いぬねこ知識

ペットとどう違う?コンパニオン・アニマル(伴侶動物)という考え方

BY ニイノ2018年7月7日 更新
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  • 1985年から使われるようになった
  • ペットと呼ばれる以前は飼育動物は「家畜」だった?
  • 人と動物の関係はなくてはならないものに変化した

あまり聞き慣れない言葉かもしれませんが、コンパニオン・アニマルという言葉をご存知でしょうか?コンパニオン・アニマルという言葉自体は、1985年ごろから使われ始めた言葉です。

ここ数十年で先進国の人々の生活スタイルは大きく変わってきており、それに伴い、飼育動物の存在意義も変わってきました。ペットではなく、コンパニオン・アニマルという言葉が出てきた背景には、言語を共有しない異種の生物同士で、なぜ人間は動物に対して家族と同じように強い絆を感じるようになった事が関係しています。

少し人類学的な要素や哲学的な要素が入り混じってきますが、従来のペットという言葉からコンパニオン・アニマルという言葉が使われ始めた背景をおさらいしながら、人と動物の関わりあいの変化の歴史を辿っていきましょう。

ペットとコンパニオン・アニマルの違い

ペット(pet)とは

リードに繋がれた犬

愛玩動物のこと。大切にかわいがるために飼育されている動物をいう。かわいらしく愛嬌のある容姿,きれいな鳴き声,飼い主に従順な性格などがペットの条件としてあげられる。昔からおもに哺乳類,鳥類,魚類が飼われてきたが,近年はワニ,トカゲ,ヘビなどの爬虫類も人気を集めるようになり,両生類や昆虫類を含めて幅広くペットになりうる。そのなかで最も一般的なのはイヌ,ネコで,危険を察知したり狩猟の助けをしたり,ネズミをとるなど家畜としての役割を兼ねていたものが,長い歴史のなかで遺伝的に改良され,まったくの愛玩用になってしまった品種も少なくない。
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

英語の「pet」の意味も調べてみました。日本でいう「ペット」は愛玩動物以外の意味で使われることは少ないように思いますが、英語では人間に対して使われる意味も含まれるようです。

愛玩(あいがん)動物、ペット、お気に入り、いいやつ、かわいい人、いい子、すてきなもの、あこがれのもの、(子供っぽい)不機嫌、すねること
出典 weblio辞書

1 愛玩(あいがん)動物,ペット.
2 aお気に入り.
b[通例単数形で] 《口語》 いいやつ,かわいい人,いい子.
3 すてきなもの,あこがれのもの.
出典 新英和中辞典(研究社)

今では普通に使う「ペット」という言葉ですが、そもそも日本に「ペット」という言葉が入ってきて馴染み始めたのは、1980〜1990年代と言われています。

バブル景気真っ直中のころですが、この頃日本で第一次ペットブームが起こりました。これをきっかけに、「ペット」という言葉が広まりを見せたとされています。ちなみに、現在でも「ペットを飼う=お金持ちとしてのステータス」と考えている方もいるようですが、これはこの頃の名残かもしれません。

ペット以前はほとんど家畜だった

水辺を走りこちらに向かってくる犬
ペットという言葉が浸透する以前、人間が動物を飼う理由はその動物の「有用性」で、自分たちの生活にいかに役立つかが重要視されていました。道具としての動物、つまり家畜です。

例えば、犬であれば狩猟や番犬、猫であればネズミ駆除のため、ウサギであれば食用のためと言った目的が挙げられます。今で言うペットのイメージからはほど遠いですが、何か人間にとっての目的があり、動物はそれを達成するために人間の生活に利用されるというのが、動物を飼う主な理由でした。

戦後、高度経済成長により、物質的に豊かになってくると、生活様式も変化し、多くの人々に経済的余裕が出てきました。そして、バブル景気と共にペットブームもやってきて、日本でも愛玩目的で飼う動物を「ペット」と呼ぶようになりました

コンパニオン・アニマルとは

子犬と女性

1985年頃から,コンパニオンアニマル(companion animal)という言葉が使われ始めた。長い間一緒に暮らしてきた動物を,伴侶や家族,友だちと同じように位置づける意味で,伴侶動物とも訳される。社会環境の変化に伴って,動物が愛玩の対象としてだけでなく,人間と対等な交友関係を結べる存在,人間の精神活動や社会生活に深くかかわる存在としてその意義や価値,役割が見直されてきたことが,その背景にあると考えられる。
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

1985年前後というのは、ちょうど西欧を中心に動物愛護の考えが広がってきた頃です。

日本は、動物後進国と言われています。これを象徴するかのような出来事ですよね。日本で「ペット」という言葉が広がりを見せ、そして家畜から「ペット」としての飼い方が広がりを見せつつある中、動物先進国である欧米諸国では、「ペット」から更に一歩先を行く考え方である「コンパニオン・アニマル」という言葉が使われ始めていたことになります。

略年表

1985年 修正動物福祉法の制定(アメリカ)
さらに、米ペンシルバニア大学教授のジェームス・サーペル氏が、1985年英ケンブリッジ大学にて「コンパニオンアニマル研究グループ(the Companion Animal Research Group)」を創設しました。
1988年 改正動物保護法の制定 (イギリス)
1990年 民法を改正し、動物は 物ではないことを規定 (ドイツ)
1992年 ペット動物の保護に関する欧州条約発効(EU全体)

コンパニオン・アニマルの条件

コンパニオン・アニマルは、ペットとは少し定義が変わり、ペットほど多くの種が当てはまるわけではありません。以下の定義から言えば、代表的なコンパニオン・アニマルは犬と猫と言えるでしょう。

  • 人と長い歴史を共に暮らしてきた身近な動物
  • 人と共に暮らし、その動物の獣医学、習性や行動が解明されていること
  • 人と動物の共通感染症が解明されていること

ヒューマン・アニマル・ボンド

老人に抱かれる犬
人間とコンパニオン・アニマルの関係を考えていく上で重要になってくるのが「人間と動物の絆」の概念です。

ヒューマン・アニマル・ボンド(略してHAB)とは、1970年代に欧米で提唱された概念で、人と動物や自然との相互作用の重要性を認識し、お互いの福祉を考えることが重要である、という理念に基づいています。

現在の人間の生活は、少子高齢化、独居化などが問題となっており、人同士の繋がりを感じにくい社会環境に変化しています。このような環境の中で、HABという新しい概念が人々の健康を支えるのではないかと、動物を介在した活動や療法を通して活用されてきました

「人間が動物を飼育する」ということが、有用性を求めるところから愛玩目的へと変わり、そこからさらに、人間の心身の健康に関わる分野まで浸透してきています。人間にとって動物が、より一層なくてはならない存在になってきていると言えるかもしれません

呼び方はペットでも実際はコンパニオン・アニマル?

小型の犬を抱く女性
コンパニオン・アニマルという言葉が生まれた背景から、人と動物の関わり合いの変化の過程を見てきました。日常会話では、今でも飼っている犬や猫のことをわざわざ「コンパニオン・アニマル」と言うことはなかなかありませんし、やはり「ペット」を使うことが多いような気がします。

しかし、従来の「ペット」の意味するような飼い方から離れて、ほとんど「コンパニオン・アニマル」のように動物を飼っている人は実際多くいらっしゃるのではないかと思います。ペットロス症候群等は、人と動物との間に「深い絆」が存在するからこそ起こってしまう病かもしれません。

このように、人と動物との関わり合いが変わることで、新しい言葉や概念も生まれてきています。人と動物との歴史の過程を眺めながら、動物を飼うということは人間にとって、自分にとってどういうことなのか、改めて考えるきっかけにしてみてはいかがでしょうか。動物を、「家畜」と捉えるか、または「ペット」と捉えるか、「コンパニオン・アニマル」と捉えるかで、動物との接し方、関わり方が見えてくると思います。

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