実は人間の顔は認識できない?猫は飼い主を「音」と「匂い」で認識する
旅行などで猫に会えずにいて、久しぶりに会ったら飼い主なのに警戒されてしまった…という経験はありませんか?
筆者自身、たった数日で忘れられてしまったのだろうか、と驚いたことがあります。少し経ったらいつも通り甘えてくれたので、忘れられたわけではなかったのだなとホッとしました。
犬と違って「猫は人よりも家につく動物だ」と言われていることもあり、驚きつつも納得してしまう一件でした。
今回は、そもそも、普段猫は飼い主をどのように認識しているのか、何を手がかりとしているのかを紹介したいと思います。
聴覚情報で判断する
猫は、聴覚が特に優れている動物です。その能力は犬や人間の3〜4倍とも言われています。
その優れた聴覚で、飼い主の声や、飼い主が出す生活音などを聞き分けて認識しています。
声
猫は、飼い主の声をかなりの確率で聞き分けることができます。実際に実験をしたところ、飼い主が呼びかけたときと、他の人が呼びかけたときで、有意差が出たことが証明されています。
(参考:ツレない猫、答えないけど飼い主の声聞き分ける。科学的に証明)
音
猫は、飼い主の声の他に、飼い主が習慣的に行っている動作で出る生活音なども聞き分けているそうです。
例えば、飼い主が毎日バイクで通勤している場合、猫は飼い主のバイクの音がしたら「どこかに出かけるんだな」または「帰ってきた!」と判断することができます。
よく猫が玄関で出待ちしているという話も聞きますが、これは聴覚からの情報で飼い主が帰って来たことを認識しているからだと言えそうです。
嗅覚情報で判断する
猫同士でコミュニケーションをとるとき、お互いに鼻を近づけて挨拶をします。猫にとってはお互いを識別する際にも嗅覚を使っているため、匂いが重要になっています。
人間に対しても同様で、飼い主の匂いを覚えていて、嗅ぎ慣れたその匂いを嗅ぐと猫は安心します。
飼い主の脱いだままの状態で置いてあった衣服や、お気に入りのクッションなどの上で、飼い猫が丸まって寝るという話はよく聞きます。
反対に、外出して帰宅したとき、飼い猫が買い物袋や飼い主のカバンなどをしきりに嗅ぐのは、嗅ぎ慣れない匂いに警戒している場合が多いと言えそうです。
見た目では判断しづらい?
人間同士では、相手が自分の知っている誰かであると認識するには見た目の情報がかなり重要になってきます。髪型や服装を変えただけでも一見誰だかわからなかった、ということもときどき起こりますよね。
それに対して、猫は、動体視力は抜群なのですが、視力は人間よりも弱く近視傾向です。そのため、よほど近くに寄らない限り顔の細かい造作などはぼんやりとしか認識していない状態です。
猫同士の顔であれば認識することができるようですが、人間に対しては飼い主であっても見た目をきちんと認識しているわけではないため、顔やその他の外見の情報が猫の認識に与える影響は少ないようです。
ネオフォビア(新奇恐怖症)の傾向による?
猫はよく、餌を食べたり食べなかったりする食べムラが激しい動物だと言われます。
新しいものに対する好奇心が旺盛で飽きやすい傾向を「ネオフィリア(新しいもの好き)」、逆に恐怖心を抱きやすい傾向を「ネオフォビア(新奇恐怖症)」と言います。これらの二つの傾向がそれぞれ出たり出なかったりすることによって起こるとも言われています。
ネオフォビアは、聞き慣れない音や嗅ぎ慣れない匂いに対しても引き起こされますが、しばらく会っていなかった飼い主に対して猫が警戒してしまうのは、このネオフォビアの傾向によるものと言えるかもしれません。
新しい匂いや音などに出会うことで、警戒心が引き起こされ、「飼い主だ!」と認識する前に恐怖を感じてしまいます。
久しぶりに会って警戒されてしまったら
例えば、一人暮らしを始めてしばらく経って実家に帰省したとしましょう。久しぶりに会った飼い猫の態度が冷たく、奥に入って出てこなくなってしまった…というとき、できればすぐに思い出してもらって打ち解けたいですよね。
そんなときにどんなことに気をつければいいか、対処の方法を紹介したいと思います。
自分の荷物の匂いを嗅がせる
長く家を離れていたことで、匂いが全く変わってしまっています。
そのため、まずは新しい匂いに慣れてもらうため、猫に自分の荷物を置いておき、その匂いを嗅がせてあげると良いです。
警戒スイッチがオンになっている状態で猫に近づこうとすると、余計に警戒させてしまうため、自分の匂いのついた荷物を嗅がせてあげるとスムーズです。
無理に近づかず普段通り生活する
物陰などに隠れてしまい近寄ってきそうにもない場合は、無理やり遊ぼうとしたりせずに、そっとしておく他ありません。
普段通り生活をして、その生活音を聞き慣れてもらうことを心がけてみると、猫も安心して出て来てくれるようになるかもしれません。
ご飯をあげる
これは猫に限ったことではないですが、猫はご飯をくれる人に懐きやすいです。
あまりにも警戒されっぱなしでは悲しいですよね。積極的にご飯やオヤツをあげて、慣れてもらうというのも一つの手段になりそうです。
終わりに
猫に対しては、音や匂いで特徴づけるということが有効です。もし忘れられてしまった場合は、音と臭いの2点に気をつけてみると良いでしょう。
警戒されてしまったときの対処法に関しては、しばらく会っていない飼い猫に対してだけでなく、新しく猫を飼ったという場合や、初めて会う猫への接し方としてもオススメですので、ぜひ実践してみてください。
野良猫を飼いたい!保護したらどうすればいいの?ポイント3つ
あなたの住んでいる地域に野良猫はいますか?
野良猫は警戒心が強くあまり懐かない印象があるかもしれませんが、猫によってはもともと人に飼われていたりして、懐いてくれることもあります。
たまたま見かけた猫が、怪我をして弱っていたり、まだ子猫なのに親猫の姿が見当たらなかったり。そんな光景を目にすると、放っておくことなんてできないですよね?そのまま、一時的に自分が保護することになるかもしれません。
飼い主も出てこないし、そのまま自分で飼いたいのだけれども、一体何をすればいいの?こんな時に役立つポイントを見ていきましょう。
1、本当に野良猫なの?
野良猫だと思ったけど、あまりにも人懐こいな…という場合、もしかしたらすでに他人が飼っている猫かもしれません。まずは、これらの事をすることになります。
- 警察署へ届け出る(拾得届、保管届)
- 保健所へ飼主の届出がないか確認
- マイクロチップの読取りをしてもらう
首輪がないというだけで判断することはできないのです。飼い猫を無断で連れて帰ってしまったとなると、元の飼い主さんとトラブルになる可能性もあります。
でも、明らかに深刻なダメージを負っていて急を要する場合は動物病院を優先させても良いと思います。治療費は、自分が負担することになりますが、もし飼い主の方がいる場合は、その旨を伝えれば快く支払ってくれるはず…。念のため、領収書はとっておきましょう。
マイクロチップの読み取りって?
首輪がなくても、マイクロチップが挿入されている場合、元の飼い主がわかることがあります。マイクロチップ読み取り機は、動物病院か、各地域の保健所・動物愛護センターに設置されていることが多いです。そこに連れていきましょう。
マイクロチップとは
猫の場合は首の後ろの皮下に埋め込みます。そのチップに搭載された番号を読み取り、その番号で登録された飼い主の情報と照らし合わせることで個体の特定が可能です。
2、動物病院に行こう
諸々含めて、費用はだいたい10,000円以上〜をみておいた方がよいでしょう。外傷の手当などを含む場合はそれより少し多めに考えておくとよいと思います。
- 健康診断(1,500〜2,000円)
- 予防ワクチン摂取(5,000〜8,000円)
- ノミ、ダニの除去(1,500円)
- 猫エイズ・白血病検査(4,000〜5,000円)
- 血液検査(4,000〜5,000円)
- 避妊・去勢手術の相談
- 読取機があれば、マイクロチップ確認
一見、健康そうに見えても、外で暮らす野良猫は寄生虫や病気にかかっていることがあります。メスであれば妊娠の心配も…。早いうちに必ず動物病院に行きましょう。
また、動物病院で診てもらえばだいたいの年齢などもわかります。
3、飼う際の心構え
野良猫のその時の健康状態によっては、とにかく保護することが優先で自分の決心が後回しということがありますよね。
野良猫が無事に元気になってくれたり、懐いてくれたとして、自分はそのまま引き取れるだろうか?ということをきちんと確認しておくといいかもしれません。
費用
飼い始めにかかる費用は、トータルで約30,000〜50,000円をみておくといいでしょう。
- 初診費用(約10,000〜20,000円)
- 避妊・去勢手術(約15,000〜20,000円)
- キャリーケース(約2,000円)
- トイレ(約1,500円)
- その他ブラシなどのグッズ(1,500円〜)
上記の初期費用をのぞいたトイレの猫砂や、毎月の餌代などの月々の費用は約5,000円。さらに注意するべきは、野良猫は何かしらの病気にかかっている可能性が高いということ。飼いたい猫が病気にかかっていたとして、治療費を払うだけの余裕があるかどうかも検討しておかなければなりません。
飼い方
猫を飼うのであれば、病気などの心配も少ない完全室内飼いがおすすめです。とは言っても、もともと野良猫だった猫は室内では落ち着かず、外に出たがるかもしれません。
隙をみてドアや窓から脱走してしまう可能性があるため、脱走防止の対策をしておくと良いでしょう。
先住猫がいる場合は
保護した野良猫から感染症や虫をもらってしまう場合もありますので、必ず部屋を隔離して接触を避けましょう。
寿命
野良猫は外での生活のストレスや、病気などであまり寿命が長くないことが多いです。
元気に回復したと思っても、考えていたより早くお別れが来るかもしれないことを心に留めておくことが必要かもしれません。
飼うことになったら
野良猫は、人慣れしていない場合、最初のうちはなかなか懐かず寂しい思いをすることもあります。
でもそんな緊張関係がほぐれて猫が心を許してくれた瞬間はやっぱりとても嬉しいものです。何より大事なのは、最後まで絶対に面倒をみるという覚悟を決めることです。
大変なことも多いけれど、猫のいる生活を味わってしまえば、もう元には戻られないくらいはまっていくこと間違いなしですよ。