犬は水中を「犬かき」で泳ぎます。
では、犬ならみんな犬かきができるものなのでしょうか。実は、犬種によって犬かきの得意不得意は異なります。
今回は、犬かきが得意な犬種と苦手な犬種、そして犬かき名人になれる3ステップをご紹介していきます。
この記事の目次
犬はみんな「犬かき」をするの?
本来、犬は「泳げる動物」です。自然の中で暮らしていた頃は、犬も水中を泳いで渡ることがあったことでしょう。
では、現在も犬はみんな「犬かき」ができるのでしょうか?
四足動物はみんな「犬かき」で泳ぐ
「犬かき」という名前の泳法ですが、実は犬に限らず、多くの泳げる四足動物が「犬かき」で水中を進みます。
犬かきを見たことがある方はわかると思いますが、犬かきは「泳いでいる」というより、顔を上げて水中を「走っている」ような泳法です。
犬かきは、人間の「クロール」や「平泳ぎ」、「バタフライ」などに比べて進みが遅く効率が悪いように感じられますが、人間とは関節の作りが違うので、四足動物は犬かき以外に泳法の選択肢がありません。
犬かきが得意な犬
犬はもともと泳げる動物ですが、都市化した人間社会で一緒に暮らすようになって泳ぐ機会が減ったことで、現在は泳ぎが苦手な犬や、水を怖がる犬もいます。
漁師とともに狩りをしながら、海の人名救助犬としても活躍してきたニューファンドランド犬やアイリッシュ・ウォーター・スパニエル、水辺での狩猟を得意としてきたレトリーバーなどは、泳ぎが特に得意な犬として知られています。
また、「水の中でバチャバチャ音を立てる」という意味の、「Pudel」というドイツ語が語源になった犬種「プードル」も、もともとは泳ぎが得意な犬種です。ただし、近年定番のペットとなっているトイ・プードルは、愛玩に特化して泳ぐ機会が減ったため、泳ぎが苦手な子も多いようです。
犬かきが苦手な犬
チワワやポメラニアン、マルチーズなど、愛玩犬として進化をしてきた小型犬は、泳ぐ機会があまりない環境で生きてきたので、泳ぎが得意ではありません。
また、短足が特徴のダックスフンドや、呼吸がしづらい短頭種のブルドッグ、フレンチブルドッグ、パグなどは、体の特徴から他の犬種と比べて泳ぐのがあまり得意ではありません。
さらに、ビーグルやジャック・ラッセル・テリアなどの「嗅覚獣猟犬」は、水辺での狩猟はしてこなかったので泳ぎに適していません。
もちろん、泳ぎの得意・不得意は、犬種だけでなく個体によっても異なります。泳ぎが苦手とされる犬種でも、水遊びが大好きな犬は泳ぎが得意になるかもしれません。逆に、泳ぎが得意とされる犬種でも、水に対して恐怖心がある場合は泳ぎが苦手でしょう。
「犬かき名人」になるための3ステップ
犬かきが得意とされる犬種でも、苦手とされる犬種でも、犬かきが実際に得意かどうかは結局それぞれの性格や経験、身体能力によります。
ここでは、これまで泳いだことのない犬が、スムーズに犬かきができるようになるための3ステップを簡単にお伝えします。
ステップ1:まずはお家で水に慣れさせてみよう
どんな犬種でも、「水が得意な犬」と「水が苦手な犬」がいます。
まずは、自宅のお風呂場やお庭など、犬が見慣れた場所で水に慣れさせてみましょう。
水が苦手な犬に無理に水をかけたり、いきなり水の中に入れたりすると余計に水が怖くなってしまいます。犬の様子を見ながら、足元の方から少しずつ水に慣らしていきましょう。
ここで無理強いをしてしまうと、シャンプーなどで必要な時にも水を嫌がるようになってしまうので、怖がっていると感じたら水遊びは諦めるのも愛犬のためです。
ステップ2:補助付きで泳がせてみよう
水に慣れてきたら、犬用のライフジャケットを着せ、実際に泳がせてみましょう。その際、飼い主さんが常に横について、溺れてしまわないように手でしっかりと補助をしてあげましょう。
ステップ3:補助なしで泳がせてみよう
補助付きでスムーズに泳げるようになってきたら、少しずつ飼い主さんの補助を減らして、犬に自分で泳がせてみましょう。犬の様子を見ながら、無理のない範囲で泳がせます。
犬の水遊びで注意したいこと
水遊びは無理強いしない
プールなどに連れて行く前に、必ずお家で水に慣らしておきましょう。また、お家での水遊びが大好きな犬でも、知らないところで水に入るのは嫌がることがあります。
愛犬が嫌がっているときは、無理に水遊びをするのはやめましょう。もし、飼い主さんが一緒に水遊びをしたいと思っていても、ここで無理をすると、嫌いになってその望みは叶えられなくなってしまいます。
小型犬や短頭種は特に注意
急に冷たい水に入ると、特に小型犬は体温が急激に下がってしまうことがあります。温度の高い水を選んだり、軽く水浴びをさせてから入れるなどの工夫をしましょう。
また、短頭種は他の犬種よりも呼吸がしづらいことから、水の中でも溺れやすいです。常に顔が水の上に出ていることを確かめ、できれば飼い主さんが横に付いてあげましょう。
水に入る前にトイレを済ませる
犬が水の中でトイレをしてしまわないように、なるべく入水前にトイレを済ませましょう。
特に、他の犬も利用することがあるプール施設などでは、トイレを済ませた後に体を洗ってから入水するよう求めているところもあります。
しっかり休息をとる
人間も、水に長く入っているととても疲れますよね。
犬は、疲れていても言葉で表現できません。また、楽しければ疲れていても元気に見えるでしょう。
長時間の入水は、疲労だけでなく体を冷やしてしまう危険性もあるので、意識的に犬を水から出して、休息をとらせるようにしましょう。
水遊び後はしっかり乾かす
長時間体が濡れたまま過ごしていると、体が冷えて犬が風邪をひいてしまいます。また、湿った状態が続けば皮膚病の原因にもなりかねません。
屋外にドライヤーを持ち出すのは難しいかもしれませんが、水から出たら最低限タオルドライを徹底しましょう。
まとめ
今回は、犬かきが得意な犬種と苦手な犬種をご紹介しました。
もちろん、犬種はあくまで目安であり、実際に泳ぐのが得意かどうかはそれぞれの性格や経験によって異なります。
「犬ならみんな犬かきができるはずだ」と考えて無理矢理泳がせようとすると、水を怖がってしまったり、場合によっては溺れてしまうこともあります。決して無理をさせることなく、あなたの愛犬の様子を見ながら水遊びをさせてみてくださいね。