[トイレの失敗5選]愛犬を叱る前に見直したい飼い主の対応

トイレの失敗は、愛犬をお迎えしたら出てきやすいお悩みのひとつです。

筆者も多くの飼い主からトイレのお悩みを聞いてきましたが、愛犬がトイレを覚えられない理由は飼い主の対応や環境設定に問題があることがほとんどです。人の行動が愛犬のトイレの成功を遠ざけていることもあります。

今回は、トイレに関する5つのお悩みに関して、やってしまいがちな環境設定や対応と、その改善点をご紹介します。

①ケージ内のベッドの上で排泄をする

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お悩み

「ケージにベッド、水入れ、トイレを用意したが、ベッドで排泄をすることが多い」

原因

ケージが狭く、ベッドとトイレでケージ内がいっぱいになっており、愛犬にはトイレとベッドの区別がついていないため、ベッドで排泄をしてしまう

対応

ケージを広くし、愛犬が歩けるスペースも確保しましょう。そして、トイレとベッドをしっかり離し、愛犬がトイレとベッドの区別がつくようにケージ内の環境も整えましょう

トイレでの排泄が定着するまでは、トイレを柵などで囲うとなお良いです。足の間隔だけではなく空間として区切った方が愛犬にとってベッドとの違いがわかりやすく、成功率も上がるでしょう。

トイレトレーを怖がる場合
愛犬がトイレトレーを怖がり、トレーの上や側に行けない場合は、トレーの側や上におやつを置いたり、おやつを使ってトレーの上に誘導してトレーに徐々に慣らしましょう
怖がることなくトイレトレーの上を歩けるようになることも、トイレトレーニングを成功させるために大切です。

②室内でフリーにしているとケージ内のトイレに戻らない

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お悩み

「ケージ内にトイレが置いてあり、ケージ内にいる時はトイレで排泄できる。しかし、フリーにしていると、ケージ内のトイレに戻って排泄ができず、ケージ外の違う場所で排泄してしまう。」

原因

ケージに対してのイメージがフリーでいることよりも良くないため、フリーの時に愛犬自らケージに入っていけず、違う場所で排泄をしてしまう。

対応

フリーでもケージに自ら入りたくなるくらい、ケージのイメージを良くしてあげましょう。やり方はこちらを参考にしてみてください。

  1. 愛犬をケージの外から中におやつで誘導し、入れたらおやつをあげます

  2. 愛犬がケージの外にいる時に、愛犬に気付かれないようにケージ内におやつを入れておきます。そうすると、愛犬が偶然または匂いに気付いてケージに入ります。おやつに気付かなくても、特におやつがあることを教える必要はありません。

  3. 誘導なしで愛犬がケージに入った時もケージ内でおやつをあげます。

1~3を繰り返し行うことで、フリーの時でもケージ内のトイレに自ら入って排泄できるようになることが多くなると思います。初めのうちは、トイレをしそうな時におやつを使ってトイレまで誘導すると、成功率が上がります。

そして、トイレが成功したら無言でおやつをあげましょう。声をかけて褒めると、飼い主は褒めたつもりで言葉をかけていても、愛犬からすると褒めではなく驚かされたと認識することもありますので、「無言でおやつ」がおすすめです。

③留守番中に違う場所で排泄をする

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お悩み

「留守番中にトイレとそれ以外の場所両方で排泄をしてしまう」

原因

トイレの範囲が狭く、先にした排泄で既にトイレが汚れているため、他の場所で排泄をしている。犬は本来きれい好きな生き物のため、汚れているシーツには排泄をしない子もいる。

対応

トイレの範囲をできるだけ広くし、2〜3回排泄をしても愛犬の足が汚れないようにしましょう。また留守番前に排泄をさせてあげるのもおすすめです。

長時間のお留守番をさせないというのも、トイレ以外の観点からも大切です。

④隠れてトイレをする

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お悩み

「人がいないところで隠れて排泄をするため、トイレではない所で排泄をしてしまう」

原因

愛犬が排泄をした際の飼い主の動きや声掛けが、愛犬からすると怖い、びっくりしたなど好ましくないものになっているため、飼い主に知られないように、隠れて他の場所で排泄をしている。

対応

愛犬が排泄をした際は、過度に声をかけず静かにも見守りましょう。成功した時には大げさに褒めるのではなく、無言でおやつをそっとあげます。失敗してしまっても、勢いよく抱き上げてトイレに連れていったり、「ダメ!!!」など叱責することは避け、無言で落ち着いて排泄物を片付けましょう

特に子犬は、失敗して叱ったり大声を出すことで、排泄をすることはよくないことという認識になり、排泄を我慢してしまう場合もあります。愛犬がご自宅に慣れるまでは、どこで排泄をしても褒めてあげるくらいの飼い主の寛大さが必要でしょう。

成功した場合も、過度に褒めると愛犬にとっては褒めではなく、びっくりさせられて怖かったというイメージが付きかねません。成功も失敗も静かに対応が原則です。

⑤今までできていたのに失敗が頻発

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お悩み

「トイレを覚えてからはあまり失敗がなかったが、突然トイレを外す回数が増えた」

原因

褒める回数が減っていて、愛犬がトイレの正解がわからなくなってきているため違うところで排泄をしている。

対応

トイレが定着してきても4~8回に1回くらいの頻度で、トイレで排泄ができたらおやつをあげて褒めてあげましょう。そうすることで愛犬も「ここで排泄をすれば良いんだ!」という認識がさらに強まり、失敗が少なくなります。

まとめ


今回記載した原因はもちろん絶対ではなく、様々な原因が絡み合っていたり別のことが原因になっていることもあります。色々対応を変えて、愛犬にどんな変化があるかを見つつ、どうやれば愛犬に正解の行動を取ってもらえるかを考えていただけるといいでしょう。

トイレに限らず、愛犬が思うように対応をしてくれないと叱ったり、ダメな子と思いがちですが、決してそうではなく愛犬ができないのには理由があります。そしてその理由の多くが飼い主の誤った対応や環境設定です。

叱る前に一度冷静になって自分の対応に問題がないかを考えてみてください。それでもうまくいかない場合には、プロのドッグトレーナーに早めに相談しましょう。飼い主も愛犬もストレスが減り、良い変化があるはずです。

上手に褒めて犬を伸ばそう!褒め方のコツを解説

皆さんは日々犬と暮らしていく中で「褒める」と「叱る」を比べた時、どちらの割合が多いでしょうか。

一般的に日本人は「褒めることが苦手」と言われており、犬を褒める場合でも「自分自身が褒められる機会が少なかったから、褒め方がわからない」、「悪いところばかり目について、ついつい叱ってしまう」と悩む方も多くいらっしゃいます。

かつて筆者も犬を褒めるのが下手で苦手意識を持っていましたが、褒めることを意識したり、褒め方を学んだりするうちに自然と「褒めるしつけ」が出来るようになりました

今回は、そんな「褒めるしつけ」について、筆者の経験も交えながら解説していきます。

犬を叱ってしつけることは難しい

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犬でも人間の子供でも、「しつけ=悪いことをしたら叱る」と考える方も、いらっしゃるかもしれません。
人間の子供の場合は

  1. 「ダメだよ」と声を掛け、行動を制御する
  2. なぜダメなのかを説明する
  3. どうしたら良いのかを教える

といった過程を踏み、悪いことを理解させることが出来ます。
しかし、犬の場合は人間のような言語能力がなく、「なぜダメなのか」、「どうしたら良いのか」を言葉で教えることは不可能なため、叱るしつけが難しくなってしまうのです。

また、犬を叱る時の「タイミング」や「強さ」も難しい問題です。タイミングがずれてしまうと犬が「なぜ叱られたのか」を理解出来なくなり、ただ飼い主に対してマイナスイメージが付くだけになりがちです。
叱る強さが強すぎてしまうと、必要以上に飼い主に恐怖心を感じ、恐怖からくる問題行動を引き起こす可能性があります。

したがって、近年は叱ってしつけるよりも「褒めるしつけ」が主流になっています。叱るしつけの難しさを考えると、褒めるしつけはリスクが少なく犬も飼い主もお互いに楽しく暮らしていけるのではないでしょうか。

犬を褒める時のポイントとは

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ここからは、犬を「褒めてしつける」上での大切なポイントを2つご紹介していきます。

ポイント①タイミングよく褒める

犬は短期記憶が苦手なため、「直前の行動」に「起こったこと」を紐付けて記憶する習性があります。
簡単に言うと、

「オスワリ(直前の行動)」したら「おやつがもらえた(起こったこと)」

となります。好ましい行動を起こしたら、すぐに褒めてあげましょう

ポイント②感情を込めて褒める

犬を飼っている方の中には、ご自身の愛犬が「予想以上に人間の感情を理解している」と思った方も多いのではないでしょうか。飼い主が気持ちのこもらない「イイコ」という言葉を発した時、犬に見抜かれている可能性があります

実際に、犬に対して「(感情を込めずに)言葉だけで褒める」、「感情を込めて褒める」という、2つのパターンの褒め方を試してみて下さい。感情を込めて褒めた方が犬に伝わっていることを実感出来ると思います。

褒め方を使い分ける

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犬の褒め方を学ぶ上で、使い分けて欲しい2種類の褒め方があります。

褒め方①ハイテンションで褒める

  • 新しいことを覚えた時
  • 遊びの中で褒める時
  • 「オイデ」や「モッテコイ」など、動きのあるトレーニングの時

犬のテンションを上げたい場合は、高くやや大きめの声で、喜びを表現してあげましょう。体をワシャワシャと撫でたり、ポンポンと軽く叩いたりしても効果的です。

褒め方②穏やかに褒める

  • 落ち着かせたいシチュエーションの時
  • 犬に我慢をさせている時
  • 「フセ」や「マテ」など、動かないトレーニングの時

犬に落ち着いていて欲しい状況では、普段の高さのやや小さめの声で、穏やかに褒めてあげましょう。撫でるときは、ゆっくり穏やかに撫でることを意識してみて下さい。

褒める回数を増やす方法

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犬を褒めてしつけたいと思ったとしても、「イタズラばかりして、なかなか褒める機会がない」という場合もあると思います。そういった場合は、犬の存在自体を褒めてあげて下さい

例えば、

  • 犬と目が合った時に「かわいいね!」と声をかける
  • 犬がリビングでくつろいでいる時に「ウチに来てくれてありがとう!」と伝える

といった具合に、まずは愛情を伝えてみて下さい。
これは犬のしつけのセオリーではなく、かつて褒め下手だった筆者が「褒めること」を練習するために15年ほど前から独自でやっている方法です。

その結果、

  • 犬が飼い主(筆者)を見る時、キラキラした目で見てくれるようになった
  • 「かわいいね!」と声をかけるとニッコリするようになった

といった効果がありました。

言葉の意味までは理解していなくても、犬にはポジティブな空気が伝わっているのではないかと思います。また、こちらから愛情を伝える機会を多く作ることで、犬の筆者に対する印象自体がポジティブなものになっているように感じます。

「褒めること」に苦手意識を持っている方は、ぜひ試してみて下さい。

最後に

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「褒めるしつけ」を解説してきましたが、叱ってはいけないわけではありません。犬自身や飼い主、第三者などを傷つけてしまう状況であれば、叱って一旦その行為を止めさせることも必要です。

特に、子犬や家に迎えたばかりの犬は、人間との生活をする上での「良し悪し」の学習が不十分なため、叱るしつけが増えてしまいがちです。物を壊したり、咥えて持って行ってしまったりする場合は、犬の手が届かないような環境を作ったり、ストレスが溜まらないように十分な運動をさせたりして、対策してみて下さい。

音や物に対して反応して吠える場合は、その対象に馴らすことで「吠え」を防ぐようにトレーニングしていきます。その上で、まずは「叱る」より「褒める」機会を増やしてあげましょう