【獣医師監修】メインクーンの好発疾患と4つの健康管理のポイント

メインクーンは、世界一大きい猫としてギネスにも認定されている猫種です。小さい猫種にはない存在感と、モフモフの毛が魅力的ですよね。

一方でメインクーンには、注意したい遺伝疾患がいくつか報告されています。
今回の記事では、メインクーンの好発疾患と日常生活でできる健康管理について、獣医師が詳しく解説します。

メインクーンの基本情報

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歴史

メインクーンは、北米でもっとも古い猫種のひとつとして知られています。

起源には諸説ありますが、ノルウェージャンフォレストキャットなどの北欧の猫が北米に入り、現地の猫と交配して生まれたという説が有力視されています。

また、遺伝的には不可能な組み合わせですが、体の大きさや被毛の特徴から、メインクーンはアライグマと猫の交配で生まれたという伝説も有名です。

身体的特徴

メインクーンはがっちりとした胴長の体格で、体重はオスで6~9kg、メスで3~6kg程度が一般的です。
フサフサの被毛が特徴的の長毛種ですが、実はダブルコートではなくシングルコートに分類されます。

性格

性格は明るくて人懐っこく、家族にも知らない人にもフレンドリーに接することのできる猫種です。
また、賢い猫としても知られており、犬のように投げたボールを取って来るなどのしつけが可能です。

メインクーンの好発疾患

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メインクーンは、報告されている遺伝疾患が比較的多い猫種です。
どんな病気が発生する可能性があるか、事前に把握しておくことで、病気の早期発見・予防につなげましょう。

肥大型心筋症

【症状】
運動不耐性(疲れやすい)、胸水や腹水貯留に伴う呼吸困難、食欲低下、嘔吐など。血栓塞栓症を併発した場合には後肢の不全麻痺や完全麻痺、後肢の冷感などが現れやすい。
【原因】
心筋の肥大(厚くなる)によって心臓が膨らみにくくなり、一度に送り出される血液の量が減少する。メインクーンでは遺伝性が証明されている。
【備考】
肥大型心筋症と診断された後はたとえ血栓がなくても、血栓の形成予防の処置も同時に行う。

股関節形成不全

【症状】
腰を左右に振った独特の歩き方、関節炎を併発している場合には疼痛が認められる。
【原因】
過剰な体重や過剰な運動によって発症する。先天的に股関節の嵌まりが緩いことによる。
【備考】
安静にする、抗炎症薬を用いるなどの治療が行われるが、外科手術が選択される場合もある。

ピルビン酸キナーゼ欠損症

【症状】
貧血、可視粘膜(歯茎など)の蒼白、頻脈、頻呼吸など。
【原因】
ピルビン酸キナーゼという酵素の遺伝的欠損によって溶血性貧血が引き起こされる。これは常染色体劣性遺伝によって伝達される。
【備考】
年齢とともに骨髄線維症と骨硬化症が進行し、造血能は低下していく。

進行性網膜萎縮

【症状】
昼盲、夜盲、徐々に進行する視覚障害、失明。
【原因】
網膜に存在する光を感じる細胞が徐々に変性することによる。
【備考】
猫の視覚を判断することは難しいが、家具にぶつかる、近くの物を目で追わなくなるなどの徴候が見られることがある。また家具は配置を覚えていることもあるため、普段とは違う場所に障害物(段ボールなど危険のないもの)を置き、ぶつからないかチェックすることも有効。

脊髄性筋萎縮症

【症状】
生後15〜17週齢で見られる後肢の虚弱と震え。その後ジャンプができなくなり、筋肉の萎縮、可動域の低下が見られるようになる。
【原因】
遺伝的に運動神経が消失することによる。これは常染色体劣性遺伝によって伝達されるため、素因がある子は繁殖には供さない。
【備考】
症状がなくても遺伝的にキャリアである可能性があるので繁殖の際には注意が必要。

メインクーンの健康管理

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続いて、これら好発疾患が発生する可能性を踏まえ、メインクーンとの生活において、どのような健康管理を行えば良いのかを解説します。

1. 日頃からブラッシングを

体が大きく、被毛も長いメインクーンには、最低でも週2〜3回、抜け毛が多くなる初夏から秋にかけては1日1回のブラッシングを行いましょう。

ブラッシングによって毛玉を予防したり、口から入る被毛を減らすことで毛球症の発生を抑えることができます。
最初はスリッカーブラシやピンブラシで全体をブラッシングし、ほぐれにくい毛玉はハサミで切ります。最後にコームで仕上げましょう。

2. 熱中症に注意

もともと猫は暑さに強い動物ではありますが、被毛の長いメインクーンは熱中症にかかりやすい傾向にあります。
夏場はエアコンなどを積極的に使用し、愛猫にとって過ごしやすい空間を作ってください。

ガンガンに冷房を効かせる必要はありませんが、人間が快適だと思える室温(27度前後)を意識しましょう。
万が一、熱中症を疑うような症状が現れた場合はすぐに動物病院を受診してください。

3. 巨体でも運動できる場所を確保

大きな体のメインクーンにとって、特に室内飼いの場合では、運動量にも限界があります。
水平方向である横の移動だけでなく、キャットタワーなどを設置して、ジャンプなども取り入れた三次元的な運動ができると効果的です。

4. 理想体型の維持

体格の大きなメインクーンにとって、太っているのかどうかの判断は難しいのではないでしょうか。

猫の標準体重は、1歳の時の体重と言われています。健康診断時の際に獣医師さんに体型の状態を聞いた上で、体重を把握しておき、過度に増えすぎないようにしましょう。

また、被毛が多くて体型がわかりにくいですが、肋骨が軽く触れるくらいが理想の皮下脂肪量と言われています。ブラッシングの時など、定期的に胸の周りを触ってみてください。

まとめ

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今回は、メインクーンがかかりやすい病気と健康管理のポイントを解説しました。

愛猫も生き物ですから、紹介した遺伝疾患以外にも体調を崩すことがあるかもしれません。
日常的に愛猫の健康状態を観察し続け、微妙な変化にも気付けるようにしましょう。

【獣医師監修】ラグドールの好発疾患と健康管理のポイント

ラグドールはモフモフの毛が特徴的な、ぬいぐるみのような猫種です。実際に、「ラグ・ドール(rag doll)」は英語で「ぬいぐるみ」という意味があります。

日本でも飼育している方が多い猫種ですが、いくつか発生しやすい病気が存在するのをご存知でしょうか?
今回の記事では、ラグドールの好発疾患や、日常生活での飼い方のポイントについて獣医師が詳しく解説します。

ラグドールの基本情報

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歴史

ラグドールは、1960年代、アメリカ・カリフォルニア州に住んでいたブリーダーの手によって誕生しました。ペルシャやバーマン、バーミーズなどとの交配によって生まれた子猫が基礎だと考えられています。

ラグドール(ragdoll)という名前は、英語で「(布製の)ぬいぐるみ」を意味し、「大人しく抱かれる姿が、まるでぬいぐるみのようだ」として、この名前がつけられました。

身体的特徴

被毛の各部分にある「ポイント」と呼ばれるまだら模様が特徴です。
大きめの頭に、ややつり上がった青い瞳、低めの鼻が真ん中についた丸顔をしており、被毛の長さはミディアムロングです。

体格は大きめでがっしりとしていて、中には体重が10kgを超える場合もありますが、オスで約7〜9kg、メスで約5〜7kgが平均とされます。

性格

おおらかでおっとりとしており、知らない人にもよく懐きます。鳴き声は小さく、成猫になるとあまり激しい運動をしなくなる子も多いようです。
ただし、帰巣本能が強いため、譲渡や引っ越しの際には脱走やストレスに注意しましょう。

ラグドールの好発疾患

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まずは、ラグドールに発生しやすい遺伝的疾患や、身体的特徴からかかりやすい病気をいくつか紹介します。
聞きなれない疾患もいくつかあると思いますが、どんな病気があって、どんな症状が現れるのか、しっかりと理解しましょう。

肥大型心筋症

【症状】
運動不耐性(疲れやすい)、胸水や腹水貯留、呼吸困難、食欲不振、嘔吐など。
【原因】
心臓の筋肉が肥厚することで心臓が膨らみにくくなり、循環障害を呈する。
【備考】
左心房に血栓が形成されやすく、それが大動脈に詰まり大動脈塞栓症を引き起こすことがある。塞栓を起こしやすいのは腹大動脈遠位端(太ももの付け根)や腎動脈で、それぞれ四肢の麻痺や尿産生停止が認められる。

進行性網膜萎縮

【症状】
昼盲や夜盲、徐々に進行する視覚障害、失明。
【原因】
網膜に存在する光を感じる細胞が変性することによる。この変性は遺伝的に起こる。
【備考】
猫の視覚機能を正確に評価することは難しいが、物を目で追いにくくなった、家具によくぶつかるようになったなどの症状が現れたら要注意。

ピルビン酸キナーゼ欠損症

【症状】
貧血、運動不耐性(疲れやすい)、頻脈など。
【原因】
酵素であるピルビン酸キナーゼの遺伝的欠損によって溶血性貧血が起こる。常染色体劣性遺伝によって伝達されるので、両親に本疾患の素因があるかどうかは要チェック。
【備考】
健康診断では赤血球数やヘマトクリット値などの貧血を評価する項目に注意する。

ムコ多糖症

【症状】
顔面骨の形成異常、関節の運動機能障害、後肢麻痺、角膜混濁など。
【原因】
ムコ多糖を分解する酵素の欠損によって全身臓器(骨、軟骨、角膜、心臓など)にムコ多糖が蓄積し、症状が現れる。
【備考】
検査会社によっては遺伝子検査が可能。

毛球症

【症状】
嘔吐、便秘、腸閉塞など。
【原因】
グルーミング(毛づくろい)の際に口から入った被毛が消化管に詰まる。
【備考】
毛玉を溶解するフードやサプリメント用いて予防することもできる。上手に毛玉を吐けない子は利用も検討。

ラグドールの健康管理

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ラグドールの好発疾患には、先天的な遺伝子異常に基づくものもあります。遺伝疾患の予防は難しいかもしれませんが、発見を早く行い、迅速に対応することが肝心です。

また、毛球症などについては、日々の生活環境を見直すことで発生を少なくできるかもしれません。
ラグドールと一緒に生活する上でどんなことに注意すべきか、見ていきましょう。

1. 定期的なブラッシング

猫はキレイ好きな動物なので、ある程度は自身で毛づくろい(グルーミング)をして被毛や皮膚を清潔に保っています。
しかし、加齢とともにグルーミングの頻度は減ってきますし、ラグドールは元々毛が長いので毛が絡まって毛玉ができやすい猫種です。

毛玉を放置すると皮膚が引っ張られ、そこに炎症が起きます。
また、グルーミングによって口から被毛が体内に入り、消化管に毛玉が詰まることもあります。

長毛のラグドールには、定期的なブラッシングを心がけましょう。

2. 尿の状態を毎日チェック

尿の状態を日頃から観察することで、病気の早期発見に繋がります

腎泌尿器系の疾患はラグドールに限らず、猫で非常に多い疾患です。
健康な状態の尿量や尿の色を把握しておくことで、異常にいち早く気づきましょう。

3. 季節に合わせた温度管理

長毛のラグドールは、夏の暑さには弱い猫種です。
猫は犬のようにパンティング(口でハーハーしながら行う体温調節)もしませんので、熱中症には十分に注意しなければなりません。

夏場はクーラーを適切に使い、涼しい環境を作りましょう。27度前後を目安に、人間が快適だと感じる温度で大丈夫です。

ちなみに猫が安静時に口呼吸をしていたら、心臓病や呼吸器疾患の疑いがあるため動物病院を受診してください。

4. 定期的に健康診断を受けよう

外見では判断しにくい病気もたくさんあります。
血液検査や画像検査など、定期的に健康診断を受けることをおすすめします。
7歳までの若い時期は年に1回、7歳以上のシニアは半年に1回くらいを目安に受けておくと安心です。

猫にとっての半年は人間の年齢で換算すると2年程になりますので、決して短い期間ではありません。
病気は早期に発見し、適切な治療を受けることが望まれます。ぜひ健康診断は検討してみてください。

まとめ

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本記事では、ラグドールの好発疾患と、日常生活でできる健康管理をご紹介しました。
病気になってしまったときに十分な対応ができるような環境が大切です。
愛猫との生活がより良いものとなるように願っています。

【獣医師監修】パピヨンの好発疾患と予防のための5つのポイント

パピヨンは、蝶のような大きな耳が特徴の小型犬種です。

賢い子が多く、日本でも人気で、街を歩いていてもよく目にすることがあります。そんなパピヨンですが、特異的にかかりやすい病気がいくつかあります。

今回の記事では、パピヨンのかかりやすい病気と、おすすめの飼育環境について、獣医師が詳しく解説します。

パピヨンの基本情報

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歴史

パピヨンはフランスとべルギーが原産の犬種で、先祖はスパニエルの一種とされています。16世紀以降、マリー・アントワネットなどヨーロッパの貴族から愛されてきました。

当時は垂れ耳が多かったのですが、まれに立ち耳のパピヨンが生まれ、18世紀末頃からは立ち耳のパピヨンが選択的に繁殖されるようになります。その後、チワワなどとの交配によって小型化し、現在のような姿になりました。

名前の由来

パピヨン(papillon)はフランス語で「蝶」という意味があり、パピヨンの耳が蝶の羽を開いたような姿であることから名付けられました。

身体的特徴

体高は20〜28cm、体重は3.0〜4.5kgで、超小型犬に分類されます。
被毛はシングルコートで長めで、色は白を基本として黒、茶、レモン、セーブルなどの色の組み合わせです。

性格

人間が大好きで甘え上手なため、誰に対してもフレンドリーです。ただし、警戒心が強い一面もあります。
また、知能が高い犬種としても知られています。
さらに、パピヨンは小型犬でありながら運動能力に優れているため、動き回るのが大好きです。

パピヨンの好発疾患

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パピヨンには、その解剖学的特徴や遺伝的な背景から好発する傾向のある疾患があります。
どんな病気があるのか、どんな症状が現れるのかを理解しておけば病気の早期発見に繋がります。

僧帽弁(そうぼうべん)閉鎖不全症

【症状】
運動不耐性(疲れやすい、易疲労性)、咳、興奮時の呼吸速迫など。
病態が進行し肺水腫となると、呼吸困難、チアノーゼ、安静時の呼吸速迫、運動時のふらつき、失神など。
【原因】
僧帽弁(左心房と左心室の間にある弁)の異常により、心臓の収縮とともに血液が逆流する。これによって循環が悪くなり、心臓への持続的な負荷のために心拡大が引き起こされる。
【備考】
全身臓器への血液供給が減少することにより、膵炎や腎不全を併発することもある。

脱毛症X

【症状】
大腿部背側(お尻の少し下)や頸部、手足の先端以外の脱毛、育毛障害。
色素沈着(皮膚が黒っぽくなる)、面皰、フケなどが見られることも。
【原因】
病態は不明。(Xは不明の意味)
【備考】
3歳齢以下の未去勢雄に好発し、トリミング(特にサマーカット)の後に気付くことが多い。

進行性網膜萎縮

【症状】
初期症状は夜盲症で、徐々に視覚消失を起こす。
【原因】
光を感じる細胞(桿体細胞)の変性による。
【備考】
網膜が発達している間、または生後6週齢までの若い時期に発症することもある。

眼瞼内反症

【症状】
流涙、眼瞼痙攣、角膜周囲の充血、結膜充血など。
【原因】
眼瞼辺縁が内側に曲がっていることによって、眼瞼辺縁と角膜が接触することによる。
【備考】
痛みによって眼瞼は腫れ、さらに眼瞼内反症が悪化するという悪循環に陥ることもある。

白内障

【症状】
水晶体の白濁、視覚障害。
【原因】
加齢、外傷、代謝性(糖尿病、低カルシウム血症など)、他の眼疾患からの続発(水晶体脱臼、網膜異形成、進行性網膜萎縮など)による。
【備考】
老齢疾患のイメージが強いが、若齢(0〜6歳齢)でも発症することがある。

膝蓋骨脱臼

【症状】
足を引きずる、歩き方がおかしい、患肢が地面に着かないなど。
【原因】
外からの強い衝撃、生まれつき膝蓋骨が外れやすい体質など。
【備考】
膝蓋骨脱臼を放置すると重度の関節炎や前十字靭帯断裂を続発することもある。

パピヨンとの日常生活で注意したい5つのポイント

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パピヨンのかかりやすい病気に基づき、日常でどんなことに注意すればよいのかをまとめます。

1. 床を滑りにくくする

フローリングなどの滑りやすい床は、膝関節に対して負担がかかります。

膝への負荷は、膝蓋骨脱臼に繋がります。また、膝蓋骨脱臼を既に持っている子は、膝蓋骨がはまったり外れたりを繰り返すことで関節炎を併発することもあります。

愛犬が行動する部屋の床にはカーペットやマットを敷くなど、滑りにくくする必要があります。

2. 爪切りや足裏の毛の処置を定期的に行う

犬の肉球は、走っている時にブレーキの役割を果たします。
爪や足裏の毛が伸びていると、肉球が床と触れずブレーキが効きにくくなり、膝に余計な負担をかけることになります。

トリミングやブラッシングなどの際に、定期的に処置しましょう。

3. 段差にも注意

ソファや小さな椅子などの段差は、飛び乗りや着地の際に大きな衝撃が加わる場合があります。
膝や腰への衝撃は膝蓋骨脱臼や骨折などを引き起こすこともあり、危険です。

ソファやベッドには犬用の階段をつけ、抱っこから降ろす際にはできるだけ床に近づけてから降ろしてあげることが大切です。

4. 心臓病の徴候を見逃さない

パピヨンは僧帽弁閉鎖不全症の発生が多い犬種です。心臓の病気は発見が遅れたり放置したりすると命に関わる可能性があります。
日常生活で観察したいこととしては、以下のような項目があります。

  • 散歩に行きたがらなくなった
  • 散歩に行ってもすぐに帰りたがる
  • 咳をする
  • 安静時の呼吸が速い

動物病院が併設されているトリミング室を利用している場合は、定期的に聴診をしてもらうといいかもしれません。
半年に一度の健康診断も、早期発見には有用ですので検討してみてください。

5. 眼のチェックも忘れない

心臓病と同じように、パピヨンは眼の病気も多い犬種です。
眼のチェック項目についてもまとめておきます。

  • 涙が多くないか
  • 目ヤニが多くないか
  • 目ヤニの性状はどうか(色、粘度など)
  • 眼が赤くないか
  • 黒目が白く濁っていないか
  • まぶたが痙攣していないか

これらの異常が見られるようになった場合は、動物病院を受診してみましょう。

まとめ

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今回はパピヨンの好発疾患について解説しました。
病気は重くなる前に診断し、適切な処置をすることが非常に重要です。

愛犬が長生きできるよう、日頃から健康について意識し、異常があればすぐに動物病院を受診してくださいね。

【獣医師監修】シェットランド・シープドッグの好発疾患と予防

「シェルティ」という愛称でも呼ばれるシェットランド・シープドッグは、元々牧羊犬として活躍しており、賢い犬ランキングでも上位に入る人気犬種です。

フサフサとした長毛は美しく、筆者も大好きです。そんな魅力溢れるシェットランド・シープドッグですが、この犬種特有のかかりやすい病気があることをご存知でしょうか。

本記事ではシェットランド・シープドッグのかかりやすい病気と、予防・早期発見の方法ついて解説していきます。なお、以降は愛称である「シェルティ」と記載します。

シェルティの基本情報

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シェルティの歴史

シェルティは、イギリス最北端にあるシェットランド諸島が原産の牧羊犬です。シェットランド諸島の気候条件が非常に厳しく荒涼とした土地だったため、少ない飼料でも飼育できるようにと、小型化されていきました。

19世紀の終わり頃、シェットランド諸島を訪れた兵士が犬を持ち帰り、イギリス本土でも人気が高まります。

そして、1909年には、イギリスのケンネルクラブに「シェットランド・コリー」として登録されました。しかし、外見がよく似たラフ・コリーなどとの混同を避けるため、「シェットランド・シープドッグ」という名称に変更されました。

身体的特徴

見た目はラフ・コリーによく似ていますが、大きさはラフ・コリーよりもふた回りほど小さく、オスの体高は37cm、メスの体高は35.5cmが理想とされています。

被毛は、長毛でダブルコートのため、抜け毛はかなり多いです。換毛期だけでなく、普段からブラッシングをする習慣をつけましょう。

性格

基本的には、穏やかで優しい性格をしています。

飼い主に対しては忠実で甘えん坊ですが、警戒心が強く、飼い主以外の人や他の犬に吠えやすい犬種のため、社会化期にしっかりとしつけることが大切です。

シェルティの好発疾患

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シェルティで問題となるのは主に眼と皮膚の疾患です。
特に、眼の病気ではコリー種に特徴的なものもありますので、順番に見ていきましょう。

コリー眼異常

【症状】
多くは無症状。視覚障害、前眼房出血、網膜剥離(失明)が起こることもある。
【原因】
遺伝性の脈絡膜の異常。
【備考】
脈絡膜は眼球に栄養を送る血管が分布している。本疾患は4〜8週齢の眼底検査により診断される。また、現在では遺伝子検査も実施されており、本疾患のキャリアかどうかを調べることが可能。

進行性網膜萎縮

【症状】
昼盲~夜盲へ進行
【原因】
網膜色素上皮細胞にセロイドやリポフスチンが沈着する遺伝性の脂質代謝異常による。
【備考】
昼盲から夜盲への進行は遅いこともある。

甲状腺機能低下症

【症状】
元気消失、食欲不振、運動不耐性(疲れやすい)、便秘、脱毛、肥満、無関心、角膜潰瘍、運動失調、発情周期の障害など多岐にわたる。
【原因】
甲状腺の炎症や腫瘍の影響によると考えられている。
【備考】
甲状腺は代謝を司るホルモンを分泌する器官で、この機能が低下すると多くの組織が影響を受ける。

皮膚筋炎

【症状】
皮膚の痒み、脱毛などの皮膚症状が顔、耳、鼻端、四肢端に見られる。
【原因】
正確な病因は不明だが、遺伝が関与していると考えられている。
【備考】
通常は6カ月齢以内には発症するが稀に成犬でも発症する。

フォンウィルブランド病

【症状】
血が止まりにくい
【原因】
血小板が損傷部に粘着する際に必要なフォンウィルブランド因子の異常。
【備考】
乳歯の生え変わりの際に出血が止まらないことがないかを確認しておく。

脱毛症X

【症状】
脱毛、皮膚の色素沈着(皮膚が茶色や黒くなる)など
【原因】
不明
【備考】
3歳未満の未去勢雄に好発し、サマーカットなどをきっかけとして育毛障害が認知されやすい。脱毛はお尻の周り、首、腕や足に分布する。頭部や四肢端に発生することはない。

シェルティの病気予防

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愛犬に長生きしてもらうために、できる限りの対策をしましょう。そして、万が一病気になってしまった時には、早期発見がとても大切です。

では、シェルティで注意したい病気を予防するため、早く発見するためにはどんなことに気を付ければいいのでしょうか。

肥満に注意

シェルティは太りやすい犬種と言われています。

毛が長いため、パッと見で愛犬の体型の変化を察知することは難しいかもしれませんが、撫でたりするときに定期的に体型を確認しましょう。目安は肋骨が軽く触れ、腰に少しクビレがある程度です。

食事管理や運動によって健康的な体型を維持することが大切です。

日常的に目のチェックを

シェルティに特徴的なコリー眼異常や進行性網膜萎縮は、視覚に異常が見られる疾患です。

愛犬の視力はしっかりと把握しておく必要がありますが、犬の視力を測定することは難しいかもしれません。

普段の生活の中で、以下のような徴候がないかを確認しましょう。

  • よく物にぶつかる
  • 段差につまずく
  • 動こうとしなくなった
  • 目の前で落としたティッシュなどを目で追わない

定期的な健康診断が重要

病気の早期発見には定期的な健康診断が最も効果的です。内臓疾患や甲状腺機能、眼のチェックも含めて行います。
少なくとも年に1回、シニア期に差しかかる7歳以上の子は半年に1回の健診をオススメします。

ブラッシングも忘れないで

長毛のシェルティは、季節の変わり目にゴッソリ毛が抜けます。定期的にブラッシングを行い、無駄な毛を除去してあげましょう。

また、同時に皮膚の赤みやカサブタなどがないかもしっかりと確認していきます。
スリッカーなどの硬いブラシではなく、毛が柔らかいブラシを使ってあげるとブラッシングが好きになってくれるかもしれません。

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フィラリア予防薬にも注意

シェルティを始めとするコリー種には、イベルメクチンという成分に対して傾眠や運動失調といった神経毒性が現れることが報告されています。

イベルメクチンは主にフィラリア予防薬に含まれている成分です。この神経毒性は遺伝子の異常に起因し、検査によってイベルメクチンの副作用が発現するかしないかを確認することが可能です。

しかし、なるべくならイベルメクチンを含むフィラリア予防薬は避けた方が無難でしょう。

まとめ

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今回は、シェルティの好発疾患について解説しました。もちろん、これら以外の病気にもかかってしまう可能性はありますので、定期的に健康診断を受けてくださいね。

スキンシップと健康観察が、愛情表現と病気予防につながります。ぜひ、毎日欠かさずに行ってあげてください。

【獣医師監修】ラブラドールレトリーバーの好発疾患と健康チェック

ラブラドールレトリーバーは、盲導犬としても活躍が見られる賢い犬種です。人間が大好きで、飼い主に従順なことも特徴として挙げられます。

今回は、ラブラドールレトリーバーのかかりやすい病気と、それを踏まえた予防や健康チェックの方法をご紹介します。ラブラドールレトリーバーを飼っている方も、これから飼おうと思っている方もぜひご一読ください。

ラブラドールレトリーバーの基本情報

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歴史

ラブラドールレトリーバーは、カナダ東部に位置するニューファンドランド島にいた「セントジョーンズレトリーバー」が祖先と考えられています。水中での作業が得意だったため、魚を回収する使役犬として活躍していました。

その後、能力の高さからイギリスに持ち込まれ、他のレトリバーと交配が行われて現在の姿になりました。

身体的特徴

体高は56〜57cm程度、体重は30~36kgで、大型犬に分類されます。

毛色はブラック、イエロー、チョコレートの3種類が公認されています。ダブルコートのため、抜け毛は多く、普段からのブラッシングが大切です。

性格

盲導犬としても活躍するラブラドールレトリーバーは、穏やかで、人に喜ばれることが大好きです。人懐っこいため番犬には向きませんが、飼い主には従順で賢く、自分で判断して行動することもできます。

一方で、うれしくなると興奮しすぎて、コントロールが効かなくなってしまうこともあります。大型犬ゆえ、攻撃性はなくとも他の犬や人に飛びかかるとケガをさせてしまうこともありますので注意しましょう。

ラブラドールレトリーバーの好発疾患

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ラブラドールレトリーバーはどんな病気にかかりやすいかを理解し、その兆候を見逃さないことが重要です。ここでは、ラブラドールレトリーバーの好発疾患について解説します。

拡張型心筋症

【症状】
運動不耐性(疲れやすい)、胸水貯留、腹水貯留、呼吸困難など
【原因】
遺伝の関与、L-カルニチンやタウリンの欠乏などが関与している。
【備考】
心腔の顕著な拡大と収縮力の低下が特徴的。心臓から血液を送り出す力が弱くなり、全身の循環量が低下する。さらに心臓が収縮した後に心臓内の血液が空にならず、少しずつ溜まっていき、それが胸腔や腹腔に漏れ出て胸水や腹水となる。

股関節形成不全

【症状】
腰を左右に振った独特の歩き方(モンローウォーク)、うさぎ跳びのような歩き方、疼痛など
【原因】
遺伝が関与。過剰な栄養と過剰な運動によって発症が増加する。
【備考】
関節のゆるみが長期間持続すると関節炎を併発する。子犬の時期にレントゲン撮影を行い、早期に診断する必要がある。

肥満細胞腫

【症状】
皮膚のしこり、嘔吐、下痢、痒みなど
【原因】
遺伝的要素が関与していると考えられている。
【備考】
肥満細胞は免疫に関与する細胞で、ヒスタミンなどを含有する。患部をいじったりすることでこのヒスタミンが分泌され、痒みや消化器症状が引き起こされる。肥満とは付くが、太っているから発生しやすいということはない

白内障

【症状】
水晶体の白濁、視力の低下、失明など
【原因】
ラブラドールレトリーバーでは先天性の白内障が報告されている。糖尿病や高コレステロールもリスク要因となる。また、緑内障、網膜剥離、ぶどう膜炎に続発することもある。
【備考】
出生時に見られるもの、生後6カ月齢まで、生後6ヵ月~1歳齢まで、1歳齢~3歳齢に見られるものに分類される。

進行性網膜萎縮

【症状】
夜盲、視覚消失、失明
【原因】
出生時には正常だが、数ヵ月を経て光を感じる細胞の傷害が起こる。
【備考】
夜盲症は初期症状である。

脂漏性皮膚炎

【症状】
過剰なフケ、タコ、ニキビのようなものが幼齢時から認められる。多くは2歳齢までに発症し、加齢とともに悪化する。
【原因】
先天的に表皮や脂腺の細胞増殖が速い、ターンオーバーが短いなど。
【備考】
好発部位は首、腋窩(ワキの下)、鼠径部、外耳。細菌や酵母の二次感染が起こると痒み、脱毛、炎症、悪臭を伴う。

病気の予防と健康チェック

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愛犬が長く元気でいられるためには、普段からの予防や健康チェックが重要です。
ラブラドールレトリーバーという犬種の一般的な性格を考慮した上で、どんな点に注意したらいいかをご紹介します。

十分なスキンシップをとる

ラブラドールレトリーバーは人間が大好きなので、構ってあげることでストレスが発散されます。時間をとってしっかりと遊んであげましょう。

大型犬は暇になると手や足を舐めるクセがある子が多いと言われています。肢端の舐めすぎは舐性皮膚炎の原因となるので、留守番のときも愛犬を飽きさせない工夫が必要かもしれません。

それが難しければ、帰宅後に愛情表現を忘れないようにしましょう。

肥満に注意

ラブラドールレトリーバーは太りやすい犬種です。
肥満は、ただでさえ重い体重を支えている大型犬にとって骨関節にさらに負担をかけるため、生まれつき股関節に不安がある子にとっても大きな問題です。

また、糖尿病などの病気のリスク要因にもなるので、食事管理などでしっかり体重のケアをしましょう。

皮膚の状態をチェック

ラブラドールレトリーバーは、皮膚肥満細胞腫や組織球肉腫などの皮膚腫瘍や皮膚炎など、皮膚の病気が多い犬種です。
スキンシップの際には以下の点をチェックしましょう。

  • 皮膚に赤みがないか
  • なでた時に痒がっていないか
  • 脱毛がないか
  • しこりみたいなものがないか
  • しこりがあるなら大きくなっていないか

子犬期にはレントゲンも

大型犬は、成長期にレントゲンを撮影し、股関節形成不全がないかをチェックした方がいいでしょう。レントゲン検査は麻酔の必要もなく、短時間で終わるため愛犬の負担も少なくて済みます。

また、子犬の時期に放射線を浴びることを心配される方も多くいますが、全く問題ありません。むしろ検査をせずに、関節疾患を見逃すことの方がリスクは高いと言えます。

まとめ

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病気の治療には早期発見と早期治療が重要です。犬は言葉が話せないので自分の不調を訴えることができませんが、愛犬の健康状態を毎日チェックすることで、いち早く異常に気づけるでしょう。

ラブラドールレトリーバーは飼い主と遊ぶことが大好きです。その想いに応えてあげ、愛犬との生活をより豊かなものにできるといいですね。

【獣医師監修】アビシニアンの6つの好発疾患と適切な飼育環境

野性味のある見た目と美しい毛並みで人気の猫種、アビシニアン。
クールでキリッとした顔立ちをしていますが、性格は甘えん坊で好奇心が旺盛なところも人気のポイントです。

一方で、アビシニアンには、遺伝的に気をつけなければならない疾患がいくつかあることをご存知でしょうか。

今回の記事では、アビシニアンの好発疾患と飼育環境について獣医師が詳しく解説します。

アビシニアンの基本情報

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アビシニアンの基本的な情報を簡単にまとめました。

原産国
諸説あるが、エジプトやイギリスが有力
体重
2.5~4.5キロ
ボディタイプ
フォーリン。しなやかで筋肉質、スマートな体型。
顔の特徴
大きなアーモンドアイにクレオパトララインが相まって、目力が強い。「クレオパトラが愛した猫」とも言われる。
被毛
短毛。ティックドタビー(一本一本の毛が複数の色でできている)が美しい。
性格
甘えん坊で活発、好奇心が旺盛。

アビシニアンの好発疾患

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アビシニアンの血統には、特徴的な遺伝性疾患が存在します。
その代表的なものが、「ピルビン酸キナーゼ欠損症」ですが、他にも知っておきたい疾患があります。
順番に見ていきましょう。

1. ピルビン酸キナーゼ欠損症

【症状】
貧血、運動不耐性(疲れやすい)、頻脈など
【原因】
「ピルビン酸キナーゼ」という酵素の、遺伝的欠損による溶血性貧血
【備考】
アビシニアンでは遺伝子変異が報告されているため、遺伝子検査が可能。

2. 進行性網膜萎縮

【症状】
夜盲、視覚異常、失明など
【原因】
遺伝性の網膜症
【備考】
特異的な治療法はなく、早期発見による生活水準の維持が課題となる。

3. 慢性腎不全

【症状】
多飲多尿、頻尿、尿が薄い、貧血、食欲不振、嘔吐、口内炎など
【原因】
長期にわたる腎臓への負担、腎毒性物質、腎臓の炎症、感染症、腫瘍など
【備考】
腎不全の進行により尿毒症、腎性貧血などが発現する。

4. 甲状腺機能亢進症

【症状】
体重減少、多食、嘔吐、下痢、多飲多尿、攻撃性の増加、脱毛、頻脈など
【原因】
猫の場合は非腫瘍性の過形成が原因のことが多い。甲状腺癌が原因のものは全体のわずか1〜2%という報告もある。
【備考】
高齢の猫では最も一般的な内分泌疾患である。

5. 細菌性尿路感染

【症状】
頻尿、有痛性排尿、血尿など
【原因】
尿の残留、尿結石、腎不全による尿組成の変化、尿糖の排泄など
【備考】
放置すると細菌が膀胱から腎臓へ感染することもあり、危険である。

6. 重症筋無力症

【症状】
脱力、吐出、発生障害(鳴き声がかすれる)、嚥下障害、瞬きの異常など
【原因】
神経と筋肉の伝達に異常が起こり、四肢や顔面の筋肉が動かなくなることによる。
【備考】
巨大食道症を併発することが多く、吐出などの症状が見られる。またその場合、誤嚥性肺炎には十分な注意が必要。

アビシニアンのための飼育環境

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それぞれの猫に適した飼育環境を整えることで、病気の早期発見や早期治療に繋がることがあります。

アビシニアンと一緒に暮らす上では、どのような環境が推奨されるのでしょうか?ここでは、病気以外でも、日頃から注意したいことをご紹介します。

活発で運動量は多め

アビシニアンには筋肉質な子が多く、その分必要な運動量も多くなります。
一緒に遊んであげる時間を作ることや、キャットタワーを設置するなどしてひとりの時も退屈しないような工夫が必要です。

運動不足は肥満の原因となり、肥満は様々な病気の原因となるので注意しましょう。

好奇心が旺盛なため、誤飲や脱走に注意

飲み込むと危険なもの(尖ったもの、小さなプラスチック、チョコレートなどの毒物など)は、猫の手の届かない引き出しの中などにしまいましょう。

また、ドアを開けた隙に外に飛び出してしまわないよう、出入りには十分に気をつけ、もしもの時のためにマイクロチップの挿入も検討しましょう。

トイレはいつも清潔に

アビシニアンによく見られる疾患として細菌性膀胱炎がありますが、これはトイレの衛生環境も関係しています。こまめにトイレを掃除しましょう。

抜け毛対策のブラッシング

アビシニアンは短毛ですが、換毛期には非常に多くの毛が抜けます。大量の抜け毛は毛球症(グルーミングなどによって口から入った毛玉が腸を閉塞する病気)の原因にもなります。

愛猫とのコミュニケーションにもなりますし、定期的にブラッシングをしてあげましょう。

定期的な健康診断を

貧血、腎機能、甲状腺機能など、アビシニアンには定期的にチェックすべき項目があります。
その子の性格(病院に行くことを極端に嫌がるなど)にもよりますが、半年〜1年に1回の検診をオススメします。

アビシニアンは凶暴化することがある?

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アビシニアン以外の猫でも凶暴化することはありますが、少し神経質気味なアビシニアンは、他の猫種よりも凶暴になりやすいと言われています。

引越しや出産といった生活環境の変化に伴って見られる嫉妬やパニックが原因のことが多いようです。
また、猫の嫌がる行為を続けたり、脳に病気があることも原因と考えられています。

まずは、凶暴化しないように

凶暴化をできるだけ防ぐため、いくつかの対策をご紹介します。

  • 引っ越しの際は、たとえボロボロであっても猫の毛布やおもちゃを捨てずに持っていく
  • 新入り猫や、人間の赤ちゃんを新しく迎え入れる際は、はじめは違う部屋で過ごさせ、徐々に慣らしていく
  • 引っ越しによる環境の変化や、新入りへの嫉妬でストレスを抱えないよう、意識して多めに遊んであげる
  • 猫の嫌がる行為はしない。特に、日中テレビをつけっぱなしにするなど、何気ない行為が実は猫のストレスになり得るので要注意。過度なスキンシップも控えよう。
  • 柑橘系の香りは猫にとって不快なので、香水やアロマの香りには気をつける。
  • 病気を早期発見するため、定期的に健康診断をする。

それでも凶暴化してしまったら

むやみに手を出すと咬まれたり引っ掻かれたりすることがあるため、愛猫が落ち着くまで放置するか、別の部屋に隔離することが推奨されます。それでも治まらない場合は、動物病院に相談しましょう。

まとめ

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ここまで非常に多くのことを説明してきましたが、一度に全てを変える必要はありません。
しかし、一緒に暮らしている大切な家族が少しでも多くの幸せを感じられるように、愛猫に合った環境の整備が重要です。

アビシニアンがかかりやすい病気をよく理解して、予防や早期発見に努めましょう。

犬の視力低下のサインとは?視力が衰えたシニア犬のための6つの工夫

視力の低下は、シニア犬によく見られる身体の変化です。

視力が低下すると生活への影響も大きいですし、その背後に病気が隠れていることもあるため、特にシニア犬と暮らしている方は注意が必要です。

今回は、視力低下のサインや原因となる病気、そして視力が衰えたシニア犬が快適に過ごせるように飼い主さんができる工夫をご紹介します。

シニア犬の視力低下の行動サイン

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犬は元々、視覚よりも聴覚や嗅覚からより多くの情報を得ており、また、住み慣れた家や散歩コースは記憶しているため、視力が低下してもある程度までは不自由なく生活ができます。

そのため、犬の視力の低下は気付きにくく、飼い主さんの日々の観察が大切です。

日常生活で現れる視力低下のサイン・行動をリストアップしました。

  • 人やものにぶつかる・段差につまずくようになる
  • 不安や恐怖を感じやすくなる
  • ものをよく嗅ぐようになる
  • 音によく反応するようになる

それぞれについて詳しく見ていきましょう。

人やものにぶつかる・段差につまずくようになる

視力が低下すると距離感が掴みにくくなるため、人やものにぶつかったり段差につまずいたりするようになります。
犬のよく知っているテリトリーの中ならば、嗅覚や記憶から避けることができますが、家具の配置を変えたり、初めての場所に行ったりした時にこのような行動が見られたら、視力低下のサインかもしれません。

不安や恐怖を感じやすくなる

目が見えにくいと周りの状況を把握しにくいため、今まで気にならなかったことも不安に感じやすくなります。そのため、無駄吠えが増えたり、攻撃的になることがあります。
また、安心感を得るために飼い主の近くにいる時間が増えることもあるようです。

ものをよく嗅ぐようになる

障害物や新しいものがあると、今まで以上によく嗅ぐことがあります。
匂いをしっかりと嗅ぐことで周囲の情報を確認しているため、危険ものでなければ納得のいくまで嗅がせてあげると良いでしょう。

音によく反応するようになる

視力が低下した分聴覚が鋭くなり、様々な音に敏感に反応するようになることがあります。
そのため、今まで反応しなかった音を気にして、吠えたり落ち着かなくなったりしてしまいます。

犬の視力セルフチェック方法

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自宅で簡単に犬の視力をチェックする方法をご紹介します。あくまでセルフチェックのため、日常の行動観察や定期検診と合わせて確認してください。

1. 物を目で追えているかチェック

音や匂いのないティッシュやコットンを丸めたものを犬の目の前で落として、視線や体で追えているかをチェックします。
反応がない場合は、視力が低下している可能性があります。

2. 瞳孔反射をチェック

暗くした部屋で犬の目を慣らした後、部屋を明るくして瞳孔が伸縮するかをチェックします。
光を正常に感じている場合は、光の量を調節するために瞳孔が伸縮する様子が見られます。

3. 障害物を避けられるかチェック

先述した通り、犬は視力が低下しても、住み慣れた部屋の中ではものにぶつからずに行動できます。
犬の視力低下をチェックするために、普段置かない位置に障害物を置いてみましょう。ぶつかっても怪我をしない、柔らかくて安全なものを置くようにしてくださいね。
上手に避けられなかった場合は、視力が低下している可能性が高いです。

視力低下の原因となる病気

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老化による視力低下の背景には、目の病気が隠れていることもあります。
以下では、視力低下を伴う主な3つの病気について説明します。

1.白内障

白内障は徐々に目が白く濁り、視力が低下していく病気です。
10歳ごろから発症することが多いです。

外科手術を行わない場合は、白濁の進行を抑えるための点眼サプリメントが勧められます。
ステージが進行すると、ぶどう膜炎の併発や、緊急的な治療が必要な緑内障に移行することがあるため、目の白濁を見つけたら早めに動物病院に相談しましょう。

2.緑内障

若年でもかかりうる病気で、眼圧が異常に高くなり痛みが伴います。
目が大きくなったように見える、目の充血、顔や目の周りを触ろうとすると嫌がる、まばたきの回数が多い、視力低下などの症状が見られます。
予防が難しく、治療が遅れると失明の恐れもあるため、早期発見と継続的な治療が必要になります。

3.進行性網膜萎縮

網膜が徐々に薄くなり、最終的には失明してしまう病気です。
初期症状は夜盲という、暗い場所でのみ視力が低下するもので、昼間には気が付きにくいため注意が必要です。
主に夜間に視力が低下しているような行動が見られた場合は、動物病院に連れていきましょう。

視力が衰えたシニア犬のためにできる6つの工夫

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一時的な病気が原因でない限り、視力は一度低下すると大きく改善することはありません。そのため、目が見えにくい状態でも安全に過ごせるよう、環境を整えてあげることが大切です。
以下では、シニア犬のために飼い主さんができる工夫をご紹介します。

1. バリアフリーの家を作る

ぶつかったりつまづいたりして怪我をしないよう、障害物を取り除いであげましょう。
家具自体の配置を大きく変えてしまうと混乱してしまう可能性があるため、位置は変えず、机の角など危ない箇所を保護するコード類を壁に寄せるなどの対策をしましょう。

ものにぶつかるのを繰り返してしまうと、犬は歩くことに自信を無くしてしまい、動くことをためらうようになってしまいます。犬がひとりで安心して歩ける環境を作ることは、体力や筋力の維持にもつながります。


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2. 散歩は明るいうちに行く

散歩は明るい時間帯に行くようにしましょう。
その際、障害物にぶつかったり段差につまづかないように、気をつけてあげてください。

3. 安心できる空間を作る

視力の低下とともに、不安や恐怖を感じやすくなります。
無駄吠えや攻撃的になることを防ぐためにも、安心して過ごせるスペースが確保されているか、もう一度確かめましょう。

4. 目のケアをする

目やにや涙やけを放置してしまうと、炎症の原因になります。コットンやガーゼで優しく拭き取りましょう。
普段から目のケアに慣れておくことで、目の病気にかかってしまった場合の対処がしやすくなります。

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5. 急に触れない

周りが見えにくい状態で急に触ってしまうと驚かせてしまい、中には不安や恐怖を感じる犬もいるでしょう。
事前に声をかけたり、匂いを嗅がせたりしてから触るようにしましょう。

6. ひげをカットしない

犬はひげからも補完的に周囲の情報をキャッチしています。視力が低下した分を補えるように、ひげは切らないであげましょう。

トリミングに連れて行く場合は、トリマーさんに相談して切らないようにしてもらいましょう。

まとめ

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今回はシニア犬の視力低下の行動サインとその原因となる病気、そして飼い主さんができる工夫をご紹介しました。
視力は徐々に低下することが多いため、毎日一緒にいても気が付きにくいです。
そのため、行動の観察や定期検診、ご紹介したセルフチェック方法を使って、しっかりと目が見えているかどうかを確認してあげてくださいね。

【獣医師監修】ヘルニア以外にも!ダックスフンドの好発疾患と予防法

ダックスフンドを飼っている方や、これから飼おうと思っている方は、ダックスフンドがかかりやすい病気をご存知ですか?

胴長犬種に多い「椎間板ヘルニア」の他にも、眼の病気や自己免疫疾患などがダックスフンドの好発疾患として知られています。

今回は、ダックスフンドの好発疾患の症状や、飼い主さんに日常生活で注意してほしいことを、獣医師が詳しくご紹介します。

ダックスフンドの歴史と特徴

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もともとはアナグマの狩猟犬

ダックスフンドはドイツが原産の犬種で、ドイツ語では「ダックスフント」と呼ばれます。
「ダックス」はドイツ語でアナグマ、「フント」は猟犬という意味を持ちます。

その名の通り、ダックスフンドは古くからアナグマ猟を手伝っていた犬で、短足胴長の体型を活かしてアナグマの巣穴にもぐり込み、アナグマを追い出す役割を担っていました。

3つのサイズがある

ダックスフンドには大きく3つのサイズがあり、大きい順に「スタンダード・ダックスフンド」「ミニチュア・ダックスフンド」「カニヘーン・ダックスフンド」と呼ばれています。

ダックスフンドの飼い方

ダックスフンドは体のサイズの割に活発で運動を好むため、毎日30~40分程度の散歩をさせてあげましょう。

また、もともと狩猟犬なのもあって声が大きいため、吠え癖がついてしまうとご近所に迷惑がかかってしまいます。
そんな時は、防音素材の壁紙を利用するなどの工夫をしましょう。

ダックスフンドの好発疾患

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椎間板ヘルニア

【症状】
・患部の痛み
・足を引きずる、歩き方がおかしい
・足の麻痺
・排尿障害
【原因】
遺伝性、慢性的な腰への負担、外傷など。
【備考】
背骨と背骨の間にある椎間板が突出し、脊髄を圧迫する疾患。
内科治療による緩和も可能な場合もあるが、根本的な治療は外科手術による。

進行性網膜萎縮

【症状】
・視力低下
・夜盲症(暗いところでの視力が低下)
・失明
【原因】
網膜に存在する光を感じる細胞の変性。遺伝的なものが多いとされる。
【備考】
早期の病態把握をし、病気と上手に付き合っていく必要がある。

白内障

【症状】
・水晶体の白濁
・視力低下
・失明
【原因】
糖尿病などの代謝性疾患、肥満、緑内障やぶどう膜炎からの続発など。
【備考】
放置すると緑内障やぶどう膜炎、網膜剥離などの眼疾患を続発する可能性がある。
早期に発見し、適切な処置を行う必要がある。

外耳炎

【症状】
・耳介の発赤
・耳の痒み
・耳の臭い
【原因】
耳道内環境の悪化による細菌や真菌の増殖。
【備考】
垂れ耳のダックスフンドは耳の通気性が悪く、耳内環境が悪化しやすい。

免疫介在性溶血性貧血

【症状】
・貧血
・可視粘膜(歯茎など)の蒼白
・黄疸
・尿の色が濃くなる
【原因】
遺伝性
【備考】
気付いた時にはかなり貧血が進行しているケースが多い。

日常生活でできる椎間板ヘルニアの対策

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床は滑らないように

腰への負担を軽減するために、まずは床の素材に注意しましょう。
フローリングなどの床材は滑りやすくブレーキが効きにくいため、足腰に負担がかかります。

小さな負担が積み重なって椎間板ヘルニアを発症することもありますので、床にはマットを敷くなどの対策が必要です。

段差をできるだけ小さく

ソファやベッドなどの高いところを上り下りするときにも、腰に負担がかかってしまいます。
なるべく段差を小さくするため、ソファやベッドには犬用の階段などをつけてあげましょう。

爪や足裏の毛は定期的にお手入れを

爪や足裏の毛が伸びていると、歩くときに滑り安くなってしまいます。
特にダックスフンドは足裏の毛が伸びやすいので、定期的にカットすることが大切です。

爪切りが苦手な子は、動物病院やトリミングサロンに相談してみましょう。

抱っこの仕方にも注意

みなさんは愛犬を抱っこするときに、どのような持ち方をしていますか?
頭を上に、お尻を下にした縦向きの抱っこは、実は腰に負担をかけてしまいます

愛犬が自然に立っている姿勢、つまり背骨と地面が水平になるように抱っこするのが正しい持ち方です。

正しい抱っこのしかた
①愛犬の横から抱っこする。正面からの抱っこはNG!
②片手をわきの下に入れ、肩を抱くように持つ。
③もう片方の手を両足の間から差し込み、手のひらで胸を支える。
④愛犬の体全体を自分の胸に付けるようにして、水平に持ち上げる。
⑤下ろす時は、愛犬の四肢が地面に同時に着くように水平に下ろしていく。

視力異常にいち早く気づくために

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たまに家具の配置を変えてみる

言葉の話せない動物の視力低下を見抜くのは簡単ではありません。
特に、家の中では家具の位置を覚えているため、視力が弱くても問題なく行動できてしまうのです。

そこで、たまにイスをいつもと違う位置に置いてみたり、ダンボールを床に置いてみたりと、部屋のレイアウトを変えてみましょう。
愛犬が障害物にぶつかってしまった場合、視力が低下している可能性があります

初めての場所に連れて行ってみよう

初めて連れて行く場所で、異常に動きたがらない様子が見られる場合、視力低下のサインかもしれません。
散歩の際にいつもと違うコースに連れて行くなどしてみましょう。

まとめ

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今回は、ダックスフンドがかかりやすい病気と、日常生活で気をつけてあげたいことを解説しました。

生き物にとって病気をすることは仕方のないことかもしれません。
病気を完全に防ぐことはできませんが、病気のリスクを抑えるために色々と工夫することはできます。

愛犬の犬種がかかりやすい病気をしっかりと理解し、日頃から対策を徹底してあげましょう。