乾燥する季節になると起こりやすい、「静電気」。ビリっとした痛みも伴って、本当に嫌なものです。
ペットを撫でようと触れるたびに静電気が起きてしまい、突然の刺激に飼い主さんもペットも驚くこともしばしば。
ペットにとって、静電気は痛くてとても不快なもので、かわいそうですよね。
静電気はペットにとって悪影響を及ぼすことがあります。今回は静電気がペットに与える影響、防止策などをご紹介します。
この記事の目次
静電気のメカニズムと痛みの原因
まず始めに、静電気はどうして起こるのでしょうか?
私たちの身の回りのものは全て電気を帯びています。もちろん、人間やペットも例外ではありません。通常はプラスとマイナスの電気を同じ数だけ持っていますが、衣服の擦れなどによる摩擦でそのバランスが崩れしまうと、静電気が体に溜まっていきます。
体に溜まった静電気は、空気中の水分を通して少しずつ体外に放出されるのですが、乾燥する季節は空気中の湿気が少ないため、放電されずに静電気がずっと体に溜まってしまいます。
この溜まった静電気が、物体同士の接触によって一気に流れて「バチっ!」っとなるのです。
夏場は湿気が多いため、あまり静電気が起こりませんが、冬は空気が乾燥によって静電気が「溜まりやすく放出されにくい」のです。
犬や猫は静電気が溜まりやすい
犬や猫は全身が被毛で覆われています。その毛の1本1本が帯電し、毛布などと擦れるたびに静電気が溜まってしまいます。
その上、犬・猫の皮膚は人間の皮膚のおよそ6分の1の薄さのため、水分が逃げやすいのです。
特に、乾燥肌体質、ロングコート、被毛の多い犬・猫は静電気を溜め込みやすい傾向にあります。
静電気はペットの肌の乾燥サイン
犬・猫の皮膚はとても繊細で、私たちの予想以上に乾燥の影響を受けています。
日本の冬はただでさえ乾燥しやすいですが、暖房による乾燥で、さらに皮膚の水分が奪われてしまいます。特に、床暖房の上で寝ることが多い犬や猫は、お腹の皮膚が乾燥しやすいと言われています。
ペットに触れるたびに頻繁に静電気が起きるのは、ペットの皮膚や被毛が乾燥しているサインだと考え、早めに乾燥対策を講じてあげましょう。
静電気がペットに与える影響
撫でようと触るたびに「バチっ」と静電気が起きてしまっては、飼い主さんにとっても、犬・猫にとっても、心地の良いものではありません。
ペットにとって静電気は痛みを伴うだけでなく、不安や恐怖を与えたり、皮膚のトラブルにつながったりすることもあります。
静電気を溜め込むことで起きる犬・猫への影響をみていきましょう。
触ることを怖がるようになる
撫でられる度にピリッと痛みを感じたら、飼い主さんの手が怖くなったり、撫でようとしただけで反射的に逃げてしまうようになったりします。
静電気による痛みを伴うため、飼い主さんに叩かれたと勘違いしてしまうこともあるようです。このように学習させてしまうと、手を咬まれる可能性も出てくるため、かなり危険です。
また、服を脱がせたときや、くるまっていた毛布から出たときにも、繰り返し痛みが起きてしまうと「その服や毛布は痛いものだ」と覚えてしまいます。
これにより、服や毛布が嫌いになってしまい、服を着せようとすると逃げたり怒ったりしてしまうかもしれません。
ハウスダストを引き寄せる
犬・猫の体に溜まった静電気は、空気中のハウスダストを自然と引き寄せてしまいます。
それによってアレルギー症状を引き起こしたり、ホコリやダニの接触による皮膚疾患の原因になってしまう可能性があります。
ペットの静電気対策法
このように静電気は嫌なものです。最後にそのような静電気を防止する方法をご紹介します。
身の回りの物の素材選び
カーテン、ブランケット、洋服など、ペットに使う布製品には素材によって、帯電しやすいものとそうでないものがあります。
+(プラス)の電気を帯びやすい | 帯電しにくい | −(マイナス)の電気を帯びやすい |
---|---|---|
ナイロン、ウール、レーヨン | 絹、綿、麻 | アセテート、ポリエステル、アクリル |
冬はフリースなどのポリエステル素材の服を着させる機会が多くなりますが、実はこれらの化学繊維は静電気が起こりやすいのです。
逆に、綿などの天然素材は静電気が起こりにくいです。
ペット用の布製品全てを天然素材にする必要はありませんが、洋服選びに迷ったときや、乾燥しがちで肌に痒みなどが出ている犬や猫の場合は、これらを参考にして天然素材を中心に選んであげてみてください。
部屋の湿度をあげよう
静電気は湿度が20%以下、気温が20℃以下になると体に溜まりやすくなります。特に冬は湿度・気温共に下がってくるので注意が必要です。
部屋の湿度が上がれば、体内の静電気は自然と放出していきます。
加湿器をつけたり洗濯物を室内干しに変えたりして適度な湿度を保つことが、肌の乾燥対策と風邪予防だけでなく、静電気対策としても役立ちます。
ペットの近くをピンポイントで加湿したいときは、寝る場所やケージの近くに濡らしたタオルをかけておくだけでも効果があります。
掃除・換気をこまめに
ハウスダストや細菌は、静電気に自然と引き寄せられて、ペットの体にくっついてしまいます。
ホコリを溜めないようにこまめな掃除、換気、空気清浄機を使うなどして部屋や空気を清潔に保ちましょう。
よく使うベットやブランケットなどもこまめに洗い、天日干しをすることも大切です。
飼い主さんの手の保湿も大事
飼い主さんがハンドクリームを塗るなど手の保湿をすることで、静電気は自然と放電されます。
飼い主さん自身の乾燥対策がペットにとっても良い影響を与えます。
また、ペットに触る前に、壁や机などの金属ではない素材のものを触ることで、穏やかに体内の静電気を逃せます**。
ペットの乾燥予防グッズ
被毛が乾燥していると静電気が溜まりやすいため、ブラッシングの際に静電気防止効果のあるスプレーを使用することで、被毛を保湿させることができます。
保湿スプレーや肉球クリームなども乾燥対策には効果的でしょう。シャンプーをした際はリンスもしっかり使うことで乾燥を防ぐことができます。
また、保湿効果があり、静電気を防ぐ洋服もあります。
秋冬の乾燥や静電気対策に!保湿・毛艶UPのBotania(ボタニア) | IDOG&ICAT
https://www.idog.jp/blog/2021/09/02/2994/
このように犬猫用の乾燥予防グッズはたくさんあるので、取り入れやすいものを試してみてください。
まとめ
普段は静電気が起こってもあまり気にしない人が多いと思いますが、ペットにとっては皮膚トラブルや乾燥などのリスクが隠れています。
ペットのための静電気対策は、掃除をしたり部屋の湿度を上げたりと、一緒に暮らす家族にとってもメリットがあります。ペットの生活環境を改善することは、自らの生活環境を見直すきっかけにもなるのではないでしょうか?
ぜひ、できる対策から始めてみてください。