爽やかな香りで料理に彩りを与えてくれる「ゆず」は、私たち人間にとっては健康にも良いイメージがありますよね。寒い季節になると、ゆず風呂に入るのが好きな方も多いでしょう。
では、犬にゆずを食べさせたり、ゆず風呂に入れさせても良いのでしょうか?
結論から言うと、ゆずは犬になるべく与えないほうが良い食べ物で、過剰摂取すると重症化する恐れがあります。
今回は、犬にとってゆずが危険になり得る理由や、犬をゆず風呂に入れても良いのかどうかなどを、詳しく解説していきます。
この記事の目次
犬にゆずを食べさせてもいいの?
基本はNGと覚えておこう
少量のゆずを犬が食べてしまっても、特に問題ないか、少し体調を崩す程度で済む場合がほとんどです。
しかし、大量に摂取してしまうと中枢神経系の抑制や皮膚炎などを起こし、重症化する恐れがあるため、基本的には食べさせないほうが良いです。
積極的に与えないのはもちろんのこと、犬が誤って食べてしまうことのないよう、ゆずは犬の届かないところに置いておきましょう。
ゆずのどんな成分が危険なの?
犬の中毒症状を引き起こすのは、ゆずに含まれる「クエン酸」と「エッセンシャルオイル(精油)」で、果肉部分、茎、葉、種、皮など、全ての部分に含まれています。
クエン酸は、人間が摂取すると疲労のもととなる「乳酸」を素早く分解し、疲労回復の効果があります。さらに、胃液の分泌を促進することで、胸焼けや胃痛などを解消する効果があるとも言われています。
ゆずの精油も、血行促進、免疫活性、疲労回復、鎮痛作用などがあり、日本人に特に人気です。
一方で、これらの物質を犬が摂取すると、少量であればお腹の調子が悪くなる程度で済みますが、過剰に摂取すると中枢神経系の抑制や炎症などを起こします。
外皮には特に注意!
ゆずなどの柑橘類の外皮には、「ソラレン」という物質が多く含まれており、犬が摂取すると皮膚の炎症を引き起こすことがあります。
口からの摂取だけでなく、皮膚に触れても炎症を起こしてしまう可能性があります。
犬は酸っぱいものが嫌い?
犬の味覚は人間と違う!
犬には、味を感じ取る「味蕾(みらい)」という器官が人間の5分の1程度しかなく、人間とは味の感じ方が異なります。
そんな犬の味覚は、「甘味」と、腐った食べ物を見分けるため「酸味」に対して特に敏感です。
同じ柑橘類でも甘味の強いものを好む
同じ柑橘類でも、甘味の強いみかんなどは好んで食べる犬も多いようですが、「酸味=腐ったもの」と認識しやすい犬にとって、ゆずのように酸味の強いものはあまり好きではない可能性が高いです。
なお、みかんも少量であれば問題ないですが、過剰摂取や外皮を食べてしまうと危険なので注意しましょう。
料理に入っていると誤食の危険性が高まる
ゆずは犬にとって美味しいものではないですから、ゆずそのものを好んで食べる犬は少ないでしょう。
しかし、肉料理や魚料理など、犬が好きな食べ物にゆずが含まれている場合は、犬が誤って食べてしまう可能性が考えられます。
特に、ゆずの皮を使って香りづけをした料理などを食べる際は、犬が食べてしまわないように注意してくださいね。
犬にゆず風呂はOK?
日本では、「冬至の日にゆず風呂に入ると1年中風邪をひかない」などと言われ、寒くなると柚子風呂に浸かってゆっくりするのが楽しみだという方も多いでしょう。
普段からお風呂に入るのが好きな愛犬がいると、「うちの子にもゆず風呂に入らせてあげたい」と思うかもしれません。
しかし、先述したように、ゆずの外皮に含まれる「ソラレン」は、皮膚に触れるだけでも炎症を起こしてしまう可能性があるため、犬にゆず風呂はやめておいたほうが良いでしょう。
柚子胡椒は絶対NG!
ゆずそのものは、果肉部分を少量食べてしまうくらいであれば問題ない場合が多いですが、柚子胡椒には唐辛子と塩分がたくさん入っているため、少量であっても犬に与えてはいけません。
犬が好む味ではありませんが、肉料理についていたりすると、誤って口にしてしまうことがあるので十分注意してください。
まとめ
人間にとっては健康に良い効果のあるゆずですが、犬には危険になり得る食べ物なので、飼い主さんは愛犬がゆずを口にしてしまわないよう注意が必要です。
犬が好む味ではないので、ゆずそのものを積極的に食べてしまうことはあまりありませんが、肉や魚などの料理に入っていると口にしてしまいやすいので気をつけましょう。
また、口からの摂取だけでなく、ゆずの外皮に含まれる「ソラレン」は皮膚に触れただけで炎症を起こすことがあるため、犬をゆず風呂に入れるのはやめておきましょう。