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【獣医師監修】白内障だけじゃない!犬の目が白い時に考えられる疾患

2022.11.30
【獣医師監修】白内障だけじゃない!犬の目が白い時に考えられる疾患

愛犬の眼がいつもよりも白いかもしれない、という主訴は動物病院でもよくあります。

気のせいと思う方も多いかもしれませんが、その感覚は間違っていないことが多いように思います。毎日顔を合わせていると、徐々に起こる変化に気付きにくいかもしれません。

今回は犬の眼が白い時に考えられる疾患について、獣医師が詳しく解説します。

この記事の目次

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犬の目が白くなる原因

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犬の目が白くなる原因は、主に水晶体の疾患、角膜の異常、その他の眼疾患によるものが考えられます。

水晶体の疾患

  • 白内障
  • 核硬化症
  • 水晶体脱臼

角膜の異常

  • 角膜潰瘍
  • 結晶状角膜混濁(角膜ジストロフィー)

その他の眼疾患

  • 緑内障
  • ぶどう膜炎
  • 星状硝子体症(硝子体混濁)

それぞれ、何が原因でどのような症状があるのか、詳しくみていきましょう。

水晶体の疾患

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水晶体は、カメラにおけるレンズの役割を果たしています。水晶体の白濁は初期には気付きにくいことも多く、「何となく白い気がする」という主訴で来院することも少なくありません。

高齢になるにつれてこれら疾患の発生は多くなるので、定期的に検診を受けることを考えるのもいいでしょう。

白内障

【症状】
水晶体の混濁、視覚障害、失明。
【原因】
原発性(遺伝性)と続発性(糖尿病、加齢、外傷、炎症、栄養性など)に分類される。メカニズムは完全には解明されていないが、様々な要因により水晶体の蛋白質の構造が変化することによる。
【備考】
進行することにより水晶体起因性ぶどう膜炎、続発性緑内障、網膜剥離、水晶体脱臼などが続発する。

核硬化症

【症状】
水晶体の一部が白く見える。白内障と異なり、視覚障害はない。
【原因】
加齢によって水晶体線維の密度が上昇することによる。透光性は高い。
【備考】
白内障との鑑別は非常に重要。核硬化症は疾患ではなく、老齢性変化である。

水晶体脱臼

【症状】
眼痛、羞明、眼内出血、角膜浮腫など。
【原因】
チン小帯と呼ばれる水晶体を支える部位が生まれつき弱い、あるいは加齢による変化によって水晶体を支えきれないことによる。また、緑内障、白内障、ぶどう膜炎、外傷、腫瘍などによって続発することもある。
【備考】
緑内障、網膜剥離、ぶどう膜炎は、水晶体脱臼から続発することも多い。

角膜の異常

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角膜は眼の中央に存在する組織で、いわゆる黒目の部分です。角膜には血管がなく通常は無色透明ですが、浮腫によって白く濁ることで視力に障害が起こることもあります。

角膜潰瘍

【症状】
角膜浮腫、流涙、眼脂、結膜充血、羞明など。
【原因】
外傷、睫毛異常(睫毛重生、睫毛乱世、異所性睫毛)、ドライアイ、免疫介在性など。
【備考】
短頭種(パグ、シーズーなど)や涙液量が少ない犬は角膜潰瘍のリスクが高い。角膜潰瘍はその深さによって分類されるが、角膜穿孔に至ると外科的治療(角膜移植など)が必要になることもある。傷が浅いうちに発見し、適切な治療を行う必要がある。

結晶状角膜混濁(角膜ジストロフィー)

【症状】
角膜の白濁、角膜に白いもの(コレステロール、リン脂質、中性脂肪など)が浮かび上がっているように見える。
【原因】
原因は不明だが、遺伝性が示唆されている。好発犬種はシベリアン・ハスキー、ビーグルなど。
【備考】
基本的に視覚障害や失明は起こりにくいが、重症例ではこれらが見られることもある。また痛みや痒みなどの不快感を示すことも基本的にはない。

その他の眼疾患

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水晶体や角膜の異常以外にも、眼の白濁が見られる疾患があります。

中には水晶体異常や角膜異常を続発するものもあり、その場合には原因となるこれらの疾患の治療が必要となります。

緑内障

【症状】
角膜浮腫、眼痛、眼瞼痙攣、縮瞳、元気消失、食欲減退、羞明など。
【原因】
原発性(柴、アメリカン・コッカー・スパニエル、シーズーなどが好発犬種)と続発性(水晶体脱臼、白内障、網膜剥離、眼球内腫瘍などから続発)に分類される。
【備考】
痛みを伴う疾患であり、早期発見と早期治療が重要とされる。また眼圧の上昇は視神経障害を引き起こすため、失明に至ることもある。

ぶどう膜炎

【症状】
角膜浮腫、結膜充血、眼瞼痙攣、流涙、羞明、前眼房出血、縮瞳など。
【原因】
特発性(原因不明)、感染性(子宮蓄膿症、ウイルスなど)、代謝性(糖尿病、高血圧、高脂血症)、免疫介在性、腫瘍性(リンパ腫、悪性黒色腫など)、外傷など。
【備考】
犬のぶどう膜炎は前部(虹彩、毛様体)に多い。視覚消失の可能性もある。また全身疾患から炎症が波及した結果、眼に炎症が起こっている場合もあるので原因の究明も重要となる。

星状硝子体症(硝子体混濁)

【症状】
特になし。眼がキラキラしているという主訴で来院する。
【原因】
眼球の奥にある硝子体にカルシウムが沈着することによる。原因不明の特発性が多い。
【備考】
痛みや視力障害はないため、治療の必要はない。

まとめ

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犬の眼が白い原因としていくつか疾患を挙げてきました。白内障や緑内障など長期的に付き合う必要のある疾患もあり、これらの早期発見は愛犬の老後をより良くするためにはとても重要です。

日常的に愛犬の様子を観察し、異常をすぐに発見できる目を養いましょう。

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