犬の飼い主のみなさんは、犬がくるくると尻尾を追いかけるようにして回る様子を見たことがあるでしょうか。犬がくるくると回る姿を見て、「かわいい」や「楽しいのかな」と思うかもしれません。
しかし、犬が回るのは、もしかしたらストレスや病気のサインかもしれません。
今回は、犬がくるくると回る原因を、心理的な原因5つと、身体的な原因3つに分けてご紹介します。
この記事の目次
犬がくるくる回るのはなぜ?心理的な理由の場合
まずは、犬がくるくる回る心理的な原因を5つ見ていきましょう。
1.嬉しくて興奮しているから
ごはんをあげる前や散歩の前、飼い主さんが帰ってきた時などに犬がくるくる回る場合は、嬉しくて興奮しているサインです。
2.ストレスや不安を和らげるため
退屈によるストレスや、恐怖感、不安感を感じていると、犬はくるくる回ることでネガティブな感情を和らげようとすることがあります。
エスカレートすると、頻繁に回るようになったり、回りながら自分の尻尾を噛んだり、うなったりする様子が見られることも。運動が足りなかったり、ひとりで過ごす時間が長い場合は、ストレスが原因かもしれません。
3.回るのが楽しいから
単純に自分の尻尾を追いかけながら回るのが楽しくてくるくる回る行動をする犬もいます。
ただし、回転頻度が増えたり、尻尾を噛むなどの行動が見られた場合は、ストレス行動の可能性が高いため、注意深く観察しましょう。
4.うんちの前の安全確認
うんちをするときの体勢は、犬にとってとても無防備です。そのため、うんちをしているときに外敵に襲われたりしないよう、前もって周囲の安全をくるくる回って確かめることがあります。
ちなみに、犬が用を足すときに南北を向くという研究が、2014年のイグノーベル賞を受賞しました。犬には磁場を感じる力があり、方角を探るためにくるくる回っているのではないかと考えられています。
5.寝る場所を整えるため
犬が寝床でくるくると回るのは、寝床を自分好みに整えるためです。
この場合、回るだけではなくて、手で寝床を一生懸命に掘るような仕草が見られることが多いです。
犬がくるくる回るのはなぜ?体の異常が理由の場合
次に、犬がくるくる回る身体的な原因を3つ考えましょう。
1.認知症
犬は高齢になると、人間と同じように認知症になることがあります。
この場合は尻尾を追いかけるようにしてくるくる回るというより、同じ場所を円を描くようにして何度も回ります。
他にも、壁にぶつかっても後戻りせずに歩き続けたり、家の中で迷子になるなどの行動が見られたら認知症の可能性が高いでしょう。
2.お尻の異常を気にする
お尻にうんちが付いてる、皮膚が炎症しているなど、お尻に何らかの異常を感じると、お尻が気になってくるくる回ることがあります。
犬が回りながらお尻のにおいを一生懸命嗅ごうとしている様子やおしり歩きをするような様子が見られたら、お尻に何か異常を感じているサインかもしれません。
3.耳や脳の異常
犬がくるくると回るのは、中耳炎や脳炎、脳腫瘍などが原因で平衡感覚を失い、意図せずにくるくると回る「旋回運動」の可能性もあります。
目や首の動きが安定しなかったり、嘔吐、食欲不振、痙攣などの症状が伴って見られる場合は、危険な疾患を抱えているかもしれないので、見逃さないようにしましょう。
【ケース別】犬がくるくる回る時の対処法
全てのケースに当てはまること
回っている理由がなんであれ、犬がくるくる回って周辺の家具や壁などにぶつかってしまわないように、安全を確保しておきましょう。特に、パグなどの目が飛び出している犬種は、目を怪我しないように十分注意してあげる必要があります。
家具の角など、犬がぶつかりやすいところにはクッション性のある柔らかいものを取り付けましょう。
また、これは回らない犬の場合にも言えることですが、足腰に負担がかからないよう、フローリングにはマットを敷くなどして足元が滑りにくい環境を作ることも重要です。
嬉しくて興奮している場合
犬が嬉しさでくるくると回っている場合は、特に心配しなくても大丈夫ですが、なるべく落ち着いてからごはんをあげたり、散歩に連れて行くようにしましょう。
トイレの前や寝床の整備が原因の場合
犬がうんちをする前の安全確認や寝床の整備のために回っている場合は、特に気にする必要はありません。
そのまま放っておいてあげましょう。逆に物音をたてたり、様子を伺おうとじっと見つめてしまうのは、自分がやろうとしていることが中断されてしまうため、よくありません。
ストレスが原因の場合
飼い主さんは、「楽しくて回っているだけだろう」と思っても、それは実は犬からのストレスサインかもしれません。犬が尻尾を噛んだりうなりながら回っている場合や、くるくる回る行動を頻繁にする場合は、ストレスや不安、恐怖が原因だと疑いましょう。
運動不足や飼い主さんとのコミュニケーション不足のほか、引越しなどで環境が変わることなどもストレスの原因となります。
散歩の時間を伸ばしたり、たくさん遊んであげるなど、できるだけストレスや不安の原因を除いてあげ、犬の様子を見ましょう。
病気が原因の場合
病気が原因の場合は、くるくる回る以外にも他の症状が伴う場合が多いです。
例えば、老犬で、壁に向かって歩くなどの症状が伴う場合は認知症を疑います。また、お尻に異常を感じている場合はお尻を見てあげることで原因が分かるかもしれません。嘔吐、食欲不振、痙攣が伴う場合は、耳や脳に異常があることが考えられます。
少しでも「おかしい」と思うことがあれば、早めにかかりつけの獣医師に相談しましょう。その際、くるくる回る様子など、犬の行動を動画に撮っておくと診断がしやすくなります。
まとめ
今回は、犬がくるくると回る原因として考えられるものを、心理的な原因5つと身体的な原因3つに分けてご紹介しました。
犬がくるくると回るのは、うんちの前や寝床の整備など、特に心配しなくて良いものもあれば、ストレスや病気など、注意すべき原因もあります。単に回っていると言っても、その状況から考えられる原因は様々です。
犬がどのように回っているのか、他に何か症状がないかなどをよく観察し、ストレスとなる原因を取り除く、動物病院に連れて行くなど、その原因ごとに適切に対処しましょう。