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コラム

中国が犬肉の消費を禁止。伝統の食文化にも「コロナショック」

Risa
Risa シェリー編集部

中国農業農村省は、「食べていい動物リスト」を公表し、今まで中国の一部で伝統の食料とされてきた犬が初めて外されました。
中国国内では、伝統を壊すとして反対の意見もある一方、犬はパートナーであるとの認識が高まりつつあり、今回の法案に対して喜びの声も多く上がっています。

今回の法案のきっかけは、野生動物を媒介したとされる新型コロナウイルスの感染拡大によるもので、犬以外にもこれまで中国で消費されてきたさまざまな野生動物がリストから除外されています。

今回は何でも食す中国の食文化に新型コロナウイルスが及ぼした影響を見ていきます。

「食べていい動物リスト」を発表

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中国農業農村省は今回、「食べていい動物」リスト(厳密には、食用や酪農用、毛皮用として飼育をして良い動物のリスト)を公的に発表し、それ以外の動物を食べることを禁止しました。

リストには、豚、牛、コブウシ、水牛、ヤク、ガヤル、羊、ヤギ、馬、ロバ、ラクダ、ウサギ、ニワトリ、カモ、ガチョウ、シチメンチョウ、ハト、ウズラなど31種の動物が掲載されており、犬や猫、ヘビ、カメなど、ペットとして飼われている動物のほか、コウモリ、センザンコウ、ハクビシンなど、新型コロナウイルスやそれに似たウイルスを持つ動物はリストから除外されました。

リストに載っていない動物を食べた場合、有罪となり、多額な罰金が請求される予定です。

「犬は人間のパートナー」と説明

中国農業農村省は特に、犬をリストから除外したことに関して、「犬はもはや人間のパートナーとして認識されているためだ」と説明しました。

中国国内で犬を飼う人も増えたこともありますが、欧米諸国を中心に犬を食べることについて世界中からの批判が相次いでいたことも、この説明の裏側にはあると想像できます。

「食べていい動物」の判断基準は?

中国農業農村省は、食べていい動物の選出基準として、「人工繁殖方法が確立していること」「食品の安全、衛生管理に問題がないこと」「民族習慣の尊重をすること」「国際的慣習に見合っていること」の4つを挙げました。

伝統行事「犬肉祭り」

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中国南部玉林(ユーリン)市で毎年6月21日に行われる「犬肉祭り」では、毎年多くの犬が食用として販売されます。

先ほども触れましたが、そもそも犬を食べることに関して、これまで世界中から批判の声が相次いでいました。それに加え、このお祭りのために、飼い犬を盗んだり、毒殺した犬や病死した犬をレストランや食肉処理工場に流す悪徳業者が出てくるなどしたことで、犬肉祭りに対しての批判は一気に高まりました。

批判を受けての玉林当局の対応

世界中の批判を受け、玉林当局は2014年、犬肉祭りは「民間行事」であって、公的な支援はないと説明しました。

玉林当局は、飲食店に「犬肉」の看板を出さないよう指導し、業者に対しても犬肉の取扱量を減らすように指示しています。また、公共の場で犬を殺したり、犬を生きたまま販売することはほぼなくなりました。

これまでにもこういった動きはありましたが、法律などで公的に犬肉販売を禁止する動きはありませんでした。

犬肉消費を巡る人々の対立

世界中から浴びせられる犬肉祭りへの批判に対し、玉林市民の多くは「これは伝統行事だ、他人に口出しされる筋合いはない」と反発していましたが、中には犬肉祭りに疑問を呈する愛犬家もいたようです。

祭り以外でも犬肉は食べられていた

犬肉祭り以外でも、中国の一部の地域では炒め物や鍋料理に犬肉が使用されてきました。

NPO法人「Humane Society International」は、年間約1000万〜2000万匹の犬が食用に殺されていると推定しています。

日本でも、主に中華料理店や韓国料理店で犬肉を提供しているところがあるようですが、犬肉の輸入は今のところ禁止されていません。

新型コロナで高まる野生動物取り引きへの懸念

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中国では、多くの動物が、「野生動物農場」で飼育され、食用や毛皮用、薬用に売買されてきました。

「野生動物農場」では、田舎で生活する人でも簡単にお金儲けができるとあって、中国政府はこれまで農場を規制することはなく、むしろ促進してきました。

SARSの媒介役も・・・

SARSの媒介役になった可能性が指摘されているチベット猫も、国家林業草原局の後押しを受けて飼育を続けていたといいます。

しかし、野生動物農場経営に必要なライセンスは地方レベルで出されており、どのように繁殖が行われているかなどの情報も不確かであったことから、国全体での野生動物市場についてはっきりと把握されていませんでした。

COVID-19で農場がシャットダウン

コウモリを媒介した可能性が高いと指摘されている新型コロナウイルスの感染が世界中で拡大すると、クジャク、ジャコウネコ、ヤマアラシ、ダチョウ、ガチョウ、イノシシなどを飼育していた約2万件の野生動物農場が閉鎖または休業に追い込まれました。

現在休業中の農場に関して、今後どの程度再開が許されるかはわかりませんが、少なくとも野生動物市場の規模は縮小するとみられています。

深圳市では早くも犬肉禁止へ

中国南東部に位置する深圳市では、4月2日、犬肉の消費を禁止する法令を一足早く発布し、5月1日から施行されています。

深圳市は、新型コロナウイルスを受けて野生動物取引の見直しに乗り出し、加えて犬や猫などペットとして飼われている動物を食べることも禁止しました。

犬肉禁止法案に対する賛否両論

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今回政府が出した、消費目的の飼育を認める動物のリストから犬が除外されたことについて、中国国内では賛否が分かれています。

賛成意見

中国では近年、犬を飼う人の数が増えており、「犬は人間の大切なパートナーだ」という意識が高まっています。自分の愛する犬の仲間が、殺されて食べられてしまうことに心を痛めている人も多くいました。

犬肉禁止に賛同する人々は、今回の法案は中国のアニマル・ウェルフェアにおける大きな躍進だとして称賛しています。

反対意見

これに対し、犬肉を食べることは大事な伝統であると考える人たちは、「伝統文化を壊すつもりか」と反発しています。また、中国以外のアジア圏でも犬肉を食べる地域が存在することから、「犬肉禁止は西欧文化への従属だ」と厳しく非難する人もいるようです。

さらに、犬肉の販売でお金を稼いできた人たちからは、これからどのように生活していけば良いのか、何か政府から支援はあるのかなど、不安の声も上がっています。

パプリック・オピニオンを聞き、正式に発表

農業農村省が今回出した動物リスト案は、5月8日までの1か月間、中国市民から意見を募集していました。そして、5月も下旬になり、中国はリスト案が正式なものになったと発表することとなりました。

文化、倫理、衛生意識の衝突

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今回は、食用に飼育して良い動物のリストから、公式に犬を除外する法案が中国で初めて発表されたことをお伝えしました。その理由は、「犬は人間のパートナーだから」と説明されています。

また、新型コロナウイルスが野生動物を媒介したと見られていることから、犬肉以外にも、さまざまな野生動物がリストから外されました

日本人の感覚からすると、「犬や猫を食べるなんてとんでもない!」と感じ、到底信じられませんが、中国では食文化の一つでした。日本でもクジラを食す文化がありましたが、これが海外の人からバッシングされたことと近いものだと考えられます。

しかし、この食文化もいよいよ終わりを告げようとしています。今回、世界中を震撼させた新型コロナウイルスは、中国の食文化にも「コロナショック」をもたらし、大きな影響を与えているのです。

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