬場の対策

日中は日向に寝床を移動させる、温かい毛布を敷くなどして温かくしてあげましょう。洋服や腹巻などで温めてあげるのもいいです。

⑤お散歩も体調最優先

今までは一日2~3回行っていたお散歩も、シニア期になったら愛犬の体調によっては回数を減らす、夏場は今まで以上に涼しい時間帯に行く、無理に歩かせないなど、臨機応変な対応も必要です。

ただし、外の空気に触れることはとても大切です。歩くのが辛そうであればカートに乗せて外に行くのもいいでしょう。歩けるところだけ歩いてもらい、他はカートに乗せたり抱っこしたりするのもおすすめです。

⑥ごはん皿や水入れの高さも調整

自力で食べられる場合、食器の高さは、愛犬が座るか、立った状態での犬の口の高さに合わせましょう。

台や脚がついた食器を利用したり、今までの食器の下に台を置いたりするのがおすすめです。

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⑦滑らない床材を

足腰の筋力低下により、一般的な床材では踏ん張ることができずに滑りやすく、より足腰への負担が増してしまいます。

足が滑らないように、床にヨガマットやジョイントマットを敷いてあげましょう。どちらも汚れた際のお手入れもしやくおすすめです。
また、脚の裏の毛も定期的にカットしてあげましょう。

⑧寝床も整えよう

前述のとおり、室内の温度管理をしっかりと行い、さらには冷暖房の風が直接愛犬に当たらないようにします。

寝ている時間が長くなってきたら、床ずれを予防できるベッドも用意しましょう。 寝床用のベッドは表面の素材が柔らかく、体の圧力が分散されるものがおすすめです。

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⑨抱っこや触る時はゆっくりと

聴力や視力の低下により、人の気配にも気づきにくくなります。そのため、愛犬を驚かせないよう、大き目の声で優しく声をかけ、抱っこもそっと、ゆっくりとしましょう。

⑩普段過ごす場所は人の側に

不安や寂しさをより感じやすくなるため、日中は愛犬が人の存在が感じられて安心できる場所に移動させてあげましょう。
この方が、人も愛犬の様子がわかり、安心できると思います。

また、お留守番時間も見直しが必要です。元々お留守番には不向きな犬ですが、シニア期も後半になると、いつ何が起きてもおかしくないという状態になっていきます。何かあった時にすぐに気付けるよう、お留守番時間は極力短くしましょう。

まとめ

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犬も年を重ねると人と同じように、多くのことができなくなっていきます。もちろん寂しさや辛さも伴いますが、どんな状態になっても、大切な家族です。

様々な変化に都度対応し、愛犬にできるだけ負担なく、安全で安心して穏やかな日々が送れるようにしてあげてほしいと思います。

目指せ元気なシニア!シニア犬におすすめエクササイズ

シニア犬とは、個体差はあるものの、一般的に7才以上の犬を指すことが多いです。
犬も人と同じで、年を取れば身体的な変化や悩みが出てきやすいですが、より長く元気に幸せに過ごしてほしいという想いは飼い主さん共通の願いですよね。

今回は、そんなシニア犬の特徴や、元気に過ごすためにシニアでもできるエクササイズをご紹介します。

シニア犬の特徴とよくあるお悩み

シニア期になると現れやすい身体的な特徴とシニア犬で多いお悩みを見ていきます。こんな変化や悩みが出てきたら愛犬もそろそろシニア期に入ってきているかもしれません。
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シニア犬の特徴

・皮膚がたるむ
・ぽっちゃり体型を経て痩せていく
・顔周りの白髪が増える
・毛艶の減少
・動きがゆっくりになる
・歩き方の変化

シニア犬によくあるお悩み

・夜中に鳴く、吠える
・日中起きない
・歩けなくなることがある
・物にぶつかる
・寝たきりになる
・隙間にはまる
・トイレの失敗
・攻撃的になる
・認知症の疑い

シニア犬でも毎日やりたいエクササイズ

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この章ではシニア犬向けエクササイズを紹介します。

「シニアだから何もできない…」 「今更もう遅い」ということは決してなく、愛犬の状態に合わせてできることを考えることが大切です。
ぜひ、愛犬ができそうなものを、少しずつでも挑戦してみてください!

もちろんシニア犬だけでなく、シニア期に向けて、若いうちから行うのもおすすめです。

スタンドアップ エクササイズ

自ら立つエクササイズです。筋力が低下すると、伏せた状態から立つことも段々と大変になっていきます。

立つ動作をゆっくりでもしっかりとできることを目指します。
飼い主さんが、途中までサポートしてもOKです。少しずつでも愛犬が自力でできるようにしていきましょう。

スクワット

人が行う膝を曲げ伸ばしするスクワット同様、「立つ→座る」を繰り返すエクササイズです。
これにより、足腰の筋力低下を防ぐのはもちろん、自分で立ち上がり、しっかりと座れることを目指します。

座る際は脚が横に出てきたりと、ラクなお座りをしがちですが、愛犬が痛がる様子や病気・ケガがない場合は正しいお座りの姿勢で行うことがポイントです。
壁際でやることで、脚が横に出にくくなり、正しいお座りの姿勢で行いやすくなります。

障害物またぎ

愛犬が普段歩く際に上げている脚の高さよりも、少し高めの障害物をまたいで歩くエクササイズです。普段よりもしっかりと脚を上げることで使うことが少なくなってきている部分の筋肉もしっかり動かします。
障害物は、ゴム紐やタオル、飼い主さんの脚など、犬がまたぎきれなくてもケガをしないもので行います。

坂道エクササイズ

ゆるかな坂道を歩くエクササイズです。犬は前脚に体重がかかりやすい分、後脚から衰えていくことが多いです。坂道を歩き、後脚もしっかりと使うことを目指します。
まっすぐ歩くだけでもいいですが、左右にジグザグ歩くことで難易度がアップします。ジグザグ歩くと、バランスを身体全体で取る必要があるため、更に筋肉を使うことができます。

柔らかマットエクササイズ

地面ではなく、柔らかい、少々足元が不安定なマットの上を歩くエクササイズです。これにより足腰の筋力をしっかり使うことを目指します。
人の布団や厚手のバスタオル、毛布などを何枚も重ねることで不安定な土台を作ることができます。

おやつ探しゲーム

「ノーズワーク」として知られるエクササイズで、シニア犬にとってもレベルを調整することでとても良いリハビリ老化防止になります。
やり方は比較的見つけやすい様々な場所に、大好きで且つにおいが強めのおやつを置き、それらを犬自身に探してもらいます。
視覚、聴覚に比べて衰えるスピードが遅い嗅覚を使いおやつを見つけることで脳が活性化します。
更には、自らおやつを見つけるという成功体験を繰り返すことで自信を得たり免疫力アップにも繋がります。

愛犬が見つけられる易しめの場所におやつを置き、愛犬が少々迷っていても飼い主さんはヒントを出したりせず犬自らが見つけることが大切です。

◇エクササイズのポイント

おやつ探し以外のエクササイズは、おやつで誘導して行い、少しでもできたらおやつをあげて褒めてあげてください。そして愛犬に無理のないできそうなレベルから少しずつ行い、「できた!」という成功体験を積み重ねていくことがポイントです。

まとめ

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普通にやっていたことがシニア犬にとっては、普通ではなく、頑張って行う動きになっていきます。
老化に伴う変化はショックなことも多いかもしれませんが、「うちの仔は何もできない…」と思われてしまう愛犬も辛く、飼い主さんの笑顔が見られない日々は更に辛いはずです。

シニア期にはパピー期とはまた違うかわいさや穏やかな時間があります。今の愛犬を受け入れ、ぜひこれらのエクササイズを通して、少しずつでもできるを見つけ、そして増やし、愛犬を褒めて、褒めて、一緒に喜び、シニア期も笑顔でたくさんの愛情と共にずっと過ごして欲しいなと強く思います。

犬が自分で排泄できなくなったらどうする?排泄介助の方法を解説!

老化や病気などが原因で、犬でも排泄の介助が必要になることがあります。

しかし、排泄の介助といっても、具体的にどのようなことをすればいいのか知らない飼い主さんも多いのではないでしょうか?

今回の記事では、犬の排泄介助について、方法や注意点をご紹介します。

排泄介助が必要な理由

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1. 老化で足腰が弱くなった

排泄機能は失われていなくても、足腰の筋肉が衰えて排尿の姿勢が取れなくなってしまった場合には、排泄介助が必要になります。
トイレに連れて行ったり、排泄の姿勢をとる補助をして、最終的には自分で排泄をさせます。

2. ヘルニア等による下半身麻痺

高齢犬に限らず、重度の椎間板ヘルニアなどになると、下半身が麻痺して排泄機能が失われてしまいます

筆者の犬も、9歳で椎間板ヘルニアになった際、自分で立てないだけでなく、支えてあげてもおしっこができなくなってしまったことがあります。これは、下半身の神経が完全に麻痺していたことが原因でした。

幸い、鍼灸治療をしたことですぐに排尿障害は改善しましたが、排尿障害は自分で排尿できないのは犬にとっても飼い主にとっても大きなストレスになると感じました。

3. 神経や脳の病気で立てなくなった

神経や脳の病気でも、排泄の姿勢を取れなくなったり、神経が麻痺して自分で排泄ができなくなってしまうことがあります。

4. 老化で前立腺が大きくなった

老犬になり、前立腺が大きくなると、排泄がしづらくなることがあります。
この場合は、排泄ができないわけではないので、補助してあげることで自分で出せるようになります。

自分で排泄ができる場合

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排泄機能が失われたわけではなく、トイレまで歩けない、排泄の姿勢が取れないといった場合には、飼い主さんが補助をしてあげるだけで自分で排泄ができます。

トイレに連れて行く

家の中でトイレをする場合は、定期的にトイレに連れて行ってあげましょう。
「歩けるけど、トイレに行くまでの段差がまたげない」という場合は、トイレまでの障害物を無くしたり、トイレシーツだけを平面に敷くようにすることで、自分でトイレにたどり着くことができるかもしれません。

外に連れて行く

散歩中にしかトイレをしてこなかった犬は、あまり歩けなくても外に連れ出してあげることで排泄できるかもしれません。

ただし、毎回外に連れて行くのは飼い主さんにとっても犬にとっても負担なので、できるだけ家の中でも排泄ができるようトレーニングをしておくことをおすすめします。

排泄の姿勢を補助する

自分の足でうまく立てない場合は、腰のあたりを支えて、排泄の姿勢を取らせてあげることが重要です。

筆者の犬の場合、排尿障害が改善した後も、しばらくは自分の足で立っておしっこの姿勢を取ることができなかったため、腰を支えてあげることで排尿を促していました。

便の場合は肛門を刺激する

便の場合、手や綿棒で肛門を外側から刺激してあげると、腸が動いて便が肛門の方に出てきます
なかなか自分で排便をしようとしない犬でも、刺激を与えることで自力で出せる可能性があるので試してみてください。

自分で排泄ができない場合①圧迫排尿

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自分で排尿ができない場合には、「圧迫排尿」や「カテーテル」などで人工的に排尿させます。
まずは「圧迫排尿」についてみてみましょう。

オスの方が難しい?

圧迫排尿は、オスよりもメスの方が時間がかからずにすぐに排尿できます

オスの場合は尿道が長くてねじれているため、なかなか尿が出てこないことがあるかもしれません。
オスの圧迫排尿のコツは、膀胱を押す際におへその方へ持ち上げながら圧迫することです。そうすることで、捻じれた尿道が真っすぐになり、比較的スムーズに排尿できます。

圧迫排尿の注意点

①膀胱内と尿道にある尿を出し切る

膀胱に尿が残っていると、体中に細菌が増殖して病気の原因になります。
圧迫排尿の際は、尿をできるだけ出し切るようにしてください。

②膀胱を強く圧迫しない

膀胱が過度に膨らんでいたり、膀胱を強く圧迫しすぎると、膀胱が破裂する恐れがあります。膀胱の破裂は腹膜炎を引き起こし、最悪の場合死に至ることもあるので注意が必要です。

③必ず獣医師に習ってから行う

圧迫排尿のやり方はネットにも出ていますが、実際に動物病院でやり方を教えてもらい、練習をしてからの方が安全です。
うまくできない場合は、無理に頑張って圧迫しすぎると危険なため、自分でできるようになるまで動物病院に通って教えてもらった方が良いでしょう。

自分で排泄ができない場合②カテーテル

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カテーテルを尿道に通し、注射器のようなもので尿を吸い取る方法もあります。
筆者の犬の場合は、圧迫排尿でうまく尿を出すことができなかったので、病院でカテーテルをもらって排尿をしていました。

カテーテルの注意点

①トイレシーツの上で行う

圧迫排尿に比べて、カテーテルによる排尿はおしっこが周りに飛び散りにくいです。それでも、カテーテルを抜いた時などに飛び散ってしまうことがあるので、必ずトイレシーツを敷いてから行うようにしましょう。

②カテーテルは消毒してから使う

カテーテルは、毎回消毒をした上で、麻酔のジェルを塗って尿道に入れます
使用後は、綺麗に洗って干せば2回ほど使用できますが、くれぐれも衛生管理には気をつけてください。

③なるべく2人がかりで行う

慣れてしまえば1人でもできるかもしれませんが、できれば2人で行った方が良いです。
犬も慣れないうちはカテーテルを怖いと感じてしまうので、1人が体勢を支えて犬の気をそらしながら、もう1人が集中して排尿を行うようにすると良いでしょう。

まとめ

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自分で排泄がスムーズにできないのは、犬にとっても飼い主さんにとってもストレスがかかることです。

排泄機能が失われていないうちは、トイレに連れて行ったり、排泄の姿勢を取らせるなどのサポートで排泄ができます。

一方で、下半身の麻痺などで、特に排尿機能が失われることも珍しくありません。その場合は、獣医師の指示に従い、圧迫排尿やカテーテルによる排尿のやり方を覚える必要があります。

老犬こそ日光浴が重要!室内・外での日光浴の方法と注意点

犬は日光浴が好きですが、犬が日向ぼっこをする理由は単に「気持ちがいいから」だけではありません。
日光浴には、体の健康を保ったり、気分を安定させる重要な役割があるのです。

老犬になると、足腰が弱って散歩に行くのが億劫になって、なかなか思うように日光浴ができないこともあるでしょう。
今回の記事では、老犬に日光浴をさせる方法や、注意点をご紹介します。

日光浴のメリット①皮膚の健康を保つ

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日光に含まれる紫外線には、殺菌効果があります。
毎日の日光浴で、ノミやダニなどの寄生虫のほか、雑菌やカビ菌などを殺して、さまざまな皮膚病を予防する効果があります。

ただし、強い紫外線を長いこと浴びすぎると、人間と同じように皮膚ガンなどを引き起こすこともありますから、注意が必要です。

日光浴のメリット②ビタミンDを生成する

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ビタミンDは、カルシウムやリンの吸収をサポートする効果があり、骨や歯の健康を保つために必要な栄養素です。
ビタミンDが不足すると、骨や筋肉が弱ってしまい、怪我や老化の進行に繋がります。

人間は、主に日光浴によってビタミンDを生成することができます。
犬の場合は食事からの摂取がメインになりますが、人間ほどではないものの、犬も日光浴によってビタミンDを生成することは可能です。

日光浴のメリット③自律神経を整える

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日光を浴びると、脳内で「セロトニン」という神経伝達物質が分泌されます。セロトニンには、自律神経を整え、精神を安定させる効果があります。

若い頃に比べて、走り回ったりおもちゃで遊んだりすることが難しくなってくる老犬にとって、気分を安定させるには、ホルモンバランスを整えることがとても大事です。

動けなくても昼夜の区別を!

また、セロトニンが適切に分泌されると、眠りを司る睡眠ホルモンである「メラトニン」の生成にも繋がり、夜の眠りが深くなります。

足腰が衰えて昼間も寝っ転がっていることの多い老犬にとって、昼間にきちんと日光浴をさせてセロトニンの分泌を、夜にメラトニンの分泌を促すことが、体内時計を整える上で非常に重要です。

老犬に日光浴をさせる方法

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1. できるだけお散歩をさせる

老犬になると、足腰が弱ってなかなかお散歩に行きたがらない犬も多いでしょう。
ですが、お散歩に行かないともっと筋力が衰えてしまいますし、外の刺激を受けないと認知機能が鈍ったり、気分が落ち込んだりしてしまいます。

お散歩の距離を少し短くする、暑すぎない・寒すぎない時間帯を選ぶ、途中で休憩を挟むなどして、できるだけ愛犬に負担がかからないようにしながら、できるだけ自分で歩かせるようにしましょう。
休憩は、日当たりの良いところで行うと、ついでに日光浴をさせることができます。

2. カートでお散歩をさせる

自力で歩けない場合は、犬専用のカートに乗せて外に連れて行ってあげましょう。
公園など、日当たりが良くてゆっくりできるところでカートをとめ、しばらく日光浴をさせると良いです。

カートがあると動物病院に連れて行く際にも便利なので、足腰が弱ってきたら少しずつカートに慣れさせておくと良いでしょう。

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3. 室内で日当たりの良いところを選ぶ

小さい頃から、お家の中で日向ぼっこをするのが好きだという犬も多いでしょう。
老犬になったら、愛犬にとっての日向ぼっこスペースの環境を見直してあげましょう。

例えば、段差や障害物がある場合は、自力でたどり着きやすいように工夫してあげましょう。
また、同じところで寝そべっている時間が増えた場合は、床ずれを防ぐために、弾力のあるマットなどを敷いてあげましょう。

老犬に日光浴をさせる時の注意点

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1. 室内での日光浴はカーテンを開けて

UVカット加工されたカーテンや遮光カーテンだと、日光浴の効果が十分に得られません。
日光浴をさせる際は、少しカーテンを開けて、日光が十分に差し込むようにしてあげましょう。

2. 夏場の日光浴は熱中症に注意して

特に夏場は、日中ずっと日光浴をしていると暑すぎてしまい、熱中症になる恐れがあります。
老犬は暑くても自分で移動することができない場合があるので、飼い主さんが日光浴の時間をコントロールしてあげる必要があります。

できれば日差しの強すぎない時間帯を選び、飼い主さんがそばで付き添って愛犬の様子を観察してあげながら日向ぼっこをさせましょう。

3. 急な温度変化に注意して

寒い時期に、暖かい部屋から急に温度の低い室外へ移動すると、心臓などに負担がかけり「ヒートショック」を起こしてしまいます。

冬の散歩はできるだけ暖かい時間帯を選び、外に出る前に少しドアを開けて外気を取り込むなどして、外の温度に体を慣らしてから出かけましょう。

まとめ

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老犬になり、足腰が弱くなって散歩になかなか行けなくなっても、日光浴は毎日させてあげたいものです。

できればカートなどを使って家の外に連れて行くことも心がけつつ、家の中の日当たりの良いところも上手に活用して、老犬の日光浴をサポートしてあげましょう。

犬の衰えは後ろ足から!簡単にできる後ろ足トレーニングをご紹介

人間も、年をとると足腰が衰えてきますが、4本足で歩く犬の場合、前足よりも特に後ろ足が先に衰えてきます。

後ろ足を引きずるようになってしまうと、思うように散歩に行けなくなってしまったり、トイレが自分でできなくなってしまうなどして、犬のストレスや飼い主さんの負担の原因になります

そうならないために、今回の記事では、日常生活の中でできる犬の後ろ足のトレーニング方法をご紹介します。

犬の足は後ろ足から弱る

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一般的には、犬は高齢になると、前脚よりも先に後ろ足が衰えてきます。

これは、犬が普段生活をする中で、後ろ足のことはほとんど意識しないで動かしているからです。
前足2本をしっかりと動かせば、後ろ足は特に何も考えなくてもついてきてくれるので、意識が向かなくなってしまうのです。

さらに、重たい頭を支えているのも前足ばかりで、余計に踏ん張ろうとします。
個体差はありますが、犬は自分の体重の約7割を前足で、約3割を後ろ足で支えているとも言われます。

後ろ足をしっかり動かすトレーニングが必要!

普段意識せずに使ってしまう後ろ足をトレーニングするには、「なんとなく」動かせば歩けてしまうような道を歩かせるだけでは物足りません。
後ろ足を意識して動かさないと通れないような道や、障害物を使ったトレーニングなどが効果的です。

次の章からは、散歩中や家の中でできる後ろ足のトレーニング方法をご紹介していきます。

後ろ足のトレーニング方法【散歩編】

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登り坂を歩かせる

平坦な道では、前足だけ踏ん張れば歩けてしまいますが、登り坂になるとそうはいきません。
後ろ足もしっかり使わないと、登ることができないのです。

急すぎる坂や、長い坂だと負担がかかりすぎてしまうので、犬の状態に合わせて、毎日の散歩に少しずつ登り坂のコースを取り入れてみましょう。

不安定な道を歩かせる

アスファルトで舗装された平らな道ではなく、砂利道、芝生、土手、砂場、砂浜、木の根っこ周りなどを歩かせてみるのもおすすめです。

特に、足が埋もれてしまう砂浜は歩くのが大変なので、良いトレーニングになります。
近くに砂浜がない場合は、芝生など、柔らかくてクッション性のあるところを歩かせることで、地面をしっかりと踏ん張って歩く練習になります。

後ろ足のトレーニング方法【室内編】

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ポールをまたがせる

ポールや丸めたタオル、掃除のホース、飼い主さんの脚など、なんでも良いので、適度な高さのあるものを跨がせましょう。
おやつなどを使って誘導し、障害物の上を後ろ足までしっかり跨ぎ切らせます

筆者の犬が椎間板ヘルニアになった時にも、リハビリとして毎日このトレーニングを行い、後ろ足の強化をしていました。
横着して障害物を避けて通ろうとしたりすることがありますが、そこは甘やかさず、しっかり跨がせることが重要です。

後ろ足に柔らかいヘアゴムをつける

後ろ足に、ホテルのアメニティにあるような柔らかいヘアゴムなどを軽くつけてあげることで、後ろ足に意識が向きやすくなります
嫌がらなければ、ヘアゴムをつけたままトレーニングをするとより効果的です。

ただし、きつく締めたり、犬が嫌がっているのにつけ続けたりすると、ストレスの原因になってしまうので注意しましょう。

後ろ足をくすぐる

「後ろ足に意識を向けさせる」という意味では、後ろ足の肉球を軽くくすぐってみるのも有効です。
指で軽くなぞってあげるだけで、後ろ足を動かしたり、蹴ったりします。

ただしこちらも、しつこく長時間やってしまうとストレスになってしまうので、普段のスキンシップの中に少しだけ取り入れてみる程度にしておきましょう。

後ろ足のトレーニング方法【マッサージ編】

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自分で後ろ足を動かさせることも重要ですが、合わせてマッサージも取り入れるとより効果的です。
後ろ足のマッサージをする際は、足を横に引っ張ったり、無理な体勢で持ち上げることは絶対にせず、優しく真上に持ち上げるようにしましょう。

後ろ足をさする

後ろ足を軽く持って、付け根から肉球までを軽くさすってあげるだけでも効果があります。
普段意識を向けない後ろ足ですが、さすられると自然と気になり、感覚が鈍りにくくなります。

後ろ足の曲げ伸ばしをさせる

前足につられて適当に「ついてくる」だけの後ろ足は、衰えてくるとしっかり持ち上げたり曲げ伸ばししたりできずに、引きずるような歩き方になっていきます。

時々片足ずつ優しく持ち上げて、曲げ伸ばしをさせましょう。自分で動かすことも重要ですが、飼い主さんの手で曲げ伸ばしさせるだけでも効果的です。

まとめ

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今回は、年をとると衰えやすい犬の後ろ足の鍛え方をご紹介しました。
人間と同じように、犬も年をとってもできるだけ自分の足で動けるようにトレーニングしてあげることで、散歩などの楽しみがなくならないだけでなく、毎回のトイレのサポートの必要がないなど、飼い主さんの負担も小さくて済みます。

散歩で歩かせる場所を工夫したり、家の中での遊びに障害物を取り入れるなど、簡単なことの積み重ねでトレーニングをすることができるので、若いうち、あるいは年をとってきてからでも、少しずつ始めてみてはいかがでしょうか。

老犬ホームってどうなの?サービス内容や費用、選び方をご紹介!

「老犬ホーム」という場所をご存知でしょうか。簡単に言うならば老人ホームの犬版ですが、「詳しくはよくわからない」と言う方もいるのではないでしょうか。

犬も寿命が長くなり、人間と同じように痴呆などの症状も見られるようになってきました。今記事では、老犬ホームについて解説し、そのサービス内容や費用など、知っておきたい情報をご紹介いたします。

老犬ホームとは


老人ホームの犬版と言える「老犬ホーム」は、様々な事情で愛犬を施設に預けたい場合に、飼い主さんの代わりに面倒を見てくれる施設です。

老犬ケアに詳しいプロの方が、愛犬の毎日のお世話(食事、排泄、散歩、ケア)をしてくれます。

期間やプランは様々で、施設によっては、出張面会や往診などを行ってくれるところもあります。

また、犬だけに限らず、老猫の受け入れを行っているところもあります。

犬の長寿化、需要の高まり


医療技術の進歩やドッグフードの改良などの結果、平均寿命がこの30年で約2倍にも伸びたとも言われています。

このように、近年犬が長生きをするようになった結果、介護が必要な犬も増えたと言うことができます。

老犬ホームのサービスの登場は比較的最近ですが、年々その需要が増えていると言っても過言ではありません。

老犬ホームの利用理由


「飼うと決めたからには最後まで自分で面倒を見る」「やっぱり最期まで一緒にいたい」と思っているけれど、「現状、どうやってもこのまま面倒を見るのは難しい…」と言う方がいることも事実。

では、どんな理由で老犬ホームを利用される方が多いのでしょうか。

  • 自分が高齢で面倒が見れない、最後を看取れるか不安
  • 自分が入院をすることになり、世話が難しい
  • 老犬介護による疲れや限界を迎えている
  • 痴呆による夜泣き等があり、近隣住民からの苦情が来ている
  • 愛犬が寝たきりになり、自分の仕事の都合上、愛犬の介護が難しい

このように、様々な事情により、老犬ホームが利用されています。

愛犬が老化を迎え、そして自分の手に負えそうにないと思った時、一度、老犬ホームに相談をするのも選択肢の1つでしょう。なにか解決の糸口が見つかるかもしれません。

サービス内容とは


長期だけでなく、短期での利用も可能な施設があります。また、デイサービスや訪問介護、介護に関するサポートやレクチャーなど、様々なプランがある施設もあります。

食事や排泄の介助や、ドッグランでの運動など、愛犬がのびのびと自由に生活が出来るように手厚くサポートしてくれます。

但し、これも愛護団体等と同様、悪徳業者も存在しますので、事前に下見をしたり、評判をチェックするなど、よく調べてから利用するようにしたいところです。

費用はいくらぐらい?


施設によって費用は異なって来ます。サービス内容やプランによっても変わりますし、老犬ホームの立地によっても値段が変わってきます。

料金は本当にマチマチで、入居するのに30万円代から入れるところもあれば、100万円以上かかる施設もあるなど、様々です。

なお、東京23区内でアクセスしやすい場所にある施設は、高額になる傾向にあります。

老犬ホームの選び方3つ

1.事前見学

老犬ホームがある場所は郊外から都内と様々ですが、全国的に増えてきています。愛犬の入る老犬ホームを決める際には、複数箇所を事前に見学することをオススメします。

今の時代、ネットで見て決めることもできますが、やはり自分の目で見て決めた方が良いでしょう。

また、そこで働く人たちと話すことで、「ここは安心して愛犬を任せられるのか」などの疑問を払拭することが出来るはずです。

2.愛犬に適しているのか

値段やサービスも施設によって様々ですので、複数の候補からきちんと吟味して選びましょう。

安さだけで決めるのではなく、愛犬に最適なサービス・環境であるのか等、検討しましょう。

自分で面倒が見られない以上、愛犬の幸せを考え、一番楽しく過ごせる施設を選びたいですよね。

3.老犬ホームの立地・場所

老犬ホームは、郊外と都市のどちらにあるのかで値段が変わってきます。

「愛犬と面会をしたい」「頻繁に会いに行きたい」という場合には、アクセスのしやすさが重要になってきます。

自分の家や勤務先の場所、交通の便などを考慮し、先のことまで考えて決めるようにしましょう。

最後に


人間の介護と同様、愛犬の介護も、社会問題になりつつあります。また、「最後まで一緒にいると決めたから」という強い気持ちにより、老犬ホームの利用を考えたことがない人も多くいるそうです。

動物を飼うということは、命を預かるわけですから、最後まで責任を持って飼うべきです。しかしながら、無理に老犬の介護を続けて、自らの体調を崩してしまうような結果は、愛犬も悲しむのではないでしょうか。

家庭ごとに事情は違いますし、できることなら自分で面倒を見てあげたほうが良いとは思います。非常に難しい判断を迫られることになりますが、ケースによっては老犬ホームという選択肢がベストな場合もあるかと思います。

これを機に、ご家庭の問題が解決され、少しでも飼い主さんとわんちゃんにとって、日々の生活が豊かになることを願っています。