【猫の進化論】猫の起源は未だに謎?進化の過程も気まぐれだった
可愛さを武器に、みんなから愛されるペット、猫。
古代エジプトには“猫崇拝”という言葉があり、猫は神様として、人々に慕われていました。今日では、猫はとても人気のあるペットの一種です。その気まぐれな性格が、憎めない可愛さですよね。
さて、今回はそんな、ユニークな歴史的背景のある“猫”の進化論をみなさんにお届けします。なお、“犬”の進化論については、こちらの記事をご覧ください。
猫の起源
猫の起源はどこにあるのでしょう?そもそも、猫は進化をしてきたのでしょうか?
現在唱えられている説によると、猫は何万年も前に絶滅した動物から進化をしていると言われています。その絶滅した動物は、“プロアイルルス”と名付けられ、約2500万年前に生息していた最初のネコ科動物と言われています。
化石が物語る最初の猫
19世紀にフランスで、初期の猫、プロアイルルスの化石が発掘されました。当時の古生物学者たちは、プロアイルルスが現代の猫の共通の祖先であるという説を唱えました。
現在でも非常に信憑性が高い説として知られています。
プロアイルルスから猫への経緯
他のペット(特に犬)とは対照的に、猫の進化は、直接的な人間の影響ではなく、猫が、自然の変化に合わせて進化してきたと言われています。例えば、気候や環境の変化などです。
生きるため、もしくは種を絶滅させないためには、厳しい自然環境に備えるための体が必要です。そこで体質を変化させなくてはなりません。これを「“自然淘汰”」と呼びます。
いつ、どこで、どのようにして?というような詳細はまだ発見されていません。
しかし、プロアイルルスと今日の猫は、同じDNAを共有しているので、プロアイルルスが猫の先祖だった可能性は、非常に高いのです。身近にいるペットではありますが、その進化の過程は今も謎に包まれているのです。
人間が猫と生活し始めたのはいつから?
人間が猫を飼い始めたのは約10,000年前からと言われています。
最初に猫を飼い始めたのは農民だったそうです。穀物を食い散らかすネズミの駆除対策として、猫を飼育したと言われています。犬と一緒で、猫も人間がその特性を利用しようと考えたのですね。
考古学的証拠によると、中国中部の陝西省で、約5,560-5,280年前の8本の猫の骨から、猫がネズミを主食にしていたことが分かりました。猫って実は働き者だったんですね。とっても気まぐれなで甘えん坊な猫も、私たち人間にすごく協力的だったんですね。
猫が家族の一員になったのはいつから?
2004年にトルコ近郊の国、キプロスで大きな考古学的発見がありました。
9,500年前の埋葬地が発掘され、その埋葬地から猫の骨が見つかったそうです。その猫は、人間が埋葬されるのと同じように、丁寧に扱われていた形跡があり、このことから、私たち人間が猫を“家族の一員”として飼っていたことが分かります。
また、約4000年前の古代エジプトの絵では、猫が人間と一緒に生活をしている様子が絵に描かれています。加えて、古代エジプトでは、猫は女神として崇拝されていたので、人々の生活に大変関わりのある動物だったと言ってよいでしょう。
現在の猫はどうして生まれたのか?
私たちが今日知っている“猫”は、自然淘汰と進化の結果生まれてきた動物です。
しかし、今現在、様々な種類の猫が世界中で可愛がられています。種類によって、長所と短所があり、また、性格も違いますよね。この子達はどのようにして生まれてきたのでしょうか?
進化の歴史的背景
19世紀、猫の種類が爆発的に増えました。それは人間が交雑育種をし始めたからです。
ビクトリア時代が始まると猫は動物の中でもっとも人気があり、社会的地位の高さを象徴する動物となっていきました。当時の貴族は、こぞって猫をペットとして飼い始めるようになったのです。
当時は、より品のある見た目、かつ珍しい品種の猫が好まれたことから、猫の品種改良が頻繁に行われました。その結果、現在世界中に多くの種類の猫が存在するようになりました。
猫の種類が増えたのは人間の影響
犬と猫が大きく異なるのは、進化の過程に、人間が深く介在してきたかどうかです。
犬は人間が関わることで、多くの種類の犬が生まれ(誤解を恐れずに言うと、作られ)てきました。今回ご紹介した猫は、元々は人間が介在しておらず、独自の進化の過程を辿ってきたと考えられています。
しかし、人間が猫の特性に目をつけてからその関係性が変わってしまいました。そして、ビクトリア時代の訪れにより、貴族によってペットとして飼われるようになり、今のような愛玩動物としての猫が誕生しました。
このように進化の過程を見てくると、犬や猫に人間が及ぼした影響は計り知れません。それが良いか悪いかはさておき、現在の犬や猫は人間がその進化の過程に介在してくることで生まれた動物であると言えます。
こういった過程を知ることで、人間の身勝手さや、ただ可愛いというだけでなく、動物の命そのものの大切さを知るきっかけとなれば幸いです。
【犬の進化】ダーウィンの進化論から見る犬の起源
人間の相棒、犬。犬は人間が飼いならした最初の動物だと言われています。
でも皆さん、犬の祖先って気になりませんか?
チャールズダーウィンの進化論によると、生き物は昔からずっと同じ体質を持っているのではなく、長い期間に渡って体質変化をしつづけていると言われています。
ということは犬も進化をしてきたって事ですよね?今回は犬の進化について紹介します。犬が大好きな皆さんには、知っておいて損はない情報ですよ。
世界最古の犬の化石
現在見つかっている最古の犬の化石は紀元前7,000-紀元前6,700年と推定されており、なんと驚く事に、日本の神奈川県夏島貝塚で見つかっているんです!アフリカやヨーロッパではなく、日本で、というのが、意外ですよね。
紀元前7,000-紀元前6,700ですと、日本では縄文時代早期。それは、私たちの祖先が、狩猟生活をしていた時代です。
犬の化石から見る進化論
現在の科学調査では、犬は2万年前から4万年前に人類によって飼いならされたオオカミの集団から、進化した可能性が高いと言われています。
シベリアのアルタイ山脈の洞窟では、推定3万3千年前のオオカミが発見されています。オオカミの化石としては、これが世界最古です。
この発掘されたオオカミの骨のDNAを分析すると、この動物が本来のオオカミよりも近代的な犬にもっとも密接に関連していることが分かったのです。このオオカミが犬の初期進化の決定的な証拠を見せています。
オオカミって人間に飼われていたの?
最初の犬が、すでに2万年前から4万年前に進化していたとするならば、オオカミが家畜化された結果、現在の犬に進化していった可能性が高いと考えられています。
いつ、どのように、オオカミを家畜化したかは未だ解明されておらず、謎のままです。
科学者の推測によると、オオカミが古代の狩猟採集民(=人間)を追いかけて、ゴミや食べかす、残飯を拾い集めて生きていたところを、偶然、人と接触し、それがきっかけとなって一緒に生活し始めたのではないかと考えられています。
つまり、簡単に言ってしまえば、犬の先祖であるオオカミはハイエナのような役割をしていたが、後に人間と行動を共にすることを選択し、一緒に生活を始めたという事ですよね。
犬に進化した経緯
現在では絶滅してしまったと言われているオオカミから犬へと進化を遂げた理由は、自然淘汰にあると言われています。
自然淘汰ってなに?
皆さん、「自然淘汰」という言葉をご存知ですか?
自然淘汰とは英語で“Natural Selection (ナチュラルセレクション)”と言い、人類学用語の一つです。この言葉は、生物が環境の変化に応じて体質の変化を遂げていく事を意味します。
かの有名なイギリスの生物学者、チャールズ・ダーウィンが作った言葉で、彼が提唱した“ダーウィンの進化論”にこの言葉が多く出てきます。
この自然淘汰の観点から犬の進化論を見ると、犬が私たち人間の相棒である理由が分かってきます。
オオカミが人間に接触
当時のオオカミは、人間のいわゆる“残飯処理班”だったと述べましたが、オオカミなのでもちろん、自分たちで獲物を捕獲することもしていました。
一方、人類はというと、進化を遂げて行くにつれ、知能が高まり、調理という技を取得しました。そして人類は狩猟で得た食料を加工し始めます。そうして、鼻が利くオオカミたちは生臭い肉から、加工された肉に興味を示すようになり、人間に引き寄せられていったのではないかと考えれています。
そうして、オオカミが人間の居住地に侵入し、人間の近くで生活をするようになりました。もちろんオオカミにとって、人間の近くで暮らす事は大変なリスクです。いつ、捕らえられ、食べられてしまってもおかしくはありません。
人間はオオカミを利用
オオカミの特性は高い狩猟能力と臭覚にあります。賢い人間がそのことに気づかない訳はありません。しかも、すぐ傍にその特性を生かせる動物がいたのです。
こうして、人間はオオカミを狩りに同行させるようになり、そしてオオカミは人間の生活に欠かせないパートナーとなっていったのです。
オオカミの能力は人間と生活していくと共に変化していき、必要のない能力は消え、人間が必要とする能力を、環境に順応しながら増やしていったと考えられているのです。この論理がまさに自然淘汰です。
犬の種類が多い理由とは
自然淘汰の理論で考えると、現在の犬の種類がとても多い理由が伺えますね。犬の種類は、全部で400とも500とも言われているんです。
犬は種類によって様々な長所と短所を持っています。これも人間と共に生活をしてきたことで生まれた特色だと思います。ある意味、現在の犬は人間によって作られた動物とも言えます。
もしかしたら、今の犬種も100年後には変わっているかもしれません。100年後も存在しているかもしれませんし、存在していないかもしれません。
しかし、それだけ古くから一緒に付き合ってきたパートナーであるからこそ、いつの時代も犬は人間の相棒として、傍に寄り添い続けて欲しいものです。