猫の「3ない運動」で不幸な猫を減らそう!飼う前に考えたい3つのこと
猫の「3ない運動」を聞いたことはありますか?この「3ない運動」は猫を飼う上でとても大切なことがまとめられています。
猫を飼っている人にとっては常識的なことばかりかもしれません。しかし、一部の非常識な人の行動により、不幸な猫がいるのもまた事実です。
今までなんとなく猫を飼っている方も、これから猫を飼おうと思っている方も、猫を不幸にしないためにできることを改めて考えてみましょう。
猫の「3ない運動」とは
猫の「3ない運動」は、福島県がはじめた運動です。猫は繁殖力が非常に強く保健所での引き取り件数が多いため、全ての猫を新しい飼い主に譲渡することは難しく、殺処分せざるを得ない状況が続いています。
そこで、猫の引き取り数や殺処分数を減らすためにも、猫を飼う上で知っておきべきポイントをまとめた以下の「3ない運動」を打ち出しました。
- 出さない
- 捨てない
- 増やさない
それぞれどんな意味なのか、詳しく解説していきます。
①出さない
猫を外に出さず、室内で飼育するようにしましょう。
猫にとって外は危険なことだらけです。主に以下の危険が考えられます。
- 交通事故
- 悪意のある人間からの危害
- 他の猫との喧嘩
- 寄生虫の感染
これらの危険から猫を守るためにも、猫は外に出さない方が安全です。実際、外猫と比較すると室内飼育の猫の寿命は2.5歳ほど長いというデータも出ています。
また、ずっと家の中にいるのはストレスになるのではないかという意見もありますが、猫にとって縄張りのパトロールができないことの方がストレスになります。
②捨てない
猫を遺棄した場合、動物愛護法違反となり、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処せられます。
猫を捨てる人は、誰かいい人に拾ってもらえるようにという思いがあるかもしれません。しかし現実には、空腹や寒さで衰弱死したり、カラスなどの動物に襲われて命を落とすことも珍しくありません。
どうしても飼えなくなったら
家の都合でどうしても飼えなくなってしまった場合、責任を持って新しい飼い主を探しましょう。里親募集のサイトやSNSなど、現在はざまざまな手段があります。
それでも飼い主が見つからない場合は、動物病院や動物愛護団体に相談するのも一つの方法です。
猫を飼う前に
もし、猫を飼いたいと思ったら、本当に最期まで飼えるのか考える必要があります。環境省では、ペットを飼う前に考えるべき10のポイントを掲載しています。
- あなたの住まいはペットを飼える住居ですか?転居や転勤の予定はありませんか?
- あなたの飼いたいペットはあなたのライフスタイルに合っていますか?
- あなたの家族は全員動物を飼うことに賛成していますか?
- 家族に動物に対するアレルギーを持っている人はいませんか?
- 毎日欠かさず世話に時間と手間をかけられますか?
- あなたの体力で世話ができるペットですか?
- 近隣に迷惑をかけないように配慮できますか?
- ペットの一生にかかる費用を考えてみましたか?
- 生涯にわたる計画をたててみましたか?
- 万一、飼えなくなったときのことを考えていますか?
猫を飼うのであれば、最期まで責任を持って幸せにするという覚悟が必要です。
③増やさない
猫は交尾をするとほぼ確実に妊娠する「交尾排卵動物」です。そのため、不妊・去勢手術をしないで他の猫と接触する可能性がある場合、望まない妊娠をしてしまう可能性があります。
手術をせずに複数の猫が同居している場合は、猫が増えすぎて手に負えなくなり「多頭飼育崩壊」が起こる可能性もあります。餌も十分に与えられず、不衛生な場所での暮らしは不幸な猫を生み出してしまいます。
不妊・去勢手術はかわいそうという意見もありますが、望まない妊娠を回避できる以外に、次のようなメリットもあります。
- 発情期のストレスを軽減できる
- 発情期に大きな声で鳴く行為の改善
- トイレ以外での排量を改善
- 生殖器系の病気の予防
手術は全身麻酔が必要となるため、リスクももちろんあります。かかりつけの獣医師とよく相談しながら、愛猫にとって最善の選択をしてあげましょう。
また、室内飼育をしているから手術は必要ないと考える飼い主もいますが、外に逃げ出してしまったときに交尾し妊娠してしまうことも考えられます。完全室内飼育であっても望まない妊娠を避けるために手術を受けることをおすすめします。
最後に
多くの飼い主は飼い猫に幸せになってほしいと考えるでしょう。猫を外に出したり、手術をしないのも、猫のことを考えているからこそなのかもしれません。
しかし、何事にもメリットとデメリットがあります。メリットとデメリットをしっかり把握した上で、猫が幸せになるためにできることを考えてみてはいかがでしょうか。
猫を捨てる行為は犯罪です。捨てられた猫が幸せになることはほとんどないため、もし飼えなくなってしまった場合は責任をもって新しい飼い主を探してください。
【最新研究】注射一回で避妊が可能?猫飼いが気になる研究内容とは
一般的な猫の不妊手術は、全身麻酔のもと、外科的な処置が行われます。そのため、手術をしたほうが良いことは知っているけど、愛猫への負担を考えると手術はしない予定だという方も少なくないでしょう。
しかし、この度、全身麻酔や開腹手術を行わず、注射一回で避妊できる手法が開発されたとする研究が報告されました。
今回は、猫における不妊手術と、一回の注射で不妊効果が得られたことを示した研究内容についてご紹介します。
これまでの不妊手術
これまでは、外科的に生殖器官を摘出することで不妊手術が行われてきました。
開腹手術
全身麻酔をかけた状態で、メスならおへその下あたりを2cmほど開腹し、卵巣のみ、もしくは卵巣と子宮を摘出、オスなら陰嚢を切開して精巣を取り除きます。
手術自体は1~2時間程度で終わるものの、安全性の観点から、1泊か2泊程度の入院をすすめられることが多いです。
腹腔鏡を用いた手術
全身麻酔は使用しますが、開腹することなく、5mmほどの小さな傷が2,3個程度できるのみの手術です。痛みが少なく、場合によっては日帰りも可能です。
しかし、開腹する場合と比べて、手術時間が長くなる可能性や、費用が高くなる傾向があるため、獣医師と事前にしっかり打ち合わせすることが重要です。
手術しないとどうなるの?
一般的に、不妊手術は繁殖の希望がない限りは行った方が良いと言われています。では、不妊手術をしない場合、どのようなリスクがあるのでしょうか。
意図せずに繁殖してしまう
猫は生後数ヶ月から1年程度で繁殖が可能になります。猫は交尾による刺激により排卵が起こる「交尾排卵動物」で、一度の交尾でほぼ確実に妊娠してしまうため、不妊手術をしないと意図せずに繁殖してしまうことがあります。
完全室内飼いをしている場合であっても、猫が脱走した際に交尾・妊娠してしまうことも考えられます。
生殖器系の病気になる確率が上がる
生殖器系の病気は不妊手術により予防または発生率を下げることができます。しかし、手術を行わなければ以下のような疾患のリスクは回避できません。
- 乳腺腫瘍
- 卵巣疾患
- 子宮疾患
- 精巣腫瘍
- 前立腺疾患
発情時にストレスが溜まる
猫は春から夏にかけて、年に2~3回ほど発情期を迎えます。その際に大きな声で鳴いたり、過度に興奮したりする状態が続きます。
発情期に交尾ができないことは、それ自体がストレスになる場合もあります。
不妊手術のリスク
不妊手術は、メリットもありますがデメリットもあります。手術をする場合は、デメリットもよく考え、獣医師と相談しながら進めていくことが大切です。
麻酔のリスク
現行の不妊手術は全身麻酔下で行われます。猫のうち、約0.1%の確率で麻酔事故が起こっているとされており、注射部の腫れだけで済むものもあれば、アナフィラキシーショックを起こして死亡してしまう場合もあります。
数字だけ見れば可能性は低いものの、手術を受ける際は考えなければいけないリスクでもあります。
肥満のリスク
不妊手術を行うと、ホルモンバランスが変化し、基礎代謝が落ちて肥満になってしまうことがあります。
肥満は多くの病気の原因にもなりますので、手術後専用のキャットフードに変えたり、家の中でも十分に運動ができるような環境を作ってあげる必要があります。
注射を一度打つだけで避妊が可能?
これまで、外科的な手術に代わる効果的な長期避妊法は示されていませんでした。しかし、この度ハーバード大学の生殖生物学者デビット・ペピン氏とシンシナティ動物園の研究チームは、一度の注射によってメス猫の避妊が可能となる手法を開発しました。
研究内容
今回の研究の鍵となるのは抗ミュラー管ホルモン(AMH)というホルモンです。発育過程にある極めて初期の卵胞から分泌されるホルモンのことで、卵胞の発育を抑制する働きがあります。
この研究では、猫のAMHの遺伝子を導入したウイルスをメス猫に注射することで、卵胞の発育を抑制し、妊娠しなくなるかどうかを調べました。
実験方法
9匹の性的に成熟したメス猫のうち、3匹ずつ以下の条件の通りにウイルスを注射しました。
- 高濃度のAMH遺伝子をもったウイルスを注射
- 低濃度のAMH遺伝子をもったウイルスを注射
- 遺伝子を含まないウイルスを注射(対象群)
ヘルスモニタリング
注射後、猫の健康状態を評価しました。
身体検査と血液検査は、治療の2週間前、0日目(注射前)、その後1年目までは3ヶ月ごと、その後は6月ごとに行われました。
交配試験
ウイルスを注射されたメスと繁殖力のあるオスと会わせ、交配試験を行い、交尾を行うか、妊娠するかを調べました。
実験結果
身体検査では、重大で有害な所見は観察されませんでした。
また、エストロゲンの数値が対象群と全く変わらなかったことから、何らかの作用により、正常に近い量を分泌してたことがわかりました。
エストロゲンとは
卵胞ホルモンとも呼ばれ、生殖器官を発育、維持させる働きがある。また、筋肉や骨の発達や、内臓脂肪の抑制にも重要な役割を果たす。
交配試験の結果、AMH遺伝子を注射した6匹のメス猫のうち、オス猫と交尾したのは2匹で、どちらも妊娠することはありませんでした。一方で、対象群の3匹はすべて妊娠し、2〜4匹の子猫を出産しました。
考察
今回の実験結果より、AMH遺伝子を投与された猫は、エストロゲンを中心とするホルモン濃度が対象群とほぼ変わらず、健康への悪影響を伴わずに卵胞の発育が抑制されて、交尾が行われても妊娠しないことがわかりました。
また、メス猫における嚢胞性子宮内膜過形成や子宮蓄膿症を予防できる可能性があることも示唆されました。
一度の注射で避妊ができると何が変わる?
今回の研究が実用化された場合、どのようなメリットがあるのでしょうか。
TNR活動における獣医師の負担が減る
TNR活動とは、猫を捕まえて不妊手術を行い、元いた場所に返す活動のことです。
多くの場合はボランティアの人が猫を捕まえ、手術は獣医師が行いますが、獣医師の負担が懸念されています。注射一本で不妊が可能になれば獣医師の負担が軽減され、効率的に行えるようになるかもしれません。
手術のリスクを回避できる
全身麻酔や開腹による手術は猫の体に負担がかかり、リスクも伴うため、手術を躊躇している飼い主にとっては新たな選択となるかもしれません。
最後に
今回は、注射一回で避妊ができるかもしれないという研究についてご紹介しました。
不妊手術は猫にとって良いこともありますが、手術のリスクも見逃せません。もし、今回の研究が実用化されれば、より負担がかからずに不妊の効果が得られるでしょう。また、野良猫や地域猫を増やさないためにも獣医師の負担が軽くなることを望みます。
現在はまだ実験段階で、これから大規模な試験が行われるそうです。今後、研究が進んでいくことで、犬への応用もできるようになるかもしれません。この機会にぜひ、ペットの不妊手術について考えてみてはいかがでしょうか。
【獣医師監修】デメリットはほとんどない?子猫の避妊・去勢手術
アメリカではシェルターから譲渡される子猫を中心に、生後8~16週での早期避妊/去勢手術が普及しています。これは譲渡後の繁殖を防止することで猫の殺処分数を減らす目的があり、実際に数字に表れています。
では、日本における猫の避妊/去勢時期はどうでしょう。推奨される年齢はあるのか、さらに早期に手術をする場合のメリットやデメリットはあるのでしょうか。
今回は猫の早期避妊/早期去勢手術について解説します。
日本における猫の避妊/去勢時期
日本の動物病院では、避妊/去勢手術は性成熟後の生後6~9カ月で行うことが多いように思います。
体が小さい、体重が少ない子は麻酔管理が難しく、ある程度成長してからの方が手術が容易となります。しかし、これは獣医師の技術的な部分によるもので、手術自体は生後2~3カ月からでも可能です。
避妊/去勢手術の推奨時期
猫における避妊/去勢手術の推奨時期は特にありません。
繁殖を考えていない場合、あるいは外に出したい場合には望まない妊娠を防ぐためにも子猫のうちに手術を受けさせるのが良いでしょう。
完全屋内飼育でも、万が一の脱走や災害などによる屋外への接触を考えると、子猫のうちの手術の検討はすべきかもしれません。
早期避妊/早期去勢のメリットとデメリット
生後8~16週での早期避妊/去勢を不安に感じるかもしれませんが、どんなメリットやデメリットが考えられるのでしょうか。
早期避妊/去勢手術のメリットは?
早期に手術を受けるメリットには以下の通りです。
- 術後の回復が早い
- 精神的なトラウマになりにくい
また、実施時期に関係なく、避妊/去勢手術を行うメリットには以下のものがあります。
- 望まない妊娠を防ぐ
- 外でのケンカの予防
- 病気(特に生殖器疾患)の発生予防
- 問題行動改善への期待
肥満傾向は避妊/去勢手術後で見られる
時期に関係なく、避妊/去勢手術を行うことで、ホルモンバランスの乱れや必要エネルギーの減少などによって体重が増えやすくなります。手術後は手術前以上にしっかりと運動する機会を作るなど、肥満にならないような対策が必要となります。
尿道閉塞を起こしやすくなる?
猫の場合、早期去勢手術により尿道の発達が未熟となり、将来的に尿道閉塞を起こしやすくなると言われていました。
しかし、現在ではこれは否定されており、去勢時期による尿道閉塞の発生頻度に差はないという研究結果が出ています。
長骨(橈骨や大腿骨など)成長板の閉鎖遅延が起こる?
卵巣や精巣から分泌されるホルモンには、骨の成長板を閉鎖させる作用があります。ヒトでも性ホルモンが分泌され始める思春期に骨の成長は止まります。
早期の避妊/去勢手術によって成長板の閉鎖が遅れ、成長に影響が出るのではないかという意見がありました。しかし、これも現在では問題ないという研究結果が出ています。
早期避妊/去勢手術のデメリットは?
これらのことから猫においては早期の避妊/去勢手術は、術後におけるデメリットはほとんど無いと言ってもいいかもしれません。太りやすいことぐらいでしょうか。
犬では早期に避妊/去勢手術を行うことで、犬種によっては特定の疾患の発生リスクが増大するという報告がありますが、猫ではそういった報告は今のところありません。しかし、麻酔や手術の難度が上がるため、早期避妊/去勢手術のに慣れている病院で行うことが推奨されます。
かかりつけの動物病院が早期の手術に対応しているかは、事前に確認しておくといいでしょう。
成猫/高齢猫での避妊/去勢のメリットとデメリット
子猫の時期を過ぎてからの避妊/去勢手術についても触れておきましょう。
動物病院から避妊/去勢手術を勧められるのは子猫の時期ですが、成猫になってからでも手術を行うことは可能です。しかし、子猫の時期に比較してデメリットが目立つようになります。
- 高齢になるにつれて麻酔のリスクが上昇する。
- マーキングなどの問題行動が習慣化されている場合には改善が見られないこともある。
そのため、繁殖を考えていないのなら、早めの避妊/去勢が推奨されます。オスだから予想外の妊娠はしないし、去勢手術は考えていないという方も稀にいらっしゃいますが、猫の殺処分数を減らすためにはオスの去勢手術も重要です。
屋外に出る習慣のある子は、ケンカの抑制や望まない妊娠のリスクを減らすことができるので、早い段階での手術は考慮すべきでしょう。
まとめ
猫における早期避妊/去勢手術は、日本ではあまり馴染みのないように思います。本来であれば、猫と一緒に暮らし始める前に、手術を受けさせるかを考えておくことが一番良いのですが、なかなか難しい部分もあるかもしれません。
この記事が、早い時期に手術を受けさせようか悩んでいる方の助けになれば幸いです。猫にとって一番良いのは何なのかをぜひ考えてあげてください。
【獣医師監修】犬の早期避妊・去勢手術のメリット・デメリット
近年では生殖器疾患の発生予防や問題行動の改善などの観点から、犬における避妊手術や去勢手術が一般的になっています。
アメリカではシェルターから譲渡される子犬に早期の避妊/去勢手術が施され、譲渡後の繁殖を抑えることで犬の殺処分数を減少させた実績があります。また、アメリカでは生後8~16週に行う早期避妊手術や早期去勢手術が普及していますが、日本ではまだ馴染みが薄いようです。
では、避妊手術/去勢手術を行うのに最適な時期とはいつなのでしょうか。そして、早期に手術を行うことで、子犬の身体への影響はないのでしょうか。
今回は犬の早期避妊/去勢におけるメリットとデメリットについて解説します。
日本における避妊手術と去勢手術
日本の動物病院では性成熟後の生後7ヵ月以降に手術を行うことが多いように思います。手術自体は生後2~3カ月でも可能ですが、性成熟後に行うのは全身麻酔の安定性を考えてのことです。
また、日本では小型犬や超小型犬と呼ばれる犬種が多く飼育されている傾向にあり、これらは乳歯の生え変わりがうまくいかずに乳歯遺残となることが多くあります。乳歯の生え変わりは生後6か月頃に起こるため、万が一乳歯が残ってしまっても性成熟後の避妊/去勢手術で麻酔をかける際に同時に処置できるのも大きな要因となっているのではないでしょうか。
避妊/去勢手術の推奨時期
メスの避妊手術は乳腺腫瘍の発生予防効果が期待でき、これは手術時における発情回数が大きく関わっています。つまり、メスでは初回発情前、あるいは1回目発情と2回目発情の間に手術を行うことが推奨されます。
一方で、オスの去勢手術は実施時期による特定の病気の予防効果は報告されていないため、手術の推奨時期はありません。担当獣医師としっかりと相談の上、加えて後述する手術時期によるメリットとデメリットをよく把握した上で時期を決定すると良いでしょう。
早期避妊/早期去勢のメリットとデメリット
早期であるかそうでないかに関わらず、避妊/去勢手術には主に以下のようなメリットとデメリットがあります。
- 肥満傾向:ホルモンバランスが崩れるので脂肪がつきやすくなる傾向にある
- 生殖器疾患を始めとするいくつかの疾患の予防効果:乳腺腫瘍や子宮蓄膿症(メス)、精巣腫瘍や肛門周囲腺腫など(オス)
- 行動の変化:去勢手術におけるマーキングの減少、攻撃性の抑制など
早期避妊/早期去勢のメリット
生後8~16週における早期の避妊/去勢手術のメリットを見ていきましょう。
アメリカでこれらが普及しているのは、子犬の譲渡における望まない妊娠を避けるためですが、それ以外にもメリットはあるのでしょうか。
メリット1. 問題行動(マーキングなど)が習慣化する前に抑制できる
マーキングなど、犬と一緒に生活する上で困る一部の問題行動は卵巣や精巣から分泌されるホルモンに誘発されます。
これらの行動が習慣化した後に手術を行っても、その行動が減少あるいは消失することは難しいかもしれませんが、問題となる行動が起こる前に性腺除去手術を行うことで、習慣化を防ぐことができます。
メリット2. 術後の回復が早い、トラウマになりにくい
若齢の方が術創の回復が早いと言われています。
また、手術で怖い思いをした時に、トラウマになりにくいとも言われています。動物病院や獣医師を嫌いになりにくいのは、今後動物病院にかかるときにストレスが少なくなる可能性が考えられます。
早期避妊/早期去勢のデメリット
デメリット1. 犬種(特に大型犬)によっては特定の疾患のリスクが増大する
早期避妊/早期去勢手術は骨関節の発達に影響があることが報告されています。特に、大型犬における影響は大きく、多くの犬種で股関節異形成や前十字靭帯断裂のリスク増大が問題となります。
そのため、大型犬など特定の犬種では、乳腺腫瘍の予防効果を考えて発情前に避妊手術を行うことを基本としながらも、他の疾患リスクも考慮しなければならないとされています。
現在報告されている、犬種別の早期避妊/早期去勢手術による疾患の発生リスクについて表にまとめます。
犬種 | 早期避妊/早期去勢のリスク |
---|---|
ゴールデンレトリーバー | 12カ月齢未満の去勢でリンパ腫、股関節異形成、前十字靭帯断裂のリスク増大 12カ月齢未満の避妊で前十字靭帯断裂のリスク増大 |
ラブラドールレトリバー | 6カ月未満の去勢で肘異形成、前十字靭帯断裂のリスク増大 2歳未満の避妊で股関節異形成のリスク増大 |
ロットワイラー | 12カ月未満の避妊および去勢で骨肉腫のリスク増大 |
ジャーマンシェパード | 12カ月齢未満の避妊および去勢で前十字靭帯断裂のリスク増大 メスでは尿失禁のリスクも増大 |
ビーグル | 12カ月齢未満の去勢で関節障害のリスク増大 |
バーニーズマウンテンドッグ | 12カ月齢未満の去勢で関節障害のリスク増大 |
ボストンテリア | 12カ月齢未満の去勢で悪性腫瘍のリスク増大 |
ボクサー | 2歳未満の避妊および去勢で悪性腫瘍のリスク増大 |
コッカースパニエル | 6カ月未満の去勢で関節障害のリスク増大 2歳未満の避妊で肥満細胞腫などの悪性腫瘍のリスク増大 |
コリー | 12カ月齢未満の避妊で尿失禁、悪性腫瘍のリスク増大 |
コーギー | 6カ月未満の去勢で椎間板ヘルニアのリスク増大 |
ミニチュアプードル | 12カ月齢未満の去勢で関節障害のリスク増大 |
スタンダードプードル | 2歳未満の去勢で悪性腫瘍のリスク増大 |
シェルティー | 2歳未満の避妊で尿失禁のリスク増大 |
シーズー | 2歳未満の避妊で悪性腫瘍のリスク増大 |
雑種20~39kg | 12カ月齢未満の避妊および去勢で関節障害のリスク増大 |
デメリット2. メスでは早期避妊手術によって攻撃性が大きくなることがある
一般的にメス犬は何回か発情を経験することによって雄性行動を抑制しています。
これがなくなることから雄性行動である攻撃が発現すると考えられています。
成犬や高齢犬における避妊/去勢手術
子犬の時期に避妊/去勢手術を行わないといけない、ということはありません。
愛犬に手術を受けさせるということは大きな決断です。愛犬が大きくなってから手術を受けさせることもあるかもしれませんが、子犬の時と比較してメリットやデメリットはどんなものがあるのでしょうか。
メリット
最大のメリットは、子供を残すか十分検討できることです。
特に同居犬同士で繁殖させたいという希望がある場合には、避妊/去勢手術を行うべきではありません。当然ですが手術した後に生殖機能を戻すことはできません。
デメリット
デメリット1. 麻酔のリスクが高くなる
高齢になるに従って麻酔のリスクは上がります。特に、他に病気を患っている場合には、全身麻酔は危険です。
大きな理由もなく避妊や去勢手術を受けさせることはやめましょう。
デメリット2. 乳腺腫瘍などの疾患の予防効果が低下する
メスの避妊手術における乳腺腫瘍の予防効果は、何度か発情を経験した後では小さくなります。
病気の予防を目的とするなら、子犬の時期に手術を行った方がいいでしょう。
デメリット3. マーキングなどの行動が習慣化している場合、手術をしても行動が消失しないことがある
早期避妊/去勢手術におけるメリットの項で述べましたが、問題行動改善の目的で手術を受けても、その行動が習慣化されている場合には効果が薄い可能性があります。
まとめ
早期に避妊/去勢手術を行うことには良い点も悪い点もあるので、かかりつけの獣医師と十分に相談しましょう。
また、体の小さい子の場合には手術に技術を要することもあります。かかりつけの動物病院が早期の手術を行えるのかも確認したほうが良いでしょう。
犬も猫も健康診断を!定期的に受けるたくさんのメリットとは
愛犬、愛猫は動物病院で健康診断を受けていますか?元気に長生きしてもらうためにも、健康診断を定期的に受けることは大変重要です。
今回は、愛犬・愛猫の健康診断のメリットや受診の注意点、コツについて解説します。もし、しばらく健康診断を受けていない場合は、なるべく早く動物病院に相談しましょう。
定期的な健康診断を受けるメリット
健康診断は、病気の早期発見や健康管理に役立ちます。早期発見は早期治療につながり、治療の負担も軽減できる可能性もあるため、普段から健康状態をチェックしておくことが重要です。
病気の早期発見
健康診断を受けると、病気や体調不良を早期に発見しやすくなる点が大きなメリットです。犬や猫は、人間のように言葉で体調不良を伝えられません。元気そうにみえていても、血液検査では異常が現れるケースもあるでしょう。特に猫は体調不良を隠したり、我慢したりする傾向があるため、定期的な健康診断は有効です。
たとえ検査結果の数値が正常範囲内であっても、数値の急激な変化があれば病気の予測もしやすくなります。「今後は○○の病気の発症リスクが高まるから注意しよう」なども推測できるでしょう。
早期治療につながる
病気が重症になる前に気づけるので、早めに治療に取り掛かれます。その分、愛犬・愛猫への負担も少なくなるでしょう。例えば、進行すると投薬や手術が必要でも発見が早かったため食事療法ですむ、というケースも考えられます。治療費の負担が軽減できるというメリットもあります。
健康なときのデータが集まる
定期的に受けていれば健康なときのデータがそろうため、数値の変化によって病気を発見しやすくなります。
体調不良になって初めて血液検査をするよりも、健康なときのデータと比較することで病気の診断もしやすくなるでしょう。獣医師も、元気なときの表情や行動がチェックできます。健康なときのデータを取っておくことは、健康管理のためにも治療のためにも大変重要です。
何歳から受ければいい?
子犬や子猫は、生後半年くらいから受けるのがいいでしょう。ワクチン接種や避妊・去勢手術のときなどに動物病院に相談してください。
成犬・成猫になってから飼い出した場合は、その時点で動物病院に連れて行って相談しましょう。
受診間隔は?
子犬・子猫から5歳くらいまでは1年に1度、6、7歳になりシニア期に突入したら半年に1度程度がおすすめです。
犬や猫は、人間のおよそ4倍の早さで年を取るといわれており、人間にとっての1年は、犬や猫にとっては4、5年に相当します。
参考
知っておきたい!犬の健康診断|犬・猫の健康診断を推進|Team HOPE (teamhope-f.jp)
知っておきたい!猫の健康診断|犬・猫の健康診断を推進|Team HOPE (teamhope-f.jp)
5年に一度の健康診断と聞くと、「ずいぶん間が空いている」と思うのではないでしょうか。人間と同じように年を取ると、さまざまな変化が生じていくものです。健康診断の間隔は空け過ぎないように注意したいですね。
「1年に一度」、「半年に一度」など健康診断を受ける間隔は、愛犬・愛猫ごとに異なる場合があるので、まずは動物病院で相談してください。
どんな検査があるの?
血液検査や尿・便検査、レントゲン検査などがあります。さらにMRI検査や超音波などを行う場合もあります。その子によって検査項目が異なる場合もあるので、獣医師によく相談しましょう。
健康診断を受けるときの注意点
スムーズに診断を受けるためにも次の点に注意してください。
相談、予約をする
いきなり動物病院に行くのではなく、まずは相談して予約を取ります。獣医師と相談して、検査項目を決めるといいでしょう。動物病院によっては、健康診断パックなどを設定しています。費用についても、よく確認しておきましょう。
愛犬・愛猫の情報をまとめておく
初めて受診する場合は、年齢や性別、品種、ワクチン接種歴、避妊・去勢手術の有無や時期、マイクロチップの有無など、基本的なデータをまとめておきます。
食事量、尿の回数や量、便の回数や状態なども答えられるように用意しておくと安心です。
指示に従う
「朝食を抜く」「尿や便を持参する」など、動物病院の指示には必ず従いましょう。尿や便の採取方法も、あらかじめ確認しておきます。
もしも「うっかりご飯を与えてしまった」などの場合は、速やかに連絡することが大切です。
不安な症状は動画や画像を撮って見せる
「足を引きずるときがある」「よく下痢をする」など、気になることがあったら動画や画像に残しておきましょう。動物病院では症状が出ないときがあるため、動画や画像があると診断に役立ちます。
まとめ
犬や猫が健康診断を定期的に受けると、病気の早期発見、早期治療につながるなどメリットがたくさんあります。犬や猫は体調不良を隠すことが多いため、元気に見えるときも健康管理が欠かせません。元気だから大丈夫と思いこまず、ぜひ定期的な健康診断を受けましょう。
健康診断の内容や受診間隔は、動物病院で相談します。実際に健康診断を受ける際は、必ず指示にしたがってくださいね。
意外と身近な問題だった!多頭飼育崩壊はなぜ起こるのか?
ニュースなどで「多頭飼育崩壊」という言葉を耳にしたことはあるでしょう。狭い部屋に身を寄せ合い何の動物なのかわからないほどの痛々しい姿を見て、胸を痛めている方も多いはずです。
悪徳ブリーダーによる多頭飼育崩壊は絶対に許せませんが、悪意はないものの知識不足が原因で動物が増えてしまい手に負えなくなってしまったというケースも少なくありません。
今回の記事では、多頭飼育崩壊が起こってしまう原因と、多頭飼育崩壊を見かけたときに行うべきことなどについてご紹介します。
多頭飼育崩壊とは
多頭飼育崩壊とは、文字通り、動物を過剰に多頭飼育し、無秩序な飼い方による異常繁殖の結果、飼育が不可能になってしまうことです。英語では「アニマルホーディング」ともいいます。なお、厳密な定義はなく、複数の動物を飼っていても動物の健康状態に問題なければ多頭飼育崩壊とはいいません。
多頭飼育崩壊を防止するため、2019年の法改正により、適正飼育が困難な場合は避妊・去勢手術等を行い繁殖を防止することが義務化されました。
動物の愛護及び管理に関する法律
第三十七条 犬又は猫の所有者は、これらの動物がみだりに繁殖してこれに適正な飼養を受ける機会を与えることが困難となるようなおそれがあると認める場合には、その繁殖を防止するため、生殖を不能にする手術その他の措置を講じなければならない。
もし仮に、多頭飼育崩壊により動物を傷つけたり、みだりに殺した場合、同法律により以下の罰則が設けられています。
第四十四条 愛護動物をみだりに殺し、又は傷つけた者は、五年以下の懲役又は五百万円以下の罰金に処する。
これまでは2年以下の懲役または200万円以下の罰金でしたので、罰則はかなり強化されたといえるでしょう。
多頭飼育崩壊が起こる原因
多頭飼育崩壊は、無責任な繁殖を繰り返す悪徳ブリーダーだけでなく、もともと動物が好きで大切に飼っていた人や、捨て猫を保護していた人が起こしてしまうことも珍しくありません。では、多頭飼育崩壊はなぜ起こってしまうのでしょうか?
無計画な繁殖
多頭飼育崩壊の根本的な原因として、動物の個体数がコントロールされていないことが挙げられます。
避妊・去勢手術を行わないまま飼育を続けていると、知らない間に交配が行われて繁殖してしまいます。特に、猫やウサギは交尾による刺激で排卵が起こる「交尾排卵動物」であり繁殖力がとても強いため、対策を行わないとあっという間に増えてしまいます。
金銭的な問題
動物が繁殖して増えすぎてしまうと、居住場所を清潔に保つことやエサを与え続けることが困難になってくることがあります。そして、手に負えなくなっても、その現状から目を逸らしてしまい、誰かに手を差し伸べられるまで改善できない場合が多いようです。
飼い主の高齢化
飼い主の高齢化により、動物の世話が疎かになってしまうこともあります。こちらの場合も、飼い主の体力がなくなり運動などにも行けなくなる上に、個体数がコントロールされていないため十分な世話が行き届かず、多頭飼育崩壊を引き起こしてしまう可能性があります。
多頭飼育崩壊の問題
では、多頭飼育崩壊が起こるとどのような問題があるのでしょうか?あらためて多頭飼育崩壊で起こる問題点を見てみましょう。
動物の適切な飼育が行われていない
動物の飼育頭数が増え適切な世話ができなくなると、居住場所の衛生状態が悪くなり病気になってしまいます。犬も猫も本来はきれい好きな動物ですので、精神的なストレスも相当なものでしょう。
また、餌の不足により共食いが発生してしまうことも珍しくありません。
近親交配が繰り返される
限定的な空間内で繁殖が繰り返されることにより、奇形の子が生まれてきてしまう可能性が高くなります。奇形の子は生命力が弱く、生まれてすぐ亡くなることも多いです。
近隣住民とのトラブル
多頭飼育崩壊が起こっている家では、いわゆる「ゴミ屋敷」であったり、異臭や騒音が原因で近所の人とトラブルに発展することもあります。場合によっては飼い主の精神的なケアや保護が必要になるケースもあるでしょう。
多頭飼育崩壊を見かけたら
ニュースになるような多頭飼育崩壊は、すでにたくさんの動物が傷つき悲惨な状態である場合が多いです。そうならないためにも多頭飼育崩壊の可能性を感じたら早めの対応が大切です。
「多頭飼育崩壊かもしれない」と思ったら、まずは地域の保健所や動物愛護センターに相談しましょう。警察では柔軟に動けないことが多々ありますが、最初に行政に相談することで、その度合いによって警察と連携を取りながら対応してくれるはずです。
また、住人が高齢や病気などで動物の世話ができないような状態のときは地域の福祉局などに相談するのもいいでしょう。
いずれにせよ、個人で動物の救出などを行ってしまうと、住居侵入罪や窃盗罪などに問われる可能性もありますので、まずは公的機関に相談してください。
まとめ
多頭飼育崩壊を防ぐためにもっとも効果的なのが、避妊・去勢手術をすることです。手術に抵抗がある方もいるかもしませんが、多頭飼育崩壊が起こってしまったら苦しい思いをするのは動物たちだということを理解しましょう。
悪意なく多頭飼育崩壊が起こってしまっている場合、飼い主がそれを自覚できていないケースもあります。
もし、身近に多頭飼育崩壊が起こっていそうな家があったら、まずは行政に相談しましょう。テレビのニュースに取り上げられるような大規模なケースはごく一部で、実際には誰にも知られず、それは静かに起こってしまっているのです。不幸な動物たちが少しでも減るよう、自分の周りにも目を配ってみてください。
【クイズ】犬の避妊・去勢手術のメリットとデメリット
今回は犬の避妊・去勢手術について、メリットやデメリット、術後に気をつけたいことをクイズ形式でご紹介します。
それではさっそく、犬の避妊・去勢手術クイズにチャレンジしてみましょう!
子犬を増やすことは、犬にとって負担になることはもちろん、飼い主にとっても生活環境の整備や経済面で大きな負担がかかります。妊娠を望まないのであれば、避妊手術は重要でしょう。
また、犬の発情は年に1〜2回やってきます。避妊をしなければ、発情期にホルモンの影響でソワソワしたり、不安になるなどのストレス行動が見られます。犬の避妊・去勢手術は「かわいそうだ」という意見もありますが、子犬を増やす予定がないのであれば、手術をしないことで逆に犬のストレスとなることもあるのです。
避妊手術を行う場合、初回発情前だと乳腺腫瘍の予防効果は99%以上、初回発情と2回目発情の間でも約95%の予防効果が得られると言われています。しかし2回目発情後となると、その予防効果は約70%とガクッと落ちてしまいます。
一方で、去勢手術は時期によって病気の予防効果に差が出るわけではないので、焦らない飼い主さんが多いようです。物理的には生後2〜3ヵ月で手術は可能です。また、一般的には去勢手術の方が短時間で行われ、傷口も小さいことが多いです。
また、避妊・去勢手術は全身麻酔で行われます。全身麻酔は犬の体に負担がかかりますので、獣医師とよく相談して手術するようにしましょう。
今回はこちらの記事から問題を作成しました。 詳細が知りたい人はこちらも読んでみてください!
【獣医師監修】犬の避妊・去勢のメリットとデメリット
【獣医師監修】猫の避妊・去勢の4つのメリットと注意点
メリット① 望まない妊娠を回避できる

猫の繁殖能力
猫の発情期は日照時間によって決まり、日が長くなる2〜4月にやってきます。 一方で、猫は交尾排卵動物であり、交尾をすればほぼ確実に妊娠します。これは発情期に限らず、条件(栄養状態、人工光の状態、子育て中でないなど)が揃えば一年中妊娠できるということです。これがヒトや犬と大きく異なる点の一つです。猫の殺処分数
2018年度には全国で10,523頭の成猫と20,234頭の子猫が殺処分されました。これらの数字は、予期せぬ妊娠及び望まない妊娠の数を少なからず反映しています。また、増えすぎた地域猫の数も含まれるでしょう。さくら猫
自治体や公益財団法人どうぶつ基金により、地域猫の避妊や去勢の助成金の申請が行える場合があります。 街中で耳に切れ込みの入った猫を見かけたことはありませんか?これらの猫を「さくら猫」といい、右耳に切れ込みのある猫は去勢済みのオス、左耳に切れ込みのある猫は避妊済みのメスであることを表しています。 飼い猫や地域猫の避妊・去勢の助成金についてはこちらをご覧ください。あなたの町の助成金はいくら?【東京23区内の猫の去勢・不妊手術の助成金(2019年8月現在)】
あなたの町の助成金はいくら?【東京23区外の猫の去勢・不妊手術の助成金(2019年9月現在)】さくら猫についての詳細はこちらの記事もご覧ください。
野良猫の耳が切られているのはなぜ?殺処分の問題に立ち向かうTNR活動とは。
どうぶつ基金 https://www.doubutukikin.or.jp/
メリット② 発情期のストレスを軽減できる

メリット③ 発情期の行動を変えられる

大きな声で鳴くことを改善
発情したメス猫はオスを呼ぶために独特な大きな声で鳴きます。オス猫もまた、他のオスにこっちに来ないよう大きな声で鳴きます。 猫は夜行性なので特に夜に鳴くことが多くなり、一晩中鳴いていることもあります。これは生理的な行動なので、手術をしない限り、叱ってもしつけても直ることはありません。 また、精神安定薬やマタタビを使用することもありますが、猫の健康を考えるとオススメしません。特にマタタビは過剰に与えると呼吸困難に陥ることがあるため注意しましょう。不適切な排尿改善
マーキングのためにトイレ以外の場所で排尿することを減らせます。 特にオス猫は縄張主張のため、尿を後ろに撒き散らす「スプレー」と呼ばれる行動を取ります。ニオイもキツく、飼い主にとっては頭を悩ませる行動の一つですので、手術による改善が期待されます。放浪癖の改善
外にいる他の猫につられて外出することが減ります。 オス猫の場合は攻撃性も減少することがあるので、外に出たとしてもケンカの回数を抑えられるでしょう。メリット④ 生殖器系の病気の予防できる

避妊によって予防できる病気
性ホルモンが影響しているとされている乳腺腫瘍の発生を抑制できます。 また、手術によって卵巣や子宮を摘出するため、メス特有の病気である卵巣疾患や子宮疾患の確実な予防が可能です。去勢によって予防できる病気
精巣摘出によって、精巣腫瘍などの精巣疾患の予防が可能です。 また、性ホルモンによる前立腺疾患の発生率を下げることができます。避妊/去勢手術の推奨時期は?

避妊/去勢の手術について
手術は全身麻酔が必須です。健康な個体でしたら麻酔のリスクは少ないですが、それでも事故が起きる可能性があることは理解しておきましょう。 避妊手術に関しては、動物病院によっては腹腔鏡での手術が可能です。傷口が小さくなるメリットがあるので検討してみてはいかがでしょうか。また、マイクロチップを挿入するなら、麻酔をかけるこの機会に同時に行うことをオススメします。 マイクロチップに関する記事はこちらの記事をご覧ください。【獣医師監修】ペットのマイクロチップ装着を徹底解説!
避妊/去勢手術後の注意点

肥満になりやすくなる
発情にかかるエネルギーが無くなり、代謝が落ちるために太りやすくなります。肥満は糖尿病を始めとする多くの疾患のリスク因子です。 また猫の場合、高い所に飛び上がれなくなるなど、運動量の低下によって肥満が助長されるといったループに陥る可能性があります。 手術をした後は、カロリーを抑えた避妊・去勢後用のフードに変更しましょう。尿石症のリスクが上がる
腎臓や膀胱内で結石が形成され、泌尿器症状を呈するものを尿石症といいます。 特にオス猫では形成された結石が尿道に閉塞する可能性が高いです。さらに避妊・去勢によって内臓脂肪が付きやすい体質になっていると、脂肪で尿道が圧迫されて狭くなり、尿道閉塞のリスクがより高くなります。 避妊・去勢後用のフードには結石ができにくくなる成分が入っているため、肥満防止と同様にフードを変更しましょう。まとめ
