【クイズ】食後の犬の散歩は危険!胃捻転ってどんな病気?

愛犬との散歩の時間はだいたい決まっているという飼い主さんは多いでしょう。散歩は犬にとって欠かせないもので、天候の不良などがない限り、基本的には毎日行く必要があります。しかし、タイミングを誤ると胃捻転を起こし、命に関わる可能性もあるため注意が必要です。

今回は、犬の胃捻転についてクイズ形式でご紹介します。

それではさっそく、犬の胃捻転クイズにチャレンジしてみましょう!
Q.1 犬の胃捻転の説明として正しいのはどれ?
正解です!
不正解です!
正解は「ガスや空気で膨れた胃がねじれること」です。
胃の中で発生したガスや、口から飲み込んだ空気が溜まって、胃がパンパンに膨れた状態を「胃拡張」といいます。そして、その拡張した胃がねじれてしまうことで「胃捻転」になります

胃の拡張やねじれは、周りの血管や臓器を圧迫し、血流を悪化させることで、胃壁の壊死や重度のショック状態を起こします。そのため、直ちに適切な処置を施さないと、数時間で命を落とす可能性があります。

腸捻転は特に大型犬で起こりやすいですが、中型・小型犬でも起こる可能性はあるため、全ての犬の飼い主が気を付ける必要があります。

Q.2 胃捻転を起こしたときに見られる症状として「誤っている」のはどれ?
正解です!
不正解です!
正解は「体を頻繁に掻く」です。
胃捻転になると、以下のような症状が見られます。
  • お腹が膨れている、時間と共にお腹がどんどん膨れていく
  • 吐くそぶりをするが吐けない
  • 舐めるなどして、お腹をしきりに気にする
  • 大量のよだれを垂らす
  • ゲップやしゃっくりを繰り返す
  • 呼吸困難
  • お腹を触ると痛がる
  • 落ち着きがない
  • 丸まったまま動かない
このような症状が見られる場合は胃捻転が疑われます。時間の経過と共にどんどん悪化してしまうので、直ちに動物病院を受診しましょう。

Q.3 胃捻転が起こる原因として「誤っている」のはどれ?
正解です!
不正解です!
正解は「便秘」です。
胃捻転の明確な原因はまだ解明されていません。しかし、胃捻転のリスクを上げる要因として以下が考えられます。
  • 早食いや大食い
  • 食後の散歩や激しい運動
  • 胃腸の運動の低下(シニア犬は特に注意)
  • 胃腸炎や胃腸内の異物
これらの原因の中で特に注意したいのが、早食い・大量食いとその後の運動です。

フードや水を短時間にたくさん、食べたり飲んだりすると、胃に空気を大量に取り込んで閉じ込めてしまうため、胃拡張になります。その後に運動をすると拡張した胃がねじれて胃捻転が起こりやすくなってしまいます。
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今回はこちらの記事から問題を作成しました。 詳細が知りたい人はこちらも読んでみてください!
ごはん直後の犬の散歩は危険!胃捻転の症状と対策
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【獣医師監修】犬の嘔吐から考えられる疾患

嘔吐は、動物病院に来院する犬で最も多い症状の一つです。実際に愛犬が嘔吐している場面に遭遇したことのある人も多いでしょう。 では、その嘔吐は何によるものなのでしょうか?今回は臨床の現場でよく遭遇する嘔吐の原因疾患について、獣医師が解説していきます。

消化器疾患

嘔吐の原因としてまず考えられるのは消化器、特に胃や十二指腸といった上部消化管の異常です。これら疾患によって胃液の分泌が過剰になったり、物理的な胃粘膜の刺激によって嘔吐が誘発されます。

急性胃炎・十二指腸炎

【症状】 急性の嘔吐、食欲不振、腹痛など。消化器症状以外の全身症状は通常見られないが、脱水や誤嚥性肺炎などによって重篤化することもある。 【原因】 古い食事、異物、化学物質、薬剤など。腎不全や肝不全から続発することも多い。 【備考】 原因が明らかな場合(異物や薬剤)はそれを除去するが、明らかでない場合には胃腸炎の治療をしてみて反応を見る診断的治療を行うことが一般的。

慢性胃炎

【症状】 嘔吐、食欲不振。嘔吐の回数は、1日に数回から1~2週間に1回まで様々。 【原因】 アレルギー、異物、薬剤、微生物などが挙げられるが、原因は特定されないことが多い。 【備考】 急性胃炎と同様に確定診断には内視鏡検査が有用だが、全身麻酔を伴うこともあり現実的ではない。

胃内異物

【症状】 急性の嘔吐、食欲不振。若齢の犬は特に注意。 【原因】 胃内容物の排出障害、胃粘膜の刺激から嘔吐が誘発される。 【備考】 異物の材質や形などから催吐などの内科療法、もしくは胃切開などの外科療法といった治療方針を決定する。

胃拡張・胃捻転症候群

【症状】 嘔吐、腹痛、流涎、急激な腹囲膨満から昏睡。 【原因】 胃が空気と食物によって急激に拡張することによる。食後に運動した後に発生しやすいと言われている。 【備考】 大型犬で多く、小型犬ではほとんど見られない。胃破裂を起こすこともあり、早期の診断と治療が必要な緊急疾患である。

幽門狭窄

【症状】 嘔吐、食欲低下、体重減少。 【原因】 原因はよくわかっていないが、幽門部(胃の出口付近)が肥厚することで胃排泄障害が起こる。 【備考】 超音波検査やバリウム造影で診断し、根本的治療は外科手術による。

胃の腫瘍

【症状】 嘔吐、食欲不振、体重減少など。場合によっては吐血、メレナ(黒いタール状の便)、貧血などが見られる。 【原因】 犬の胃の腫瘍はリンパ腫が最も多いとされている。 【備考】 慢性胃炎、ポリープなどが危険因子と言われている。

他の内臓疾患

消化器疾患以外にも嘔吐が見られるものがあります。血液検査などを行うのは、これらの疾患を見逃さないためです。

膵炎

【症状】 嘔吐、腹痛、元気消失、下痢など。 【原因】 膵臓からは消化酵素が分泌されるが、その酵素によって自己組織が消化されることによって強い炎症が起こる。危険因子としては薬剤、感染、高カルシウム血症、肥満、全身性代謝性疾患(糖尿病、副腎皮質機能亢進症、慢性腎不全)、腫瘍などが挙げられる。 【備考】 急性の膵炎では発症後24〜48時間以内の早期に治療を開始することが重要。

尿毒症

【症状】 嘔吐、消化管潰瘍、発作、異常呼吸など。 【原因】 腎不全などによって尿毒素が体内に蓄積することによる。 【備考】 腎不全の原因としては熱中症、毒物、感染、腫瘍、ショックなどがある。

肝胆道系疾患

【症状】 嘔吐、腹痛、黄疸、食欲低下など様々。 【原因】 慢性肝炎、胆石症、胆嚢炎などによって症状が引き起こされる。 【備考】 定期的な血液検査や画像検査によって早期に発見することが望ましい。

子宮蓄膿症

【症状】 食欲不振、多飲多尿、嘔吐、腹部膨満、陰部から膿様のものが排泄されるなど。 【原因】 子宮内で細菌が増殖し、膿液が貯留する。 【備考】 卵巣からのホルモン分泌が深く関与しており、早期の避妊手術が最も効果的な予防法となる。

代謝性・内分泌疾患

ホルモンの分泌異常によっても嘔吐は引き起こされます。中高齢で発生しやすい傾向にありますが、いずれも放置すると危険な疾患ですので、しっかりと検査することをおすすめします。

アジソン病(副腎皮質機能低下症)

【症状】 虚弱、体重減少、嘔吐、吐出、下痢、多尿、徐脈、低体温、震え、痙攣など。 【原因】 副腎から分泌されるホルモン(グルココルチコイドおよびミネラルコルチコイド)の不足による。犬では特発性の副腎委縮によるものが多い。 【備考】 適切なホルモン治療を行えば予後は良好。

糖尿病

【症状】 多飲多尿、多食、体重減少、嘔吐、下痢、脱水、感染症、白内障、昏睡など。 【原因】 膵臓からのインスリンの分泌低下、あるいはインスリンの作用低下。 【備考】 犬の糖尿病は若齢発症のものと、3歳齢以降発症のものに分けられる。いずれの場合でも犬の糖尿病治療にはインスリンが必要となる。

病気ではない嘔吐

嘔吐の中には、病気ではない一時的なものもあります。とは言っても愛犬は気持ち悪いはずなので、原因があるのなら速やかに取り除いてあげるべきでしょう。 病気ではなくても、嘔吐が見られた際には放置することは望ましくありません。

乗り物酔い

【原因】 三半規管から小脳へ伝わった刺激が嘔吐中枢を刺激すると考えられている。 【備考】 長時間の移動の前には酔い止め薬を服用するという選択肢もある。獣医師まで相談を。

消化不良

【原因】 古い食餌などの給餌による。 【備考】 ご飯の賞味期限や保管方法には注意を。

まとめ

無数にある病気の中で、今回紹介したものはごく一部です。 一過性で自己限定的な嘔吐の場合には経過観察とすることもありますが、嘔吐が慢性化している場合には一度検査を受けましょう。 愛犬に体調不良が見られた時には、獣医師に相談し、適切な治療を受けさせてあげてください。

ごはん直後の犬の散歩は危険!胃捻転の症状と対策

愛犬にとって、ごはんと散歩は日々の生活の中でとても楽しい時間ですよね。でも、ごはんを食べたあと、すぐに散歩に連れて行っていませんか? 実は、ごはんの直後に散歩に行くと「胃捻転」という病気を引き起こしてしまうことがあります。 今回は、死に至ることもある恐ろしい病気、「胃拡張・胃捻転症候群」の原因と対策法について解説していきます。

胃捻転とは?

犬,胃捻転,胃拡張,食後,散歩,ガス,早食い,大量食い,ガブ飲み,シニア犬,お腹が膨れる,ゲップ,よだれ,休憩 「胃拡張・胃捻転症候群」は、元気な犬にも突然起こりうる、致死率の高い病気です。 「胃拡張」とは、胃の中の食べ物がなんらかの原因で発酵して発生したガスや、口から飲み込んだ空気が溜まって、胃がパンパンに膨れた状態になることです。 そして、その拡張した胃がねじれてしまうことで「胃捻転」になります。 胃の拡張やねじれは、周りの血管や臓器を圧迫し、血流を悪化させることで、胃壁の壊死や重度のショック状態を起こします。そのため、直ちに適切な処置を施さないと、数時間で命を落とす可能性があります。

胃捻転を起こしやすい犬

胃捻転は、特に大型犬によく起こります。その中でも、以下の犬種がより胃捻転になるリスクが高い傾向にあります。
  • 秋田犬
  • グレートデン
  • スタンダードプードル
  • ジャーマンシェパード
  • シベリアンハスキー
  • セントバーナード
  • セッター
しかし、中型・小型犬にも起こる可能性はあるので、全ての犬の飼い主が気をつける必要があります。

胃捻転の症状と原因

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胃捻転の原因

正確な原因はまだ解明されていません。しかし、胃捻転のリスクを上げる要因として以下が考えられます。
  • 早食いや大食い
  • 食後の散歩や激しい運動
  • 胃腸の運動の低下(シニア犬は特に注意)
  • 胃腸炎や胃腸内の異物
これらの原因の中で特に注意したいのが、早食い・大量食いその後の運動です。 フードや水を短時間にたくさん、食べたり飲んだりすると、胃に空気を大量に取り込んで閉じ込めてしまうため、胃拡張になります。その後に運動をすると拡張した胃がねじれて胃捻転が起こりやすくなってしまうのです。

胃捻転の症状

胃捻転になると、以下のような症状が見られます。
  • お腹が膨れている、時間と共にお腹がどんどん膨れていく
  • 吐くそぶりをするが吐けない
  • 舐めるなど、お腹をしきりに気にする
  • 大量のよだれを垂らす
  • ゲップやしゃっくりを繰り返す
  • 呼吸困難
  • お腹を触ると痛がる
  • 落ち着きがない
  • 丸まったまま動かない
このような症状が見られる場合は胃捻転が疑われます。時間の経過と共にどんどん悪化してしまうので、直ちに動物病院を受診しましょう。

胃捻転の対策

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1.食事後は1〜2時間ほど休んでから散歩・運動をする

犬種、ご飯の量、食べる速さ、運動量によって食後に必要な休憩時間は異なりますが、大体1〜2時間を目安に休憩を挟むことを習慣づけましょう。休憩中はおもちゃ遊びも控えるようにしてください。 食事の後すぐに散歩に出かけたり、おもちゃで遊ぶ運動をさせることは危険なので極力しないようにしてください。 急用などで、どうしても食後と散歩の間に1〜2時間の休憩が取れない場合は、散歩前に与えるフードの量を少なくしたり、ゆっくり歩いたりして、胃捻転のリスクを最小限に抑えるようにしましょう。

2.早食い・大量食いを抑える

空腹の状態で急いでたくさんのフードを食べると、胃捻転が起きやすくなります。1日1回の食事は避け、同量を2〜3回に分けてあげるようにしましょう。 特にシニア犬は胃腸の働きが弱まっているため、胃捻転のリスクが高くなります。高齢になると消化機能も下がってしまうため、消化の良いフードに変えたり、1日の食事の回数を従来よりも1回程度増やして、小分けにしてあげるようにしましょう。 早食い防止のフードボウルを使う、あるいはドライフードに水やぬるま湯を混ぜてあげることも効果的です。また、ご飯の時間になると興奮してしまう子は、少し落ち着かせてから食べさせるようにしましょう。

3.散歩中や運動中にこまめに水を与える

散歩から帰ってきた後やおもちゃ遊びをした後などに水をガブ飲みしてしまうと、胃捻転が起こりやすくなります。 散歩中や運動中に、こまめに水を飲ませることで水のガブ飲みを防ぎましょう。

4.フードボウルの台の高さを調整する

フードボウルの台は、低すぎても高すぎても犬にとって負担になります。合わない高さから食べてしまうと、吐き戻し、逆流、空気を一緒に飲み込んでしまう、消化に時間が掛かりガスが溜まりやすくなるなどの原因になります。 四肢でしっかり立った状態で首を少し下げた姿勢が正しい食事の位置です。食事台を使うなどして、愛犬に合った位置で食事を食べさせるようにしましょう。

まとめ

犬,胃捻転,胃拡張,食後,散歩,ガス,早食い,大量食い,ガブ飲み,シニア犬,お腹が膨れる,ゲップ,よだれ,休憩 愛犬にとって、とても楽しみな「ごはんの時間」と「お散歩の時間」。それが場合によっては健康を脅かすことになってしまっては悲しいですよね。 食事と散歩・運動の間にしっかりと休憩を取れば胃捻転のリスクは下げることができます。同時に早食い・ガブ飲みを防ぐことで、安全に愛犬と一緒にご飯と散歩を楽しみましょう。