犬は「ペット」というカテゴリーから「家族」というより飼い主にとって身近な存在になり、人が世話をして犬をかわいがり、人に癒しをくれる存在になりつつあります。
しかし、犬種によっては歴史を辿ると使役犬として人から仕事を与えられており、犬種の特徴を活かしながら働いていました。
今回は、日本の街中でも見かけることの多い5犬種にかつて与えられていた仕事や歴史を紹介します。
この記事の目次
追いかけて吠えることが仕事のダックスフンド
ダックスフンドは、スタンダード・ミニチュア・カニンヘンの3種類のサイズがあります。日本ではミニチュア・カニンヘンを飼っている人が多いですが、彼らにはアナグマ狩りがメインの狩猟犬と獲物を見つけて追い込むハウンド犬という二つの仕事が与えられていました。
短い足が活きるアナグマ猟
ダックスフンドといえば短い足が特徴で、その短い足を活かしてアナグマ猟に用いられています。アナグマ猟では狭い穴にもぐってアナグマを追い立て、さらにその場に留まらせる役割があり、肉食であるアナグマにひるむことなく対応できるメンタルのタフさ、勇敢さもダックスフンドには必要となります。
アナグマ猟にダックスフンドを使う猟師はヨーロッパでは減ってきていますが、現在でもアナグマ猟にダックスフンドを用いる猟師も残っているようです。
地上で猟の手伝いをするハウンド犬
ダックスフンドはハウンド犬としてシカ狩りの手伝いもしており、特に北ヨーロッパで活躍していました。
ハウンド犬は、獲物の足跡を探しだし、獲物を追いかけながら吠えて、猟師に居場所を伝えます。その吠え声を頼りに猟師が獲物を仕留めるのが一連の流れです。
声が大きく、吠えやすい子が多いダックスフンドの性質は、彼らが与えられていた仕事からなんとなく理解できるのではないでしょうか。
かわいいだけではない水中で活躍するプードル
プードルの中でも日本で見かけることの多いトイ・プードルは、小さく人形のようなイメージが強いかもしれません。しかし、元々プードルは水中で活躍する水猟犬でした。水猟犬は、猟師が川や湖に撃ち落とした鳥を泳いで取りに行くなど、水中で人が出すコマンドに従いながら様々な役割を果たしていました。
水猟犬として活躍していたのはスタンダード及びミディアムプードルであると考えられています。プードルの人と密接な関わりを求める点や、高い学習能力が水猟犬として活躍できたゆえんでしょう。
水猟以外にも鋭い嗅覚を活かし、トリュフを探し当てる仕事をしているプードルもいます。現在この「トリュフ犬」は、訓練の仕方や採取の際に顔に大きな器具を付けて行うこと、採取時以外は劣悪な環境で飼育されているといったことが指摘され、一部では反対の声も上がっています。
様々な仕事をこなすミニチュアシュナウザー
ミニチュアシュナウザーは、かつてドイツの農民に飼われ、番犬や納屋、馬小屋などでネズミなどの害獣退治をしていました。
さらには、犯人の追跡や災害救助、麻薬探知や不審者の制圧などを行う警備犬としても活躍をしており、高い警戒心がありながらも人としっかりと関係性を築ける点や、優れた嗅覚、学習能力、身体能力の高さなど、ミニチュアシュナウザーの特性を活かした役割を担っています。
仕事ではありませんが、ジャンプ力や柔軟性、活発さを活かし、アジリティやドッグダンス、フライボールなどのドッグスポーツにも向いています。
狩猟が得意な柴犬
柴犬の「柴」は「小さい犬」を意味し、高い警戒心と忠実さ、俊敏さ、優れた嗅覚を持っています。これらの特性を活かし、かつて柴犬はキツネや、ネズミ、イタチ、モグラなどの小獣猟や鳥猟犬として、獲物の追跡や回収をしていました。また、番犬として家や農地を守る役割も担っていました。
番犬の役割を担っている柴犬は現在の日本でもまだいると思いますが、数は少ないものの日本で警察犬の試験に合格した柴犬や、北欧では猟犬として現在も活躍している柴犬もいるようです。
アナグマ猟のために生まれたジャック・ラッセル・テリア
ジャック・ラッセル・テリアは、短足で小柄な体格でありながら、優れた運動能力や強いメンタルを持っており、かつてオーストラリアではアナグマ猟で活躍をしていました。アナグマの巣穴に入り、アナグマを逃がすことなく追い詰め、地上にいる猟師に伝えるのがジャック・ラッセル・テリアの役目でした。
アナグマ猟に適した犬種として、狭く小さなアナグマの巣穴に入れるよう短足で、凶暴なアナグマに立ち向かっていけるよう強靭な精神を持ったジャック・ラッセル・テリアが作出されました。
まとめ
かつて犬たちには様々な役割が与えられており、その仕事が効率よくできるよう品種改良がされ、現在のような姿になっている犬種もあります。
愛犬の犬種がどんな役割を持って生み出されたかを知ると、吠えが多いことや素早く動くものを追いかけるなど、納得できる行動があるかもしれません。犬種の特性と愛犬の性格を理解して、愛犬に適したトレーニングや運動ができる機会をしっかり作ってあげられるといいですね。