愛犬がノーリードでイキイキと走る姿を見るのは、飼い主にとって嬉しいものですよね。ただ、屋外で犬を自由に走らせるにはドッグランがある施設を利用する必要があるため、近場にないためあまり行けなかったり、犬同士のケンカが心配だったりと利用しづらい場合もあります。
そこでDIY好きの筆者は、自宅の庭にドッグランを作ることにしました。今回は、その作成過程や費用について詳しくご紹介します。
※本記事は、あくまで素人によるDIYの体験談です。安全性を完全に保証する内容ではありませんので、設備の強度や犬の安全性に不安がある場合は、専門の施工業者に相談・依頼することをおすすめします。
この記事の目次
ドッグランに必要な材料と費用とは
我が家のドッグランに使用した土地の面積は、縦5m×横10mの50平方メートル(約15.12坪)です。この面積を基に費用を算出していますので、ぜひ参考にしてみてください。(※記載している費用は、2020年にドッグランを製作した当時の金額です。)
フェンス・支柱・扉
フェンス、支柱、扉はドッグランには欠かせません。特に、フェンスの高さは重要ですので、しっかり下調べをしました。
フェンスの高さの目安
・600mm~ 小型・愛玩犬(チワワ)、小型・牧羊犬(コーギー)
・1,200mm~ 小型・狩猟犬(ジャック・ラッセル・テリア)、中型・作業犬(柴犬)
・1,500mm~ 中型・狩猟犬(イングリッシュ・コッカー・スパニエル)、大型・作業犬(ゴールデンレトリバー)
・1,800mm~ 中大型・牧羊犬(ボーダーコリー)、大型・狩猟犬(シェパード、アフガンハウンド)※小型犬/体高40cm以下・体重10kg以下、中型犬/体高50cm以下・体重20kg以下、大型犬/体高50cm以上・体重20kg以上ぐらいを想定
出典:自宅のドッグランにぴったりのフェンスをご紹介!愛犬と楽しく安全に遊べるお庭づくりのポイントとは | ガーデンプラス
我が家には大型犬がいるため、フェンスの高さは1,500mmを選択しました。
フェンスの材料と費用の詳細
- アニマルフェンス支柱セット
高さ1.5m × 長さ15m(17,600円)× 2セット = 35,200円 - 扉
高さ1.5m x 幅1m = 16,000円 - フェンス基礎ブロック
250mm × 250mm × 250mm(2,600円)× 4個 = 10,400円
フェンス・支柱・扉の合計:61,600円
アニマルフェンスは主にシカやイノシシなどの害獣から農作物を守るために使われますが、ドッグランの柵として利用することも可能です。
ただし、柵が格子状になっている物が多く、格子の間に足をかけて登れる犬の場合は脱走する可能性があります。そのような場合は足を掛ける場所がないタイプのフェンスを使うか、常に人がいる時に使うなど、使用方法に注意が必要です。
フェンス基礎ブロックは、製作中に柵の強度に不安を感じたため、追加でドッグランの四隅の支柱に取り付けています。
床材
床材は必須の材料ではありません。地面が土のままでもドッグランを作ることは可能ですが、以下のようなデメリットがあります。
- 足が汚れやすい
- 雑草が生えるため、定期的な草刈りが必要になる
- 穴掘りをする犬の場合、脱走のリスクがある
これらの理由から、我が家では床材を使用することにしました。
床材の種類とメリット・デメリット
メジャーな床材としては天然芝、人工芝、ウッドチップ、バークチップなどがあります。今回は、この4種類のメリットとデメリットを比較してみました。
- 天然芝
- メリット:低価格、犬の足腰への負担が軽い
- デメリット:手入れが面倒、穴を掘られると芝生が剥げてしまう
- 人工芝
- メリット:メンテンスの手間が少ない、犬の足が汚れない
- デメリット:価格が高い、素材が熱をため込むため暑くなりやすい
- ウッドチップ
- メリット:消臭効果が期待できる、防草・防虫効果が期待できる
- デメリット:1~3年で交換が必要、木のトゲが犬の肉球に刺さる恐れがある
- バークチップ
- メリット:1粒ずつが大きく割れにくいため足に刺さりにくい、白アリ対策も期待できる
- デメリット:価格が高い、定期的な入れ替えが必要
(参考:自宅の庭にドッグランが作れる!/サニーズガーデン)
我が家ではバークチップを採用しました。
床面の材料と費用の詳細
- バークチップ
20ℓ入り(1,637円)× 25袋 = 40,925円 - 防草シート
幅1m × 長さ30m(12,200円)× 3本 = 36,600円 - コ型止めピン 50本入り = 2,350円
床材の合計:79,875円

バークチップの間から草が生えてこないよう、防草シートを敷いた上にバークチップを敷き詰めました。「コ型止めピン」は、防草シートが剥がれないように固定するためのピンです。
日除け
犬の休憩スペースに日陰を作りたかったので、ガゼボ(西洋風のあずまや)を設置しました。
日除けの材料と費用の詳細
- ガゼボ 28,000円
- ガーデニング用枕木
105mm × 200mm × 500mm(2,640円)x 4本 = 10,560円
日除けの合計:44,560円
ガゼボを置いただけでは強風で飛ばされる可能性があるため、ガーデニング用の枕木を重りとして使用しました。
費用の合計と施工業者の工事費用の比較
金額 | |
---|---|
フェンス・支柱・扉 | 61,600円 |
床材 | 79,875円 |
日除け | 44,560円 |
合計 | 186,035円 |
一般的なドッグランの施工費用の相場は、1平米あたり18,000円~32,000円程度とされています。費用の幅は主に選ぶ床材の種類によって変動するとのことです。
我が家の場合、面積が50平米のため、業者に依頼すると約900,000円~1,600,000円の費用がかかる計算になります。DIYによる施工で、かなり費用を抑えられることがわかりました。
意外な盲点が判明!ドッグラン制作の過程
製作はDIY慣れした大人3名で、2日ほどで完成しました。
1.地面を平らにする
まずはゴミや小石を取り除き、地面を平らにするのですが、正直この作業が一番大変でした。普段は平らだと思っている地面も、案外高低差があるようです。
ただし、この作業を省くと大雨の後に水たまりができてしまう原因となるため、丁寧に行うことをおすすめします。
地面が平らかどうかを調べるには、レーザー水平器を使用しました。
2.支柱の取り付け
ドッグランの四隅の支柱に「フェンス基礎ブロック」を取り付けるため、まずは穴掘りをしました。高さ250mm(25cm)のブロックを埋めるので、掘る深さはだいたい30cmほど。これも結構大変な作業でした。
次に「フェンス基礎ブロック」に支柱を取り付けました。我が家ではブロックの穴と支柱の間に石を詰めて固定しましたが、モルタルやコンクリートを流し込んで固定する方法もあるようです。そして、掘った四隅の穴に支柱を取り付けた「フェンス基礎ブロック」を埋めました。
他の支柱も取り付け、水平器で高さが揃っているかを確認しました。
3.フェンスと扉の取り付け
フェンスの取り付けは意外に簡単でした。フェンスの格子を柵の出っ張りに引っ掛けるだけで完了します。
扉の取り付けも同様で、説明書通りに作業することで簡単に取り付けられました。
4.防草シートとバークチップを敷き詰める
まず、除草シートを敷き、「コ型止めピン」を使ってしっかりと固定しました。その上にバークチップを敷き詰めましたが、ここで問題が発生しました。
完成前に犬たちを遊ばせたところ、ボール投げの際に犬が止まる時にスライディングし、バークチップが大量に柵の外へ飛び出してしまったのです。
そこで、ドッグランの四方に敷いた防草シートを20cm程上に延ばし、フェンスに結束バンドで固定しました。防草シートで浅いプールのような形状を作り、その中にバークチップ入れるようなイメージです。
5.ガゼボの取り付け
ガゼボは説明書通りに組み立て、ガゼボの接地面にガーデニング用の枕木をボルトで固定し、穴を掘って枕木だけ地面に埋めました。
ドッグラン完成後に気づいたこととは
このドッグランは2020年5月に製作しましたが、2年経った現在でも問題なく使えています。
実際に使ってみてわかったこととして、バークチップの色が犬のうんちと似ており、見分けにくいというデメリットがありました。
一方で、予想外のメリットもありました。バークチップを集めて小さな山を作り、その中におやつやおもちゃを埋めて「宝探しゲーム」ができることです。我が家の犬たちは大喜びで遊んでいます。
また、チップの飛び出し防止のために急遽四方の防草シートを約20cm延長して固定しましたが、この対策には思わぬ効果もありました。周囲の土やゴミがドッグラン内に入り込むのを防げるようになり、結果として清潔さを保つことができています。
4年目の改修!床材をバークチップから人工芝へ
ドッグランを製作してから3年ほど経過したころ、バークチップの劣化という問題に直面しました。
防草シートを敷いている場所で使用されるバークチップの耐久年数は、一般的に4~5年とされています。しかし、我が家の場合、犬たちが頻繁に走り回るため、製作後2年ほどから劣化が目立つようになりました。
バークチップで困ったこと
バークチップが劣化したことで困ったのは、劣化によりチップが粉々になり、犬の足に付いてしまうことです。特に、雨のあとのようにチップが濡れている時は、泥で汚れた時のように汚れが落ちませんでした。

このタイミングで、バークチップの入れ替えをすれば上記のような問題は解消されますが、その他にも以下のような点に困っていました。
- 雨のあとはチップが乾きにくい
- チップが大きいため床面がデコボコして、足があまりよくない犬は歩きにくそう
バークチップの入れ替えか、床材の変更かを検討した結果、他の床材を試してみたいこともあり、床材を変更することにしました。
我が家では床材を変えることにしましたが、バークチップは消臭効果に優れていて、高級感のある見た目を楽しめます。適度に入れ替えなどをすれば、そちらの方が向いているというご家庭もあると思います。
人工芝を選んだ理由
ドッグラン設置当初には、次のような理由から人工芝を選びませんでした。
- 素材が熱をため込むため、暑くなりやすい
- 人工芝のチクチク感を犬が嫌がるかもしれない
しかし、我が家では夏の昼間のように暑い時間帯に外で運動させることはなく、水道も近くにあるため、熱が気になるときは水を撒けば良いと考え直しました。
また、気になっていた触り心地についても、ホームセンターで実際に触ってみると、雑草と同程度のチクチク感しか感じないことがわかりました。
そこで、地面が平らで足が汚れにくい人工芝に変更することに決めました。
人工芝選びのポイント
人工芝選びのポイントは、芝丈の長さでした。芝丈が長い製品の方がクッション性があり、犬の足腰の負担を軽減してくれるそうです。しかし、ただ芝丈が長ければ良いというわけではありません。芝丈が長いと掃除がしにくく、不衛生になりやすいというデメリットもあります。
一般的には、20mm~35mmの芝丈のものがドッグランに利用されることが多いようです。
また、人工芝の中には密度が高くクッション性に優れた製品や、抗菌仕様のものなど、高性能な製品もあります。
人工芝設置の過程
人工芝の設置は簡単で、人工芝を敷いてU字ピンを打ち込んで押さえるだけで済みました。しかし、人工芝と人工芝を繋ぐ粘着テープを貼る作業は大変でした。粘着テープが長く、粘着力が強かったため、扱いにくかったのが原因です。
こちらの動画のような方法を使えば、もっとやりやすかったかもしれないと思いました。
人工芝を設置してみて
床材を人工芝にしたことで、歩きにくそうにしていた犬も平らな人工芝では問題なく走り回っており、本当に良かったと感じました。さらに、足が格段に汚れにくくなり、この点もとても助かっています。
ただ、デメリットとしては、意外にも掃除がしにくいことです。落ち葉や犬の毛などのゴミをほうきで掃いて掃除していますが、細かいゴミはとても取りづらいです。これはバークチップでも同じことですが、人工芝ではゴミが目立ってしまう点が難点です。
とはいえ、総合的には人工芝にして良かったと思っています。
まとめ
時間やお金、労力をかけて製作したドッグランですが、愛犬たちが楽しそうに遊ぶ姿を見ていると、その苦労が報われた思いです。
専用のドッグランであれば、他の犬やその飼い主を気にすることなく、いつでも安心して利用できます。DIYが好きな方は、ぜひトライしてみてはいかがでしょうか。