【獣医師監修】猫の尿外観異常で考えられる疾患とは

皆さんは、愛猫の尿を毎日観察していますか?トイレの掃除は面倒かもしれませんが、尿には愛猫の健康状態が反映されています。

特に尿の色は、しっかりと毎日チェックしておくべき健康のバロメーターです。猫で多く見られる腎臓や膀胱の異常が、尿色の異常となって現れることがあるためです。

今回は猫の尿異常、特に尿色の異常で考えられる疾患について解説します。

赤色尿

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尿が赤い原因としては、血液の混入、あるいは血色素の混入が考えられます。血尿は膀胱や腎臓からの出血、血色素尿は赤血球の破壊によって起こります。

明らかに赤い尿であれば気付くのも容易かもしれませんが、薄い赤色の場合はよく観察しないと見落としてしまう可能性もあります。

尿石症

【症状】
血尿、頻尿、排尿時疼痛、トイレ以外での排尿など。結石が形成される部位によっては閉塞を起こし、無尿、急性腎不全(嘔吐、流涎、発作、低体温、ショックなど)を引き起こすこともある。
【原因】
食事などから起こるミネラルバランスの乱れや、細菌感染によって尿のpHが変化することで結石が形成される。遺伝的に結石ができやすい猫種(ヒマラヤン、アメリカンショートヘアー、スコティッシュフォールドなど)も存在する。
【備考】
尿pHをコントロールするフードにする、常に飲水できる環境にするなどで予防は可能。避妊去勢後は結石が出来やすいので注意。特に雄は尿道が非常に細く、尿道閉塞を起こしやすいので要注意。

特発性膀胱炎

【症状】
血尿、頻尿、排尿時疼痛、トイレ以外での排泄など。
【原因】
原因は明らかになっていないが、ストレスが関与していると言われている。結石や感染、腫瘍などによる膀胱炎の所見がない場合に本疾患が疑われる。
【備考】
引っ越し、近隣の工事、帰省による人の出入りなどによって発症することが多い。

膀胱腫瘍

【症状】
血尿、頻尿、排尿障害、失禁など。
【原因】
移行上皮癌、扁平上皮癌などが膀胱に発生することで起こる。
【備考】
猫における膀胱腫瘍の発生は稀と言われているが、高齢猫で血尿などの泌尿器症状が現れた場合にはしっかりと鑑別する必要がある。検査には超音波検査や造影X線検査が用いられるが、いずれも無麻酔での処置が可能。

タマネギ中毒

【症状】
嘔吐、下痢、食欲不振、貧血、血色素尿(赤〜赤黒い尿)、頻呼吸、頻脈など。
【原因】
タマネギ、ネギ、ニンニクなどの誤食によって、赤血球が破壊されることによる。
【備考】
タマネギ中毒を引き起こす量については個体差が大きい。そのため少量でもタマネギ類を誤食した可能性があれば動物病院に相談する。

淡黄色尿

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漢字で書くと難しく感じられますが、尿がいつもより薄い色の状態を指します。薄い尿が見られる時の多くは、飲水量および尿量の増加も認められます。

猫砂や新聞紙などトイレの形態によっては観察しにくいところではありますが、水の量やトイレに行く回数などと併せて観察するといいでしょう。

腎不全

【症状】
多飲多尿、尿色が薄い、食欲不振、元気消失、嘔吐、脱水、貧血、発作など。
【原因】
腎臓における炎症、微生物(細菌やウイルスなど)の感染、免疫異常、結石などの尿管や尿道への閉塞などが原因となる。
【備考】
腎不全において最初に症状が現れるのは尿である。尿量および尿色に留意することは腎不全徴候の早期発見に繋がる。

甲状腺機能亢進症

【症状】
多飲多尿、嘔吐、下痢、活動性亢進、食欲増加、体重減少、脱毛など。
【原因】
甲状腺腫瘍や過形成によって、甲状腺ホルモンが過剰に分泌されることで症状が現れる。
【備考】
7歳齢以上の高齢猫では、半年に一度の健康診断によって血液中の甲状腺ホルモンを測定すると、本疾患の早期発見に繋がる。

糖尿病

【症状】
多飲多尿、嘔吐、下痢、脱水、便秘、低体温、体重減少など。感染症(皮膚感染症、膀胱炎、子宮蓄膿症など)や白内障を引き起こすこともある。
【原因】
猫は肉食動物であり、蛋白質からグルコースを産生する代謝系が活発で、容易に血糖値が上昇する。インスリン分泌も低く、肥満、ストレス、感染症などの血糖値を下げられない因子が関わると糖尿病状態になりやすい。
【備考】
オスはメスの1.5倍発症しやすい。過体重、老齢、膵炎、腫瘍、感染症も危険因子となることから、定期的な健康診断は重要となる。

濃黄色尿

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尿がいつもより濃いと感じる時は、肝胆道系に異常があるかもしれません。

ここで気をつけたいのは皮膚や粘膜の黄疸があるかどうかですが、尿の濃黄色化は黄疸より先立って起こることが知られています。重症化する前に病気を発見することも可能であるため、しっかりとチェックしましょう。

胆管閉塞

【症状】
胆石や胆嚢炎による閉塞では腹痛、嘔吐、黄疸などが見られ、軽度、一過性であることが多い。しかし重度胆嚢炎や胆嚢破裂が起きている場合には重篤となる。また膵炎や腫瘍による肝外胆管閉塞では、これら疾患の症状も同時に見られる。
【原因】
胆石、胆嚢炎、膵炎、十二指腸や膵臓などの腫瘍によって胆管が閉塞することによる。
【備考】
胆嚢内に胆石が存在しても、必ずしも症状を呈するわけではない。

まとめ

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愛猫の毎日の排泄物は、何となく片付けているだけでは病気のサインを見落とす可能性があります。神経質になる必要はありませんが、ふとした時に健康状態の確認をするのは良いことかもしれませんね。

いつもと違うところがあれば、まずは動物病院に相談しましょう。

【獣医師監修】猫が嘔吐した場合に考えられる疾患とは

猫において最も多く見られる症状は何でしょうか。猫を飼ったことのある方は、おそらく「嘔吐」が思い浮かぶかと思います。

ヒトで嘔吐が見られれば、食べ過ぎなどでもない限りすぐに異常だと思うはずです。しかし、猫の場合、健康上何も問題がなくても嘔吐が見られることが多くあります。

では、猫における異常な嘔吐では、何が考えられるのでしょうか。今回は猫の嘔吐で考えられる疾患について解説します。

猫の嘔吐で考えられる疾患

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猫の嘔吐の原因は、消化器疾患と消化器以外の異常が考えられます。主な疾患は以下の通りです。

消化器疾患

  • 胃腸炎
  • 消化管内異物
  • 炎症性腸疾患(IBD)
  • リンパ腫
  • 膵炎

消化器以外の異常

  • 腎不全
  • 肝リピドーシス
  • 甲状腺機能亢進症
  • 糖尿病

それぞれどのような疾患なのか、詳しくみていきましょう。

消化器疾患

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嘔吐という症状が見られた場合、まず考えなければならないのは消化器の異常です。消化器疾患には軽い一過性の胃腸炎から、すぐにでも治療を開始しなければならないものまで様々な病気が含まれます。

まずはどんな病気があるのかを把握しておきましょう。

胃腸炎

【症状】
嘔吐、下痢、食欲低下、元気消失など。
【原因】
食事(脂っこいもの、古いフード、食べ慣れていないものなど)、ストレス、感染症(ウイルス、寄生虫など)、異物誤飲、毛玉など。
【備考】
食べたことのないものを与えるときは少量にする、異物を誤飲しないようにしっかりしまうなど、予防できることもある。

消化管内異物

【症状】
嘔吐、食欲不振、元気消失など。異物が十二指腸などを閉塞すると嘔吐の回数が増加し、重度となる。
【原因】
異物の誤飲。おもちゃ、プラスチック、ビニール袋、鶏の骨などが比較的多い。
【備考】
ひも状異物(ひも、糸、布、ナイロンストッキングなど)は腸穿孔から腹膜炎を起こすこともあり、注意が必要。

炎症性腸疾患(IBD)

【症状】
慢性的な(3週間以上続く)嘔吐、下痢、食欲不振など。
【原因】
原因は解明されていないが、遺伝的素因、食物に対するアレルギー反応、腸内細菌の乱れ、免疫システムの異常などが関与していると言われている。
【備考】
確定診断には内視鏡による生検が必要だが、これには全身麻酔を要する。

リンパ腫

【症状】
嘔吐、下痢、食欲不振を主徴とする消化器型リンパ腫が猫では多い。他にも腫瘍の発生部位によって症状は様々であるが、胸水貯留(縦郭型)、くしゃみや鼻出血(鼻腔)、多飲多尿や血尿(腎臓)などが見られることもある。
【原因】
ウイルス(猫免疫不全ウイルスおよび猫白血病ウイルス)、受動喫煙への曝露、主に腸管内の慢性炎症などがリスクとなる。
【備考】
猫白血病ウイルス(FeLV)陽性猫では若齢(3歳くらい)で、FeLV陰性猫では高齢(13歳以上)での発生が多くなっている。

膵炎

【症状】
嘔吐、下痢、腹痛、発熱、元気消失、食欲不振など。急性か慢性かによって症状の重さは異なる。
【原因】
はっきりした原因は解明されていないが、遺伝、感染、ストレス、免疫異常などが関与していると考えられている。腸炎、肝炎、胆管炎などからの波及によって膵炎を発症する可能性もあります。
【備考】
外傷(腹部を強打するなど)も膵炎の原因となりえるという報告もあるため、落下事故などにも注意する。

消化器以外の異常

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もちろん、嘔吐が見られたからと言って必ずしも消化器に異常があるとは限りません。実は嘔吐には様々なメカニズムが関与しています。例えば、乗り物酔いは胃や腸には問題がありませんが、三半規管に刺激が加わることで嘔吐が誘発されます。

次は消化器以外の疾患で嘔吐が見られるものについて解説します。

腎不全

【症状】
多飲多尿、尿が薄い、食欲低下、体重減少、嘔吐、脱水など。
【原因】
もともと猫は飲水量が少ない割に濃い尿をする動物で、日常的に腎臓に負担をかけている。また、遺伝的に多発性嚢胞腎が発生しやすい猫種(ヒマラヤン、ペルシャ、スコティッシュフォールドなど)では若齢で腎不全に陥ることも多く、注意が必要。
【備考】
腎不全の症状が現れるのは腎機能の2/3を喪失した時で、症状発現の前にも腎臓には負担がかかっている。早めの腎臓ケアが長生きに繋がるかもしれない。

肝リピドーシス

【症状】
食欲不振、元気消失、嘔吐、黄疸、脱水、体重減少など。
【原因】
栄養障害、脂質代謝異常、ホルモン異常、ストレスが引き金となって発生すると言われているがはっきりとした原因は不明なケースがほとんど。肥満猫では他の疾患による食欲不振によってタンパク質が不足し、脂質代謝異常によって肝臓に脂肪が蓄積することでの発症が多い。
【備考】
肥満猫での発生には注意が必要であり、日常の体重管理が肝リピドーシスの予防に繋がるかもしれない。

甲状腺機能亢進症

【症状】
活動性の増加、攻撃性の増加、嘔吐、下痢、多飲多尿、脱毛、呼吸速迫、食欲は増加するが体重は減少するなど。
【原因】
甲状腺腫瘍や甲状腺過形成が原因となる。これらによって甲状腺ホルモンが過剰に分泌され、症状が現れる。
【備考】
甲状腺腫瘍はほとんどが良性だが、甲状腺ホルモンの過剰分泌が問題になることも多い。また腫大した甲状腺が気管を圧迫する可能性もある。

糖尿病

【症状】
多飲多尿、嘔吐、脱水、下痢、便秘、低体温、削痩など。感染症(膿皮症、膀胱炎、子宮蓄膿症など)や白内障を引き起こすこともある。
【原因】
インスリン(血糖値を下げるホルモン)の分泌低下や作用低下によって、血中高血糖状態が持続する状態である。猫は蛋白質の分解によって作られるアミノ酸から糖を産生する代謝系が活発であり、容易に血糖値が上昇する。また、もともとインスリン分泌が低く、インスリン効果が出にくい。
【備考】
肥満は糖尿病を始めとする種々の疾患のリスクとなり得るため、体重管理は重要である。

まとめ

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猫の嘔吐で考えられる疾患についてまとめてきましたが、今回紹介した病気以外にも、嘔吐が症状として認められるものは多くあります。

生理的な範囲での嘔吐か、身体の不調による嘔吐かを見た目だけで見分けるのは非常に困難です。嘔吐以外の症状がないか、いつもと比較して元気や食欲は落ちていないかなどを総合的に判断する必要があります。

何か小さなことでも、おかしいと感じたなら動物病院を受診することをおすすめします。

【獣医師監修】甘くみないで!犬の尿漏れで考えられる病気とは

「尿漏れ」と言ったらどんな症状を思い浮かべますか?尿漏れはポタポタと尿が垂れている状態はもちろん、広い意味ではトイレ以外での排泄も含まれます

ただの粗相と思うかもしれませんが、体調の変化によってこれら尿漏れの症状が現れることもあります。その原因は主に泌尿器系の異常ですが、中には神経や内分泌系の異常も尿漏れに関与している場合があります。

今回は犬の尿漏れで考えられる疾患について解説します。

犬の尿漏れで考えられる疾患

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犬の尿漏れの原因は、膀胱の疾患、尿道括約筋の異常、神経疾患、尿量増加によるトイレ以外での排尿などが考えられます。

膀胱の疾患

  • 細菌性膀胱炎
  • 結石性膀胱炎
  • 膀胱腫瘍
  • 異所性尿管

尿道括約筋の異常

  • ホルモン反応性尿失禁

神経疾患

  • 胸腰部椎間板ヘルニア
  • 馬尾症候群(変性性腰仙椎狭窄症)
  • 認知障害

尿量増加によるトイレ以外での排尿

  • 腎不全
  • 副腎皮質機能亢進症(クッシング症候群)
  • 糖尿病

それぞれどのような疾患なのか、詳しくみていきましょう。

膀胱の疾患

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犬の尿漏れで最初に考えられるのは膀胱の異常です。特に膀胱炎は、外来でも非常によく遭遇する疾患です。尿検査を行いたいところですが、これら疾患では頻尿が症状として現れていることも多く、検査に十分な尿を採取できないこともあります。

また、原因によって治療法や経過も異なるため、しっかり検査をして診断を行うことが重要です。

細菌性膀胱炎

【症状】
頻尿、血尿、腹痛、排尿痛、膿尿(濁った尿)など。
【原因】
膀胱内での細菌の増殖。尿道口から侵入した細菌が膀胱まで到達することによる。
【備考】
通常は定期的な排尿によって尿道の細菌は洗い流されるが、過剰な尿の我慢、免疫系のはたらきの低下などによって細菌が膀胱に達することがある。特にメスは尿道が短いので細菌が侵入しやすい。

結石性膀胱炎

【症状】
頻尿、血尿、腹痛、排尿痛など。
【原因】
ストラバイト結石、シュウ酸カルシウム結石などが膀胱内にできることによる。
【備考】
これら結石は尿のpHの変化によって作られやすくなる。例えば細菌の増殖によって膀胱内の尿pHはアルカリ性となるが、それによってストラバイト結石が形成されやすくなる。

膀胱腫瘍

【症状】
血尿、頻尿、排尿困難など。
【原因】
膀胱内に腫瘍が発生することによる。なかでも移行上皮癌は膀胱三角と呼ばれる部位に発生しやすく、尿管閉塞や尿道閉塞を引き起こしやすい。
【備考】
症状が膀胱炎と類似しているため、外見でどちらかを判断することは難しい。尿管や尿道の閉塞が起こると急性腎不全に陥り、命に関わることもある。

異所性尿管

【症状】
失禁、排尿失敗、尿漏れなどと、それに伴う陰部の汚れや皮膚炎。
【原因】
先天的に尿管が膀胱ではなく、膣や尿道に開口することによる。好発犬種はトイプードル、コーギー、シベリアン・ハスキーなどで、オスよりメスでよく見られる。
【備考】
持続的に陰部から尿が垂れていると、そこから細菌感染を起こすこともある。先天疾患なので若齢(3~6ヵ月齢)で尿漏れが見られたら要注意。

尿道括約筋の異常

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排尿のコントロールには膀胱の収縮の他に、尿道括約筋が関与しています。この尿道括約筋が緩むことで、尿は尿道を通って排泄されます。つまり、尿道括約筋が何らかの原因で緩みっぱなしになってしまうと、膀胱から尿が流れ出てきてしまいます。

ホルモン反応性尿失禁

【症状】
尿漏れ、失禁などと、それに伴う皮膚炎など。
【原因】
女性ホルモンや男性ホルモンが減少することで、尿道括約筋のはたらきが減少する。
【備考】
避妊/去勢後の高齢犬で多く見られる。似た症状にストレス性尿失禁があるが、こちらは検査で判断することが困難となる。

神経疾患

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前述したように、排尿には膀胱の収縮および尿道括約筋の弛緩が必要です。これらの働きは神経によって支配されており、脊髄などが侵されると正常な排尿が困難となります。神経が障害される部位によっては、逆に尿が出にくくなることもあります。

よって、以下の疾患では尿漏れではなく、排尿困難が認められることも少なくありません。

胸腰部椎間板ヘルニア

【症状】
跛行(足を引きずる)、四肢麻痺、排尿困難、背部痛など。
【原因】
遺伝(ダックスフント、コーギー、シーズーなど)、加齢が要因となる。
【備考】
背骨を走る脊髄が、突出した椎間板によって圧迫されることによって麻痺などが起こる。排尿異常が認められる場合には予後に関係するため早い対処が求められる。

馬尾症候群(変性性腰仙椎狭窄症)

【症状】
尿失禁、排便の失敗、腰部や尾部の痛み、ふらつき、跛行など。
【原因】
先天的な脊椎の形態異常や不安定症、または椎間板変性などにより馬尾神経(腰の部分の神経)が圧迫されることによる。
【備考】
大型犬の中高齢以降で多く見られるという報告がある。小型犬ではプードルが好発犬種と言われている。

認知障害

【症状】
見当識障害(うろつく、家具の後ろなどで身動きが取れなくなるなど)、睡眠障害、夜間に鳴く、活動量の低下、尿失禁、排便の失敗など。
【原因】
ヒトのアルツハイマー病や認知症と同様の変化が脳に起こっているという報告があるが、詳しい原因は解明されていない。
【備考】
犬の認知障害は近年になって注目され始めた分野であり、今後の研究が待たれる。

尿量増加によるトイレ以外での排尿

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尿量が増加するような疾患では、トイレが間に合わずに粗相をしてしまうことがあります。これら疾患では尿量の増加とともに、飲水量も増加します。

また、全身症状を伴うこともあり、速やかな診断と治療が求められます。最近何かおかしいなと感じたらすぐに動物病院を受診しましょう。

腎不全

【症状】
元気消失、食欲不振、嘔吐、脱水、多飲多尿、貧血など。重症例では乏尿、無尿、痙攣、尿毒症などが見られる。
【原因】
腎炎(細菌やウイルスの感染、自己免疫疾患など)、腎臓への血流の減少(心臓疾患やショックなど)、尿路結石、中毒など。
【備考】
高齢の犬ほど慢性腎不全のリスクは増加する。一方で急性腎不全は症状が激烈で、若齢の犬でも注意が必要。

副腎皮質機能亢進症(クッシング症候群)

【症状】
多飲多尿、食欲増加、腹部膨満、皮膚の菲薄化や石灰化、脱毛など。
【原因】
副腎腫瘍や下垂体腫瘍による副腎皮質ホルモンの分泌増加、ステロイド薬の過剰投与など。
【備考】
プードル、ボストンテリア、ダックスフントが発症しやすいと言われている。

糖尿病

【症状】
多飲多尿、体重減少、嘔吐、下痢、脱水、口臭、昏睡など。
【原因】
犬ではインスリンの分泌量が減少するⅠ型糖尿病が多い。原因ははっきりとはしていないが、発症には肥満、感染症、遺伝などが複合的に関与していると考えられている。
【備考】
合併症として白内障、副腎皮質機能亢進症、膀胱炎、膵炎、子宮蓄膿症などが挙げられる。

まとめ

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尿漏れが見られる疾患の中には、放置するとより重篤になるものもあります。尿漏れの原因がどこにあるのか、しっかりと診断して適切な処置を行う必要があります。

たかが尿漏れと思わずに、変わったことがあればお気軽に動物病院にご相談ください。

【獣医師監修】脳の疾患も?犬が震えている場合に考えられる疾患

愛犬がプルプルと震えている場合、あなたは何が原因だと考えますか?寒さなどの生理的なものが原因かもしれませんが、一方で何か身体の不調を訴えるサインである可能性もあります。

では、犬に震えが見られる時にはどんな異常が考えられるのでしょうか。

今回は犬の震えで考えられる疾患について解説します。

犬が震える原因

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犬が震えている原因はいくつか考えられます。

脳疾患

  • 小脳障害
  • 脳炎(髄膜脳炎)

痛みによるもの

  • 椎間板ヘルニア(頚部/胸腰部)
  • 膵炎
  • 骨関節炎
  • 外傷(骨折/脱臼)

その他

  • 発熱
  • 腎不全/肝不全

それぞれどんな病気なのか詳しくみていきましょう。

脳疾患

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脳に何らかの異常があると震えが起こることがあります。手や足が小刻みに震えている時には注意が必要です。また、脳疾患では意識障害を伴う全身性発作が見られることも珍しくなく、震えは発作の前兆である可能性もあります。

さらに、この全身性発作が続くと、脳へ重大なダメージを与えかねません。震え以外にも何か脳疾患を疑う徴候がないか、しっかりと確認しておきましょう。

小脳障害

【症状】
起立時の足の間隔が広い、行動時の揺れ、歩行時の足の上げ方や曲げ方が大きい、頭部の震え(企図振戦:きとしんせん)
【原因】
外傷、梗塞、脳炎、突発性、毒物など。
【備考】
企図振戦は、自分から何か動作を起こした時に生じる震えのこと。食べる、飲む、嗅ぐといった動作を行おうとすると著しく発現する。

脳炎(髄膜脳炎)

【症状】
てんかん発作、意識レベルの低下、斜頚、旋回、震え、視覚障害など。
【原因】
感染性(ウイルス、細菌、真菌、寄生虫)と非感染性(壊死性髄膜脳炎/パグ脳炎、肉芽腫性髄膜脳炎など)に分けられる。
【備考】
犬の脳炎は非感染性のものがほとんど。炎症が起こっている部位によって症状は様々となる。

痛みによるもの

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犬は痛い時にも震えることがあります。痛みには神経痛、腹痛、関節痛など様々なものがあります。愛犬がうずくまって震えている場合、強い痛みが起こっている可能性があります。

また、痛みの箇所は触ることで判断しますが、自宅では行う必要はありません。愛犬との信頼関係が損なわれるだけでなく、飼い主であるあなたがケガをするかもしれないからです。

痛みが疑われる場合には、直ちに動物病院を受診することをオススメします。

椎間板ヘルニア(頚部/胸腰部)

【症状】
跛行(足を引きずる)、背部痛、頚部痛、歩きたがらない、首を上に向けたがらない、四肢麻痺、排尿困難など。
【原因】
背骨の間にある椎間板が突出し、脊髄を圧迫することによる。加齢や遺伝(ダックスフント、コーギー、ビーグルなど)が要因となる。
【備考】
特に頚部椎間板ヘルニアは、無理に首を動かそうとすると突然死することもあるため、安静にして動物病院を受診する。

膵炎

【症状】
頻回の嘔吐、食欲不振、腹痛、下痢、発熱など。
【原因】
はっきりした原因はわかっていないが、生ゴミの誤食、高脂血症、肥満、脂肪を多く含む食事などが危険因子となる。また、副腎皮質機能亢進症(クッシング症候群)や糖尿病、甲状腺機能低下症などの内分泌疾患を持つ犬も膵炎発症の危険性が高まる。
【備考】
膵炎に特異的な症状はなく、他の消化器疾患とよく似た症状を呈するため、ただの胃腸炎だろうと自己診断するのは危険。

骨関節炎

【症状】
跛行(足を引きずる)、元気消失、動きたがらないなど。
【原因】
肥満、外傷、加齢などが要因となる。また膝蓋骨脱臼、免疫介在性関節炎(関節リウマチ、多発性関節炎)なども関節炎を引き起こす。
【備考】
慢性的な関節炎となると症状として震えが現れることがある。特に小型犬では膝蓋骨脱臼が多いので注意が必要。

外傷(骨折/脱臼)

【症状】
部位によって異なるが、跛行、歩行困難、起立困難、震えなど。
【原因】
高い所からの飛び降り、ドアに挟む(尻尾が多い)、溝にはまるなど。
【備考】
トイプードルは前肢の骨折が多いと言われている。ケガをした瞬間を目撃していれば判断は容易かもしれないが、留守中のケガなどは歩き方などを見て判断する必要がある。

他にも

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脳の異常や痛みを伴う疾患以外にも、震えが見られることがあります。以下に示すような病態は、いずれも元気消失や食欲低下などの全身症状を伴うことが多いです。

放置することで病態が悪化する可能性もあるため、やはり早めの動物病院受診がオススメです。

発熱

【症状】
39~40℃以上の体温で発熱と見なす。原因によって症状は様々だが、元気消失、食欲不振、嘔吐、下痢などが見られることが多い。
【原因】
感染(子宮蓄膿症、犬ジステンパーウイルス感染症、犬パルボウイルス感染症など)、歯周病、リンパ腫、突発性多発性関節炎、熱中症など。
【備考】
犬の体温は直腸で計るが、体表面を触っていつもより熱い気がするなら発熱の可能性がある。

腎不全/肝不全

【症状】
元気消失、食欲不振、嘔吐、脱水、痙攣などの神経症状、貧血、黄疸など。
【原因】
腎不全は腎炎(感染、自己免疫疾患など)や腎血流量の低下、肝不全は急性肝炎、慢性肝炎、中毒、薬剤などによって起こる。
【備考】
痙攣の他、てんかん発作の前兆として震えが見られることがある。これら神経症状は肝臓や腎臓で解毒/排泄されるべき毒素が体内を循環することによって脳へ障害を与えるために起こる。

まとめ

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明らかに寒い環境にいる場合や強いストレスがかかっている場合を除き、愛犬が震えている時には体調不良を疑うべきです。しかし一方で、このような生理的な震えと病的な震えを正確に見分けることはなかなか困難です。

冬場には服を着せることや暖房を利用すること、普段の生活の場ではストレスを極力なくすなど、生理的な震えが発生しないような環境を作ることも大切でしょう。

何か気になることがあれば、気軽に動物病院までご相談してください。

【獣医師監修】歯周病だけじゃない!犬の口臭で気をつけたい疾患とは

ふと愛犬の口が臭うと感じたことはありませんか?ヒトではオーラルケアに関心が集まり、歯周病の予防や口臭のケアに対するグッズもたくさんあります。

では、犬における口臭は普通のことなのでしょうか。実は犬の口臭もまた、見過ごしてはならない病気の徴候である可能性があります。

今回は、犬の口臭で考えられる疾患について解説します。

犬の口臭で考えられる疾患とは

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犬の口臭の原因は、主に口腔内疾患と内臓疾患が考えられます。

口腔内疾患

  • 歯周病(歯肉炎、歯周炎など)
  • 口腔内腫瘍

内臓疾患

  • 胃炎
  • 腎不全
  • 肝不全
  • 腸閉塞

それぞれの疾患について詳しく見ていきましょう。

口腔内疾患

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口臭が認められた時にまず考えなければならないのは、口の中の異常です。特に歯周病は犬において非常に一般的な疾患です。

自分で歯みがきをする習慣がない犬にとって、食べたものが歯垢や歯石に変わるのは当たり前のことです。歯石の除去には全身麻酔が必要であり、愛犬にとって負担の大きい治療が必要になります。

さらに、口腔内の腫瘍も口臭の原因となり得ます。子犬の時から歯みがきを習慣づけ、口の中をしっかりと確認するクセをつけておくといいかもしれませんね。

歯周病(歯肉炎、歯周炎など)

【症状】
口の痛み、口臭、食欲不振など。カリカリのフードを食べなくなった、噛むおもちゃで遊ばなくなることも多い。
【原因】
歯に歯石が沈着し、そこで細菌が繁殖することによる。
【備考】
犬の唾液は弱アルカリ性であり、歯垢が歯石に変化するのがヒトより早い(2~3日程)。歯周ポケット(歯の付け根の隙間)に歯石が沈着していることも多いため、歯石の除去は全身麻酔を伴うことが一般的。また歯石除去後は歯の表面がザラザラになり、再び歯石が沈着しやすいため、ポリッシング処置によって磨くことも重要。

口腔内腫瘍

【症状】
口の痛み、出血、嚥下困難、口臭など。
【原因】
口の中における各種腫瘍の発生。この腫瘍が自壊、出血し周囲に炎症をもたらすことでニオイが生じる。
【備考】
口腔内腫瘍としては悪性黒色腫、扁平上皮癌、線維肉腫などが多い。腫瘍が大きくなれば肉眼的にも発見は容易だが、それよりも前に何らかの異常を感知することが重要。

内臓疾患

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口の中だけでなく、消化器を始めとする各種内臓疾患においても口臭が発生することがあります。それは過度に分泌された消化液によるものであったり、解毒できない毒素が体内を巡ることによります。

口腔内に異常がない場合や、口臭以外の症状が現れている場合には注意が必要です。特に、嘔吐などの症状は、口臭よりも先だって現れることも少なくありません。

胃炎

【症状】
嘔吐、元気消失、食欲不振、吐血、腹痛など。
【原因】
微生物(細菌、ウイルス、寄生虫など)の感染、食物アレルギー、質の悪い食事、中毒など。
【備考】
嘔吐後には胃酸が口腔内に付着するため、口から酸っぱいニオイがすることがある。例えば留守中に嘔吐した後、その吐物を食べてしまった場合でも口のニオイで何かを感知することができるかもしれない。

腎不全

【症状】
元気消失、食欲不振、嘔吐、脱水、多飲多尿、貧血など。重症化すると乏尿、無尿、痙攣、体温低下、尿毒症などが見られて危険。
【原因】
細菌やウイルスの感染、腎血流量の低下(心不全、ショックなど)、免疫疾患、尿結石など。
【備考】
尿毒症ではアンモニアのような口臭が起こることがある。

肝不全

【症状】
食欲不振、嘔吐、黄疸、腹水貯留、神経症状など。
【原因】
急性肝炎、慢性肝炎、肝硬変など。
【備考】
コッカー・スパニエルやラブラドール・レトリーバーは遺伝的に銅を排泄する機能が低いことがあり、慢性肝炎に罹患しやすいと言われている。口臭は肝臓で解毒されるべき毒素が体内を循環することによって起こることがある。

腸閉塞

【症状】
元気消失、食欲不振、嘔吐、下痢、腹痛など。
【原因】
異物の誤飲(プラスチック、ひも、植物の種、布など)、腫瘍、腸重積、重度の便秘など。
【備考】
腸の閉塞によって口から糞臭がすることがあるが、それよりも前に嘔吐や腹痛の症状が現れることが多い。また腸穿孔を起こすと腹膜炎やショックなど激烈な症状を呈し、非常に危険である。

フードの劣化

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病気以外に口臭が現れる原因として、フードが古くなっていることが考えられます。口が臭うなと感じたときは、まずフードの賞味期限を確認しましょう。

海外で作られたフードは賞味期限の表示が「日/月/年」の順番になっているので確認の際には注意してください。フードが古いものではないのに口臭がする場合には、動物病院を受診したほうがいいかもしれません。

まとめ

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口臭に関してあまり深刻に考えない方も多いと思います。しかし、やはりいつもと違うことには何か原因があり、そこには病気が隠れていることも少なくありません。

中には放置することでどんどん悪化していくような体の異常もあるかもしれません。たかが口臭と思わず、何か気になることがあれば気軽に動物病院に相談してください。

【クイズ】梅雨の時期は要注意!レプトスピラ症ってどんな病気?

今年も梅雨入りし、すっきりしない天気が続いています。この時期は、豪雨や洪水などが起こることも珍しくなくなりましたが、雨が降っている時はもちろん、雨が上がってからも犬の散歩は注意しなければいけません。

今回は、犬のレプトスピラ症についてクイズ形式でご紹介します。

それではさっそく、犬のレプトスピラ症クイズにチャレンジしてみましょう!
Q.1 レプトスピラ症の説明として「誤っている」のはどれ?
正解です!
不正解です!
正解は「秋から冬にかけての感染が増える傾向にある」です。
レプトスピラは、湿気の多い環境を好むため、暖かくて雨量の多い夏から初秋にかけて感染が増える傾向にあります。

ネズミなどのげっ歯類が保菌していることが多く、尿から細菌が排出されると、土壌や水などの環境を汚染します。そして、その保菌動物や汚染された土壌・水と接触した際に、体内に細菌が侵入することで感染します。

また、人にも感染する人獣共通感染症で、毎年15〜42例ほど報告されています。
Q.2 レプトスピラ症の症状として、もっとも「適切ではない」のはどれ?
正解です!
不正解です!
正解は「心不全を起こすことがある」です。
レプトスピラに感染しても、すべての犬がレプトスピラ症を発症するわけではありません。しかし、発症すると、最悪の場合は数時間で死に至ることもある危険な感染症です。

レプトスピラは、特に肝臓や腎臓を標的とし、急性の肝不全や腎不全を引き起こすことがあります。

また、回復した後も、慢性間質性腎炎、慢性肝炎が見られ、多飲多尿、体重減少、腹水などが認められるため、感染しないための対策をすることが大切です。
Q.3 レプトスピラ症の予防に効果的なものとして「誤っている」のはどれ?
正解です!
不正解です!
正解は「3種以上の混合ワクチンで予防ができる」です。
7種以上の混合ワクチンにはレプトスピラが含まれています。「5種混合ワクチンしか打ってないけど、犬と一緒にキャンプに出かけたい」などというときには、レプトスピラ症のみ予防できるワクチンを追加接種しましょう。

ただし、レプトスピラには多くの血清型が存在しており、ワクチンに含まれている血清型以外のものは予防できません。愛犬がどの種類のワクチンを接種しているか、しっかり把握しておきましょう。

大雨や洪水の後は、汚染された土壌や水に接触すると、危険性が高いので、散歩をする際には、なるべく水や泥が溜まっているところに近づかないようにしましょう。また、レプトスピラ症が発生した地域では、公園やドッグランなどで他の犬と接触することも避けましょう
問正解/ 問中

今回はこちらの記事から問題を作成しました。 詳細が知りたい人はこちらも読んでみてください!
大雨・洪水後の犬の散歩に要注意!ヒトにも感染するレプトスピラ症とは
結果発表
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【獣医師監修】キャバリアの好発疾患と予防のための飼育ポイント

キャバリア・キング・チャールズ・スパニエルは、穏やかで優しい性格の小型犬種です。怒ることが少ないので、見ていて癒されますよね。 日本でも飼育している方が多い犬種ですが、いくつかかかりやすい病気があることをご存知でしょうか。 今回の記事では、キャバリア・キング・チャールズ・スパニエルの好発疾患と、日常生活でできる予防方法について、獣医師が詳しく解説します。 なお、犬種の名前が長いので、以降は「キャバリア」と表記します。

キャバリアの基本情報

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歴史

古くから愛犬家が多かったイギリス王室ですが、チャールズ1世、2世に愛されたことで知られるのが「キング・チャールズ・スパニエル」です。 19世紀になると、パグなどと交配して鼻の短いキング・チャールズ・スパニエルが流行しますが、チャールズ王の肖像画を見た愛犬家が、当時のタイプの犬種を復活させました。それが、「キャバリア・キング・チャールズ・スパニエル」です。 「キャバリア」とは、中世の騎士のことで、チャールズ王に敬意を表して名付けられたと言われています。

身体的特徴

大きな目と大きな垂れ耳が特徴で、体重は5.4〜8.0kg程度、体高は30〜33cm程度です。 被毛は長く、色はブラック&タンルビートライカラー(赤褐色・黒・白の3色)、ブレンハイム(赤褐色・白)が代表的です。

性格 

温厚な性格で、他の人や犬に対してもフレンドリーです。 子犬の頃からお利口さんで、無駄吠えやかみ癖も少ないため、ペット初心者や子どものいる家庭にも適しています。

キャバリアの好発疾患

キャバリア,犬,飼い方,好発疾患,予防 では、キャバリアの好発疾患には何があるのでしょうか。 かかりやすい病気を知ることで、日頃からどんなことに注意すればいいのかがわかってくるかと思います。

僧帽弁閉鎖不全症

【症状】 咳、運動不耐性(疲れやすい、易疲労性)、興奮時の呼吸速迫など。 肺水腫になると呼吸困難、チアノーゼ(舌などの粘膜が青くなる)、安静時の呼吸速迫、運動時のふらつき、失神など。 【原因】 僧帽弁(左心房と左心室を隔てる弁)に異常が生じ、血液が逆流する。すると、心臓に負荷がかかり、心拡大や肺水腫が引き起こされる。 【備考】 他犬種では5歳齢以下ではまれだが、キャバリアでは4歳齢以上で42〜59%に心雑音が聴取される。

膵炎

【症状】 嘔吐、下痢、発熱、腹痛(上半身を下げてお尻を上げる「お祈りポーズ」)など。 【原因】 高脂肪食、高脂血症。心臓病による膵臓への血液供給の減少も原因となる。 【備考】 輸液も治療の一環となるが、心臓病があると慎重に水分を調整しなければならない。

腎不全

【症状】 嘔吐、流涎、多飲多尿、薄い尿、食欲不振、脱水など。 【原因】 心臓病によって腎臓への血液供給が減少することが原因。また、心臓病治療のために用いる利尿薬によっても医原性の腎不全が起こることがある。 【備考】 長期の心臓病コントロールには、腎臓への負担も同時に考えなければならない。

脊髄空洞症

【症状】 首の痛み、四肢の麻痺、抱っこした時に「キャン」と鳴くなど 【原因】 詳しい病態の病理発生は不明で、脳脊髄液の異常な貯留が原因と考えられている。 【備考】 水頭症やキアリ奇形(後頭骨の奇形)を併発していることが多く、また頸部での発生が多い。

白内障

【症状】 水晶体の白濁、視覚障害。 【原因】 加齢、外傷、代謝性(糖尿病など)、他の眼疾患(緑内障、水晶体脱臼、進行性網膜萎縮など)から続発などによる。 【備考】 キャバリアでは先天性の白内障の報告がある。

キャバリアに適した飼育環境

キャバリア,犬,飼い方,好発疾患,予防 キャバリアで注意したいのは、何と言っても心臓病に対するケアです。キャバリアと一緒に暮らしていく上で心臓病は避けては通れないものです。 今回は、心臓病に関するポイントを重点的にお話します。

1. 心臓病に対するケア

キャバリアは、加齢とともにほぼ確実に心臓病にかかります。 しかし、だからと言って短命なわけではなく、きちんとコントロールし、心臓病と上手に付き合っていくことができれば良いのです。 心臓病が適切に管理されているかをチェックするポイントは、以下のようなものがあります。 食事
各フードメーカーで、ナトリウムを制限した心臓病食が販売されています。 手作り食を作る時も、塩分を抑える工夫が必要です。
運動
心機能が低下し、全身状態が悪くなると運動に対する意欲も落ちてしまいます。しかし、適度な運動は健康的な生活には欠かせないため、あまり長すぎない距離を散歩させてあげましょう。
投薬
心臓病のコントロールには外科的手術を行う場合を除いて、いくつかの内服薬が必要不可欠です。しかし、毎日何種類もの薬を飲ませるのは非常に大変で、中には途中で投薬に対して拒否反応を示す子もいます。 塩分の少ないおやつに紛れ込ませる、砕いて水に溶かして与える、フードに混ぜるなど、本人には負担のない投薬方法が求められます。 割ったり砕いたりしてはいけない薬もあるため、予め獣医師に相談してください。
呼吸数のチェック
心臓病、特にキャバリアでは僧帽弁閉鎖不全症が発生しますが、病態が悪化すると肺水腫になることがあります。 呼吸器の異常は、時に致命的になり、素早い対処が求められます。そんな時に確認していただきたいのが、安静時(主に睡眠時)の呼吸数です。具体的には1分間に40回を超えると、かなり苦しいと思われます。 15秒間の呼吸数を数え、4倍すると大体の呼吸数が算出できると思います。
舌の色のチェック
呼吸数と同様に確認して頂きたいのが舌粘膜の色で、青くなっていると非常に危険です。普段から色の状態をチェックしておき、異常が見られればすぐに動物病院を受診してください。

2. 肥満に注意

高血圧や過度の脂肪は心臓に負担をかけます。 また、肥満は膵炎や糖尿病といった他の病気のリスクになると同時に、ただでさえ心臓病で疲れやすい身体がさらに疲れやすくなる原因にもなります。

3. 爪切りや足裏の毛の処置を定期的に

キャバリアは足裏の毛が長くなりやすい犬種でもあります。 長い爪や足裏の毛によってブレーキが効きにくくなり、無駄な体力を使わせないためにも、これらの処置は定期的に行いましょう。

まとめ

キャバリア,犬,飼い方,好発疾患,予防 キャバリアとの生活には、素晴らしいことがたくさんあると思います。 たくさんの思い出を作るために、愛犬には長生きして欲しいものです。 たっぷりの愛情と、健康観察を毎日行ってあげてください。

【猫クイズ】愛猫が水を飲まない!?気をつけたい病気と対策法

猫はもともと砂漠地帯で暮らしていたため、あまり水を飲まなくても大丈夫な身体の作りをしていますが、水分が不足すると病気にかかりやすくなってしまうことがあります。

水分を摂取できないと猫の身体にどういった影響が出るのか、どうやったら飲んでくれるのかをクイズ形式でまとめてみました。

それではさっそく、猫クイズにチャレンジしてみましょう!
Q.1 猫が水を飲まないことによってかかる可能性が高くなる病気はどれ?
正解です!
不正解です!
正解は「腎不全」です。
体内から水分が不足すると、泌尿器系や腎臓系の病気にかかりやすくなってしまいます。もともと猫は高齢になると腎臓機能が低下するといわれているため、水分不足にならないように気をつけましょう。

糖尿病は免疫異常や肥満、肺水腫は心臓の疾患により発症します。もちろん、どの病気も水を飲ませたから発症しないというわけではありません。しかし、水分が不足するとそれだけで身体に負担がかかりますので、水分補給には特に気をつけるようにしてください。
Q.2 猫が水を飲まない時の対策法として「誤っている」のはどれ?
正解です!
不正解です!
正解は「洗剤で食器をよく洗う」です。
猫は、洗剤の匂いや味が苦手です。特に、柑橘系の匂いが苦手なため、なるべく匂いの強い洗剤は使わず、水やお湯でよく洗うようにしましょう。

ドライフードに水やお湯をかけてふやかすという方法もあります。ささみの茹で汁などをかけるとよく食べたというケースも聞きますので、どうしても飲まないという方は試してみてはいかがでしょうか。また、猫は新鮮で流れる水が大好きです。蛇口から直接飲む子もいますが、ずっと水を流しているわけにもいきませんので、循環式の給水機を使うといいでしょう。
Q.3 猫が水を飲まない時の対策法として「誤っている」のはどれ?
正解です!
不正解です!
正解は「よく通るトイレのそばに置く」です。
猫に水を飲んでほしい場合、よく通る場所やお気に入りの場所に設置するとより多く飲んでくれるでしょう。しかし、猫はとてもきれい好きなので、不清潔な場所や、トイレの近くに置くとあまり飲みたがりません。

カルキ臭が苦手な子には、一度沸かした水を冷ましてあげると良いでしょう。また、猫は体温に近いくらいのお湯をあげると嬉しそうに飲んでくれることも多いようです。

ウェットフードは80%が水分でできているため、5-10%が水分のドライフードとは得られる水分量にかなり大きな差があります。今までドライフードをあげていたのならば、それをウェットフードに変えてみるといいかもしれません。
問正解/ 問中

今回はこちらの記事から問題を作成しました。 詳細が知りたい人はこちらも読んでみてください!
猫が水を飲まない!その理由と、試してみたい10の対策
結果発表
問正解/ 問中
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