ある日、愛犬がいつもと違う座り方をしているのを見たことはありませんか?その姿がかわいくてつい写真を撮ったという方もいるかもしれません。
リラックスしているだけであれば心配はありませんが、病気の可能性もあるかもしれません。
この記事では、犬が横座りをしている場合に考えられることと、病気にならないための4つのポイントをご紹介します。
この記事の目次
犬の横座りとは
横座りは「お姉さん座り」とも呼ばれ、前足は普通の「お座り」と同じですが、後ろ足は片方に投げ出してお尻を床に着けて座る座り方です。猫では見かけることが多いですが、犬では珍しいかもしれません。
その姿はとてもかわいらしく、SNSで「横座り」や「お姉さん座り」と検索すると、横座りした犬の写真がたくさんアップされています。
単なるクセかも
たまにしか横座りしなかったり、左右がいつもバラバラという場合は、特に心配する必要はありません。
小さい頃からの座りグセであったり、単にリラックスしているだけという可能性が高いです。お散歩から帰ってきたあとによく行うなど、たまに見かける程度であれば問題ないでしょう。
犬の横座りで考えられる病気
今まで横座りしたことがなかったのに、突然するようになったり、いつも一方向にのみ崩れるという場合は、関節の病気を患っている可能性があります。横座りをしているのは、痛い足を庇っているからなのです。
どんな病気が考えられるのか、詳しく見ていきましょう。
1. 股関節形成不全
股関節形成不全は、股関節の骨が変形してしまい、関節内に炎症などの異常が起こる病気です。
遺伝的な要因が7割、環境的な要因が3割といわれており、犬の骨成長と筋肉の成長のバランスが崩れることが原因と考えられています。
股関節形成不全の主な症状
- 横座りをする
- 散歩を嫌がる
- 散歩の途中で座る
- 不自然な歩き方をする
- 腰を左右に振って歩く
- 高いところからの上り下りを嫌がる
骨と筋肉の成長がアンバランスになり、常に少し脱臼した状態になるため、歩き方に異常が出ることが多いです。
股関節形成不全を起こしやすい犬種
- ゴールデンレトリーバー
- ラブラドールレトリーバー
- ジャーマン・シェパード
- セント・バーナード
股関節形成不全は、大型犬や超大型犬の成長期によく見られます。しかし、小型犬や中型犬でも起こることがあり、小型犬では成長期での診断が難しいとされています。
2. 膝蓋骨脱臼(パテラ)
膝蓋骨脱臼は、その名の通り、膝蓋骨がずれて脱臼してしまっている状態のことです。
先天的なものと、交通事故の他、高いところからの飛び降りや転倒などによる後天的なものがあります。
膝蓋骨脱臼の主な症状
- 横座りをする
- 後ろ足を不意に伸ばす
- 運動を嫌がる
- 不自然な歩き方をする
- ケンケンやスキップをする
必ずしも痛みを伴う症状が現れるわけではないため、初期段階では気づけない場合が多いです。また、歩行が困難になっても痛みを感じない犬もいるため、「年のせい」と勘違いしてしまうこともあります。
膝蓋骨脱臼を起こしやすい犬種
- トイ・プードル
- ポメラニアン
- チワワ
- ヨークシャーテリア
- マルチーズ
- 柴犬
- ゴールデンレトリーバー
小型犬に多く見られますが、中・大型犬でも発症するため注意が必要です。
病気にならないための4つのポイント
1. 肥満に気をつける
体重が重くなると、膝への負担が大きくなります。肥満にならないよう、定期的な運動と適切な食事を心がけましょう。
すでに太り気味の場合は、急に過度な運動をしてしまうとかえって膝に負担がかかってしまうので注意しましょう。
2. 滑りにくい床にする
フローリングなどの床材はすべりやすく、膝や腰に負担がかかります。すべりにくいようにマットやカーペットを敷いてあげましょう。
3. 爪や足裏の毛を定期的にカットする
犬の肉球はブレーキの役割も果たしていますが、爪や足裏の毛が伸びているとブレーキの効きが悪くなり、膝や腰に負担がかかります。
普段はあまり気にしないところかもしれませんが、定期的にお手入れをしてあげてください。
4. 段差を減らす
ソファやベッドなどの段差を上り下りする際も、膝や腰に負担がかかってしまいます。
段差が小さくなるような専用の階段やスロープを設置しましょう。
犬の座り方・歩き方がおかしいと感じたら
以下の症状が一つでも当てはまったら、関節の病気かもしれません。重症化すると歩けなくなってしまうこともあるため、気づいたら早めに動物病院へ連れていきましょう。
- 突然横座りをするようになった
- 足を触ると嫌がる様になった
- 散歩を嫌がるようになった
- 足を引きずるようになった
- 腰を振るように歩くようになった
その際、犬の様子を動画や写真を撮っておくと獣医さんも診断しやすくなります。
まとめ
犬の横座りは一見かわいらしくリラックスしているようにも見えるため、特に気にしない飼い主さんも多いかもしれません。実際、犬のクセやリラックスしているだけであれば、気にする必要はありません。
しかし、突然横座りするようになったり、痛がる素ぶりを見せた場合は関節の病気を患っている可能性があります。
普段から愛犬の様子をよく観察し、違和感があるようなら動物病院を受診しましょう。