皆さんは介助犬をご存知ですか?
四肢が不自由な人の日常生活動作を手助けするために、訓練を積んだ犬のことをいいます。
補助犬の中でも、以前にご紹介した聴導犬と同じく歴史が浅いためか、まだまだ認知度は足りていません。
介助犬って何をするの?と疑問を持っている方、あるいは初めて聞いたという方も多いと思います。
そんな皆さんに知っておいてほしいことや、実際出会ったときどんな対応をすれば良いかまとめてみました。
この記事の目次
介助犬のお仕事
介助犬は、手足の不自由な人のために、落としたものを拾ったり、ドアの開閉を手伝ったりします。
基本的な介助犬の動作は8つあります。
- 落ちたものを拾う
- 指示したものを持ってくる
- 緊急連絡手段の確保
- ドアの開閉
- 衣服の脱衣補助
- 車椅子の牽引
- 起立・歩行介助
- 荷物の運搬
この他に、ユーザーに合わせた動作を加えることもあります。
他の補助犬(盲導犬、聴導犬)と違って、介助犬はユーザーによって「介助犬がすること」がカスタマイズされるため、一匹ずつのオーダーメイド性が高くなります。
例えば、足がまひしているけれど少しなら歩けるという人と、手がまひしていて小さいものを掴むのが苦手な人では、介助犬が何をしたらいいのかというニーズも変わってきます。
介助犬のお仕事を動画で見る
ここまで読んでくださった中で、「犬がドアの開閉ってどうやるの?」と疑問に思われた方もいらっしゃるかもしれません。
あくまで動作の一例ですが、上記のデモンストレーション動画(日本介助犬協会)を見てみてください。
ユーザーがドアの取っ手に紐をくくりつけた道具をひっかけ、介助犬が口に咥えやすいように工夫しているのがわかります。
ユーザーは、ときには道具も合わせて上手く使いながら介助犬に指示を出し、動作を手伝ってもらっているのですね。
介助犬の歴史
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1975年 アメリカで第1号の介助犬誕生
1992年 日本で育成開始
1995年 日本で初めての介助犬誕生
2002年 日本で「身体障害者補助犬法」が施行
日本で介助犬の育成が始まってから、すでに25年経ちますが、その実働頭数は日本全国で75頭ほどです。
介助犬として認定されるには、さまざまな訓練を達成していかなければなりません。
一頭を育てるのに手間や時間がかかること、ユーザーの対象となる人への認知が低いということが、頭数が増えない理由かもしれません。
適性のある犬
聴導犬と同じく、特定の犬種でなくても適性のある犬なら介助犬の候補になります。
- 人と一緒に行動したり、同じ作業を行なうことが好き
- 集中力があり、落ち着きがある
- 自発的に行動するが、独立心が強すぎない
- 攻撃性、警戒心がない
- 雷などの突然の音や事柄に対して、怯えたり、過剰反応をしない
- 他の動物に対して過剰に反応しない
- 人間の声によく反応して、喜ぶ
現在の日本では、ほとんどの介助犬がラブラドール・レトリーバーだそうです。
レトリーバーは、「レトリーブ(retrieve)=回収する、取り戻す」ということから、介助犬の特徴的な動作である「ものを拾う」のに適した犬種ではありますね。
また、ユーザーによって車椅子の牽引などを介助犬にしてもらう場合など、大型犬の方がいい場合もあります。
アメリカの方では、犬種に関わらず多くの小型犬や雑種犬が介助犬として働いています。
介助犬とそのユーザーに出会ったら
- お仕事中は「あたたかい無視」を心がける
- 「介助犬」と書かれたケープなどが目印
ペットではないかを見極めるには、「介助犬」と書かれたハーネスやケープ、首輪の着用が目印になります。
他の補助犬と同じく、お仕事中はじっと目を見つめたり遊ぼうとする素ぶりを見せず、そっとしておいてあげることが必要です。
また、何か困ったことがありそうなら、ユーザー本人には積極的に声がけすることをおすすめします。
介助犬だけではできないことをお手伝いできるかもしれません。
気をつけること
- 介助犬には、ユーザーの許可なく触らない
- 介助犬の目をじっと見つめたり、話しかけたりしない
- 餌をあげない(ユーザーによる排泄管理が乱れるため)
- ユーザーと介助犬を誘導する際は、介助犬が自力で乗り越えられるよう極力段差のない場所をえらぶ
まとめ
いかがでしたか?
外出時の手助けがメインの盲導犬と違って、介助犬は屋内から屋外まで様々なお仕事で活躍しているのですね。
まだまだ認知度もユーザーも少ない介助犬ですが、実働頭数はわずかながらも増えてきています。
周囲の人が認知しているかどうかで、ユーザーの安心感が変わってくることもありますよね。
もし街中で見かけることがあったら、注意点やお手伝いできることなど、思い出していただけたらと思います。