「最近体調が悪いけど、病院に行っても良くならないし、原因がわからない」ということはありませんか?
それ、もしかしたらペットと同じ病気にかかっているかもしれません。
今回の記事では、人獣共通感染症についてご紹介し、簡単にできる対策方法をお伝えします。
この記事の目次
人獣共通感染症とは
ヒトと動物の両方がかかる病気のことを「人獣共通感染症」もしくは「ズーノーシス」といい、厚生労働省ではヒトへの感染経路を重視する観点から「動物由来感染症」と呼んでいます。
動物からヒトに感染するもの、ヒトから動物に感染するもの、ヒトと動物の双方から感染するものがあるため、感染しない・感染させないことがとても大切です。
世界保健機関(WHO)によると、世界で確認されている人獣共通感染症は約200種あるとされていますが、そのうち日本で見られるのは約50種です。
しかし、新型コロナウイルスにより人間の渡航が減っているとは言え、貨物線など海外との往来がある以上は、今まで日本に存在していなかった人獣共通感染症にも注意しなければいけません。
感染経路による分類
感染症が他の動物にうつることを「伝播(でんぱ)」といいます。伝播の経路は大きく①直接伝播と②間接伝播に分けられ、間接伝播はさらに、⑴ベクターを媒介する経路、⑵環境を媒介して感染する経路、⑶食品を媒介する経路、の3つに分けられます。
それぞれの特徴をみていきましょう。
①直接伝播
咬み傷やひっかき傷から病原体が侵入して感染します。
傷口を舐められた場合も感染する可能性がありますので、ケガをしている時などは特に注意しましょう。
代表的な人獣共通感染症
狂犬病、パスツレラ症、猫ひっかき病、トキソプラズマ症、回虫症、エキノコックス症、クリプトコッカス症、サルモネラ症、オウム病、ブルセラ病など
②間接伝播
(1)ベクターによる間接伝播
ダニや蚊などの吸血等により、感染している動物からヒトに感染するケースです。
代表的な人獣共通感染症
重症熱性血小板減少症候群(SFTS)、犬糸状虫症、瓜実条虫症、日本脳炎、デング熱、ペスト、腸管出血性大腸菌感染症など
(2)環境による間接伝播
汚染された水や土を、口に含むことで感染します。また、排泄物に含まれた病原菌が風で舞い上がり、吸い込んでしまうことで感染することもあります。
代表的な人獣共通感染症
レプトスピラ症、炭疽、破傷風など
(3)動物性食品による間接伝播
病原体で汚染された家畜や魚介類を、よく熱を加えずに食べることで感染することがあります。また、感染している動物を触った後に、手を洗わずに調理をしたり食品を食べたりすることでも感染します。
代表的な人獣共通感染症
E型肝炎、カンピロバクター症、サルモネラ症、アニサキス症、ノロウイルス症など
ペットから感染しないために気をつけること
人獣共通感染症は、犬や猫では無症状もしくは軽症であっても、ヒトに感染すると重症になる場合もあります。
当然、その逆の場合もあります。動物から感染しないためにも、ペットに感染させないためにも、以下のことを徹底しましょう。
ペットの予防注射やワクチン接種を欠かさない
犬の飼い主には狂犬病予防注射の接種が義務付けられています。
しかし、義務付けられていなくても予防すべき病気はたくさんあります。愛犬の健康を維持することが家族の健康を維持することにも繋がりますので、かかりつけの獣医師に相談してしっかり予防しましょう。
過剰なふれあいは避ける
動物の口の中や爪には細菌やウイルスがたくさんいます。ペットに口移しで餌を与えたり、食器を共用することは避けましょう。
スキンシップといって愛犬にキスをしたり顔を舐めさせたりするのもよくありません。
また、ペットに触れたあとは必ず石鹸で手を洗うようにしましょう。
砂場で遊んだら必ず手を洗う
公園の砂場などは、動物が用を足していることがあります。動物に直接触れていないから大丈夫だと思うかもしれませんが、動物の排泄物にはたくさんの病原菌が含まれています。
病原菌が手についたまま食事などをすることで感染してしまうため、外から帰ってきたら手を洗う習慣をつけましょう。
ペットの体やペットの居住空間を清潔に保つ
ブラッシングはもちろん、シャンプーも定期的に行うようにしましょう。
また、排泄物を放置すると、乾燥して病原体が空気中に漂い、吸い込みやすくなります。長時間放置することはせず、なるべく早く処理しましょう。
屋内で鳥を飼育する場合は換気を心がける
鳥類の場合は特に、羽毛や乾燥した排せつ物が室内に舞いやすくなります。ケージや室内のこまめな清掃はもちろん、換気も定期的に行いましょう。
また、鳥はストレスや環境の変化で病気にかかりやすくなったり病原菌を排出したりすることがあります。鳥を飼い始めたばかりのときは特に注意しましょう。
野生動物の接触は避ける
野生動物はどんな病原菌を保有しているかわかりません。かわいいからといって無闇に触れるのはやめましょう。
特に海外では、狂犬病ウイルスを保有している動物が多く生息しているため、絶対に触れてはいけません。
まとめ
人獣共通感染症は予防を怠ってしまうと、ペットだけでなく、家族の命に関わることもあります。
ワクチンを接種する、動物に触れたら手を洗う、掃除を行うなど、基本的なことを意識することで感染の可能性を下げることができます。
ペットを飼育することは、ペットと家族の健康を守る責任が伴います。今一度飼育環境を見直し、みんなが健康でいられる環境作りを心がけましょう。