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ねこ健康

貝類は与えちゃダメ?「猫の耳が取れる」といわれる理由とは

yuri シェリー編集部

東北地方の漁師の間では、「春先に猫にアワビの肝を与えると耳が取れる」という言い伝えが存在します。アワビを食べると耳が取れるというのはなかなかイメージしづらく、実際にはそんなことは起こらないだろうと思うかもしれません。

しかし、貝類の中には猫に与えてはいけないものもあります。なんとなく「猫は魚介類が好き」というイメージのまま食卓にのぼった貝のお刺身を与えてしまうと、猫の健康を害してしまう恐れがあります。

この記事では、猫がアワビを食べると耳が取れるという言い伝えの真偽と、猫に与えてはいけない貝類、与えても良い貝類について解説していきます。

言い伝えの真偽は?


皆さんは冒頭でご紹介した「春先に猫にアワビの肝を与えると耳が取れる」という言い伝えをご存じでしたでしょうか。あまりにも突拍子もないことなので、聞いたことがある方も初めて聞いたという方も、なかなか信じ難いかもしれません。

このような言い伝えは江戸時代からあったようで、複数の文献に記載が残っているものの、その真偽ははっきりわかっていません。

しかし、これは「光線過敏症」という病気が関連していると考えられており、実際に耳が取れるほどの症状を発症することはありませんが、程度によっては起こり得る可能性があります。

なぜ耳が取れるという言い伝えが生まれた?

かつての日本では、アワビがたくさん取れました。食べる時に身だけをむいて肝は捨てていたため、猫がその肝を食べた結果、数日後に耳を掻きむしっていたり、ただれてしまったりしていたのでしょう。

それを見た漁師が、猫がアワビの肝を食べると耳が取れると考えるようになり、このような言い伝えが広まったとされています。実際に耳が取れた猫がいたかどうかはわかりませんが、なかなかひどい症状だったことは想像できます。

猫の光線過敏症


では、光線過敏症とはどのような病気で、なぜ猫の耳が影響を受けてしまうのでしょうか。詳しく解説していきます。

光線過敏症の原因

光線過敏症とは日光の紫外線によって引き起こされる免疫反応のことで、日光アレルギーとも呼ばれます。紫外線は適度に浴びる程度であれば問題ありませんが、猫を屋外で飼育していたり、メラミン色素の少ない白毛の猫は注意が必要です。

光線過敏症の原因はいくつかありますが、アワビと関連があるのがピロフェオフォルバイドという物質です。アワビの肝に含まれているピロフェオフォルバイドは、猫が食べることで全身を巡り皮膚に蓄積されて毒性反応を示すことがあります。

光線過敏症の症状

光線過敏症は次のような症状を示します。

  • 皮膚の赤みや腫れ
  • かゆみ
  • 痛み

猫は体が毛で覆われているため、直射日光を浴びても皮膚までは光が届きにくいですが、猫の耳は日光が当たりやすく皮膚も薄いため、光線過敏症の症状が強く現れるとされています。

そのため、かゆみから何度もかきむしっているうちに傷がつき、症状がひどくなるとカサブタで覆われたり、耳が変形したりすることもあります。そのまま放置すると、皮膚や粘膜組織から発生する扁平上皮がんに進行してしまうこともあります。

光線過敏症は短期間で症状が現れることは少なく、数ヶ月から数年かけて徐々に変化していきます。しかし、アワビなどの貝毒による光線過敏症の場合、翌日には発症することもあるそうです。

与えてはいけない貝類


貝類のうち、ミミガイ科とサザエ科の貝はピロフェオフォルバイドを含んでいるため、加熱をしたとしても猫に与えてはいけません。
次のような貝がミミガイ科とサザエ科に該当します。

  • アワビ
  • サザエ
  • トコブシ
  • トリガイ

どの貝が何科かよくわからないという方は、「基本的には猫に貝類を与えてはいけない」と覚えておいたほうがいいでしょう。なお、2月から5月の春の時期は特に毒性が高まるといわれているため、いつも以上に注意が必要です。
春先に猫にアワビの肝を与えると耳が取れる」とされているのは、このためだと考えられます。

与えても問題ない貝類

猫に与えられる貝類もあります。しかし、必ず加熱し、肝などの与えてはいけない部位は取り除く必要があります。

また、初めて与える際は少量にし、アレルギー反応を起こしていないかしばらく近くで見てあげてください。

アサリ

アサリにはチアミンを分解するチアミナーゼという酵素を多く含んでいるため生で食べると危険です。しかし、チアミナーゼは熱に弱いため、加熱処置を行うことで、安心して猫に与えることができます。

また、タウリンが豊富に含まれており、タウリンを体内でほとんど合成できない猫にとっては貴重な栄養源になります。

チアミンとは
チアミンはビタミンB1のことです。
体内の複雑な生化学反応関連している重要な栄養素で、欠乏すると食欲不振や、歩き方に異常が見られ、悪化すると命に関わることもあります

ホタテ

ホタテにもアサリと同様にチアミナーゼが含まれていますが、加熱をすれば安全に与えられます。

ホタテの貝柱は高タンパクで低カロリー、タウリンや亜鉛、葉酸も豊富に含まれているため、猫にとって良い食品です。ただし、ウロと呼ばれる黒い内臓の部分は毒を含むため与えてはいけません

まとめ


猫がアワビの肝を食べたからといって耳が取れるということはまずないと考えられますが、光線過敏症の症状によって耳がかゆくなりボロボロになってしまう可能性はあります。基本的には猫に貝類は与えない方がよいと思っておきましょう。

人間にとって安全なものであっても猫には危険なものはたくさんあります。人間の食べ物は与えず、猫にはキャットフードや猫用のおやつのみを与えるようにしてあげてくださいね。
猫の食事を手作りする場合も十分気をつけましょう。

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