【獣医師監修】シーズーがかかりやすい病気と4つの予防法

シーズーは、短い鼻と長い毛が特徴的で、日本でも人気の小型犬です。

そんなシーズーですが、身体的特徴や遺伝的背景から、犬種ならではのかかかりやすい病気がいくつかあることをご存知でしょうか?

今回の記事では、シーズーがかかりやすい病気と、病気を予防するために適切な飼育環境について、獣医師が詳しく解説します。

シーズーの基本情報

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シーズーの歴史

シーズーのルーツには様々な説がありますが、チベット原産で中国皇帝に献上された「ラサアプソ」と、中国原産の「ペキニーズ」を、中国の宮廷でかけ合わせて誕生したと考えられています。

ラサアプソもペキニーズも、中国の宮廷で門外不出の犬として大切に飼われていました。そんな2つの犬種を交配して生まれたのがシーズーなのです。

「シーズー」という呼び名は、中国で最も偉大な動物である獅子の名をとって、「獅子狗(シーズークゥ)」と呼ばれていたことに由来し、守り神として珍重されていたと考えられています。

シーズーの身体的特徴

鼻ぺちゃで垂れ耳が特徴の顔立ちをしており、長毛の豊かなダブルコートで、毛色は様々です。
体高は20cm~28cm、体重は4~8kg程度が標準です。

シーズーの性格

活発な面と穏やかな面を両方持ち合わせ、子供や知らない人、他の犬に対しても友好的です。
家族に対しても気遣いができる性格で、たっぷりと愛情を注いで育ててあげることでより深い絆を築くことができます。

シーズーの好発疾患

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シーズーは短頭種で、大きな眼をしているため、これらに関連した疾患にかかりやすいです。また、皮膚病や神経疾患も見られることがあります。

シーズーの好発疾患を理解し、日頃から健康観察をすることが重要です。

短頭種気道症候群

【症状】
呼吸困難、興奮、発熱、睡眠時の窒息など。
【原因】
外鼻腔狭窄、声門反転、軟口蓋過長、扁桃腺腫大、喉頭や気管の虚脱などの解剖学的異常。これらにより上部気道が狭くなる。
【備考】
重症例では外科的に異常を除去する。興奮により熱中症が起こることも多いので注意。

気管虚脱

【症状】
「ガーガー」という特徴的な咳、呼吸困難など。
【原因】
気管を構成する軟骨が生まれつき弱く、吸気時に気管が潰れる。そこを空気が通るときに咳が出る。
【備考】
肥満の防止や、室内の温度や湿度を適切に保つことも気管虚脱のコントロールには重要。

水頭症

【症状】
痙攣発作、意識障害、知覚障害、運動失調、視力障害など。
【原因】
脳脊髄液の産生増加・排出の低下により、脳室内に液体が貯留することによる。
【備考】
多くは先天性で、1歳以下で発症する。

脂漏性(しろうせい)皮膚炎

【症状】
過剰なフケ、面皰(ニキビ)、皮疹など。細菌の二次感染が起こると掻痒、脱毛、炎症など。
【原因】
先天性で多くは2歳齢までに発症し、加齢とともに悪化する傾向にある。
【備考】
膿皮症やマラセチア性皮膚炎を併発することが多い。

乾性角結膜炎

【症状】
結膜の腫れ、目の内側の第三の瞼の突出、目ヤニ、角膜潰瘍、眼瞼痙攣など。
【原因】
ほとんどは免疫介在性で、涙腺炎や瞬膜腺炎が原因となる。他にも神経性(頭部の打撲、咬傷、化学薬品による損傷など)、薬剤誘発性、全身性疾患、慢性結膜炎などが原因となる。
【備考】
涙の分泌量が減少することで角結膜炎が起こる。

環軸不安定症

【症状】
頸部の痛み、歩様異常、四肢の不全麻痺など。
【原因】
第一頸椎(環椎)と第二頸椎(軸椎)の関節不安定や、靭帯の緩みなどにより、脊髄が圧迫されることによる。
【備考】
脊髄損傷が重度の症例では、呼吸筋麻痺などにより突然死することもある。首周りに圧力をかけることは止めた方がいい。

免疫介在性血小板減少症

【症状】
皮膚、歯肉、膣や包皮の粘膜などに出血、紫斑、出血が止まりにくいなど。他にも血便、血尿、鼻出血なども見られることがある。
【原因】
止血に関与する血小板が、自己免疫により破壊されることによる。
【備考】
急性の出血では貧血が見られることもある。

シーズーに最適な飼育環境

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シーズーとの生活で最も注意したいのは、やはり病気の早期発見と予防ではないでしょうか。
シーズーの好発疾患に基づいた、おすすめの飼育環境や注意して頂きたいことについて紹介します。

1. 熱中症に要注意

鼻腔狭窄などの短頭種気道に伴い、シーズーは呼吸による体温の調節が非常に苦手です。

体内に熱がこもりやすいため、夏場はエアコンによる室温の調整や保冷剤を首に巻くなど、体外からの冷却が必要となります。

また、散歩や動物病院の受診など、外出する際は夕方などの涼しい時間帯を選んでください。
散歩コースもアスファルトではなく、河川敷などの土の上を歩かせてあげるとより良いでしょう。

2. 首輪ではなくハーネスを使用する

シーズーには生まれつき気管が弱い、あるいは首の骨が弱い子がいます。
そんな子に首輪を使用して、強く首を引っ張ると良くないことは想像にかたくありませんよね。

動物福祉の観点からも現在は首を律する首輪よりも、ハーネスを使用することが推奨されます。もちろん、ハーネスを使うときにも、強く体を引っ張るのは避けてください。

3. 顔の周りを清潔にする

涙や目ヤニなどで顔周りが汚れていると、結膜炎や皮膚病の原因となることがあります。
また、眼の病気の徴候を見逃すことになるかもしれません。

体のトリミングと同様に顔周りの毛をカットし、清潔に保つように心がけましょう。

4. 皮膚や眼の状態は常にチェック

シーズーは皮膚や眼の異常が出やすい犬種ですので、日常生活の中でもこまめにチェックしましょう。
主なチェックポイントをまとめておきます。

  • 眼が赤くないか
  • 目ヤニや涙が普段より多くないか
  • 異常があるのは片眼か両眼か
  • 体を痒がっていないか
  • 脱毛や皮膚の赤みがないか

少しでも異常が見られたら、動物病院を受診してくださいね。

まとめ

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シーズーの好発疾患には、時に命を脅かすようなものもあります。

そういった病気を予防すること、病気の徴候を見逃さないことが長生きの秘訣です。
愛犬を毎日、丁寧に観察してあげてください。

【獣医師監修】ラブラドールレトリーバーの好発疾患と健康チェック

ラブラドールレトリーバーは、盲導犬としても活躍が見られる賢い犬種です。人間が大好きで、飼い主に従順なことも特徴として挙げられます。

今回は、ラブラドールレトリーバーのかかりやすい病気と、それを踏まえた予防や健康チェックの方法をご紹介します。ラブラドールレトリーバーを飼っている方も、これから飼おうと思っている方もぜひご一読ください。

ラブラドールレトリーバーの基本情報

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歴史

ラブラドールレトリーバーは、カナダ東部に位置するニューファンドランド島にいた「セントジョーンズレトリーバー」が祖先と考えられています。水中での作業が得意だったため、魚を回収する使役犬として活躍していました。

その後、能力の高さからイギリスに持ち込まれ、他のレトリバーと交配が行われて現在の姿になりました。

身体的特徴

体高は56〜57cm程度、体重は30~36kgで、大型犬に分類されます。

毛色はブラック、イエロー、チョコレートの3種類が公認されています。ダブルコートのため、抜け毛は多く、普段からのブラッシングが大切です。

性格

盲導犬としても活躍するラブラドールレトリーバーは、穏やかで、人に喜ばれることが大好きです。人懐っこいため番犬には向きませんが、飼い主には従順で賢く、自分で判断して行動することもできます。

一方で、うれしくなると興奮しすぎて、コントロールが効かなくなってしまうこともあります。大型犬ゆえ、攻撃性はなくとも他の犬や人に飛びかかるとケガをさせてしまうこともありますので注意しましょう。

ラブラドールレトリーバーの好発疾患

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ラブラドールレトリーバーはどんな病気にかかりやすいかを理解し、その兆候を見逃さないことが重要です。ここでは、ラブラドールレトリーバーの好発疾患について解説します。

拡張型心筋症

【症状】
運動不耐性(疲れやすい)、胸水貯留、腹水貯留、呼吸困難など
【原因】
遺伝の関与、L-カルニチンやタウリンの欠乏などが関与している。
【備考】
心腔の顕著な拡大と収縮力の低下が特徴的。心臓から血液を送り出す力が弱くなり、全身の循環量が低下する。さらに心臓が収縮した後に心臓内の血液が空にならず、少しずつ溜まっていき、それが胸腔や腹腔に漏れ出て胸水や腹水となる。

股関節形成不全

【症状】
腰を左右に振った独特の歩き方(モンローウォーク)、うさぎ跳びのような歩き方、疼痛など
【原因】
遺伝が関与。過剰な栄養と過剰な運動によって発症が増加する。
【備考】
関節のゆるみが長期間持続すると関節炎を併発する。子犬の時期にレントゲン撮影を行い、早期に診断する必要がある。

肥満細胞腫

【症状】
皮膚のしこり、嘔吐、下痢、痒みなど
【原因】
遺伝的要素が関与していると考えられている。
【備考】
肥満細胞は免疫に関与する細胞で、ヒスタミンなどを含有する。患部をいじったりすることでこのヒスタミンが分泌され、痒みや消化器症状が引き起こされる。肥満とは付くが、太っているから発生しやすいということはない

白内障

【症状】
水晶体の白濁、視力の低下、失明など
【原因】
ラブラドールレトリーバーでは先天性の白内障が報告されている。糖尿病や高コレステロールもリスク要因となる。また、緑内障、網膜剥離、ぶどう膜炎に続発することもある。
【備考】
出生時に見られるもの、生後6カ月齢まで、生後6ヵ月~1歳齢まで、1歳齢~3歳齢に見られるものに分類される。

進行性網膜萎縮

【症状】
夜盲、視覚消失、失明
【原因】
出生時には正常だが、数ヵ月を経て光を感じる細胞の傷害が起こる。
【備考】
夜盲症は初期症状である。

脂漏性皮膚炎

【症状】
過剰なフケ、タコ、ニキビのようなものが幼齢時から認められる。多くは2歳齢までに発症し、加齢とともに悪化する。
【原因】
先天的に表皮や脂腺の細胞増殖が速い、ターンオーバーが短いなど。
【備考】
好発部位は首、腋窩(ワキの下)、鼠径部、外耳。細菌や酵母の二次感染が起こると痒み、脱毛、炎症、悪臭を伴う。

病気の予防と健康チェック

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愛犬が長く元気でいられるためには、普段からの予防や健康チェックが重要です。
ラブラドールレトリーバーという犬種の一般的な性格を考慮した上で、どんな点に注意したらいいかをご紹介します。

十分なスキンシップをとる

ラブラドールレトリーバーは人間が大好きなので、構ってあげることでストレスが発散されます。時間をとってしっかりと遊んであげましょう。

大型犬は暇になると手や足を舐めるクセがある子が多いと言われています。肢端の舐めすぎは舐性皮膚炎の原因となるので、留守番のときも愛犬を飽きさせない工夫が必要かもしれません。

それが難しければ、帰宅後に愛情表現を忘れないようにしましょう。

肥満に注意

ラブラドールレトリーバーは太りやすい犬種です。
肥満は、ただでさえ重い体重を支えている大型犬にとって骨関節にさらに負担をかけるため、生まれつき股関節に不安がある子にとっても大きな問題です。

また、糖尿病などの病気のリスク要因にもなるので、食事管理などでしっかり体重のケアをしましょう。

皮膚の状態をチェック

ラブラドールレトリーバーは、皮膚肥満細胞腫や組織球肉腫などの皮膚腫瘍や皮膚炎など、皮膚の病気が多い犬種です。
スキンシップの際には以下の点をチェックしましょう。

  • 皮膚に赤みがないか
  • なでた時に痒がっていないか
  • 脱毛がないか
  • しこりみたいなものがないか
  • しこりがあるなら大きくなっていないか

子犬期にはレントゲンも

大型犬は、成長期にレントゲンを撮影し、股関節形成不全がないかをチェックした方がいいでしょう。レントゲン検査は麻酔の必要もなく、短時間で終わるため愛犬の負担も少なくて済みます。

また、子犬の時期に放射線を浴びることを心配される方も多くいますが、全く問題ありません。むしろ検査をせずに、関節疾患を見逃すことの方がリスクは高いと言えます。

まとめ

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病気の治療には早期発見と早期治療が重要です。犬は言葉が話せないので自分の不調を訴えることができませんが、愛犬の健康状態を毎日チェックすることで、いち早く異常に気づけるでしょう。

ラブラドールレトリーバーは飼い主と遊ぶことが大好きです。その想いに応えてあげ、愛犬との生活をより豊かなものにできるといいですね。