犬のジャンプは病気のもと!?ジャンプ癖をやめさせる5つの方法
犬を飼っているみなさんは、犬がピョンピョンとジャンプをする姿を一度は見たことがあるのではないでしょうか。
犬が嬉しそうにジャンプをする姿はとてもかわいいですが、実はそのジャンプ、癖になってしまうと病気の原因となるのをご存知ですか?
本記事では、犬がジャンプをする理由とその危険性、そして、ジャンプの癖をやめさせる方法を詳しく解説します。
犬はどんなときにジャンプする?
犬がジャンプをするのは、具体的にどのようなときでしょうか?
1.何かを要求するとき
犬は、ごはんが欲しいときや散歩に行きたいとき、抱っこをしてほしい時など、飼い主さんに何かを要求するときにジャンプをすることがあります。
要求の仕方は犬によって異なり、吠える犬や見つめる犬、おすわりをしていい子アピールをする犬など様々ですが、これらのアピールをしても要求を満たしてもらえない場合、ジャンプでの要求に発展する場合があります。
2.ソファの登り降り
ソファやベッドの上に、ジャンプをして乗ろうとする犬もいます。
ソファやベッドに高さがある場合、初めのうちは犬も登るのを躊躇するかもしれません。しかし、一度ジャンプで登れたという成功体験をすると、その後も積極的にジャンプで登るようになってしまいます。
3.ケージの外に出たいとき
犬がケージの中でジャンプをしているのは、「ケージの外に出たい」「かまってほしい」という気持ちでジャンプしていると考えられます。
ケージに天井がない場合、ジャンプによって、ケージの上から自力で外に出ようとしているのかもしれません。
ケージに天井がある場合は、単純に飼い主さんにアピールをしているのだと考えられます。
4.散歩中
散歩が大好きな犬は、散歩が嬉しすぎて興奮してしまい、ジャンプをすることがあります。
また、他の人や他の犬に会ったときに、一緒に遊びたくてジャンプをする犬もいるでしょう。
犬のジャンプが危険な理由
当然のことながら、犬がジャンプをしすぎると、次のような病気や怪我を誘発しやすくなります。
椎間板ヘルニア
椎間板とは、骨と骨の間でクッションのような役割を果たすものです。この椎間板が飛び出して、神経を圧迫する状態が椎間板ヘルニアです。
ジャンプをしすぎると腰に負担がかかり、椎間板ヘルニアになる危険性が高まります。
椎間板ヘルニアになると腰に痛みが出てきて、進行すると下半身が麻痺して歩行や排尿ができなくなります。
脱臼
脱臼とは、骨の関節が本来の位置からずれた状態のことです。
膝のお皿がずれる膝蓋骨脱臼や、大腿骨が股関節からずれる股関節脱臼などがあります。
ジャンプをすることで日常的に骨や関節に負担がかかると、脱臼の危険性が高まります。
犬のジャンプをやめさせる方法
犬のジャンプは病気の原因になりますから、できるだけ早めにやめさせたいものです。
では、犬のジャンプをやめさせるには、具体的にどのようなことをしたら良いのでしょうか?
1.ジャンプでの要求は無視する
ジャンプをした後でごはんをもらえたり、散歩に行けた場合、犬は「ジャンプをすれば要求を聞いてもらえる」と学習してしまいます。
犬がジャンプで何かを要求してきても無視を貫き、できればその場から離れると効果的です。そして、ジャンプをやめたらたくさん褒めてあげましょう。
なお、途中で一度でも要求に応えてしまうと全てがやり直しになるため、「絶対に要求には従わない」という強い意志が必要です。また、後述する「オスワリ」や「マテ」などのように別の行動をさせるなど、いくつかの方法を組み合わせて抑制していくのが良いでしょう。
2.「オスワリ」や「マテ」を教える
犬が興奮してジャンプをしているときに、「オスワリ」や「マテ」をさせると落ち着きやすいです。
特にご飯やおやつを与える際は、興奮からジャンプをしたり飛びついたりしてしまいやすいので、「ジャンプしそうだな」と思ったら、ジャンプを始める前に「オスワリ」をさせるのも効果的です。ジャンプする前に止めさせて、それを習慣づけることができればベストです。
3.ソファやベッドに階段をつける
特に小型犬や子犬、老犬の場合、高さのあるソファやベッドの登り降りは足腰に負担がかかります。
ソファやベッドの前に、犬用の階段をつけ、ジャンプをせずとの上り下りができるようにすると良いでしょう。
4.ケージは天井のあるものにする
天井がついていないケージだと、犬は自力で外に出ようとジャンプしてしまうことがあります。
天井つきのケージに変えたり、今あるケージの上に毛布をかぶせるなどして、「上からは外に出られないよ」と教えてあげましょう。
5.散歩中はリードを短く持つ
散歩中のジャンプは足腰の負担だけでなく、他の人や他の犬にも迷惑となる場合があります。中には犬が苦手な人もいますから、むやみにジャンプさせないように注意しましょう。
散歩中は、リードを短く持ち、犬が興奮し始めたら一度立ち止まって落ち着かせるようにしましょう。
まとめ
今回は、犬がジャンプをするシチュエーション別の理由や、ジャンプが原因で起こりやすい犬の病気、犬にジャンプをやめさせる方法をご紹介しました。
犬がジャンプをしている姿を見て、「元気だな」「かわいいな」と思う飼い主さんも多いでしょう。しかし、犬にとってジャンプのしすぎは、椎間板ヘルニアや脱臼などの病気の原因になります。
ジャンプをしたことでかまってもらえたり、要求を満たしてもらえた犬は、余計にジャンプをするようになってしまいますから、ジャンプの癖は早めにやめさせるように工夫をしてあげましょう。
知らないうちに愛犬が膝を脱臼?小型犬に多い疾患「パテラ」とは
みなさんは、「パテラ」もしくは「膝蓋骨脱臼」という疾患を聞いたことがあるでしょうか?
パテラは、膝のお皿にずれが生じて脱臼をしてしまう疾患で、特に小型犬にとってはよくある身近な疾患です。
多くの犬の飼い主さんは、「うちの犬は足を痛そうにしていないから大丈夫だろう」と思うかもしれませんが、実は、パテラは痛みを伴わないことのある、症状に気づきにくい疾患なのです。
今回は、パテラの症状や原因、予防方法を分かりやすくお伝えします。
パテラとは
パテラ(膝蓋骨脱臼)とは、膝蓋骨(膝のお皿)がずれて脱臼してしまった状態のことを言います。
膝蓋骨は本来、大腿骨の溝に収まっていますが、これが何らかの理由によって溝からずれてしまうと、パテラになります。
膝蓋骨脱臼は、英語で「patellar luxation」と表現されますが、診断の多い一般的な疾患であることから、略して「patellar(パテラ)」と呼ばれるようになりました。
パテラには「内側」と「外側」がある
パテラには、膝蓋骨が大腿骨の内側にずれる場合(膝蓋骨内方脱臼)と、外側にずれる場合(膝蓋骨外方脱臼)があります。
内側にずれることの方が多いですが、大型犬は小型犬よりも外方脱臼を起こしやすいです。
パテラの原因
パテラの原因には、先天的なものと後天的なものがあります。
先天的な原因
現段階では、まだはっきりとは解明されていませんが、パテラには遺伝的な要因が関わっていると考えられています。
生まれつき後ろ足の骨が曲がっていたり、膝のお皿を安定させる筋肉や靭帯などの組織に異常があったりすると、膝のお皿が大腿骨の溝から外れやすくなると考えられています。
パテラは、トイ・プードル、ポメラニアン、チワワ、パピヨン、ヨークシャテリア、マルチーズなどの小型犬に多くみられますが、柴犬やゴールデンレトリーバーなどの中・大型犬でも発症します。
後天的な原因
先天的な原因以外にも、交通事故の他、高いところからの飛び降りや転倒などの後天的な原因でもパテラになってしまうことがあります。
飛び降り・転倒など、足に負担がかかる出来事があった後、はっきりと見える怪我がなくても、足を引きずることがある、ケンケンをするなど、歩行に異常がみられる場合はパテラである可能性が高いです。
パテラの症状
パテラを起こしても必ずしも痛みを伴う症状が発生するわけではないため、飼い主さんがなかなか初期段階で気づくことができない場合が多いです。
パテラの進行状況は、膝蓋骨の外れやすさによって4つのグレードに分類されています。
グレード1:膝蓋骨は、手で簡単に外せるが、手を離すとすぐに正しい位置に戻る。
グレード2:膝蓋骨が、膝の曲げ伸ばしだけで簡単に外れる。
グレード3:膝蓋骨が常に外れた状態だが、手で押すと正常な位置に戻る。
グレード4:膝蓋骨が常に外れた状態で、手で押しても正常な位置に戻らない。
グレード1、2では、はっきりとした症状は出にくいですが、激しい運動のあとにケンケンをすることや、外れた膝関節を自分で戻そうと、後ろ足をふいに伸ばすなどの行動があります。さらに症状が進行してグレード3、4になると、歩き方に異常がみられたり、足が伸ばせないためにうずくまって歩いたりするようになります。
しかし、歩行困難になっても痛みを感じない犬もいるため、「痛がってないし、きっと年のせいだろう」と、パテラに気づけずに過ごしてしまうこともしばしばあるようです。
パテラの予防
愛犬がパテラになってしまわないためには、どのような予防方法があるのでしょうか。
1.太り過ぎに注意
人間も同じですが、犬も体重が重くなると膝への負担が大きくなります。
ただし、現段階で愛犬がすでに太り気味の場合、ダイエットのためだからといって、太った体でいきなり過度な運動を始めるとかえって膝に負担がかかります。まずは食事を見直し、適度に運動をしましょう。
2.床を滑りにくくする
床が滑りやすいと、足への負担が大きくなります。
床に滑り止めワックスをかけたり、滑りにくいマットを敷くなどの対策をとりましょう。また、家の中で犬と遊ぶときは、できるだけ滑りにくい場所を選びましょう。
床の対策だけでなく、愛犬の足裏の毛が伸びていると滑りやすいので、定期的にカットしてあげましょう。
3.段差を極力減らす
段差の登り降りは、犬の足に負担がかかります。
犬がソファやベッドに登ることがあるのなら、専用の階段やスロープを設置しましょう。
また、外出時も、階段などの大きな段差では抱っこしてあげると負担が軽減します。
4.過度な運動は控える
適度な運度で筋肉を丈夫に保つことはパテラの予防に役立ちますが、やりすぎは禁物です。
毎日の散歩は、大型犬で1時間程度、小型犬で30分程度で十分です。
また、ハイキングやドッグスポーツをする場合も、段差を過剰に登り降りさせたり、長時間運動させることは避けましょう。
5.「おかしいな?」と思ったら早めの診断を
「少し足を気にしているかも?」「歩き方がいつもと違うかも?」など、少しでもおかしいと思ったら、早めにかかりつけの獣医師に相談しましょう。
特にシニア犬では、年齢のせいだと早合点してしまう飼い主さんが多いですが、放っておくと歩けなくなってしまうこともあるので注意しましょう。
まとめ
今回は、犬のパテラ(膝蓋骨脱臼)の症状や原因、予防方法をお伝えしました。
パテラは決して珍しい疾患ではありませんが、痛みを起こさないこともあるために、飼い主さんがなかなか気づけないうちに進行してしまうのが怖い疾患です。
進行してしまうと歩行困難になってしまうこともあるため、まずはパテラにかからないように適切な予防を行いましょう。そして、少しでも異常が見られたら、なるべく早めに獣医さんに診てもらいましょう。