ノネコと野良猫は何が違うの?あいまいな法律の基準と残虐な事件
皆さんは「ノネコ」や「ノイヌ」と呼ばれる犬猫たちをご存じでしょうか。飼い猫や飼い犬、野良猫や野良犬とも異なる存在の彼らは、現在の日本の法律においてひどい虐待や殺害を受ける可能性があり、その生命を守るための署名活動には4万人以上の人々が参加しています。
本記事では、ノネコ・ノイヌの法律の問題と実際にあった事件について取り上げていきます。
「飼い猫」「野良猫」「ノネコ」何が違うの?
「ノネコ」や「ノイヌ」という言葉に聞き馴染みがない方もいらっしゃるかもしれません。人間に飼われている飼い猫と、飼い主がいない野良猫やノネコの違いはわかりやすいですが、同じように飼い主がいない猫でも野良猫とノネコの違いは一体何なのでしょうか。
- 野良猫・野良犬:飼い主の元を離れてはいても、市街地または村落を徘徊している
- ノネコ・ノイヌ:飼い主の元を離れて常時山野等にいて、専ら野生生物を捕食し生息している
(環境省:パブリックコメントにおける主な意見への回答より)
環境省の見解では、生息地域や捕食動物の違いによって「野良猫・野良犬」と「ノネコ・ノイヌ」を区別していますが、この概念は非常にあいまいなのです。なぜなら、ノネコが市街地を徘徊することもあるでしょうし、野良猫が野生動物を捕食することもあるからです。
しかし、同じ猫であっても人間から「ノネコ」と認識されるのか「野良猫」と認識されるのかによって、法律的な扱いに大きな違いが生じます。
- 野良猫・野良犬:「動物愛護管理法」により愛護動物とされ、みだりに殺し、又は傷つけた者は、5年以下の懲役又は500万円以下の罰金が科される。やむを得ず殺処分しなければならない場合は、できる限りその動物に苦痛を与えない方法で行う必要がある。
- ノネコ・ノイヌ:「鳥獣保護管理法」により狩猟鳥獣とされ、肉や毛皮を利用する目的で捕獲、殺傷することが認められている。虐待、虐殺されたとしても違法にはならず、殺傷方法についても明記されていない。
同じ猫や犬であるのに、生息地域やエサの違いで虐待や虐殺の違法性が変わることに、違和感を覚える方も多いのではないでしょうか。また、ノネコやノイヌの中には飼われていたものが捨てられ、野生化した個体も少なくありません。身勝手な人間の行動により、愛護動物だったものが狩猟鳥獣にされるという、とんでもなく理不尽な扱いを受けるのです。
2023年春の残虐な事件
2023年3月、広島県で猫を殺したとして動物愛護法違反容疑で大学院生の男が逮捕されました。その男は文章で表現するのも憚られるような残虐な方法で猫を殺し、その様子を動画投稿サイトに公開していました。その動画は現在非公開になっていますが、約1ヶ月で35万回以上再生されたそうです。
逮捕後に男は「猫を殺したことに間違いないが、愛護動物にあたらないノネコだと思っていた」と供述しています。しかし、被害にあった猫は人に対する警戒心が薄く、体の状態からもノネコではなかった可能性も指摘されています。逮捕された男は、法律や狩猟鳥獣に精通し、法の穴をすり抜けながら動物虐待を楽しんでいたと考えられます。
もちろん、ノネコであるからといって決してむやみに虐殺されて良いわけはありません。ここで考えたいのは、現行の法律のままであれば、捕獲者自身がその動物をノネコやノイヌと判断すれば、どんなに悪質でひどい動物虐待や虐殺でも「狩猟」という名のもとに合法化されてしまう危険性がある、ということです。
狩猟鳥獣からの削除に4万人超の署名が
このような事件をきっかけに、公益財団法人「どうぶつ基金」では、狩猟鳥獣からノネコ・ノイヌの削除を呼びかけ、オンラインで署名活動を行っています。2023年7月の時点で、4万人超の署名が集まっています。
※署名ページはこちらをご覧ください
猫や犬の殺害犯罪をなくすためノネコ、ノイヌを狩猟鳥獣から削除してください – change.org
https://www.change.org/SaveNoneko
ノネコが狩猟鳥獣でなければ、今回のような残虐な事件は起きなかった可能性があります。また、当該動画が非常に多く再生されていたことを考えると、残念ながら似たような思考を持つ人間も少なくないのかもしれません。狩猟鳥獣から削除されることで、悪辣な人間が動物たちに手を出す口実を無くしていくことが重要なのではないでしょうか。
最後に
私たちの一番身近な動物である猫と犬ですが、同じ動物でもノネコやノイヌだった場合、虐待や虐殺されても違法にならないという理不尽な状況におかれています。この状況を変えるために一人ひとりが出来ることを、多くの方に考えていただきたいと思い、今回取り上げました。
そして、その多くが元々は人間に飼われていたペットだったということも忘れてはなりません。人間によって振り回された動物たちの命を、これ以上粗末にすることは許されないのではないでしょうか。
「殺処分ゼロ」犬や猫の楽園か?!トルコの路上で暮らす動物たち
動物福祉の先進国としてはヨーロッパの国々が有名ですが、ヨーロッパとアジアの中間に位置するトルコも、犬や猫に優しい国として知られています。ヨーロッパの保護活動とは異なり、トルコでは路上で暮らす野良犬や野良猫が非常に多く、街の景色に溶け込んでいます。
今回は、そんなトルコの路上で暮らす犬猫たちや、動物保護に関する法律について、ご紹介します。
イスタンブールの路上の犬猫たち
かつてのトルコは、現代のように路上の動物に対して優しい国とは言えませんでした。1990年頃には、路上の犬や猫を駆除するために毒入りのエサを置くことは珍しくなかったほどです。
しかし、2004年に「動物保護法」が可決されると、地方自治体に対して路上で生活する野良犬や野良猫の保護が義務付けられました。
そして現在、トルコの街では至るところで飼い主のいない犬や猫が暮らしています。その中でもイスタンブールは、特に犬や猫に優しい都市として知られています。
トルコと猫の歴史
トルコの国民の大多数が信仰するイスラム教では、猫は非常に愛されています。その理由は、イスラム教の預言者ムハンマドが猫を大変可愛がっていたからで、イスラム教徒にとって猫は「神聖な生き物」とされています。猫の清潔さとムハンマドの影響により、猫たちはトルコのモスクに入ることさえ許されています。
イスタンブールの路上で暮らす猫たちのドキュメンタリー映画
トルコと犬の歴史
イスラム教では猫とは違い、犬は不浄の動物とされ、忌避されています。
1909年にイスタンブールでは、野良犬を捕獲し、マルマラ海にある孤島に約8万頭の野良犬を置き去りにしました。行政側は「犬は適切に世話され、エサも与えられた」と主張しましたが、実際にはほとんどの犬が餓死したと伝えられています。
しかし、その3年後の1912年にマルマラ海沿いで大地震が起こり、トルコの人々はその地震を、犬たちへの仕打ちに対する神からの罰だと考えたと言われています。
それから長い時を経て犬たちに対する意識も変化し、2004年の「動物保護法」により、野良犬たちの生活が保護されるようになりました。具体的には、税金で必要な医療を受けたり、不妊手術や狂犬病ワクチン接種などが行われています。
イスタンブールの路上で暮らす犬たちのドキュメンタリー映画
動物の権利法(Animal Rights Law)の制定
2012年には、「動物福祉のため」という名目で、路上の犬や猫たちを集めてシェルターに収容する法案の提出が検討されました。しかし、動物保護に関心の高い人々は、この法案が犬や猫の殺処分につながる可能性があると懸念し、イスタンブールでは大規模な抗議デモが発生しました。その結果、この法案の可決は見送られました。
そして、2021年には動物愛護法の改正法案が可決されました。この法律は「動物の権利法」とも呼ばれるようになり、動物を「モノ」ではなく「生きている存在」として認め、権利を有することを示しています。
以下に、「動物の権利法」の一部をご紹介します。
- 動物の虐待や殺害を犯した場合、「犯罪者」として懲役刑が科される
- 動物が虐待されていたり、命の危機にさらされている場合、警察が介入できる
- 闘犬や闘鶏などのブラッド・スポーツの開催は「犯罪」とされ、警察の捜査対象となる
- 動物の販売はオンラインのみで行われ、飼い主が引き取るまでの間は自然な環境で飼育する義務がある
- 「動物愛護基金」が設立され、自治体への定期的な金銭的支援が行われる
- 各自治体は予算の1%を動物福祉のために充てるよう義務付けられる
- 路上で暮らす犬や猫の不妊手術や保護は自治体が行う
この法律の可決は、動物愛護団体にとっては悲願の達成でした。動物に優しい国のトルコでも、やはり一部には動物虐待を行う人間が存在し、とりわけ路上で暮らす犬や猫が標的になっていました。
法律が可決されたとはいえ、動物虐待がすぐになくなるわけではありませんが、これまでの法律より一歩も二歩も進んだ内容になっており、路上で暮らす犬猫たちの環境がさらに良くなることが期待されています。
ただし、この法律は動物園や農場などには適用されません。多くの動物を保護するためには、まだまだ課題は残ります。
変わりつつあるトルコの犬猫の状況
しかし、動物愛護団体が悲願としていた「動物の権利法」の可決からわずかな期間を経て、路上で暮らす犬猫たちの状況に影響を与えかねない出来事が起こりました。それは、トルコ南東部の都市、ガズィアンテプで飼われていた2頭のピットブルが4歳の女児を襲い、首や顔に咬みついて重傷を負わせた事故です。
この事故の後、トルコのエルドアン大統領は自身のツイッターで、以下のように述べました。
飼い主のいない動物を路上から取り除き、清潔で安全な環境に移すことは重要な措置だと思います。すべての自治体に対し、市民の安全を確保し、これらの動物たちの命を守るために、迅速な措置を講じるよう要請します。
女児が重傷を負った事故は、野良犬ではなく飼い犬のピットブルによる咬傷事故でした。なぜこの事故が、路上の犬猫たちをシェルターなどに入れることにつながるのか、疑問が生じます。動物愛護団体などはこの発言に抗議していますが、路上で暮らす犬猫たちについてどうするべきか、トルコで巻き起こっている議論はこれからも続いていくでしょう。
まとめ
街中に野良犬や野良猫が自由気ままに暮らすトルコですが、このような光景がこの先も続くのかは不透明です。実際のところ、路上で自由に暮らすことが幸せなのか、家庭やシェルターで守られて暮らすことが幸せなのか、犬や猫に聞いてみないとわかりません。
しかし、トルコのような海外の動物保護の方法を学び、日本ではどのような方法が動物たちにとって最良なのか、これを機に考えてみてはいかがでしょうか。
驚くべき犬のコミュニケーション能力!3つの実験を紹介
犬が非常に優れたコミュニケーション能力を持つ動物であることは、広く知られています。実際に犬を飼っている人なら、その能力の高さに驚かされることも少なくありません。
犬が持つさまざまな能力は、数多くの実験で実証されています。今回は、犬のコミュニケーションに関する3つの実験を紹介します。犬の驚くべき能力の研究について見ていきましょう。
犬は教えなくても人間とのコミュニケーションがとれる!?
アリゾナ大学の研究チームは、平均8.5週齢の子犬375頭を対象にした実験により、「犬は学習せずとも人間との社会的なコミュニケーションが可能である」という結論を導きました。
実験内容
2つのカップを用意し、片方のカップに犬から見えないようにエサを隠します。その後、ジェスチャーによるヒントを与えた場合と与えなかった場合の正解率を検証します。
(参照:https://www.cell.com/current-biology/fulltext/S0960-9822(21)00602-3)
A.エサの入った方のカップを指さす
B.エサの入ったカップの横に黄色い目印を置く
C.指さしも目印の設置も行わない
実験結果
A.「エサの入った方のカップを指さす」の場合は正解率67.4%、B.「エサの入ったカップの横に黄色い目印を置く」の場合は72.4%の確率でエサが入ったカップを選択しています。一方で、C.「指さしも目印の設置も行わない」場合は48.9%と正解率が大幅に低下します。
この結果から、研究チームは「犬は人間のジェスチャーに対して学習に頼らず、幅広い社会化の前や発達初期から強い感受性を示す」と結論付けています。つまり、犬は生まれながらにして、学ばずとも人間とのコミュニケーションをとる能力を持っていると言えます。
野良犬でも人間の指示を理解できる!?
人間の元で飼われている犬たちは、「オスワリ」や「マテ」などの指示に従うことができます。このような人間の指示を理解する能力は、生まれつき備わっているものなのか、それとも人間と共に暮らしていく上で学習したものなのかを明らかにするため、野良犬による実験が行われました。
インドの動物行動学者、アニディンタ・バドラ氏らの研究グループは、野良犬の生態について調査するため、野良犬160頭が人間のジェスチャーを理解できるかを調べる実験を行いました。
実験内容
- 鶏肉をボウルに入れて、野良犬に与える。
- 犬や実験担当者が見ていない場所で、「鶏肉を1切れ入れたボウル」と「鶏肉の匂いだけをつけた空のボウル」を用意し、段ボールでフタをして担当者に渡す。なお、実験担当者の心理が実験結果に影響しないよう、実験担当者にも鶏肉入りのボウルが分からないようにした。
- 実験担当者は地面に置いたボウルの中から、ランダムに片方を指で示すジェスチャーを行う。
- 1頭の犬に対して、実験を3回繰り返し、「犬がボウルに近づいたかどうか」と「犬が近づいたボウルが、人間が指さしたボウルかどうか」を確認する。
実験結果
残念ながら、野良犬のほぼ半数がどちらのボウルにも近づくことができませんでした。バドラ氏は、この理由としてインドにおける狂犬病の危険性や衛生上の問題から、野良犬が人々に叩かれたり追い払われたり、毒入りのエサを与えられたりすることへの警戒心からくるものではないかと述べています。
しかし、ボウルに近づくことができた野良犬の80%は「人間が指さしたボウル」を選びました。こちらは、実験の結果として有意なものとなりました。
この結果からは、犬が訓練を受けずとも、生まれながらにして人間のジェスチャーを理解する能力を持つ可能性が示唆されます。ただし、内気な犬や不安傾向の高い犬は実験ができなかったため、個々の犬の性格が人間の合図を理解する能力にどのような影響を与えるかなど、今後の研究で新たな発見が期待されます。
犬はウソつきを見破れる!?
ウィーン大学の研究チームが発表した論文により、犬は単に人間の指示に従うだけでなく、「人のウソを見破って指示を無視する」ことが明らかになりました。この研究では、260頭の犬に対して、「人間が誤った指示を出している、またはウソをついている」状況下で、犬がどのように行動するのかを調査しました。
実験内容
AとBの2つのバケツを用意し、「エサを隠す人(ハイダー)」がエサをバケツに入れたり、他のバケツに移し替えたりする様子を、犬が目撃できるようにします。「エサの場所を指示する人(コミュニケーター)」は、犬にエサが入ったバケツを教え、中のエサを取るよう指示することを繰り返し、あらかじめ犬がコミュニケーターを信頼できるような工夫を行います。
(参照:https://royalsocietypublishing.org/doi/10.1098/rspb.2021.0906)
- グループ1(誤った指示をするコミュニケーター)
ハイダーがAのバケツにエサを入れ、コミュニケーターが不在にしている間にBのバケツにエサを移す。その後、部屋に戻ったコミュニケーターは「Aのバケツにエサがある」と誤った指示を出す。 -
グループ2(ウソをついているコミュニケーター)
ハイダーがエサをAのバケツからBのバケツへ移し替える様子を、コミュニケーターが犬と一緒に目撃した後、犬に対して「Aのバケツにエサがある」とウソの指示を出す。
実験結果
過去には同様の実験が5歳未満の子供やニホンザル、チンパンジーを対象に行われていました。その結果、グループ1の「誤った指示をする人」を無視する傾向が観察された一方で、グループ2のような「ウソをついている人」には従う傾向が見られました。
同研究チームは、犬を対象にした実験においても、同様の行動が観察されると予想していました。
しかし、実際の実験結果では、犬がグループ2のような「ウソをついている人」を信頼する割合は、グループ1の「誤った指示をする人」を信頼する割合よりも低いことが明らかになりました。
グループ1の「誤った指示をする人」の場合、約半数の犬が指示に従わなかった一方、グループ2の「ウソをついている人」の場合は、その割合が約3分の2とより高くなりました。
グループ1の実験において、約半数の犬が誤った指示に従った理由については、犬が人間の指示を無視するのが困難な点も影響しているのではないかと指摘されています。
これにより、犬は人間を注意深く観察しており、正式なトレーニングの場以外でも常に人間から学んでいる可能性があると考えられます。
まとめ
今回ご紹介した実験から、犬は生まれながらにして人間とコミュニケーションを取る能力を持ち、ウソですら見破る可能性があることがわかりました。
このような犬の能力に関する研究の進展により、私たちは犬の本質をより深く理解し、愛犬との関わり方をより良くできると期待しています。
ギリシャから学ぶ!野良犬と共生する社会
動物愛護先進国というと、ドイツ、スイス、イギリスなどの国を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。これらの国は充実した動物保護施設や制度、動物に関する法律を厳しくするなどの方法で動物たちを守っています。
一方で動物愛護のイメージがあまりないギリシャですが、それら国とは違ったユニークな方法で野良犬たちの保護を実施しています。
今回は、そんなギリシャの動物保護の実情や課題などをご紹介していきます。
野良犬、野良猫と共生する街アテネ
動物愛護に関心があれば「TNR」という言葉をご存じの方も多いのではないでしょうか。
主に野良猫に対して行われている活動で、「Trap(トラップ)=捕獲する」、「Neuter(ニューター)=不妊手術する」、「Return(リターン)=元の場所に帰す」の頭文字を取っています。
不妊手術済みであることがひと目で分かるように耳の先をカットした猫のことを、その耳の形が桜の花びらのように見えることから日本では「さくら猫」と呼ばれています。
ギリシャのアテネでは猫のTNRはもちろんですが、犬のTNR活動も行っています。アテネの街角では飼い主がいない野良犬たちが、自由にくつろいだり、じゃれあって遊んだりする姿が見られるのです。
飼い主がいない野良犬でありながら、同じ青い首輪をしていて、首輪に付いたプレートには、アテネ市が管理している犬であること、勝手に連れ去ることを禁止する旨、犬の名前などが記載されています。
野良犬を管理し見守る社会
「野良犬を自由にさせて、危険ではないのか?」と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、アテネ市では次のような対策を取り、野良犬、野良猫と市民の共生を実現しています。
保護・管理
- 路上などで保護された犬猫はシェルターで保護する
- 予防注射、避妊・去勢手術を行う
- ID番号や保護の履歴などがわかるマイクロチップを装着する
治療・訓練
- 怪我や病気があればシェルターで治療する
- 攻撃的な犬の場合は問題行動を解消するための訓練を受ける
譲渡・見守り
- 譲渡会やアテネ市のウェブサイトで里親を募集する
- 里親が見つからなかった場合は、路上生活で事故に合わないよう交通訓練を行い、元々生活していた場所に戻す
- アテネ市、動物保護団体、地域住民が世話をする地域犬・地域猫となる
きっかけはアテネオリンピック
かつてのギリシャでは、昔の日本と同じように犬猫は放し飼いにされ、不妊手術に対する意識も薄く、子供が産まれてしまった場合は里親を探す、もしくは飼育放棄をしてしまう人もいたそうです。
そんな意識に変化をもたらしたのが、2004年のアテネオリンピック。開催が決定されてから街中にいる野犬たちをどうするかが、大きな問題になりました。アテネ市役所の関係者や市議会では野犬の殺処分を反対する意見が大部分を占めており、保護する方向で議論を進めていくことになりました。
市民の中には殺処分を推進する意見もあり、そういった意見を持つ人々とは地道に話し合い、理解を得られるようにつとめたそうです。また、市内の一部地域で実施された試験的な犬のTNR活動の結果、問題行動が起きなかったこともあり、アテネオリンピック開催時までに犬のTNRが実現出来たのでした。
財政危機を乗り越えて
軌道に乗っていたアテネの動物保護プログラムですが、2009年に起こった財政問題、いわゆる「ギリシャ危機」の影響を大きく受けてしまいます。
行政から割り当てられていた予算は10分の1に削減され、貧困から猫を捨てる人々が増え、猫のTNRにも本格的に取り組まなければならない状況に置かれました。
そんな状況をなんとか乗り越えた最大の要因として、「官民が一体となった動物保護活動」が挙げられます。
財政危機以前は保護プログラムに対する資金が十分にあったため、すでに充実した保護施設や設備が完備されていました。そして、以前は別々に活動していた動物保護団体と行政が、動物保護プログラムを通して連携して活動するシステムが構築されていたことも大きく影響しています。
ギリシャが抱える課題
ここまで、ギリシャの首都アテネの動物保護プログラムを解説してきましたが、ギリシャ全体で見ると、まだまだ課題は多くあります。
2012年、ギリシャ政府は全国の自治体にアテネの動物保護プログラムと同様の取り組みを実施するように指示しましたが、財政危機の影響も色濃く残り、まだ全国的な実施には至っていません。
しかし、外国人観光客が多く訪れるエーゲ海の島々では、そこに移住したドイツやオランダなどの動物愛護先進国と呼ばれる国の人々が主導し、TNR活動を行う動物保護団体も多く存在すると言われています。
まとめ
野犬を保護する、法律を厳しくする以外の「共生する」という選択をしたギリシャ。日本で同じように犬のTNR活動を行うには、法律の改正や一時的な保護施設の整備、動物が苦手な人々の理解など多くの問題があり、実現するにはかなりハードルが高いと言えるかもしれません。
しかし、ギリシャのような選択をした国があると知ることは、動物愛護を考える上で深い学びになるのではないでしょうか。
また、アテネではオリンピックというきっかけがあったとはいえ、動物愛護に行政が深く関わっていることが、野良犬、野良猫と共生する社会を実現できている要因と言えるでしょう。
日本の行政にも、もっと市民や保護団体と連携を取りながら動物愛護に真摯に取り組んで欲しいと切に願います。
野良犬を見つけたらどうする?確認事項や連絡先などを解説!
皆さんは、飼い主に連れられていない、いわゆる「野良犬」や「迷子犬」を見つけたら、どのように対処しますか?
「かわいそうだから保護してあげよう」と思うでしょうか、それとも、「怖いからそのままにしておこう」と思うでしょうか。
野良犬を見つけたら、必要な情報を把握した上で、公的機関に電話することが重要です。
今回の記事では、野良犬を見つけた際に、安全に犬を保護するための適切な対処法を解説します。
「野犬」と「野良犬」の違いは?
「野良犬」とは、飼い主がいない犬のことを言います。一般的に、もともとは人間に飼育されていた犬が、捨てられる、脱走する、災害などで飼い主とはぐれてしまうなどした場合の犬です。
対して「野犬」は、野山で繁殖した野生の犬のことで、多くの場合人間に飼育された経験は持ちません。そのため、人間に対して強い警戒感を示すことが多いようです。
野良犬は迷子犬の場合もある
先述した通り、野良犬はもともと人間に飼育されていた犬なので、脱走などが原因で迷子になってしまった可能性も考えられます。
ですから、「野良犬」と言っても、飼い主がいる場合もあるのです。
野良犬を見つけたらどうする?
野良猫に比べて野良犬はあまり見かけなくなりましたが、野良犬は迷子犬の場合もあるので、見つける可能性はゼロではありません。
では、実際に野良犬を見かけたら、どのように対処すれば良いのでしょうか?
まずは犬の状態をチェック
野良犬を見つけたら、むやみに近づいたり触ったりしようとせず、まずは犬の特徴などを把握します。
次のような事項をチェックし、メモに取りましょう。
- 大きさ(小型犬、中型犬、大型犬)
- 色
- 被毛の長さ
- 犬種(分かれば)
- 首輪・リードの有無や色
- ネームプレート・犬鑑札の有無
- ケガをしていないか、苦しそうにしていないか
- 場所
- 日時
- その場から犬が離れたら、移動した方向
また、スマートフォンなどを持っていれば、写真を撮影しておくのも良いでしょう。
公的機関へ電話を
野良犬の状態が確認できたら、公的機関へ連絡をします。その際、先ほどチェックした犬の状況や場所などの情報をできるだけ詳しく伝えるようにしましょう。
- 警察(地域の警察・交番の番号を調べて連絡しましょう)
- 地域の保健所
- 近くの動物愛護センター
SNSで拡散すれば飼い主が見つかるかも?
公的機関へ連絡をした上で、さらに犬の写真や特徴などをSNSに投稿すると、飼い主が見つかりやすいです。
また、迷い犬専門のサイトもあります。いくつかご紹介するので、参考にしてみてください。
「ハピわん!」
https://www.hapiwan.jp/missingdogs
「Doggo.com」
https://www.dogoo.com/cgi/maigo/lostdog.cgi
マイクロチップが鍵を握る?
先日の法律改正により、マイクロチップの埋め込みが義務化されましたが、マイクロチップが入っていることによって飼い主の元に戻ってくる可能性が高まることは、データでも証明されています。
これからは飼い主のいない野生の犬なのか、飼い主がいた迷い犬なのかの判断がマイクロチップの有無によって行いやすくなるかもしれません。
野良犬は保護されたらどうなる?
まずは飼い主探しをする
野良犬は保護されると、まず、飼い主から捜索願が出ていないか、公的機関で照会が行われます。
そこで飼い主が見つかった場合は、無事飼い主に返還されます。
飼い主が見つからなかったら
一方、もしも飼い主が見つからなかった場合は、保健所や動物愛護センターへと移送されます。
規則に基づいて一定期間収容された後、里親探しが始まり、譲渡会などに出されます。
野良犬を見つけた際の注意点
なるべく近寄らない
上記のように、犬の特徴などは重要な手がかりになりますが、むやみに近づくと咬まれたりする可能性があるため注意が必要です。
特に、野良犬は狂犬病のワクチンを摂取していない恐れがあり、咬まれると大変危険です。
勝手に飼うのはNG
野良犬は迷子になった飼い犬である可能性が高いため、「お世話をしてくれる人がいなくてかわいそうだから」という理由で勝手に飼うのはNGです。
保健所や動物愛護センターなどで保護された後、飼い主が見つからなければ里親探しが始まるので、もし飼いたければその時に手を挙げると良いでしょう。
また、動物愛護センターや保健所に連絡をする時に、「飼い主が見つからなかったら引き取りたい」という旨をきちんと伝えておくと、良いでしょう。
まとめ
今回は、野良犬を見つけた際の適切な対処法についてご紹介しました。
野良犬はそう多くはありませんが、脱走してしまった迷子犬などに遭遇することはあるかもしれません。
その際、むやみに近づいたり、勝手に保護して飼ったりするのはNG。飼い主がいる可能性が高いことや、攻撃されてケガをする恐れがあることを頭に入れて、適切に対処しなければなりません。
少し離れたところから犬の特徴やケガの有無、日時や場所などを確認し、できれば写真を撮って公的機関に連絡しましょう。
今の時代、TwitterなどのSNSや、迷子犬専用のサイトで飼い主が見つかることもあるので、可能であればそういったところからも情報を発信し、飼い主探しができると良いですね。
保護犬の預かりボランティアの役割とは?〜ボランティア経験から学んだこと〜
もう都内ではほぼ見かけなくなった野良犬。しかし、地方では野山で生活をしている野犬がまだまだいます。今回は、そんな野犬たちが産んだ、ある1頭の子犬の一時預かりボランティアをさせてもらった体験談をお届けします。
野犬の子はどのような状態なのか、一時預かりボランティアはどのような役割を担っているのかをご紹介します。生まれて初めて人間と接することになった犬への注意点もお伝えしていますので、初めて犬を飼う方にもお役に立てる内容になっていると思います。
地方の保健所に収容された野犬の子犬
基本的に野犬の子は、産まれてから人間と接触をせずに生きて来た子達がほとんどです。私が出会った子犬たちは、生後6週ぐらいでした。普通なら、まだ母犬や兄弟と一緒に過ごしている時期です。しかし、ある日突然、初めて出会った人間であろう保健所の職員さんに捕まえられ、母犬から離され、保健所に収容されて数日を過ごすことになったのです。
都会で生活していると、野良犬は見かけることが少なくなりました。しかし、こういった野犬たちは、まだ日本にも数多く存在しているというのが実情です。そして、その多くは保健所に収容され、最悪のケースでは、殺処分されることになります。
私が預りボランティアをした野犬の子は、ある保護団体が保健所から引き出したことで、殺処分を免れることができました。当然、人間との信頼関係は全く無く、人間は恐怖の対象でしかありません。兄妹と思われる数頭と一緒に保護されましたが、恐怖で体が硬直し、用意した餌を食べることすらできない子もいました。そんな子犬達のうちの一匹、真っ白なメスの子を我が家で預かることになりました。
初めて人間と一緒に生活する子犬に分かってもらいたかったこと
我が家に来た子犬は、何が起こっているのか分からず、少し困惑しているようでした。しかし、とても疲れていたのでしょう。初めて来た日の夜は、用意してあったゲージの1番奥で寝ていました。
こういった子が里親さんのところで幸せに暮らすためには、まず人間との信頼関係を築くことが必要です。里親さんのところでも同じ様子では、里親さんも不安になってしまいますし、この子自身にも多大なストレスがかかってしまうからです。
そのため、なるべく安心して過ごせるよう、静かに寝かせてあげました。そして、起きたらごはんをあげて、優しく声をかけるようにしました。決して、こちらから無理やり何かをさせることはしません。
すると、2日目には、子犬自らゲージを出て来て、リビングを歩き回って探検し始めました。そんな時、私は極力動かないように、できるだけ静かにして、「すぐそばにはいるけど、君の邪魔をしたり、何か怖いことはしないよ」と伝わるよう努めます。まずは、人間が「怖い存在ではない」ということを分かってもらいたかったのです。
人間は怖くないと思ってもらうために
この子はいずれ、飼い主となる里親さんの家で暮らすことになるので、その時までに「人間と暮らすって良いものだな」と思ってもらうことが、預かりボランティアをしている私の最大のミッションです。少しでも早く、人間への恐怖心をなくし、楽しく人間と過ごせるように、一日一日を大切に過ごす必要があります。
ごはんをあげる時も、お皿からではなく、なるべく手からあげるようにします。しつけ等でも同様ですが、食事の効果は非常に大きいです。いつの間にか「この人はごはんをくれる人だ」というイメージがついて、尻尾も上がり、とてもうれしそうに食べてくれるようになりました。
そして、数日がたち、私に対する恐怖心が取れてくると、すっかり甘えん坊の赤ちゃんワンコになりました(笑)私のそばで無防備に、おなか丸出しの姿で寝てくれた時は「ここは安心できる場所だと思ってくれたんだな」と本当にうれしくなります。
いずれ出会う里親さんのために
私との信頼関係が築けたらそこで終わり、ではありません。私にしか懐かない犬になってしまってはダメなのです。いずれ里親さんとなる方とスムーズに暮らせるようにするために、どんな人とも仲良くなれるようになってもらいたいのです。
そこで、ちょうど親戚が集まった私の実家に連れて行きました。初めての家、初めて会う人間たちに最初は固まっていました。子犬そっちのけでお酒が入って盛り上がっている人たちを興味津々で眺めていたのが印象的です。その日はそこまででしたが、2回目の訪問では、私の兄たちとオモチャで遊べるようになりました。そして、3回目の訪問では、兄にじゃれついて、とても楽しそうに過ごすまでに成長することができました。
実家訪問ではとても良い成長がみられたので、その後も友人宅に連れて行ったり、自宅に知人を招いたりして、さまざまな人と会う経験を重ねて、多くの経験をさせます。しかし、この時も「初めて会う人間でも怖くない」と思ってもらえるように、できるだけ怖がらせないように、嫌な思いをさせないように注意をしています。
いずれ経験するであろうことの予行練習
最後は、これから人間と暮らす生活の中で経験するであろう物事に慣れておいてもらうための予行練習をしていきます。首輪、ハーネス、電車や車などの騒音への適応。経験させたいことは山ほどあります。
最初は、首輪にも違和感があったようで、頻繁に首元をかいていました。首輪に慣れたら、次はハーネスにも慣れるように家の中で着けて、そのまま歩き回る練習を何度もしていきます。そして、抱っこして外に行って、車の音や電車の音など人間社会の見学をして外の雰囲気にも慣れる練習もします。
その他に、シャンプーの練習として、お風呂場で体を少しだけぬらしながらオヤツを食べたりもします。この段階を楽しく過ごせるようになってから、初めてのシャンプーも経験させました。無事に、オヤツを食べながら、特に嫌がることもなくシャンプーすることができました。
運命の里親さんとの出会い
こうして、我が家に来てから一カ月がたった頃、運命の里親さんと譲渡会にて出会うことができました。そのご家族に初めて抱っこされた時、ちょっと緊張気味ではありましたが、すんなりと抱かれていたのが印象的でした。この瞬間は、ここまで多くの人に会わせ、人間に慣らしていったことの成果が現れた時でもあります。
里親さんご家族も子犬を迎え、本当にうれしそうで幸せそうでした。ちょっと寂しくも感じることもありましたが、預かりボランティアとしての役割を果たせた安堵とうれしさの方をより強く感じました。
預かりボランティアで学んだこと
預かりボランティアをしてみて、里親さんとの橋渡しをする責任の重さを実感しました。特に、野犬の子に関しては、預かり中にどこまで人間社会に慣れさせることができるかが、その後の里親さんとの生活に大きく影響します。そのため、私たち預りボランティアの責任は重大です。
しかし、生後3カ月ごろまでと言われる社会化期の子犬は、好奇心を持ってどんどん新しい環境を受け入れていきます。実際に、野犬の子が家庭犬へとどんどん成長していく姿は感動的でしたし、この仕事に非常にやりがいを感じました。幸せな犬と人が増えていくことを願い、小さな命を大切にし、今後も少しずつでもボランティア活動を続けていきたいと思います。
保護犬のボランティア活動とは?全体像を把握して自分なりの携わり方を探そう
犬を飼うにあたり、最近では「保護犬の里親になる」という選択肢も珍しくなくなってきたように思います。
しかし、保健所で殺処分されてしまう犬を減らすためには、里親になる以外にもボランティアとして貢献するという選択肢もあるのです。ですが、実際に「犬の保護活動のボランティアをしている」という人はまだまだ少ないのが現状ではないでしょうか。
そもそも動物の保護活動を行うボランティアには、どのような役割の人たちがいて、何をやっているのか。これらの全体像がつかめないと自分にもボランティアができるのか分からないですよね。そこで、まず犬が保護され、里親募集していく流れと、ボランティアと言われる人たちが何をしているのか全体像をざっくりご説明していきたいと思います。
保健所や動物愛護センターはあくまで一時収容をする場所
まず、迷子犬や野犬(野良犬)など、飼い主不明の犬として保健所に収容された犬たちは一定期間をそこで過ごし、飼い主として名乗り出てくる人が現れるのを待ちます。そして、もし飼い主が現れなかった場合、新たに飼い主になってくれる里親を探すことになります。
その犬の健康状態や人慣れしているか、保健所の状況などによって、保健所で直接里親募集をしたり、地域の動物愛護センターに移って里親募集をしたり、動物保護団体に引き渡されて里親募集をしたりと、その犬の状況によって、飼い主を募集をする窓口が分かれます。
保健所から犬を譲り受ける「引き出し」
いわゆる保護活動のボランティアとは、保健所から犬を引き渡してもらう団体、もしくは個人の人たちのことを指します。保健所に通い、どんな犬が収容されているのかを把握し、その犬をどうやって里親が見つけて行くかを考え、職員さんとお話しをして、里親募集のために犬を引き渡してもらうことを「引き出し」と呼んだりします。
しかし、保健所は誰にでも収容犬を引き渡してはくれません。安心して犬を任せられると判断した団体に限定していたり、ある程度の審査をしたりしているところが多いようです。そのため、引き出しというボランティアは誰でもすぐにできるという訳ではないと言えるでしょう。
「運搬」するだけでも大切なボランティアの仕事
もちろん、保健所から犬を引き出した人がそのまま里親募集をする事もあります。しかし、多くの場合は、ボランティアとしてさまざまな人が協力しあって里親探しをすることになります。
最近では、地方の保健所に多く収容される野犬の里親を都心で探すというケースが増えています。都心に住む人の方が保護犬の里親になろうと考える人が多いからです。そこで、地方の保健所から引き出した子犬を飛行機で運んだり、空港から施設まで車で運んだり「運搬」に関わる所のお手伝いをするボランティアを募集している団体も増えてきています。
保護施設だけでなく、自宅で預かるボランティアも
保護施設にいる犬たちには、毎日餌をあげたり、散歩に連れて行ったり、寝床を掃除する必要があります。そのような保護犬のお世話をするボランティアは人数が必要なので、多くの団体が常にボランティアに参加してくれる人を募集しています。
最近では、犬のお世話といっても、施設でするのではなく、自宅で犬を預かってお世話をする「預かり」というボランティアも増えてきています。たくさんの犬たちと一緒に施設にいるよりも、一般家庭で生活をしている様子をSNSなどのインターネットで情報発信し、里親募集をした方が早く里親が見つかる事もあります。
また、野犬として生きてきたため人間との生活を知らない犬にとって、里親のところに行く前に一般家庭での生活を学ぶ貴重な機会にもなります。
シャンプーやトリミング、ネット関連など自分の得意分野を活かす
日常的な犬のお世話の他にも、さまざまなボランティアとしての関わり方があります。
保護犬をシャンプーしてあげたり、毛をきれいにカットしてあげたりすると、里親希望の方がぐっと増えることがあるので、動物の専門学校などでトリミングを学んだ人やトリマーさんのボランティアは喜ばれることが多いでしょう。
また、保護犬のかわいい写真を撮ったり、SNSなどで里親募集情報を発信したり、メールなどでの問い合わせ対応、譲渡会などのイベント運営なども重要な仕事の一つです。ご自身の得意なこと、できることをボランティアとしてお手伝いしている方々もたくさんいます。
自分ができることを組み合わせてお手伝いしよう
これまでに紹介したボランディアの役割のうち、1つだけを行っている方もいますが、多くの方は複数の役割を兼ねていることが多いように思います。
例えば、ある保護団体にボランティアとして登録し、普段は週1回ぐらいの頻度で施設の犬たちの餌やりや散歩などのボランティアをしているが、子犬が来たら自宅で預かってお世話をする事もあるし、車を持っているので、たまに保護犬の運搬をすることもある、というような感じです。
団体によって考え方はそれぞれ
募集しているボランティアの役割などは保護団体によって異なります。また、施設での犬の管理方法などの考え方、里親募集の仕方なども団体によってさまざまです。まずは保護団体に問い合わせをしてお話しをしてみて、自分ができそうだと思うことをお手伝いしてみましょう。
最初は家庭で不要になった毛布やタオルを寄付したりすることから始めるのもいいと思います。ぜひ、自分のできることをできる範囲でボランティアとしてやってみてくださいね。
- 関東の主な保護団体
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東京都葛飾区 アルマ
http://alma.or.jp -
東京都渋谷区 ランコントレ・ミグノン
https://rencontrer-mignon.org -
東京都世田谷区・神奈川県藤沢市 ピースワンコ・ジャパン
https://peace-wanko.jp -
神奈川県横須賀市 KANAGAWA DOG PROTECTION
http://kdp-satooya.com -
神奈川県横浜市 おーあみ避難所
http://f20km-petrescue.org
http://kdp-satooya.com -
神奈川県愛甲郡 清川しっぽ村
https://shippomura.com