日本では小型犬の人気が高く、チワワも人気犬種のひとつです。
小さくてかわいらしい犬種ですが、チワワだからこそ気を付けたい疾患があるのをご存知でしょうか。
チワワを飼っている方も、これから飼おうとしている方も、本記事を読んでチワワに対する知識をぜひ深めてください。
この記事の目次
チワワの起源
チワワは、9世紀頃にメキシコの先住民に飼育されていた「テチチ」という犬が祖先とされています。「チワワ」という名前は、メキシコのチワワ州に由来しており、ここで発見された犬がアメリカへ持ち込まれ、品種改良されて現在の姿になりました。
もともとは短毛のスムースコートでしたが、パピヨンやポメラニアンとの交配により、さまざまな毛色やロングコートのチワワが誕生しました。
チワワの7つの好発疾患
品種改良を重ねて生まれた犬は、その過程で遺伝的に発生しやすい疾患や、身体の構造上発生しやすい疾患が生じてしまうことがあります。
チワワの場合は、身体が小さいことや眼が大きいことに起因する疾患が多い傾向にあります。
それでは、チワワでよく発症しやすい7つの疾患について詳しく見ていきましょう。
水頭症
【症状】
・意識障害(ボーっとする、反応が鈍いなど)
・行動異常(何もない空中を噛む「ハエ咬み行動」など)
・痙攣
・視力障害
など【原因】
多くは先天性で、生後1歳以下に発症。
頭蓋骨内の脳脊髄液が過剰に貯留する疾患で、脳脊髄液の産生亢進、脳脊髄液の排出低下、頭蓋奇形などが原因。【備考】
早期診断により適切な処置が行われれば、長期間にわたるコントロールも可能。
膝蓋骨脱臼
【症状】
・患肢の挙上(足を地面に着かない、ケンケンの状態)
・跛行(足を引きずる)
・動きたくなくなる
・患部を舐める
など【原因】
・膝蓋骨(膝のお皿)がはまっている大腿骨の溝が浅い
・膝蓋骨が繋がっている筋肉が左右で不均衡
・外傷
など【備考】
段差からの飛び降りや、激しい運動によって膝蓋骨が外れることがある。
放置すると関節炎や前十字靭帯を引き起こす。
環軸亜脱臼
【症状】
・頸部疼痛(頭を上に挙げなくなる)
・歩様失調
・四肢不全麻痺
など【原因】
環椎(第一頸椎)と軸椎(第二頸椎)の関節が緩いことが原因。これは、靭帯の断裂、外傷、先天的な関節の構造不正などに起因する。【備考】
頸椎の脱臼は命に関わることもある。頸部疼痛や四肢の麻痺が重度の場合は、外科手術によって関節の安定化を図る。
角膜炎
【症状】
・眼脂
・流涙
・羞明(眼が痛いことにより完全に開かない様子)
など【原因】
外から受けた傷によることが多い。【備考】
炎症の波及によって結膜炎を引き起こすこともあり、その場合は結膜浮腫や結膜充血が見られる。
気管虚脱
【症状】
・特徴的な「ガーガー」という咳
・呼吸困難
など【原因】
先天的な気管軟骨の低形成、脂肪による頸部の圧迫などが原因。
これらによって呼吸時(特に息を吸う時)に気管が潰れ、独特な咳が出る。【備考】
咳によって大きく体力が削られるので、できるだけ早い処置が望まれる。診断は画像検査によって可能である。
尿石症
【症状】
・血尿
・頻尿
・排尿障害
などの泌尿器症状【原因】
ミネラルバランスの不均衡や尿路感染などによって膀胱内に結石が形成されることが原因。【備考】
チワワなどの小型犬は尿道が狭いことも多く、結石の大きさによっては尿道閉塞を引き起こす。すると尿が腎臓に逆流して急性腎不全を起こし、非常に危険である。
僧帽弁閉鎖不全症
【症状】
・咳
・呼吸速迫
・呼吸困難
・疲れやすい
など【原因】
発症が中高齢犬に多いことから、加齢によって心臓の僧帽弁が変性すると考えられている。
血液の逆流が起こることによって、心臓への負担が増加する。【備考】
放置すると肺水腫に繋がることも多く、非常に危険である。投薬によってコントロールが可能であるため、早期発見が重要である。
チワワの飼育環境で気をつけたい4つのこと
これら好発疾患を踏まえて、日常生活で注意すべき点とは何でしょうか。
先天性の疾患は仕方がないとして後天性の、例えば膝蓋骨脱臼などは飼育環境の見直しによってある程度の予防ができます。大切な愛犬のためにも、できる限りの予防をしましょう。
1.床は滑りにくい材質を
フローリングなどの滑りやすい床は、踏ん張りが効かず、膝や腰に大きな負担がかかります。
生まれつき膝関節が緩い子などは、床にカーペットやマットを敷くと滑りにくくなります。また畳も爪が引っかかるなどして危険な場合がありますので、マットなどで覆うといいでしょう。
2.段差を減らす
段差の登り降りも、膝に負担がかり膝蓋骨脱臼の原因です。極力ソファやベッドに登らせないようにし、どうしても登ってしまうようであれば、犬用の階段を用意してあげましょう。
また、外出時も、階段などの大きな段差では抱っこをしてあげると負担が軽減します。
3.爪の伸びすぎに注意
爪の伸び具合は、床でのブレーキの効きに関係します。長い爪では踏ん張りが効かず、やはり膝や腰に負担がかかります。
定期的に爪や足の裏の毛は短くしておきましょう。家での処置が難しいようでしたら、遠慮なく動物病院のスタッフまでご相談ください。
4.散歩コースを考える
犬は情報をニオイで捉えようとする生き物です。散歩コースの途中に草むらがある場合、そこに顔を突っ込み、草などで眼を傷つけてしまうことがあります。
障害物のない散歩コースを選択する、もしくはしっかりとリードで人間が散歩のペースを握るなどの工夫が必要です。
まとめ
チワワは骨関節系の疾患や、神経系の疾患が多い犬種です。
病気が発生してから後手後手に対応するのではなく、予め疾患を理解し、病気にならないように対策しましょう。