迷子や負傷中の犬猫を保護した後、飼い主が見つからなかった場合、「保健所」や「動物愛護センター」に収容されるというのは、一般に広く知られています。
しかし、保健所と動物愛護センターは、何が違うのかはっきりとは知らないな…という方は意外と多いのではないでしょうか?
今回は、それぞれの施設のお仕事の違いと、どのように収容管理されるのか、詳しく見ていきたいと思います。
この記事の目次
保健所とは
保健所は、厚生労働省管轄の施設で、主に「衛生」や「健康」に関わるお仕事をしています。
業務の内容をより詳しく分類すると、食品衛生、環境衛生、獣医衛生、健康管理、感染症予防などがあります。ここに書き切れないほど多岐にわたるお仕事があり、実はどれもわたしたちの身近な生活に関わっています。
飼い主のいない動物や、怪我をした動物の引き取りは、全体の業務の一部分で行われています。
場所によっては、収容を行なっているところもあります。
動物に関する業務は行わないところも?
現在、保健所の動物保護に関する業務は動物愛護センターに移行しつつあるようで、地域によっては各施設の仕事の分担が変わってきています。
東京都のように、保健所は動物の保護に関する業務を一切行わず、次に説明する「動物愛護センター」にお仕事を移行しているところもあるようです。
動物愛護センターとは
動物愛護センターとは、保健所と同じく厚生労働省の管轄で、各都道府県または中核市・政令市に設置されている施設です。
動物愛護センターのお仕事は、センターによって違いはありますが、大きく分けると主に下記の事業に分けられます。
- 動物保護事業
- 動物愛護普及事業
- 動物取扱対策事業
- 動物由来または人獣共通感染症の予防や調査をする事業
(参考:東京都動物愛護相談センター、神奈川県動物保護センター、埼玉県動物指導センターの事業概要より)
一般的によく知られているのは、「動物保護事業」の部分で、飼い主不明の動物の収容・管理・返還・譲渡・処分などが挙げられます。
動物の収容・管理だけではない
上記に4つあげた通り、動物の収容や管理だけではなく、飼い主に向けた講習会・しつけ教室や、事業者に向けた動物取扱の指導や監視、感染症の予防対策なども行なっています。
また、一般的には「動物愛護センター」としてひとまとめに呼ばれることが多いですが、実際には都道府県によって「動物保護センター」「動物指導センター」など言い回しは色々あります。
収容されてからのこと
犬猫が実際に保護されてから飼い主や引き取り手が見つかるまで、どのように収容されるのか、収容情報の確認方法などを3つの動物愛護センターを例に見ていきます。(2018年10月9日現在の各施設のホームページの情報を参考)
東京都動物愛護相談センター
飼い主が見つかるまで7日間は収容管理され、「収容動物情報」に掲載されます。
負傷している場合はこの7日間のうちに治療を施されます。
神奈川県動物保護センター
犬の場合、必ず5日間は飼養管理されます。(猫はホームページ上に明記無し)
その後飼い主が見つからない場合は、問題行動や重篤な病気などがなければ、可能な限り長く収容し、ボランティア団体などに譲渡されることもあります。
埼玉県動物指導センター
猫の場合、収容から3日間公示・インターネットに掲載されます。(犬はホームページ上に明記なし)
犬の捕獲・引き取り・返還業務は原則センターではなく保健所の役割となっています。
実際の収容動物情報を見てみると、犬・猫ともに実質7日間は収容されているようです。
犬猫を飼う人なら、他人事ではないかも
自分の飼っている愛犬や愛猫にとっても、他人事ではありません!
室内飼育で十分に気をつけていても、不意に脱走してしまい、居場所がわからなくなってしまう可能性もありますよね。
もちろん、そんなことが起きればすぐにでも行動する飼い主さんばかりだと思います。
万が一のことが起こった時に、愛犬や愛猫はどこでどのように保護される可能性があるのか?ということを具体的に知っておくことは、少しでも早く探し出すための手がかりになるかもしれません。
そのような時に備え、マイクロチップや迷子札を付けておくなど、今のうちに対策をしておく事が望ましいでしょう。
最後に
筆者自身も調べ始めてから、改めて保健所と動物愛護センターのお仕事の範囲の違いに気づきました。
筆者は猫を飼っているのですが、今まで飼い主として保健所やセンターを利用したことがありません。
猫飼いさんの場合は、迷子になったときや非常時でなければ利用する機会がなかなかないのかもしれません。
わんちゃんを飼っている人であれば、畜犬登録や予防注射などが必要なため、飼い主として保健所や愛護センターを利用する機会がもしかしたら猫飼いさんよりも多いのかもしれないなぁと思いました。
飼い主さんだけでなく、これから飼おうと思っている方にも、飼っていない方にも、ぜひ知っていてもらえたらと思います。