門脈体循環シャント(ポートシステミックシャント、PSS)は、門脈と体循環をつなぐ異常な血管が存在するために、消化管から吸収された血液が正常な経路を通らず、肝臓を通過しない状態を指します。この異常な血流のために、栄養分や毒素が肝臓で解毒されずに全身に流れてしまうことで、体に有害な影響を与えます。特に小型犬や猫で先天的に発生することが多いとされています。
門脈体循環シャントを持つ動物では、体内の毒素が適切に解毒されないため、神経症状(ふらつき、行動異常、痙攣)や、成長不良、食欲不振、体重減少、よだれなどの症状が見られることが一般的です。症状は食後に悪化することが多いです。
診断には、血液検査、エコー、CTスキャンなどが用いられます。治療としては、外科手術でシャント血管を遮断する方法が効果的とされていますが、症例によっては内科的治療で食事管理や薬物療法を行い、肝臓の負担を軽減することもあります。