愛猫が幸せに暮らすために!アニマルウェルフェア「5つの自由」とは

アニマルウェルフェア(動物福祉)とは、動物たちが健康的で幸福な生涯を送れるように、人間が彼らの行動欲求を理解し、最善の環境を提供することを目指す考え方です。この考え方では、動物を主体として、動物たちにとっての「幸福」や「快適な生活環境」を重視します。

アニマルウェルフェアにおいて、重要な指針となるのが「5つの自由」です。
この記事では、飼い猫の「5つの自由」について解説しています。愛猫が5つの自由を守られているかチェックしていきましょう。

飼い猫におけるアニマルウェルフェアとは

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昔は猫が放し飼いされ、のんびりと外で過ごす姿が見られましたが、現代では猫の完全室内飼いが推奨されています。外に出さないことで「交通事故」、「感染症」、「動物虐待」などの脅威から猫を守ることができ、完全室内飼いされている猫と、外に出ることがある猫では平均寿命が2~3年程度、室内飼いの猫の方が長くなることがわかっています。

安全な室内にいるため危険が少ないとはいえ、完全室内飼いで自由に外に出られない猫たちは不幸なのでしょうか。

動物行動学の専門家は、「猫は野生時代でも地上と樹上の縦方向の移動が多く、もともと広い範囲を歩き回る動物ではない」と言います。つまり、住環境を整え、適切な飼い方をすれば、猫は室内のみでも快適に暮らすことができる動物なのです。

5つの自由①飢えと渇きからの自由

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猫が幸福に暮らすためには、栄養バランスの取れた食事常に清潔な水を用意することが重要です。

栄養バランスの取れた食事を適量与えられていますか?

猫に与える食事は、適量かつ個々の猫に適した栄養のバランスが取れたものにしましょう。

愛猫に合う食事がわからない方はこちらの記事をご覧ください。
愛猫に合ったフードって?選び方の基本や保存方法を解説

猫に人間の食事を与えていませんか?

人間が食べられる物でも、猫にとっては害となるものがたくさんあり、病気になる恐れもあります。猫に適した食事を与えてあげましょう。

猫に人間の食事を与える害についてはこちらの記事をご覧ください。
猫にはキャットフードを!「ねこまんま」がNGな3つの理由

猫に与えてはいけない食品を与えてはいませんか?

人間が食べても安全な食品でも、猫には有害なものがあります。しっかりと知識をつけて、与えない、盗み食い出来ないように対策しましょう。

猫に与えてはいけない食べ物はこちらの記事をご覧ください。
最低限知っておくべき、危険な食べ物リスト【犬猫版】

猫の健康のために、清潔な水が飲めるようになっていますか?

猫は元々砂漠地帯に住んでいた動物なので、あまり水を飲まない傾向があります。しかし、あまりにも飲水量が少ないと腎臓病やFLUTD(猫下部尿路疾患)などの病気の原因になることもあるため、常に清潔な水を飲めるようにしておくことが重要です。

猫に水を飲ませる方法についてはこちらの記事をご覧ください。
猫に水を飲ませるには?猫の健康のために試したい5つの方法

5つの自由②不快からの自由

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猫が幸福で健康的に暮らすために、快適な環境を作ってあげることが重要です。

猫のトイレは清潔で、その子に合ったものですか?

トイレに不満があると、場合によっては排泄を我慢してしまい体調不良につながる場合があります。可能であれば、飼育している猫の数よりも多くのトイレを用意しましょう。

猫のトイレの環境作りについてはこちらの記事をご覧ください。
満足するトイレとは?猫のしぐさから好みのトイレ環境を探ろう

居住スペースの温度や湿度は適正ですか?

猫にとって、気温22度前後、湿度40〜60%が快適と言われています。猫は比較的暑さには強い動物で、暑いときは毛づくろいをすることで、唾液を蒸発させて体温を下げています。しかし湿度が高い場合、湿気によって水分が蒸発しづらくなり、体温調節が困難になる場合があります。

気温や湿度の対策についてはこちらの記事をご覧ください
【梅雨〜夏】湿気に弱い猫のために。高湿度・高気温の対策まとめ

猫が嫌がることをしていませんか?

猫は感情をわかりやすく表現することが少ないため、機嫌が良いのか悪いのか判断しにくい時があります。無意識のうちに猫が嫌がる行動をしてしまい、ストレスになっているかもしれません。猫の気持ちをくみ取りながら、ストレスを与えないような行動を心掛けましょう。

猫に嫌われるNG行為についてはこちらの記事をご覧ください。
猫と仲良くなるにはどうすればいいの?コツや注意点を解説

5つの自由③痛み・傷害・病気からの自由

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病気の予防や治療、適切な住環境を整えることで、猫が健康に暮らせるように心がけましょう。

病気にならないように健康管理や病気予防はしていますか?

ワクチンや駆除薬の接種をし、猫の健康に注意しながら生活することで、病気の予防や早期発見につながります。

健康管理についてはこちらの記事をご覧ください。
【猫編】ワクチン・駆虫薬で予防できる病気とその他の病気の予防法

誤飲を引き起こすような物は置いてありませんか?

猫の舌はザラザラしているため、単になめているだけであっても口の中に入りやすく、誤飲につながります。誤飲をしやすい小物がないかをチェックしましょう。

誤飲対策についてはこちらの記事をご覧ください
猫の誤飲を予防しよう!日常生活に潜む食べ物以外の危険と対策

5つの自由④恐怖や抑圧からの自由

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猫が安心して暮らせるように、恐怖心やストレスを感じにくい対応を心がけ、環境を整えてあげましょう。

愛猫は臆病な性格ではありませんか?

臆病な性格でストレスを抱えたまま生活すると、猫も幸せな生涯を送ることが難しくなります。猫のストレスを軽減するために、対策をしましょう。

怖がりな猫への接し方についてはこちらの記事をご覧ください。
怖がりな猫にはどう接する?リラックスさせるためにできること

恐怖や不安、ストレスなどの兆候を示していませんか?

猫を飼い慣れていない方や、人に懐きにくい猫であまりスキンシップが取れていない場合、猫のストレスを見逃している場合もあるかもしれません。ストレスサインを見逃さないよう、知識をつけたり、よく観察したりするなどの対策が必要です。

猫のストレスについてはこちらの記事をご覧ください。
おうちの猫、ストレスを抱えていませんか?見られがちな行動と原因、対処法を紹介!

5つの自由⑤正常な行動を表現する自由

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猫にとって正常な行動でも、飼い主にとっては頭の痛い問題になる場合もあります。猫の本能を理解して適切な対応をしてあげてください。

思う存分爪とぎは出来ていますか?

家具やカーペットなどを傷つけ、飼い主を困らせる爪とぎですが、猫にとっては自然な行動です。爪とぎグッズを使ってくれるように誘導するコツをつかみましょう。

猫の爪とぎについてはこちらの記事をご覧ください。
猫が爪とぎをする理由とは?爪とぎグッズ選びのコツや置き場所を解説

狩猟本能を満たしてあげられていますか?

もともと狩りをする動物だった猫には、生まれながらにして狩猟本能が備わっています。飼い主との遊びで狩猟本能を満たして運動不足も解消でき、飼い主とのコミュニケーションにもなります。

狩猟本能を満たす遊びについてはこちらの記事をご覧ください。
猫にはおもちゃや遊びが必要!狩猟本能を刺激してストレス解消を

猫本来の習性を理解していますか?

猫の習性を知らずに飼い主さんがよかれと思ってとった行動も、もしかしたら猫にとってストレスになっているかもしれません。習性をしっかり学び、猫に合った飼い方をしてあげてください。

猫の習性を学ぶにはこちらの記事をご覧ください。
猫はどんな動物?習性や行動に合った飼い方をしているか確認しよう

まとめ

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「5つの自由」について、チェックしてみていかがだったでしょうか。十分ではない点があった場合は、リンク先での記事を参考にし、愛猫のためにも少しずつ改善していきましょう。

この記事によって皆さんの愛猫が幸せな生涯を送るための一助となれば幸いです。

愛犬との暮らしを見直そう!アニマルウェルフェア「5つの自由」とは

アニマルウェルフェアとは、一般的に「動物福祉」と訳され、動物たちが健康的で幸福な生涯を送れるように、人間が彼らの行動欲求を理解し、最善の環境を提供することを目指す考え方です。対象となるのは家畜や動物園の動物、野生動物などの全ての動物です。

そんなアニマルウェルフェアにおいて、「5つの自由」という概念が重要な役割を果たしています。今回は家庭犬における「5つの自由」を解説していきます。皆さんの愛犬の健康と幸福を考える上で、5つの自由が守られているか、チェックしていきましょう。

家庭犬におけるアニマルウェルフェアとは

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ペットは飼い主が可愛がるための動物であるとされていますが、単に可愛がるだけでは、動物のニーズに応え、最適な環境を提供しているとは言えません。人間が飼育する犬たちは、制限された環境で暮らしており、自分自身の行動欲求を満たすことができません。そのため、飼い主には犬たちができる限り快適に、苦痛を受けずに生活できるようにする責任があります。

ただし、犬は人間に非常に距離感が近い動物であるため、我慢を教えずに常に彼らの要求だけを満たしていると、「要求吠え」などの問題が起こり、飼い主のストレスになる場合があります。また、常に要求が通る環境にいて我慢ができない犬は、我慢しなければならない状況に置かれると強いストレスを感じてしまう場合もあります。

したがって、家庭犬の場合は畜産動物や野生動物などと比べると、「犬の要求」と「人間の生活」のバランスが非常に重要になると言えるでしょう。

5つの自由①飢えと渇きからの自由

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犬が幸福に暮らすためには、栄養バランスの取れた食事と常に清潔な水を用意することが重要です。

栄養バランスの取れた食事が適量与えられていますか?

犬に与える食事は、適量かつ栄養のバランスが取れたものを与えるようにしましょう。また、多くの犬は食べることが大好きなので、食べ過ぎて健康を損なわないように注意しましょう。

愛犬に合う食事がわからない方はこちらの記事をご覧ください。
皆が悩むドッグフード選び、ペット栄養管理士が推奨する選び方って?

犬がおねだりをするからといって、人間の食事を与えていませんか?

犬がおねだりをして、人間の食事をもらう癖がついてしまうと、栄養バランスを崩しやすく、要求がエスカレートする傾向があります。人間の食事と犬の食事はきちんと線引きしましょう。

犬の要求吠えについてはこちらの記事をご覧ください。
おやつくれ、外に出せ、留守番イヤだ!犬の吠えを制御する大事なポイント

犬に与えてはいけない食品を与えてはいませんか?

人間が食べても安全な食品でも、犬には有害なものがあります。しっかりと知識をつけて、与えない、盗み食い出来ないように対策しましょう。

犬に与えてはいけない食べ物はこちらの記事をご覧ください。
最低限知っておくべき、危険な食べ物リスト【犬猫版】

犬が飲みたい時に、きれいな水が飲めるようになっていますか?

犬が飲みたいときに水が飲めるように、常に清潔な水を用意しておくことが重要です。特に夏場は熱中症になりやすいので、水を切らさないように、複数の給水場所を用意することをおすすめします。多くの犬が一日に2回くらい食事を摂るので、食事の際に水も交換すれば、常に新鮮な水を飲めるでしょう。

犬の熱中症についてはこちらの記事をご覧ください。
数時間で重度の熱中症に。犬の熱中症、その症状と対策。

5つの自由②不快からの自由

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犬が幸福で健康的に暮らすために、快適な環境を作ってあげることが重要です。

犬自身や居住スペースは清潔ですか?

犬自身や過ごすスペースが不衛生な場合、皮膚炎のリスクや呼吸器官に悪影響を与える可能性が考えられます。定期的にブラッシングやトリミングを行い、清潔な環境を整えてあげてください。

犬のお手入れの種類と頻度はこちらの記事をご覧ください。
【初心者必見】何をどれくらいやる?犬のお手入れの種類と頻度を解説

居住スペースの温度や湿度は適正ですか?

室温の目安としては一般的には、20~23℃程度が最適とされていますが、犬種や年齢などにより寒さ・暑さに弱い犬もいるため、犬の特徴を考慮する必要があります。湿度については、50%前後が最適とされています。

寒さに弱い犬についてはこちらの記事をご覧ください
あなたの愛犬はどっち?寒さに弱い犬と強い犬について徹底解説!

5つの自由③痛み・傷害・病気からの自由

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定期的な健康チェックやワクチン接種を受け、病気や怪我を予防することが大切です。また、病気や怪我をした場合には、適切な医療を受けさせることが必要です。

病気にならないように健康管理・予防はしていますか?

病気予防のためには、ワクチン接種や適切な食事、衛生的な環境などが必要です。また、日々の手入れやスキンシップを通じて、犬の体のいろいろな場所に触ることで、病気や怪我の早期発見につながります。

健康管理についてはこちらの記事をご覧ください。
犬の飼い主さん必見!獣医師が教える日常の健康管理7カ条

怪我や誤飲を引き起こすような物は置いてありませんか?

怪我をしやすい突起物や誤飲をしやすい小物がないかをチェックしましょう。特に、元気いっぱいの若い犬や、目や鼻の機能が衰えた老犬の場合は注意が必要です。

事故事例と対策についてはこちらの記事をご覧ください
家の中はキケンがいっぱい?!本当にあった犬の事故事例と対策

5つの自由④恐怖や抑圧からの自由

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犬に苦手なものがある場合は、できるだけ避けたり、しつけによって慣れさせたりすることが大切です。犬を放置したり、逆に過度に甘やかしたりすることはストレスの原因となり得ますので、犬との適切な距離感を保つよう心掛けましょう。

犬が恐怖や不安、ストレスなどの兆候を示していませんか?

犬の状態を注意深く観察し、ストレスや不安を引き起こす原因を取り除くように努めることが重要です。

犬のストレスについてはこちらの記事をご覧ください。
飼い犬がストレスを抱えているときに見られる行動と原因、対処法を紹介!

愛犬には苦手な音はありませんか?

雷や花火の音が苦手な犬は多くいます。避けられない音ですが、トレーニングによって恐怖心を和らげることが可能です。愛犬がストレスを溜めないようにするためにも、トレーニングをおすすめします。

音に慣れさせる方法はこちらの記事をご覧ください。
愛犬が怯えないために対策を。生活音や環境音の音源集9選

犬のしつけに体罰を使っていませんか?

犬のしつけに体罰は厳禁です。体罰を使わなければならないほどしつけが難しい場合は、ドッグトレーナーや獣医師などの専門家に相談し、適切な方法で愛犬のしつけをしましょう。

体罰の害についてはこちらの記事をご覧ください。
犬は痛い目に合わないと理解できない!?体罰によるしつけの害を解説

5つの自由⑤正常な行動を表現する自由

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家庭犬にとって、こちらが一番難しい点ではないでしょうか。なぜなら、犬の問題行動として多く挙げられる「吠える」、「咬む」、「トイレの失敗」などは、次のように犬にとっては自然な行動であることが多いからです。

  • 吠える = 不安だから警戒して吠える
  • 咬む = 恐怖が限界に達し、攻撃に転じて咬む
  • トイレの失敗 = 元々犬は決まった場所で排泄する習性がない

もちろん問題行動の原因は一つではありませんが、犬にとって「正常な行動」が、飼い主にとって「問題行動」になってしまうケースが多くあります。

ただ、家庭犬の場合は人間と暮らす上で、ある程度正常な行動を制限せざるを得ません。その分、犬らしさを出せる時間を作り、ストレスを発散させてあげてください

犬らしさを引き出す遊びはこちらの記事をご覧ください。
愛犬に喜ばれる!犬の狩猟本能から考える5つのタイプ別の遊び方とは

まとめ

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家庭犬にとってのアニマルウェルフェアの「5つの自由」について解説しましたが、チェックしてみていかがだったでしょうか。どの項目も当たり前のことながら、日々の忙しさに忘れてしまうこともあるかもしれません。

改めて確認することで、愛犬が幸せな生涯を送れるように、生活スタイルを見直してみてください。