梅雨の時期、外を歩いていると、きれいな紫陽花を目にすることがありますよね。ですが、実はあの紫陽花には毒が含まれています。
人間であってもそれを知らずに誤って食してしまうことがあり、食中毒の事例も報告されています。犬の散歩をしているときや猫を外で放したときには、紫陽花を食べさせないように注意しなければなりません。
それでは、紫陽花の毒の危険性について詳しく見ていきましょう。
この記事の目次
紫陽花とは
6〜7月にかけて開花し、白や青紫などのひらひらが華やかな紫陽花。鎌倉の紫陽花は有名ですので、梅雨の季節に見に行ったことがあるという方も多いのではないでしょうか。
実はあのかわいらしいマリのような部分は、花弁ではなくて発達したガクです。樹高はおよそ1〜2メートルほどに成長します。
紫陽花の危険性
梅雨の時期に道路を映えさせる紫陽花は、犬を散歩しているとよく目につくのではないでしょうか。しかし、きれいな花には「毒」があるように、紫陽花も毒を持っています。
毒
紫陽花には「青酸配糖体」という成分が含まれていると言われており、食べると消化器官で猛毒の青酸に変化します。体内に取り込まれた青酸は、下痢やおう吐、まひなどさまざまな症状を引き起こし、犬・猫が食べると最悪の場合、死に至ることもあります。
紫陽花の葉・茎・つぼみなどに毒があるとされ、特につぼみは毒性が高く、少し口に含んだだけでも命に関わることがあるので注意しましょう。
注記
過去には、厚生労働省からも紫陽花の喫食による青酸食中毒の喚起が行われていましたが、現在の見解では、青酸配糖体が含まれているのか否かは定かではなく、毒性成分については未だに不明とされています。しかし、実際に食中毒が起きることは確認されており、危険であることは紛れもない事実です。
自然毒のリスクプロファイル:高等植物:アジサイ
人間への影響
人間が少量食べた場合には命に関わることはありませんが、おう吐などの体調不良を引き起こします。厚生労働省からも紫陽花の食中毒についての注意喚起がされているため、万が一、料理に添えられていても食べないように気をつけましょう。
アジサイの喫食による食中毒について
先般、飲食店で料理の飾り用として提供されたアジサイの葉を喫食したことによる食中毒事例が発生しました。
本事案では、飲食店施設等に植えられているアジサイの葉を採取し提供していましたが、アジサイの葉、花等の有毒植物が料理の飾り用として市場に流通していることが確認されています。
引用:アジサイの喫食による食中毒について
犬・猫が食べたら…
少量摂取の場合、元気がなくなったり落ち込んだ様子を見せる他に、おう吐や下痢が見られます。そして、紫陽花を大量に摂取してしまうと、心拍数と呼吸数の増加、まひなどが起こり、こん睡状態に陥ります。最悪の場合には死に至ることもあります。
人間にも影響を与える紫陽花ですから、人間より小さな犬や猫、小動物が食べてしまった場合には、さらに深刻な影響を与えることでしょう。
もし食べてしまったら
万が一、散歩中に愛犬が食べてしまったり、猫が口に含んでしまった場合には、一刻も早く処置してあげることが必要です。
取り上げて洗い流す
これ以上、犬・猫が毒を摂取してしまわないように、まずは口の中に残っている紫陽花を取り除いてください。また、前足でつかんでいるものも取り上げましょう。水があれば、前足と口をさっと洗い流してください。
動物病院に連絡・急行する
すぐにでも吐き出させなければいけないので、急いで最寄りの動物病院に連絡し、犬・猫を連れて行ってあげてください。動物病院では胃洗浄などの処置を行います。
情報を揃えておく
これは紫陽花に限った話ではありませんが、食べてはいけないものを犬や猫が食べてしまった場合、動物病院で診察を受けるときには「いつ・どのくらい・何を食べたのか」を伝えることがとても重要です。きちんと把握しておくようにしましょう。
可能であれば、食べてしまった植物の一部を持っていくと診察の参考になる場合があります。できる限りの情報を正確に伝えられるようにしてください。
事故を予防する
これらの事故は、未然に防ぐことがとても重要です。以下を参考に、きっちり対策しておきましょう。
普段からしつける
出された食事以外のものは口にしないようにしっかりと普段からしつけをしておきましょう。特に、一度拾い食いをして美味しい思いをしている場合は、既に成功体験が出来てしまっているため、きちんとトレーニングをしないと、また落ちているものを食べてしまう可能性が高いので、直しておきましょう。
加えて、散歩中に飼い主のそばから離れないようにしつけておくことも重要です。
部屋や庭には極力置かない
部屋に紫陽花を飾るのは避け、どうしても飾りたい場合は、絶対に犬や猫が誤食しない場所に置くようにしましょう。特に、猫は胃にたまった毛玉を吐き出すために植物を食べる習性があるため、置く場所には十分注意してください。
視界に入れない
犬・猫が散歩中にどうしても紫陽花に興味をひかれてしまう場合には、散歩コースを変えた方が良いでしょう。飼い主さんの注意がそれる瞬間をうかがっているかもしれません。
最後に
毎年少なからず、紫陽花の葉を食べてしまったことによる食中毒の事故が報告されています。人間が少量を食べただけでも吐き気やおう吐を引き起こすことから、体格の小さい犬や猫が食べてしまったときにはより気をつけなければなりません。
犬は散歩中に草を食べることがあります。また、猫も同様に、植物を食べる習性があります。飼い主さんが目を離している隙に、不意に紫陽花を食べてしまうことがないよう、十分に気をつけましょう。