他の犬と遊べるのが理想?犬が苦手な犬はどうする?
愛犬は犬が好きですか?それとも苦手でしょうか?愛犬が犬を苦手としている場合、他の犬と遊べるようになって欲しいと考えたり、慣れてもらうためにドッグランに行ったことがある方も少なくないかもしれません。
今回は、犬と遊べることが理想的なのか、犬が苦手な場合はどうするのが愛犬にとって良いことなのかを解説していきます。
他の犬と遊べるのが良いのか
結論としては、犬と遊べるのが必ずしも良いとは限りません。犬が好きで他の犬と遊ぶことが愛犬にとってポジティブな経験になっている場合は良いでしょう。しかし、ただ犬と遊んでばかりいると弊害が出てくることもあります。
例えば、散歩中に犬を見ると犬と遊びたくて興奮し、吠えや引っ張りが増えてしまう場合、結局は飼い主さんの悩みに繋がります。愛犬も遊びたいのに遊べない、リードを執拗に引っ張られるなどしてストレスがかかるでしょう。
他の犬と遊べる子は、気のすむまで遊ばせるのではなく、飼い主さんの指示が入るようにトレーニングをすることや、興奮しすぎないように遊ぶことが大切です。
犬が苦手な子を犬好きにするのが正解か
他の犬が苦手だという犬の飼い主さんから「犬好きになってほしい」、「他の犬と遊んでほしい」という話をよく聞きます。しかし、それは愛犬の気持ちに寄り添えていると言えるでしょうか。犬はみんな犬が好き、犬と遊べて当然という考えが根強くありますが、決してそんなことはありません。
社会化不足や過去の経験などから犬が苦手な子もいます。犬が苦手な子は犬を好きになるのではなく、それ以上嫌いにならずに犬が周りにいても吠えたり怖がったりしないようにできるといいでしょう。
他の犬への対応で目指したい形
犬が好きな子も苦手な子も、目指したい形は犬が周りいにいても気にせず落ち着いていられる状態です。
犬が好きな子は遊べる時は遊び、遊ばない時はそのまスルーできればOK。犬が苦手な子は吠えたり逃げたりせず、そのまま犬とは関わらず通り過ぎればOKです。
この形に近付けるためのトレーニング方法を紹介します。
トレーニング①呼び戻し
呼び戻しは「おいで」などで教えることも多いトレーニングで、人が呼んだら人の元に来れるようにします。
トレーニングのポイント
どのトレーニングもおやつかフードを使います。愛犬が大好きまたは好きなおやつを多めに用意しておきましょう。また、トレーニングでレベルを上げるタイミングの目安は、練習しているステップが95%以上成功できるようなってからです。
「呼び戻し」トレーニングの方法
①おやつを手に持つ
②刺激の少ない室内で、愛犬が飼い主さんを見ていない時に一度だけ愛犬の名前を呼ぶ
③人に意識が向いても向かなくてもおやつを愛犬のお鼻に持っていき、おやつに気付いてもらう
④気付いてもらえたら愛犬がそのままおやつを嗅いだ状態でおやつを人の足元に移動させる
⑤その場でそのまま愛犬に持っていたおやつをあげる
※この際おすわりやアイコンタクトなどを改めて行う必要はない
⑥ ①~⑤の手順を何度も繰り返し、足元から愛犬が離れないくらいになるまで時間を空けずに行う
⑦ 少しずつ①~⑤の手順の中で③④のおやつで足元まで誘導する手順を減らし、愛犬自ら飼い主さんの足元に来たらおやつをあげる
⑧ ⑦も95%以上完ぺきにできるようになったら、少しずつ周りの刺激をあげる。玄関や自宅を出てすぐの外、庭があれば庭などでも刺激がない状態でできるレベルまで練習を重ねる。室内でリードを付けて練習するのもいいでしょう。
⑨家から離れた外でもできるレベルを目指す。まずは家から少し離れた人や犬、車の通りが少なく外で刺激が少ない場所で練習を重ねる
⑩外で刺激が多いところでも練習を重ねる
他の犬がそばにいるなど刺激が強い時はトレーニングの手順を始めの方に戻し、愛犬ができるレベルで行い可能な限り成功できるようにしましょう。
トレーニング②ハンドターゲット
ハンドターゲットとは、愛犬が鼻で人の手の甲にタッチできるようになるトレーニングです。
「ハンドターゲット」トレーニングの方法
①おやつを親指で持ち、手の甲(掌も可)を静かに犬の顔の側に出し、犬が手の甲(掌)を鼻で触ったら持っているおやつをそのままあげる
② ①を何度も繰り返し、徐々に手を出す位置を顔の側ではなく犬から離れた場所に出しても鼻で触れたら、持っているおやつをあげる
③ ②を繰り返し、2回、3回連続で手を出しても鼻で触れたら、持っているおやつをあげる
連続で手を出す際は、左右など場所を色々変えても触れるようにする
④ これまでと同様に手におやつを持ち、犬を左右どちらか横に来てもらい、犬の顔の高さと同じ位置で進行方向にまっすぐ手を出し、犬が手に鼻で触れたら持っているおやつをあげる
⑤ ④を繰り返し、人が手を出したら鼻で触る流れを何度もやることで、人と一緒に歩く感覚を覚えてもらう
⑥ ⑤ができるようになったら、手を出すタイミングを少しずつ減らす
3、4歩に一回や5、6歩に一回など徐々に手を出すタイミングを減らしていく
トレーニング③社会化と犬慣れ
社会化は生後5か月頃までの子が対象になります。
安全な場所で他の犬が周りにいる状態で安心感を抱きながら過ごす経験を重ねることも非常に大切です。社会化は他の犬とたくさん遊べることよりも、他の犬がいても落ち着いた状態で過ごすことが大切です。
他の犬がどんな状態でも左右されずに自分(愛犬)は落ち着いていられるようになることを目指しましょう。
社会化は生後5か月頃までが最も適している時期と言われていますが、それ以降も愛犬にとって様々な良い経験を重ねることはとても大切です。成犬だからと諦めるのではなく、一日でも早く、多くの良質な経験をさせてあげましょう。
ドッグランは要注意
犬に慣らすためにドッグランを利用する飼い主さんが多いですが、要注意です。ドッグランはどんな犬がいるかわかりません。本当は犬が苦手なのにドッグランに連れてこられている子もいるでしょう。
ドッグランでの咬傷事故や死亡事故も少なくありません。愛犬が他の犬に傷つけられる可能性もあります。実際にドッグランで他の犬に追いかけられてしまい、それ以来犬が苦手になって犬を見ると吠える、散歩時に歩かなくなったというお悩みもよくあります。
犬に慣れてもらいたい場合には、犬の保育園が安全で無理なく犬慣れができる最適な場所でしょう。
まとめ
愛犬が犬を苦手になったのは飼い主さんの選択や飼い方の結果であることが多いです。犬が嫌いというマイナスなイメージから気にしないレベルにするには時間がかかりますが、愛犬の苦手、そしてストレスを減らすために一緒にトレーニングをしてみてはいかがでしょうか。
トレーニングがうまくいかない時はドッグトレーナーに頼むのをおすすめします。失敗が続くと愛犬も正解がわからず混乱し、飼い主さんのお悩みも深くなってしまうかもしれません。
もちろん、何を良しとするかは飼い主さん次第です。愛犬には何が適しているかを考え、愛犬との日々が豊かになる選択をしていただきたいと思います。
災害時にも役立つ!愛犬とやっておきたい「クレートトレーニング」
クレートとは、硬い素材でできた犬や猫などが入れる屋根付きの持ち運び可能なケースのことです。
愛犬がクレートの中でストレスをあまり感じずに過ごせるようになると、おでかけや災害時などに役立ちます。一方で、ご自宅でクレートを使っている方は少ない印象です。
今回は、クレートのメリットと、愛犬がクレートを安心して使えるようになるためのクレートトレーニングの方法をご紹介します。
クレートの4つのメリット
クレートを使うことのメリットは多く、安心して愛犬が使えるようになって欲しいもののひとつです。ここではクレートのメリットを具体的に見ていきます。
①どこにいても落ちつける
クレートが愛犬にとって安心して落ち着ける場所になると、旅行や帰省など自宅以外の場所に行った際にもクレートがあると落ち着きやすくなります。
はじめての場所や慣れていない場所で緊張しやすい子は、安心できる場所があることで精神的な負担も減ります。
②避難時に使える
地震や台風などでいつ避難所生活になるかわかりません。愛犬と一緒に避難所へ行けた場合であってもフリーで過ごせることはあまりなく、クレートやケージに入ることが避難の条件になることも多いようです。
この時にクレートが使えると愛犬も落ち着きやすくなり、同時に飼い主さんも安心できるでしょう。逆に愛犬がクレートに慣れず吠え続けていたら、愛犬も飼い主さんも不安やストレスが増えるだけでなく、周りの人にも迷惑をかけてしまいます。
③車や電車移動でも使える
移動する際にもクレートは使えます。特に車移動で万一事故が起きた際、シートベルトでクレートが固定されていれば、愛犬が飛び出たり直接物がぶつかることも防げます。
電車やバスなどの公共交通機関で使用する際は周りの方への配慮やルールに従うことは必須ですが、周りに多くの人がいたり音がしても、落ち着いて目的地まで行けるでしょう。
④来客時にも使える
家の中でも来客時や掃除中など一定の時間落ち着いて欲しい時もあるでしょう。そのような時にもクレートが使えると、飼い主さんにとって都合が良いことが多いはずです。
クレートの2つのデメリット
メリットの方が多いクレートですが、デメリットも紹介します。
①愛犬がクレートで落ち着けるようになるための練習が必要
「クレートは犬が入る場所」と知っているのは人だけで、犬からすると、はじめは入るのも怖い謎の物体です。怖いイメージから安心して落ち着いて眠れるようになるまでは、個体差はありますが多くのトレーニング時間を要します。
さらに、クレートを動かしたり、周りがどんな状況でも落ち着いていられるようにするにはもっと時間がかかると思っていいでしょう。
しかし、多くの時間をかけてでも慣れた方が後々飼い主さんも愛犬もメリットが多いです。
②持ち運びが大変
クレートは硬い素材でできており、重さも多少はあります。電車移動でクレートを使えるのは小型犬くらいが現実的でしょう。
車移動であれば犬のサイズに関わらず使用できるのでおすすめです。
愛犬に合ったクレートの選び方
クレートを選ぶ際の3つのポイントを紹介します。
①愛犬がフセをしても前脚・後脚がクレートに触れずに伸ばせる
②愛犬が四つ脚で立っても頭がクレートの屋根部分に当たらない
③愛犬がクレート内で水平方向に一回転できる
まずはこの三点を基準に選んでいただき、加えて愛犬が入った状態でクレートを持ち上げた際に、クレートが歪まないかもチェックしたいポイントです。
クレートトレーニングのやり方
クレートに慣れるクレートトレーニングは二段階あります。
一つ目はクレートそのものに入る練習、二つ目はクレートの中で落ち着いていられるようにする練習です。
クレートに入る練習
①愛犬が見ている所でクレート内におやつを置き、そのおやつを目掛けて愛犬が自らクレートに全身入れるように繰り返します。なかなか全身が入らない場合には、クレートの手前におやつを置いて、徐々に全身入れるように目指します。
②愛犬が見ていない時にクレート内におやつを入れておきます。愛犬がそのおやつに自分で気付き、クレートに入っておやつを食べる経験を何度も繰り返します。
この二つの手順を繰り返し、クレートはおやつが食べられる場所と学習してもらいます。
クレートで落ち着く練習
①愛犬がクレートに入ったらフセをしてもらい、おやつをあげます。扉を2、3秒閉めてすぐに扉を開けます。
②少しずつ扉を閉める時間を延ばし、まずは5~15分間入っていられるようにします。その際、クレート内で知育玩具で遊べるようにし、知育玩具遊びが終わる前に扉を開けておきます。
※知育玩具を使用する際は、噛み壊しによる誤飲をしないよう注意しましょう。
③十分な発散をして眠そうなタイミングでクレートに入ってもらい、扉を閉めて少しの時間でもクレートで眠れるようにします。周りの環境も静かで落ち着いた状態にし、愛犬が興奮しないようにします。
愛犬が寝たら、起きる前にクレートの扉を静かに開けておき、愛犬が目を覚ましたらすぐに出られるようにしておきます。
愛犬が好きれあればバスタオルや冬はブランケットなどをクレートに敷くのもおすすめです。ただし、愛犬がタオル類を噛む癖がある場合には、誤飲防止のため敷くのはやめましょう。
④ ③のクレートに入っている時間を徐々に伸ばすことに加え、周りの状況に関わらずクレートに入れば眠れるようにしていきます。
ポイント
各手順を何度も繰り返すことが大切です。数回できたからといってすぐに次の手順に進むと、クレートに対する警戒心が強くなり失敗の原因になります。
クレート練習の注意点
クレート練習をする上で、特に注意したい点をご紹介します。
①クレートの扉をすぐに閉めない
クレート練習を始めて、すんなりクレートに入れた場合もすぐに扉を閉めるのはNGです。クレートに閉じ込められたという印象を与えると、その後クレートを警戒しやすくなります。
扉を閉めるのは、練習を重ねてからにしましょう。
②練習は愛犬のエネルギー消費をしっかりしてから
クレートに入って落ち着いてもらうには、事前のエネルギー消費も大切です。エネルギーが有り余っている時にクレートに入って落ち着いてもらうのは難しいことが多く、クレートから出たいという気持ちが強くなり、失敗しやすいです。
運動やおもちゃ遊びの後にやると、クレート内でも落ち着きやすくなり成功経験を積みやすくなります。
③落ち着ける環境作りも大切
クレートで落ち着く段階の練習になった際は、周りの環境も成功するか否かに影響が出てきます。人が近くを何度も通ったり、来客、大きな音がするなど騒がしいと落ち着きにくくなります。
愛犬が落ち着きやすい環境を作りましょう。
④愛犬が吠える前に扉を開ける
クレート練習が扉を閉める段階まで来た際の注意点です。クレートの扉を閉める際も、愛犬が吠える前に扉を開けて出られるようにしましょう。吠える状態まで扉を閉め続けると、愛犬にとってクレートのイメージがどんどん悪くなります。
愛犬が落ち着いていても扉を開けて出られるようにし、閉じこめられている感を与えないようにするのがおすすめです。
まとめ
愛犬がクレートを使えるとおでかけ時や災害時などにもメリットは多いですが、クレートは購入したら愛犬がすぐに落ち着けるわけではなく練習が必要です。
クレート練習は根気も必要ですが、しっかり練習をすれば愛犬の成長も感じられるはずです。うまくいかない場合は、失敗を繰り返して愛犬も飼い主さんもクレートが嫌になる前にプロのトレーナーを頼るのもいいでしょう。
お出かけや有事に備えて、クレート練習をしてみてはいかがでしょうか。