人間では、アクセサリーなどが原因で金属アレルギーになることがありますが、実は、犬でも金属アレルギーになることがあります。
金属アレルギーは、食器や首輪など、日々の生活で使うものが原因であることが多いため、できるだけ早く気づいてあげることが重要です。
今回の記事では、犬の金属アレルギーについて、症状や治療・予防方法などをご紹介します。
この記事の目次
犬も金属アレルギーになる
植物や化学繊維、薬品など、なんらかの原因物質に触れることで発症するアレルギーを「接触アレルギー」といい、その一つが金属アレルギーです。
金属アレルギーの仕組み
金属から溶け出した「金属イオン」は、体内のタンパク質と結合します。
結合した物質(アレルゲン)を体が異常なものだと認識すると、再び同じ金属イオンがタンパク質と結合したときに過剰反応してしまい、皮膚や粘膜を破壊することで痒みや発疹などの症状を引き起こします。
全ての犬が金属アレルギーになるわけではない
犬も金属アレルギーになることはありますが、ネギ類やアルコールなどのように、全ての犬がアレルギー反応を起こすわけではありません。
犬の金属アレルギーの主な原因
人間の場合、アクセサリーや腕時計などで金属アレルギーになることがありますが、犬の場合は、金属製の食器、首輪、ハーネスが原因になることが多いです。
サークル、ケージの金属に反応することもあります。
アレルギーになりやすい金属がある
合金やメッキ加工の製品は、金属アレルギーを引き起こしやすいと言われています。
逆に、純金、銀、チタン、ジルコニウムなど、純度が高く値段も高い金属のほか、医療用器具にも使われるサージカルステンレスは金属アレルギーになりにくいです。
犬の金属アレルギーの症状
痒み
- 金属アレルギーで最も多い症状。
- 首輪が原因なら首に、食器が原因なら口や鼻先などに痒みの症状が出る。
湿疹
- 痒みとともに、皮膚に湿疹が現れる。
- 犬は全身が毛に覆われているので、人間に比べて気づきにくい。
脱毛
- 金属アレルギーが直接脱毛を引き起こすわけではない。
- 痒いところを掻いたり舐めたりすることで、毛が抜け落ちる。
目やに、涙
- 金属が目の周りに接触した場合は、目やにや涙が出る。
- 目元の違和感を感じると、床や足に擦り付けるなどして傷つけてしまい、結膜炎や角膜炎などを引き起こすことがある。
外耳炎
- 耳に金属アレルギーの反応が出た場合は、足で耳を掻いたり、首を振るなどの行動を起こす。
- 掻くことで傷や耳血腫ができることがある。
- 耳に血が溜まってしまうと、注射針で抜く必要がある。
脂漏症(しろうしょう)
- 金属アレルギーの症状が長引くと、皮膚の新陳代謝異常やホルモン分泌異常により「脂漏症」を発症。
- 皮膚のベタつきまたは乾燥、フケの増加などがみられる。
- 脂漏症は遺伝性の場合もあり、後天性でも完治に時間がかかるため、持病として長いこと苦しむ犬も多い。
金属イオンが体内に入った場合
金属が皮膚に接触しておこるアレルギー以外にも、なんらかのきっかけで体内に金属イオンを取り込んでしまうと、接触アレルギーとは異なる次のような症状を起こすことがあります。
- 嘔吐や下痢など、消化器系の症状
- 気管支が腫れることで、空気の通り道が狭まり、呼吸困難や酸欠、痙攣を起こすこともある。
金属アレルギーを発症しやすい犬種
遺伝性の皮膚病になりやすい犬種
遺伝的に皮膚の疾患や、金属以外でもアレルギーを起こしやすい犬種は、比較的金属アレルギーにもなりやすいと言えます。
皮膚疾患を起こしやすい犬種の例
シーズー、パグ、柴犬、ゴールデンレトリバー、ビーグル、ラブラドールレトリバー、コーギー、シェルティ、シュナウザー、マルチーズ
短頭種
マズルの短い短頭種は、食器などの金属に接する顔の部分が広いため、広範囲にアレルギーが出やすいです。
また、もともと呼吸器が弱いので、金属アレルギーによる気管支の腫れなどは特に命取りになります。
短頭種の例
フレンチブルドッグ、パグ、ボストンテリア、シーズー
犬の金属アレルギーの治療・予防
金属アレルギーの症状を発症した場合、皮膚の炎症を抑える飲み薬や塗り薬などで治療します。しかし、金属アレルギーそのものが治ることはないため、薬で症状が落ち着いても、金属に触れればまた発症します。
とにかく金属製のものを使わないこと
金属アレルギーは治らないので、発症・再発を防ぐには、できるだけ金属に触れないようにすることが最も重要です。今は金属アレルギーの症状が出ていなくても、金属に触れ続けることによって発症することがあります。
もちろん、少し触れただけでアレルギー反応を起こすことはほとんどありませんが、食器や首輪など、毎日一定時間触れ続けるものは、プラスチック製や布製のものを使いましょう。
服の上からハーネスをつける
金属製のハーネスを使いたい場合は、服の上からハーネスをつけ、皮膚に直接当たらないようにすれば問題ありません。
合金、メッキ加工はNG
合金やメッキ加工の製品は金属アレルギーを引き起こしやすいため、なるべく使用を避けましょう。
一度金属アレルギーになってしまうと、他の金属にも反応するようになってしまうことがあるため、これまで発症したことがない犬でも注意が必要です。
まとめ
犬が金属アレルギーになることを知らないと、体を痒がっていても原因が分からないため、同じ金属製品を使い続けてしまうかもしれません。
金属アレルギーの対策は、「金属との接触を避けること」が基本なので、顔や首など、普段金属と接する部分に症状が現れた場合には、一度金属製品の使用をやめてみましょう。
金属アレルギーは、悪化すると呼吸器障害を起こすこともあるので、決して侮ることなく、愛犬の健康を守ってあげましょう。