【獣医師監修】放置すると危険かも!?犬の脱毛で考えられる疾患
犬は全身を毛で覆われており、犬種によっては生理的な範囲内で毛が抜け替わります。
生きる上である程度の抜け毛は仕方ありません。しかし、皮膚の赤みを伴っていたり、ある一部分だけが脱毛しているのは皮膚や毛包などに異常があるサインかもしれません。
今回は犬の脱毛で考えられる疾患について、獣医師が詳しく解説します。
犬の脱毛の原因
犬の毛が抜ける原因は、主に内分泌疾患と遺伝によるものが考えられます。
内分泌疾患
- 副腎皮質機能亢進症(クッシング症候群)
- 甲状腺機能低下症
- 性ホルモン関連性皮膚症(性ホルモン失調)
遺伝性
- 脱毛症X
- 虚血性皮膚障害
- 淡色被毛脱毛症(カラーダイリューション脱毛)
- 黒色被毛形成異常
- パターン脱毛症
それぞれ、何が原因でどのような症状があるのか、詳しくみていきましょう。
内分泌疾患
副腎や甲状腺のようなホルモンを分泌する組織に異常が起こると、脱毛が見られることがあります。
また、これらの内分泌疾患は脱毛だけでなく、全身症状を呈することも少なくありません。放置することによって、どんどん体調が悪くなることも考えられます。まずは、内分泌疾患について見ていきましょう。
副腎皮質機能亢進症(クッシング症候群)
【症状】
多飲多尿、薄い皮膚、脱毛、色素沈着(皮膚が黒っぽくなる)、石灰化(硬い石のようなものが皮膚に沈着する)、腹部膨満、呼吸促迫など。
【原因】
脳の下垂体から分泌される副腎皮質刺激ホルモンの過剰や、副腎腫瘍による副腎ホルモン(コルチゾール)の過剰分泌による。
【備考】
適切な治療により予後は良好とされる。7~12歳齢の老齢犬では一般的な内分泌障害であるため、これらの年齢に差し掛かったら定期的な健康診断が必要である。
甲状腺機能低下症
【症状】
皮膚症状(脱毛、被毛の光沢消失、角化異常、外耳炎など)、元気消失、低体温、体重増加など。
【原因】
免疫介在性のリンパ球性甲状腺炎、突発性甲状腺委縮が多いとされる。また甲状腺腫瘍も原因となりうる。
【備考】
治療には甲状腺ホルモンの投与が行われる。
性ホルモン関連性皮膚症(性ホルモン失調)
【症状】
会陰部、外陰部周囲、体幹部、頚部に対称性に生じる脱毛。
【原因】
メスでは卵巣腫瘍、オスでは精巣腫瘍(セルトリ細胞腫、ライディヒ細胞腫、セミノーマ)に関連して見られる。
【備考】
性ホルモンのうち、エストラジオールが増加する症例では非再生性貧血に注意が必要。治療は避妊手術および去勢手術によって行う。また、細菌の二次感染に関係のない痒み症状が現れる場合があるが、特にメスでは発情周期とともに増悪する。
遺伝性
脱毛が見られる疾患には、遺伝による影響が大きいものもあります。好発犬種では、発生に注意が必要ですが、それ以外の犬種も発症しないわけではありません。
脱毛症X
【症状】
体幹部の脱毛。尾、お尻周り、頚部から始まり、経過とともに頭部や四肢を除く全身に拡がる。
【原因】
病態や原因については明らかになっていない。
【備考】
ポメラニアンに多く見られ、一般に1~2歳で発症する。命に関わることはない。
虚血性皮膚障害
【症状】
鼻、眼瞼、口唇などに紅斑、丘疹、水疱などを認め、やがて潰瘍化して痂皮、脱毛を呈する。また、咀嚼障害や嚥下障害、まれに巨大食道症に伴う誤嚥性肺炎を起こすこともある。
【原因】
コリーやシェットランド・シープドッグの家族性(遺伝性)疾患として知られている。
【備考】
通常は6ヵ月未満で初発し、加齢とともに症状は軽快することが多い。一方で有効な治療法は確立されていない。
淡色被毛脱毛症(カラーダイリューション脱毛)
【症状】
淡い毛色(グレーなど)の犬にみられる脱毛。
【原因】
メラニン色素が不均等に毛に分布されることによって毛がちぎれやすくなる遺伝性疾患。
【備考】
毛が抜けるのではなく、毛がちぎれることによって局所的に被毛が薄くなっているように見える。
黒色被毛形成異常
【症状】
黒色の被毛にみられる脱毛。
【原因】
毛根部でメラニン色素を毛に送り込む機能に異常が発生する遺伝性疾患。
【備考】
メラニン色素が過剰な部分は毛がちぎれやすくなる。生後1ヵ月齢になると徐々に脱毛が始まる。
パターン脱毛症
【症状】
耳、首、鼻先、胸部、腹部、内股、尾などの左右対称性脱毛。年齢とともに脱毛は進行する。
【原因】
遺伝性疾患である可能性が高いが、正確なメカニズムは解明されていない。
【備考】
犬種によって発症年齢と発生部位に特徴がある。ヨークシャー・テリアでは6ヵ月~3歳に鼻、耳介外側全体、四肢、尾に発生。ダックスフント、チワワ、トイプードル、イタリアン・グレーハウンド、ミニチュア・ピンシャーでは6ヵ月~9ヵ月に耳介外側全体のみ、あるいは複数の箇所に発生する場合がある。
まとめ
愛犬に脱毛が見られても、大げさに考えない方もいるかもしれません。しかし、内分泌疾患などの病気を放置すれば、治療による効果が低下する可能性があります。
また、今回は紹介しませんでしたが、痒みを伴う皮膚疾患においても脱毛が起こる場合があります。何か気になることがあれば気軽に動物病院に相談してください。
ちゃんと知ってる?豆柴やティーカッププードルが抱える問題
小さい犬として知られる豆柴やティーカッププードル。とてもかわいく一見すると魅力的な犬種に見えますが、購入を検討する場合は注意しなければいけないことがあります。
お迎えしてから「知らなかった」「こんなはずじゃなかった」とならないように、各犬種がどのような問題を抱えているのかしっかり理解した上でお迎えすることが大切です。
この記事では、豆柴やティーカッププードルと呼ばれる犬について解説します。
豆柴とは
普通の柴犬よりも小型サイズのものを「豆柴」と呼ぶことがあります。柴犬が10〜13kgなのに対し、豆柴は4〜6kgほどとされており、抱っこをすると腕の中にすっぽり収まるサイズです。
日本犬保存会やジャパンケネルクラブでは豆柴という犬種を認めておらず、血統書には「柴犬」と表記されます。一方で、2008年に日本社会福祉愛犬協会(KCジャパン)が世界で初めて豆柴を犬種として認めました。
豆柴よりもさらに小さい犬も
柴犬よりも小さいサイズの犬を豆柴と呼ぶとお伝えしましたが、豆柴よりもさらに小さい極小豆柴や、極小豆柴よりも小さい小豆柴(あずきしば)と呼ばれる犬もいます。
ティーカッププードルとは
プードルは、スタンダード、ミディアム、ミニュチュア、トイの4種類が認められており、ティーカッププードルはトイプードルよりもさらに小さい犬です。ティーカップに入ってしまうくらい小さいことが名前の由来です。
豆柴と同様、正式な品種として認められていないため血統書にはトイプードルと記載されますが、一般的には体高25cm未満、体重2kg未満のトイプードルをティーカッププードルとするようです。
ティーカッププードルよりさらに小さい個体はマイクロティーカッププードルと呼ばれ、こちらも一部の愛好家の間で人気を誇っています。
なぜ人気なのか
豆柴やティーカッププードルは多くの団体で犬種として認められていないにもかかわらず、ブリーダーによっては100万円以上もすることがあるほど人気の犬です。
では、一体豆柴やティーカッププードルにはどのような魅力があるのでしょうか?
小さくてかわいい
これらの犬を最初に見た時に「小さくてかわいい」という印象を多くの人が受けるでしょう。実際、人は小さな動物に惹かれる傾向があるため、これらの反応は決して間違ってはいません。
SNSにもたくさんの写真がアップされており、かわいい犬の姿を見ることができます。
小さくて飼育スペースが小さくて済む
土地の高い都心部では、大型犬を飼うほどのスペースの確保が難しく、基本的には小型犬、それもより小さい方が望ましいと考える人が多い傾向にあります。マンションなどでは「大型犬はNGだけど小型犬なら良い」というところも少なくありません。
また、体が小さいと運動量も少なく済むため、共働きの家でも飼いやすそうと考える人もいるかもしれません。
どのような問題がある?
豆柴とティーカッププードルの特徴や魅力についてお伝えしてきましたが、実は決して目を逸らしてはいけない多くの問題を抱えています。
これらを知らずに飼ってしまうと、健康面の不安や後悔が生じてしまうこともあるかもしれません。もし、飼うことを検討しているならば、まずはその犬の背景についてしっかり理解し、起こり得るリスクがあっても一生愛情を注ぎ続けられるかどうかを考えることが大切です。
※以下の内容は、すべてのブリーダーが当てはまるわけではありません。
1. 成長すると大きくなる可能性がある
豆柴やティーカッププードルは、基本的には体が小さい個体同士を掛け合わせて誕生させています。
もちろん小さく生まれてくる子もいますが、成長するに従って通常の柴犬やトイプードルに近い大きさになってしまう場合があります。どのくらいの大きさになるかわからないため、成長したら思ったより大きくなってしまったということもあるでしょう。
家のスペースの都合で豆柴やティーカッププードルなどの小型犬しか飼えない場合、不都合が生じてしまうかもしれません。もしこれらの犬を飼うのであれば、予想よりも大きくなってしまう可能性があることを念頭に入れておかなければいけません。
2. 大きさを保つために食事量が十分与えられない可能性がある
栄養が足りなければ、その犬の小ささは保たれるかもしれません。実際、ブリーダーから指示された食事量が極端に少なく、大きくならないように指示されることも少なくないようです。
しかし、栄養が足りなければ、それはただの見かけだけが小さな栄養失調の犬です。サイズを保つために行っていることであっても、それは動物虐待にあたる場合があります。
3. 未熟な状態で生ませることもある
体が大きくならないようにと、本来ならまだ生まれてこない子を帝王切開によって強制的に生ませる悪いブリーダーもいるようです。
未熟な状態で生まれても健康に育つ子ももちろんいますが、病気になりやすくなってしまう子もいます。そうすると、治療費の負担も増えてしまい、予想よりも出費が多くなることも考えられます。
最後に
犬を屋内で飼う人が増え、小型犬が人気になるのは理解できますし、屋内で大型犬を飼うのは厳しいでしょう。しかし、大きさばかりに目がいって、その犬の幸せは考えられているのでしょうか。
これらの犬がスタンダードであると認められないのはそれなりの理由があります。もちろん、すべてのブリーダーが悪質であるというわけではありません。しかし、人気があればあるほど悲しい思いをする犬が増える可能性は高いのが現実。
「見た目がかわいいから」「SNSで映えるから」という理由で飼うのではなく、その犬を本当にご自身が幸せにでき、一生過ごすことができるかどうかを一番に考えるべきです。そして、飼うことを検討しているなら、もしイメージと違う状況になってもしっかり責任を持って最期の時まで愛情を注ぎ続けられるかをよく考えてみてください。
犬にもADHDがある!行動の特徴や接し方のポイントを解説
「ADHD」という言葉自体は近年多くのメディアでも取り上げられているため、聞いたことがある人も多いでしょう。
ADHD当事者の方や、家族や知り合いに当事者がいる方も少なくないのではないでしょうか。
そんな身近になりつつあるADHDですが、犬でも発症し得ることをご存知でしょうか?
今回の記事では、犬のADHDについて、特徴や飼育環境の見直しポイント、接し方について詳しく解説します。
そもそもADHDとは?
特徴
ADHDとは、「注意欠如・多動性障害」とも呼ばれ、いわゆる発達障害のひとつに分類されています。
主に、「不注意」、「多動性(じっとしていられない)」、「衝動性(思いつきで行動してしまう)」などの症状が見られます。
ADHDと一口に言っても、特徴や程度は人によって異なりますが、例えば次のような行動が見られます。
- 忘れ物が多い
- 部屋を片付けられない
- 外からの刺激で気が逸らされやすい
- 時間が守れない
- じっとしているのが苦手で、授業中に歩き回る
- 何かに夢中になると、話しかけられても気づかない
- 朝起きられない、過眠
原因
ADHDの原因ははっきりとは分かっていませんが、生まれつき脳の機能がADHD以外の人と異なり、ドーパミンやノルアドレナリン、セロトニンなどの神経伝達物質に偏りが生じることが原因だと考えられています。
ADHDの75%程度が遺伝によるもので、児童期には全体の5~10%程度がADHDであると言われています。
対処の仕方によっては不注意や多動性、衝動性などを緩和することができますが、脳の機能が原因であることから、完全に治すことはできないとされています。
大人になってから初めてADHDと診断されることもありますが、これは後天的にADHDになったのではなく、これまで気づかずに生きてきたのだと考えられます。
犬のADHDの特徴
どのような行動があらわれる?
犬のADHDの場合も、人間と同じく、「不注意」「多動性」「衝動性」が見られます。
- 他の犬と接するとき、興奮しすぎて怪我をするほど強い力で咬みついてしまう。
- 時間を問わず吠え続ける。
- そわそわと休みなく動き続ける。
- 好きなこと(遊びなど)に対しても集中できない。
- 成犬になっても極端に活発で、一度興奮するとなかなか冷静になれない。
- しつけのトレーニングを根気強く行ってもなかなかできるようにならない。
どの犬でも多少はこのような特性を持ちますが、トレーニングをしっかりして、飼育環境を整えているにもかかわらず、こうした行動が顕著に見られる場合は、ADHDの可能性があります。
ADHDになりやすい犬がいる?
フィンランドにおける犬のADHDの研究では、犬の飼い主を対象に行ったアンケート調査を行い、2015年から3年半かけて約1万1千匹分のデータが集まりました。
調査の結果、恐怖、攻撃性、注意の欠如、多動性、衝動性などの行動特性には遺伝的傾向が強いことや、オス犬でより顕著であることなどが分かり、人間のADHDの特徴と類似していることが分かりました。
また、一人ぼっちで留守番をしていることの多い犬は、そうでない犬に比べて多動性や衝動性が高いことも分かりました。
ADHDのような行動が見られても、先天的にそのような特性を持つ場合もあれば、環境によってADHDに似た行動が出やすくなっている場合もあるのです。
ADHDを疑う前に、飼育環境の見直しを
先述した通り、先天的にADHDの犬もいれば、飼育環境が原因でADHDに似た行動が出る犬もいます。
多動性などがあるからと言って、「うちの犬はADHDに違いない」と決めつけるのではなく、一度飼育環境を見直してみましょう。
1. 社会化は十分にできている?
生後4ヶ月齢くらいまでの「社会化期」に、できるだけ多くの犬や人間、環境や生活音などの刺激に触れさせることが重要です。
この時期にあまり刺激を与えないと、成犬になってからずっと、知らない犬や人、音などを過剰に怖がったり、威嚇したりするようになります。
社会化は社会化期に行うことが望ましいですが、成犬になってからでも不可能ではありませんし、社会化トレーニングを行った場合であっても引き続き継続して行うべきと言われています。
もし、社会化ができていない、足りていないと感じたら、少しずつトレーニングをしていきましょう。
2. 運動不足、刺激不足の可能性も
特に、牧羊犬や猟犬などは、もともと激しい運動をすることができ、時には周囲からの刺激に対して強く反応を示す犬です。
こうした犬に対して、十分に運動をさせてあげなかったり、刺激を与えていなかったりすると、ふとした時に制御できないくらい走り回ったり、刺激に対して過剰に威嚇することがあります。
このような行動は衝動性があるようにも見えてしまいますが、犬種の特性を理解し、適切な運動量や刺激量を与えれば、行動が落ち着く場合があります。
3. 犬にストレスがたまりやすい環境になっていないか
適切な運動量もそうですが、家の中の犬の飼育環境はどうでしょうか?
ひとりぼっちの時間が長すぎるのが良くないのはもちろんですが、逆に子供が走り回ったりテレビがつけっぱなしだったりして、犬が落ち着ける時間が少ないのも良くありません。
1日中ケージの中に閉じ込めたり、鎖に繋いだりして行動の自由を制限しすぎることも、犬にとってストレスがかかることです。
犬とのコミュニケーションは適度にとり、犬が落ち着いて過ごせる飼育環境を整えましょう。
ADHDの犬との接し方
飼育環境を整えても犬の多動性や衝動性などが落ち着かない場合は、ADHDの可能性があるかもしれません。
その場合、しつけを厳しくしてもそのような特性がなくなるわけではないので、そのことを理解した上で犬と接する必要があります。
診断を受けて投薬が可能な場合も
動物病院によっては、犬のADHDの検査・診断ができるところがあります。
そこでADHDと診断されれば、人間と同じように投薬によって行動を緩和させることもできますし、投薬をせずに問題行動を抑える方法を相談することもできるでしょう。
特性を理解して接しよう
ADHDの特性を持つ犬を飼う際、しつけがうまくいかなかったり、他の犬に攻撃をしてしまうなど、何かと大変なことも多いでしょう。ですが、それは犬が悪いわけではありません。
飼い主さんが犬の特性を理解して接してあげることで、犬のストレスを減らしたり、トラブルを未然に防ぐことができます。
人間同様、ADHDと一口に言っても犬によって特性が異なるので、それぞれの犬に合った接し方をする必要がありますが、具体的には次のようなポイントを意識しましょう。
①多動性を抑えずにストレスを解消させる
- 運動量が少ないとストレスがたまりやすいので、外で思い切り走って遊ばせる時間を作る。
- 雨が続いて外に行けない時期は、家の中でたくさん遊んであげる。
- 拘束されるのを嫌うので、ケージの中に閉じ込めたり鎖で繋いだりしない。
②散歩中のトラブルを防ぐ
- 他の犬に怪我をさせてしまわないよう、適度な距離をコントロールする。
- 急に道路に飛び出したりしないよう、リードは短く持つ。
③家の中でできること
- 衝動的にいたずらをしてしまうことがあるので、壊されたくないものや危険なものは犬の届くところに置かない。
- トイレ以外のところで粗相してしまう可能性を考えて、布団など洗いにくいものは犬の行動範囲に置かない。
- しつけは厳しくせず、おすわりだけでもできたらたくさん褒めてあげる。
- 外からの刺激に気が散りやすいので、刺激が少なく落ち着ける環境を整える。
まとめ
ADHDは犬でも発症する可能性があり、適切に対応しないと犬にも飼い主にもストレスがかかってしまいます。
ADHDのような行動が見られても、実は社会化がうまくいっていないことや、飼育環境のストレスが原因になっていることもあり、この場合はトレーニングや飼育環境の見直しで改善することができます。
それでもなかなか緩和できない場合、「もしかしたらADHDかもしれない」と考え、犬の特性に合った接し方を考える必要があります。
ひとりで対処するのが難しければ、獣医師やドッグトレーナーに相談することも考えましょう。
シャム猫の色は温度で変化!とっても不思議な仕組みについて
みなさんは「シャム」という種類の猫をご存知ですか?
スラッとした胴体に青い目のついた逆三角形の小さな頭、そして顔や耳、手足の先にポイントカラーがあるのが特徴的な猫で、またの名を「サイアミーズ」とも言います。
とても綺麗で気品のある雰囲気を漂わせる猫として絶大な人気を誇り、キャットショーなどでも毎回上位に入る猫種です。
今回はそんなシャム猫の「色が変わること」について詳しくご紹介します。
シャム猫とは
古代からタイ王国に伝わる猫で、限られた血筋の人たちしか飼うことが許されなかったと言われています。
世に出てからは、たくさんのキャットショーで賞を受賞し、一躍有名になっていきました。
この猫の特徴といえば顔や耳、尻尾や手足だけ色が濃いことです。この色の濃くなっている部分のことを「ポインテッド」と言い、この色のことを「ポイントカラー」と言います。
シャム猫に関する言い伝え
タイには次のようなシャム猫に関する言い伝えが存在します。
シャム猫の夫婦をある僧侶が飼っていた。
ところが、しばらくその僧侶が旅に出るので、シャム猫夫婦に仏様の像を守るように言いつけた。
そこで、2匹は朝も夜も仏様の前から離れず、尾を仏様に巻き付け、夜も目を凝らして闇を見つめ、仏様を守った。
その僧侶が帰ってきた時には、目は赤く、尾はくるりと回り、声もしわがれ、顔も黒くなっていたという。
(保育社カラーブックス「ねこ」より)
シャム猫の忠誠心とハスキーな声、特徴的なポイントカラー、そして色が変わることについての逸話ですね。ちょっとかわいそうになる話ではありますが…。
シャム猫のポイントカラー
ポイントカラーには、以下の4つの種類があります。
- チョコレートポイント
- シールポイント
- ライラックポイント
- ブルーポイント
シャム猫のポイントカラーは母猫、父猫から受け継ぐ遺伝子の組み合わせによって決まります。
なぜ色が違うのか?
なぜシャム猫は、特定の部分だけ色が濃く変わるのでしょうか?
その理由は、シャム猫がサイアミーズ遺伝子という遺伝子をもっているからです。
このサイアミーズ遺伝子は、毛の色の色素の発現を抑えて白に近い色にする働きがあります。しかし、この働きは体温の低いところではうまく働きません。
そのため、シャム猫は体温の低い鼻先や耳、手足、尻尾などの身体の先端部分だけ濃い色に変わり、それ以外の体温の高いところは、白に近いアンティークホワイトのような色になっているのです。
季節・年齢によっても変わる
ここで「温度で変わるのであれば、寒いときや暑いときでも身体の色が変わるのではないか」と思った方、実はその通りなのです。
暑い夏はポイントカラーが薄く変わり、寒い冬はポイントカラーの色が濃く変化します。ただし、シャム猫は短毛で毛も薄いため、あまり寒い環境下におかないように注意しましょう。
また、ポイントカラーの色味は年齢によっても変わります。実は、生まれてきたばかりの時は体温が高いので真っ白なのです。月日が経つとポインテッドが現れて、年齢を重ねるごとにその色は濃く変わっていき、そしてその範囲も広がっていきます。
目の色が青いのはなぜ?
シャム猫の瞳は澄んでいて、とても綺麗な青色をしていますよね。このような色はあまり他の猫種には見られません。では、なぜこのような色になるのかというと、これもサイアミーズ遺伝子が関係しているのです。
先ほども述べたとおり、サイアミーズ遺伝子は色素の発現を抑えます。
その働きは瞳にも現れます。温度の高い眼球において瞳の色が発現するのを抑えるため、あのような綺麗に澄んだ青色になるのです。
肉球・鼻鏡の色も!?
また、ポインテッドの色を決める遺伝子は肉球や鼻鏡(鼻先の皮膚の部分)にも影響を与えます。
ポイントカラーの色 | 肉球・鼻鏡の色 |
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チョコレートポイント | シナモンピンク |
シールポイント | シナモンブラウン |
ライラックポイント | ラベンダーピンク |
ブルーポイント | スレート |
また、シールポイントなのにシナモンピンクの肉球を持っている子がいたり、ブルーポイントなのにピンクの肉球を持っている子がいることがあります。そのような子は「ミスカラー」と呼ばれて珍しいそうです。
#シャム猫の色変わりすぎ選手権
Teitterのハッシュタグ「#シャム猫の色変わりすぎ選手権」では、飼い主さんたちがシャム猫たちのビフォーアフターの写真を載せて楽しんでいます。Instagramでも「#シャム猫の色変わりすぎ選手権」のハッシュタグがついた投稿が見られるので、こちらもチェックしてみましょう。
生まれたときは白かったから「ミルク」と名付けたのに、ときが経ってみればいつの間にかカフェオレほどの色になっていたなんて子も。本当にびっくりするくらい色が変わっているので、ぜひ確認してみてくださいね。
最後に
多くの方はシャム猫と言うと、体はクリーム色で手足や顔が黒いという特徴を思い浮かべるのではないでしょうか。
今回の記事では、その不思議な模様についての豆知識をご紹介しました。遺伝子の組み合わせによってそれぞれが絶妙な色合いを持ったシャム猫、とても魅力的な猫です。
【犬クイズ】実はダックスフンド以外もかかる!犬の椎間板ヘルニア
この記事では、椎間板ヘルニアの主な原因と予防方法をクイズを通して紹介していきます。
それではさっそく、犬の椎間板ヘルニアクイズにチャレンジしてみましょう!
椎間板ヘルニアは症状が悪化すると脚が麻痺したり、排泄が困難になることがあるため、椎間板ヘルニアのサインに気付いたら早めに獣医師に相談しましょう。
性格については、その子の行動に及ぼす影響があるため、全く影響がないとは言えませんが、一般には先に挙げた3つが特に重要な要因とされています。
大きな段差があるときは自分で歩かせず飼い主さんが抱えてあげてください。また、滑りやすい床も危険です。カーペットやマットを敷いたりと、滑りにくい工夫をしましょう。フローリングには滑り止めワックスなどをかけることをおすすめします。 食事の管理や運動をすることで、肥満によって腰に負担がかかるのを防ぐことができます。
今回はこちらの記事から問題を作成しました。 詳細が知りたい人はこちらも読んでみてください!
実はダックス以外もかかる!犬の椎間板ヘルニアの原因や対策の紹介
【三毛猫クイズ】知っているようで知らない三毛猫の事実
そんな三毛猫ですが、実はその詳しい生態や情報はあまり知られていません。今回はそんな三毛猫について、クイズ形式でご紹介します!
それではさっそく、三毛猫クイズにチャレンジしてみましょう!
日本ではおなじみの三毛猫ですが、三毛猫自体が希少な存在であり、猫のすべての模様のうち4%しかいません。大変珍しいオスの三毛猫は、幸運を招くとして航海安全の守り神とされました。
ちなみに、いくら希少な動物だからといって、三毛猫のオスが特別天然記念物に指定されているわけではありません。
三毛猫って何者?知っているようで知らない三毛猫の事実と遺伝学!
身近で広がる「クローンペット」ビジネス。あなたは賛成派?反対派?
世界に広がるクローンペットの実態

中国の企業「Sinogene」
中国北京の企業である「Sinogene」は、2019年第1四半期時点ですでに20匹のクローン犬を生み出しており、さらに20匹の予約が入っていると明かしました。 中国ではペット産業が急成長を見せており、ペットを飼っている人は推定7800万人、市場規模は165億ドルにもなると言われています。 Sinogeneは、今後5年以内に年間500匹の犬をクローニングできるまでに成長したいと意気込んでいます。また、Sinogeneでは世界で初めて猫のクローニングにも成功しており、世界中から注目が集まっています。日本のクローン技術の実態

ヒトのクローンは規制されている
農林水産省によると、人クローン胚を人、または動物の胎内に移植することは 「ヒトに関するクローン技術等の規制に関する法律(平成12年12月6日法律第146号)」によって禁止されています。動物のクローンは禁止されていない
動物のクローン個体の作製に関しては、「畜産、科学研究、希少種の保護等において、大きな意義を有する一方で人間の倫理の問題等に直接触れるものではないことから、情報公開を進めつつ適宜推進する」(平成9年ライフサイエンスに関する研究開発基本計画)という基本方針が出されています。 社会からの批判は根強くありそうですが、動物のクローニングに関しては法的に禁止されているわけではありません。今後、クローンペットを扱う企業が出てくる可能性は否定できません。クローンペット賛成派の意見

能力の高い働く犬を作り出せる
警察犬や災害救助犬など、強い嗅覚や運動神経を要する犬へのクローン技術の活用が期待されています。 もちろん、クローン技術では犬の訓練等の経験までコピーすることはできないので、クローン犬であっても訓練は必要です。しかし、遺伝的な身体能力の高さはコピーできるので、能力の高い犬を探し出す手間が省けます。愛するペットは何にも変えられない
愛するペットが死んでしまった悲しみは計り知れません。実際にペットのクローン技術を望んでいる人たちは、愛するペットと姿形がそっくりなペットを再び作り出すことで悲しみを少しでも癒したいと考えています。クローンペット反対派の意見

他に救いを求めている命があるのに…
世界中には、飼い主を必要としている動物がたくさんいます。シェルターで暮らしている動物もいれば、飼い主が見つからなくて殺処分されてしまう動物もたくさんいます。 クローンペット反対派の中には、高いお金を払ってペットの「コピー」を新しく作り出すくらいなら、救いを求めている他の動物を世話してほしいという意見があります。自然の摂理に反する
自然の摂理に従えば、動物の命は一度きり。死んでしまえば生き返ることはありません。 もちろんクローンペットは、経験が違えば元のペットと完全に同じペットにはなりません。しかし、全く同じ遺伝子をもった動物を人工的に作り出すことは、自然の摂理に反するのではないかと考える人も多いでしょう。クローニングが失敗する可能性もある
いくら技術が発達していると言っても、必ずクローニングが成功する保証はありません。依頼主が望む通りのクローンペットができなかったり、何らかの障害を伴って生まれた場合、そうしたクローンペットはどうなるのでしょうか。 人間によって作り出されたあげく、うまくいかなければ殺されたり、不幸な運命をたどることになるかもしれません。母犬への負担
クローンペットを生み出すにはまず、ドナー犬の卵子から、DNAが収納されている核を除去します。そして、クローンする元の犬の細胞から核を取り出し、卵子の中に配置します。この卵子が胚となったら、代理母の子宮の中に移します。 これらの過程において、ドナー犬や代理母にかかる負担を懸念する声が上がっています。人の手によって卵子を無理やり取り出されたり移植されたりし、強制的に子供を産まされる犬のことを考えると、人間の自分勝手が許されるべきではない、という意見です。野生化して生態系を壊す可能性
同じ遺伝子をもつ動物を人工的に作り出すのは自然の摂理に反するのではないかという意見をご紹介しましたが、クローンペットが捨てられたり、逃げ出したりして野生化すれば、自然界の生態系を壊すのではないか、という懸念もあります。 犬猫の場合ももちろんですが、今後もしも、クローンペット市場の拡大により、爬虫類や鳥類、魚類など、他の動物のクローンが作られるようになれば、生態系への影響がますます危険視されるでしょう。 これは遺伝子に関わる技術発展において必ず登場する議論ですが、クローン技術が生態系に与える影響は完全には予測できず、取り返しのつかない事態になる可能性もあります。まとめ

純血種の猫がかかりやすい?代表的な遺伝性疾患を5つ紹介
遺伝性疾患とは

近親交配の影響
純血種に遺伝性疾患がつきものである理由は、種の特徴を維持するための近親交配が理由としてあげられます。 近親交配は一度発生した病気の原因遺伝子を排除しにくいこと、特に突然変異の個体を人為的に繁殖する場合は、血筋が濃すぎるために、隠れていた原因遺伝子が顕在化しやすいということもあります。 これは猫に限った話ではなく、犬でも同じです。そのため、猫でも犬でも、ブリーダーさんから譲ってもらう場合は、そのブリーダーさんがどこまで遺伝に関する知識があるのか、きっちりと見極めることが重要になってきます。代表的な遺伝性疾患
赤血球ピルビン酸キナーゼ欠損症

- 運動をしたがらない
- 元気がない、疲れやすい
- 粘膜が青白い(まぶたの裏、口の中など)
- 頻脈
- 貧血
- 脾腫、肝臓腫大
- 黄疸 など
代表的なかかりやすい猫種
アビシニアン、ソマリ、シンガプーラ、ノルウェージャンフォレストキャット、ベンガルなど多発性嚢胞腎(のうほうじん)

- 食欲不振
- 多飲多尿
- 体重減少
代表的なかかりやすい猫種
ペルシャ、アメリカン・ショートヘア、スコティッシュ・フォールド肥大型心筋症

- 息切れ
- 呼吸困難
- 口で息をする
- 咳
代表的ななりやすい猫種
メインクーン、ペルシャ骨軟骨形成不全症

- 関節が腫れる
- 変な歩き方をする
- しっぽが短く変形する
- 足や手を痛がる
- ジャンプなど激しい動きをしなくなる…など
代表的なかかりやすい猫種
スコティッシュフォールド筋ジストロフィー

- 筋肉が硬くなっている
- 筋肉が震えている
- 手足が肥大化している
- 舌が肥大化している
- よだれを垂らしやすい
- 不自然な歩き方…など
代表的なかかりやすい猫種
短毛種、デボンレックス気をつけるべきこと

スコティッシュフォールドの例
スコティッシュフォールドであれば、親が「折れ耳×折れ耳」から生まれた子は高確率で骨軟骨形成不全症になってしまうことがわかっているため、飼う前に両親とも折れ耳でないことを確かめた方が良いでしょう。終わりに
