日本ではあまり聞きなれない「ドッグ・パーク」や「ドッグ・ビーチ」ということば。こういった「ドッグ・パーク」や「ドッグ・ビーチ」は、オーストラリアにはたくさん存在します。それは一体どのようなところなのでしょうか?
筆者がオーストラリアに旅行した際、機会があり、現地に住んでいる友人にシドニー郊外のドッグ・パークを案内してもらいました。そこには、自然の中でのびのびと楽しく遊んでいる犬たちの姿がありました。
今回は、そんなドッグ・パーク、ドッグ・ビーチに関する海外情報をお届けします。
この記事の目次
シドニー郊外のベイビュー・ドッグ・パークのロケーション
ベイビュー・ドッグ・パークは、シティと呼ばれるシドニーの中心部から車で1時間ほどのところにあります。入り組んだ湾の奥まったところにあるため、波はほとんどなく、海というよりは湖のような穏やな水辺が広がっています。
ロウランド保護区という自然のままの公園の中で、子供連れの家族が芝生の広場で寝転がったり、サッカーをしたり、海岸の岩場でカニを探していたり。そんな光景が見られる場所です。また、海辺にはボートクラブがあり、個人所有のボートやレンタルのボートがたくさん浮かんでいます。
犬だけじゃなく、人も楽しめるドッグ・ビーチとは?
広場の先にある林の中の遊歩道を抜けると、砂浜が広がっています。そこではたくさんの犬たちがリードを外して自由に水に入って泳いだり、ボールを追って走ったりしていました。
「ドッグ・ビーチ」と聞くと、漠然と「犬のためのビーチ」をイメージしてしまい、犬だけが泳いでいる場所と想像してしまいがちです。しかし、ここでは犬だけでなく、小さな子供から大人まで、自由に海に入って一緒に遊んでいます。
つまり、犬も人も、分け隔てなく、一緒に楽しむことができる場所だったのです。いわゆるドッグランのように柵で覆われていることもありません。駐車場から広場、海岸へと仕切りはなく、一般的な海浜公園のような場所です。
自然の中でイキイキと自由に走り回る犬たち
私がビーチに行ったのは、4月のお昼の12時半ごろ。気温は25度で、お天気も良く、半袖でも少し暑いくらいでした。
犬たちには暑すぎるのではないかと思いましたが、ビーチにはとても気持ち良さそうに走り回る犬たちの姿や、海に体を浸して、ゆったりリラックスしている犬たちの姿をあちらこちらで見ることができます。
どうやら、犬たちも暑くなったら、自ら海に入って体をクールダウンさせている様子です。リードでつながれることなく、自由に砂浜を走り回ったり、海に入ったりしている犬たちは本当にイキイキとしています。
レンタルボートで釣りを楽しんだり、犬洗いサービスも
犬や人が遊んでいる砂浜のすぐ横にはボートハウスがあります。ボートに乗って釣りなどに出かける男性や、釣ってきた魚をさばいている人もいます。船着き場のそばには魚をさばく台が設置されており、その場ですぐに調理ができるようになっています。
また、砂浜を上がったところにある芝生の広場には、犬用のバスタブを積んだ車が停めてあり、犬を洗うことができるようになっています。
残念ながら、料金は不明でしたが、海水でぬれた犬をそのまま連れて帰るよりも、シャンプーしてから帰る方が飼い主にとっては良いですよね。ビーチと駐車場の間にある広場に犬洗い屋さんがいるという配置は、飼い主目線からもよく考えられているなと感心します。
このように、犬がリフレッシュできるだけでなく、ちゃんと飼い主のことも考えられており、人も犬もお互いが楽しめるように設計されています。これがベイビュー・ドッグ・パークの最大の魅力と言えるのではないでしょうか。
なぜビーチそばの公園内はリード着用がルールなのか?
海の付近では、リードフリーの状態で犬たちは遊んでいました。しかし、どこでもリードフリーにして良いというわけではありません。
ドッグ・パークの内でありながら、林の遊歩道などには「DOGS MUST BE ON A LEASH」、つまり「犬は必ずリードにつないでください」と書かれた看板が立っています。ビーチはリードを外していいのに、なぜ林の中はダメなのでしょうか?
その答えは、「林の中には野生動物がいるため」でした。犬たちは悪気がなかったとしても、犬を放してしまうと、野生動物に危害を加えてしまう恐れがあります。オーストラリア固有の動物も多く、自然や野生動物を大切にしているオーストラリアらしい考え方ですね。
犬と一緒に生活を楽しむオーストラリアのドッグライフ
ドッグ・パークは、犬だけが楽しむ場所ではなく、人間だけが楽しむ場所でもなく、子供から大人までが犬と一緒に自然の中で遊べる公園でした。自然の中で体を動かす犬たちは本当に気持ち良さそうにしており、人や他の犬にほえたりすることなく、自由に遊んでいて、街中で見かける犬たちよりも幸せそうに見えました。
本来、ほとんどの犬種は、都会の街中で暮らすためではなく、海や山などの自然の中で人間と暮らすために作られています。例えば、ラブラドールレトリバーなど、レトリバー系の犬たちは撃ち落とした鳥などをくわえて回収させるために作られた犬です。そのため、海に投げ込まれたボールを見ると、喜んで追っていき、そして海に入って回収してきます。
しかし、日本には、海で泳いだことのないラブラドールレトリバーもたくさんいることでしょう。私たちが犬の幸せを願うのであれば、犬という生き物がどんな時に心の底から楽しいと感じ、幸せを感じるのかを考えてあげることが大切ではないでしょうか。そして、その気づきを与える手段の一つとして、オーストラリアのような自然の中で犬と過ごせる施設が少しずつでも日本にも増えていけばいいなと願っています。