お正月に死の危険!?犬がアルコールを摂取したときの危険性

2024.07.30
お正月に死の危険!?犬がアルコールを摂取したときの危険性

正月は宴会など、アルコールを飲む機会がどうしても増えます。その場は実家だったり、親戚の家だったりすることが多いでしょう。犬を室内で飼っている方は、「仲間外れはかわいそうだ」と飲みの席に連れてくるでしょう。

しかし、その場合はよく注意しなければなりません。正月には、犬の急性アルコール中毒事件がよく起こるのです。今回はそんな犬のアルコール中毒の危険性について取り上げます。

この記事の目次

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犬の”急性アルコール中毒”とは

アルコール依存
そもそも、急性アルコール中毒とは何か、ご存知でしょうか?

急性アルコール中毒は「アルコール飲料の摂取により生体が精神的・身体的影響を受け、主として一過性に意識障害を生ずるものであり、通常は酩酊と称されるものである」と定義されます。

引用元
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/alcohol/a-01-001.html

一般的に、急性アルコール中毒を起こすのは人間のため、動物も急性アルコール中毒になってしまうという認識はあまり広まっていません。しかし、ペットなど体格の小さい動物こそ、少量のアルコールであっても危険度は高く、症状も重くなります。

犬がアルコールで中毒症状になってしまう主な原因は以下の二つです。

  • 犬が自ら誤飲
  • 飼い主さんが飲ませてしまう

飼い犬を飲酒を伴う食事に同席させる場合には、犬が間違って飲まないように、そして誰かが犬に飲ませないように常に気にかける必要があります。

犬にお酒が絶対ダメな理由

ウイスキー
人間は多少アルコールを飲んでも、翌日ケロリとして目覚めることができます。しかし、犬の場合はそうはいきません。

人間がアルコールを摂取すると、そのアルコールは体内で分解されアセトアルデヒドとなり、さらに無害な物質へ分解されます。しかし、犬はアルコールを分解する酵素を持っていないのです。全くお酒が飲めない人と同じようなものです。

そのため、犬にお酒を飲ませてしまうと、摂取したアルコールが無害化されることなく体内を循環してしまい、重度の中毒症状があらわれたり、最悪の場合、死に至ることがあります。

参考:死に至ってしまうアルコール量

犬がアルコール(エチルアルコール)を5.5~6.5ml/kg(4.1~4.9g/kg)飲むと摂取後12~24時間以内に死亡するという報告があります。

引用元
Du Jardin – Beaumetz. Acad Sci 1875; 81: 192. Cited by Ratcliff RC, Zuber RM. Acute ethyl alcohol poisoning in dogs. Aust Vet J 1977; 53: 48-49.

当然、大型犬と小型犬で一律の量ではありません。犬の体重別に表にすると以下の通りです。

小型犬を飼っている方は特に注意する必要があります。溢れたビールをぺろっと舐めただけで、千鳥足になってしまうことも考えられます。

犬の急性アルコール中毒の症状

ゴールデンレトリバー

  • 症状1. 呼吸困難
  • 症状2. 意識朦朧
  • 症状3. 昏睡状態

人間が酔っ払ってしまったときのような千鳥足の症状から始まります。この段階は、側から見ている分には面白おかしく感じてしまうかもしれませんが、これは既にアルコールが高い濃度で血中を周りはじめている証拠です。

放っておくと上記のような症状が現れはじめ、最悪の場合、死に至ります。飲み会に同席させる場合、常にアルコールを犬から遠ざけ、飲んでしまっていないかを確認するよう心がけて下さい。

お酒を飲んでしまったら?

病院医者
まず覚えておいて欲しいのが、「水を飲ませてはいけない」ということ。誤嚥して呼吸困難に陥ってしまう可能性があります。犬がお酒を飲んだことに気づいたら、すぐに搬送の準備をはじめ、動物病院に連絡して獣医師の指示を仰ぎましょう。

その際、「いつ」「体重何キロの犬が」「どの位のアルコールを飲んで」「どのような症状に陥っているのか」を電話口で獣医師に伝えます。動物病院についてからの説明では間に合わない可能性があるからです。

そのような緊急事態に直面する前に、24時間診察を受け付けている病院を探しておき、名前と電話番号、住所をメモしておきましょう。いざというときに動物病院を探す作業から始めては、手遅れになってしまうかもしれません。

このことからも、かかりつけの動物病院を持っておくことがいかに重要なことかがわかります。

大切な愛犬の命のために

飼いやすい犬
実はアルコール飲料だけでなく、消毒薬、風邪薬やアレルギーの治療薬、香水、アフターシェーブローション、マッサージオイルなどにもアルコールは含まれます。万一のことが考えられるため、犬の手の届かないところに置いてください。

室内飼いの場合、おしっこやうんちをした時の消毒用にアルコール消毒液を用意しているケースがあるかもしれませんが、これも同様に誤飲してしまうと危険です。日頃から管理には気をつけるべきでしょう。

犬の急性アルコール中毒は死亡事故にもつながりやすく、そして、残念なことにお正月に増える事故でもあります。日頃からアルコールは絶対に犬が触れないところに保管し、かわいそうでも飲みの席には同席させないほうが望ましいのかもしれません。

改訂履歴
2019/12/8 最新のデータを元に更新
2017/12/30 初版公開

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