柴犬を飼うなら知っておきたい!柴犬の好発疾患と最適な飼育環境

柴犬は、昔から番犬として飼われている日本犬です。キリッとした目元とは裏腹に、飼い主の前では甘えた表情も見せてくれるところが魅力的ですよね。

柴犬は番犬という性質から、警戒心が強く、臆病な性格であると言われています。また、柴犬がかかりやすい病気もいくつか存在します。柴犬と一緒に生活するにあたって、飼い主さんはどのようなことに気をつけたら良いのでしょうか?

今回の記事では、柴犬の好発疾患と、柴犬にとって最適な飼育環境について解説していきます。

なお、「豆柴」は正式な犬種名ではなく、小さめの柴犬のことを指して呼ぶことがあります。

柴犬の好発疾患

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柴犬は、皮膚疾患眼疾患が非常に多い犬種です。
特に、アトピー性皮膚炎は命に直接関わるものではありませんが、犬にとってはとても嫌な病気です。

柴犬に多い病気を把握しておき、いざという時に素早い対応ができるようにしておきましょう。

アトピー性皮膚炎

【症状】
強い痒み(顔面、四肢端、手足首、腋、膝、耳など)、発赤、脱毛、色素沈着(皮膚の色が黒くなる)
【原因】
はっきりした原因はわかっていないが、花粉やハウスダストなどのアレルギー物質が関与していると考えられている。
【備考】
犬のアトピー性皮膚炎はヒトと異なり、年齢と共に症状が重くなる。診断や治療には時間がかかるが、放置すると愛犬は非常に苦しむ。

アレルギー性皮膚炎

【症状】
痒み(眼および口周り、耳、四肢端、背部)、発赤など
【原因】
食餌中に含まれるアレルゲン
【備考】
アトピー性皮膚炎の診断のためには食物アレルギーを除外しなければならない。臨床症状もアトピー性皮膚炎と似ているので、しっかりと鑑別する。

舐性(しせい)皮膚炎

【症状】
発赤、腫脹、二次感染による膿など
【原因】
身体の特定の部位を舐め続けることで、そこに皮膚炎が生じる。
【備考】
特に肢端に発生し、暇な時間に舐め続けていることが多い。

膝蓋骨(しつがいこつ)脱臼

【症状】
跛行(足を引きずる)、挙上(患肢を上げる)、膝を舐めるなど
【原因】
先天的に膝蓋骨を納める溝が浅い、膝に強い衝撃を受けるなど
【備考】
体重の過度な増加は膝への負担を増大させる。またフローリングなどの踏ん張りが効きづらい床では膝に大きな負荷がかかる。

認知症

【症状】
夜鳴き、狭い場所に入りたがる、同じ所をグルグル回る、昼夜逆転など
【原因】
ヒトと異なり、犬の認知症の研究はあまり進んでいない。原因についてもよくわかっていない。
【備考】
柴犬だけでなく犬と一緒に生活を始める前に、犬も認知症になることを認識しておく必要がある。介護は精神的にも肉体的にも大変だが、かかりつけの動物病院にしっかり相談すること。

白内障

【症状】
視力の低下、水晶体の白濁など
【原因】
加齢によるもの、糖尿病などの代謝性疾患に関係するもの、緑内障など他の眼疾患に起因するものなど様々。
【備考】
緑内障、ぶどう膜炎、網膜剥離を続発することがある。

柴犬に最適な飼育環境

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柴犬がどんな病気にかかりやすいかの傾向がわかったところで、次に柴犬と一緒に暮らす上での注意点を紹介します。

ただし、どれも柴犬の体質や性格を考えて重要なこととなりますが、同じ柴犬でも個体差はあるので、最終的には自分の愛犬に一番合った飼育環境を見つけてあげてくださいね。

1. 被毛のお手入れ

柴犬は被毛の入れ替わりが激しい犬種です。
特に、冬毛が夏毛に生え換わるときは、もう一頭柴犬ができるのかと思うほどに毛が抜けます。

定期的にブラッシングを行い、抜け毛を除去してあげましょう。ただし、ブラッシングが苦手な子もいますので、ストレスにならないようにしてあげてください。
また、ブラッシングの際は皮膚の状態を確認し、皮膚疾患がないかもしっかりチェックしましょう。

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2. 床は滑りにくく

膝関節や腰への負担を軽減させるために、床は滑りにくい素材にすることをおすすめします。フローリングの場合は、愛犬の生活スペースだけでも滑りにくいマットを敷いてあげるなどしてみましょう。

また、定期的に爪切りや肉球周りの毛を刈ってあげることで、足元が滑りにくくなります。

3. 爪切りが困難なときは

柴犬の中には、鼻先や肢端に触れられることを極端に嫌がる子がいます。そんな子に無理矢理爪切りを行うと、愛犬との信頼関係を崩すことになりかねません。
無理をせず、動物病院などで足先の処置を頼みましょう

4. ストレスをしっかり発散させる

周囲の出来事に敏感で臆病な性格の柴犬には、極力ストレスのない環境が必要です。

とは言っても、生活の上でのストレスをゼロにすることは困難ですので、散歩などでしっかりとストレスを発散させてあげましょう
雨が続いて散歩に行けない時期は、家の中などでたくさん遊んであげましょう。

5. 柴犬は水が苦手?

柴犬はシャワーなどの水が苦手な子が多いように思います。定期的にシャンプーをしてあげたいところだと思いますが、水を怖がる子は無理をする必要はありません。

濡れタオルで身体を拭いてあげる程度にしておきましょう。
また、水を使わないドライシャンプーもあるので利用するのもいいでしょう。

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まとめ

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柴犬は日本ならではの犬種で、海外でも徐々に人気が出てきています。
しかし、一方で、柴犬ならではの厄介な病気も多く、日常的なケアが重要です。

しっかりと健康に気を付けて、病気の早期発見に努めましょう。

【獣医師監修】湿疹や脱毛など、猫の皮膚異常で考えられる9つの疾患

今回のテーマは、愛猫の毛が抜ける、皮膚が赤くなるなど、猫の皮膚に関する様々なトラブルについてです。

猫の皮膚トラブルは、一時的なものなら問題ありませんが、それが何日も続き、どんどん広がっていく場合は注意が必要です。皮膚の痒みや違和感は、猫にとっても大きなストレスになります。

猫の皮膚に何が起きているのかを、獣医師と一緒に詳しく勉強していきましょう。

そもそも皮膚異常とは

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皮膚が赤くなっている、痒みがあるなど、皮膚全般の異常のことです。外観に異常が見られるため、一緒に生活していて見つけやすい異常でもあります。

猫で見られる皮膚異常の一例を紹介します。

  • 紅斑:赤い斑で、皮膚に盛り上がりは見られない。毛細血管の充血によって起こる。
  • 脱毛:猫は全身が毛で覆われているため、全身のどこでも起こり得る。
  • フケ:表皮のターンオーバーの短縮、あるいは角質の剥脱阻害が考えられる。
  • カサブタ:びらんや潰瘍の上に滲出物や扁平上皮が固まって形成される。

猫の皮膚異常で受診した際に聞かれること

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猫の皮膚疾患は、受診時の皮膚の状態だけでは情報が不十分です。
次のような点を飼い主さんが事前に把握しておくと、診断がスムーズに進みます。

  • 初発年齢:幼齢時に発生するもの、老齢で発生するものがある
  • 季節性:夏場や冬場で症状に変化はあるか
  • 初発部位:最初はどこから始まったのか
  • 痒みの程度:強い痒みがあるか、本人が気にしている様子はあるか
  • 投薬歴:過去の治療歴、投与した薬剤の反応性
  • 経過:病変の拡大、いつ頃からかなど

猫の皮膚疾患で考えられる疾患9つ

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皮膚疾患は命に関わることは少ないですが、痒みがあると非常にストレスです。
そのストレスによって別の病気にかかることもあるため、早めに原因を取り除き、楽にしてあげましょう。

①膿皮症(のうひしょう)

【症状】
皮膚小環:カサブタを伴うやや隆起した発赤が、細菌感染部位から円形に広がる。背中に見られることが多い。
深在性膿皮症:細菌感染が皮膚の深部に及んだ状態。赤く腫れ、痛みを伴う。

【原因】
細菌が表皮や毛包に入って感染。皮膚にはバリア機能があるが、環境の悪化や栄養不良、他の感染症やアレルギーなどによってバリアが弱まると発症する。

②ノミアレルギー性皮膚炎

【症状】
痒みを伴う皮疹。

【原因】
ノミに対するアレルギー反応。
ノミの寄生数には関係なく、一匹でもノミがいればノミアレルギー性皮膚炎を発症する可能性がある。

【備考】
ノミアレルギーによって好酸球性肉芽腫などが悪化することもある。

③食物アレルギー

【症状】
痒み、脱毛、全身性粟粒(ぞくりゅう)性皮膚炎。
特に首から上(頭部、頸部、耳介)によく見られる。

【原因】
食物抗原に対するアレルギー反応。
犬と異なり、猫では食物アレルギーがどのように起こるのか解明されていない。

④皮膚糸状菌症(ひふしじょうきんしょう)

【症状】
・脱毛(初期段階)。
・多量の鱗屑(りんせつ:皮が剥けてカサカサした状態)を伴う脱毛性紅斑。
・細菌の二次感染で痒みが見られることも。

【原因】
皮膚糸状菌という真菌(カビの一種)による感染症。

【備考】
皮膚糸状菌症はヒトにも感染することが知られており、猫はヒトへの重要な感染源として問題視されている。

多頭飼育の場合は感染が蔓延する恐れがあり、早期に感染猫を隔離するのが大事。
落ちた皮膚や被毛が感染源となるため、環境の浄化も重要。

⑤舐性皮膚炎(しせいひふえん)

【症状】
脱毛、違和感。

【原因】
ストレスや退屈などによって猫は自分の体を舐めるが、ザラザラの舌で舐め続けると皮膚が炎症を起こす。

【備考】
元々そこに何らかの皮膚異常があったから舐めているのか、舐めた結果皮膚異常が生じているのかの判断は困難。

⑥肥満細胞腫

【症状】
悪性腫瘍が、特に頭部や頸部に発生することが多い。
小さい上に、本人が気にすることも少ないため、発見が遅れることも多い。

【備考】
外科切除では広範囲の切除が望ましいとされているが、猫の肥満細胞腫では局所での攻撃性は低く、術後の予後は良好。
一方で、転移している場合の予後は悪いとされ、特に多発性(複数か所に病変が存在)の場合は要注意。

⑦扁平上皮癌(へんぺいじょうひがん)

【症状】
白い猫に発生しやすい癌で、好発部位は鼻、耳介、眼瞼、口唇。
病変部は潰瘍化して出血しやすく、顔面の変形も見られることがあるため非常に痛々しく見える。

【備考】
転移速度は遅い。

⑧脂肪種

【症状】
脂肪細胞の増殖による良性腫瘍で、触るとプヨプヨしている。

【備考】
単独で悪さをすることはあまりないが、発生部位と大きさによっては歩行や飲食に支障を来たすことも。

⑨表皮嚢胞(ひょうひのうほう)

【症状】
表皮にしこりができる。
表皮の角質・脂肪が皮膚内に溜まったもので、腫瘍ではない。

【原因】
皮下に嚢胞(袋)ができ、そこに古くなった角質などが溜まることで腫瘤となる。

【備考】
腫瘍ではないので転移することはない。
しかし、大きくなりすぎると自壊の恐れもあるため、手術によって切除する必要がある。

猫の皮膚異常は早めの受診を!

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皮膚病変の診断や治療には時間がかかるものもあります。

細菌培養検査では2〜3日、アレルギー検査では1週間程、食物アレルギーの原因を調べるための除去食試験では数ヵ月かかることもあります。

痒みなどのストレスを早く取り除いてあげるためにも、早めに動物病院を受診しましょう。

まとめ

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猫の皮膚異常の相談は意外と多いものです。皮膚疾患は原因がなかなか特定できないことも意外と多く、獣医師の頭をしばしば悩ませます。

愛猫の皮膚トラブルを見つけた場合は、気軽にご相談ください。一緒に愛猫の悩みを解決していきましょう。