【獣医師監修】病院に連れて行くべき?犬の尿漏れの原因とは

2024.07.30
【獣医師監修】病院に連れて行くべき?犬の尿漏れの原因とは

犬を飼っているみなさんは、床に水滴が点々と落ちている、犬を抱っこした時に湿り気があるなどの経験はありませんか?

犬の尿漏れに関しては、生活する上で悩みに感じている方も多いのではないでしょうか。動物病院で相談しようにも笑われてしまうのではないかと、気軽に相談できない方もいるかもしれません。

しかし、犬の尿漏れは、何らかの疾患のサインである可能性もあります。

そこで本記事では、犬でよく見られる尿漏れについて、獣医師が詳しく解説していきます。

この記事の目次

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尿漏れはどうして起こるのか

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尿失禁や排尿困難などを総称して「排尿障害」と言います。

尿は腎臓で作られ、尿管を取って膀胱に溜まっていきます。ある程度尿が溜まり、膀胱壁が一定の厚さになると末梢神経、中枢神経、交感神経のはたらきによって膀胱壁の収縮と尿道括約筋の弛緩が起こります。

排尿障害は、炎症や感染によってこれら神経に障害が起きる、または排尿痛などによって排尿頻度が増すなど、様々な要因により発生することが考えられます。

犬の尿漏れで受診する際に聞かれること

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動物病院を受診した時に問診で聞かれることをまとめました。スムーズに診察を行うためにも、事前に次のような項目をチェックしておきましょう。

  • 排尿の状態:トイレの回数、トイレにいる時間
  • 避妊/去勢の有無
  • 飲水量と尿量:飲水量の増加など
  • 尿漏れが起こるタイミング:興奮時、寝ている時はどうかなど

尿漏れの原因として考えられる病気など

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尿漏れが見られた時には、以下のような疾患が疑われます。

  • 先天性尿失禁
  • 尿路感染症
  • 尿石症
  • ホルモン反応性尿失禁
  • 糖尿病
  • 副腎皮質機能亢進症(クッシング症候群)
  • 肥満
  • 前立腺疾患

これ以外に、嬉ションなど、病気ではないお漏らしも考えられます。

それでは詳しく見て行きましょう。

先天性尿失禁

生まれつき尿管が膀胱以外に開口している、雌の場合は膣が狭いなどの異常によって尿漏れが起こります。
これら疾患の場合、尿は絶えず漏れ続けるため、異常にはすぐに気付くでしょう。

尿路感染症

犬の膀胱炎で最も多い原因は細菌性膀胱炎です。

排尿痛によるトイレ時間の延長や頻尿が見られ、時には血尿となります。
膀胱への残尿から、意図しないところでポタポタと尿が垂れることもあります。

尿石症

膀胱内に結石が形成されることで膀胱に炎症が起こります。尿路感染症と同様に、膀胱の炎症は排尿障害の原因となります。

また結石が膀胱から尿道に移動し、尿道閉塞を起こすこともあります。不完全な尿道閉塞では尿道に尿が残り、ポタポタと尿が垂れる原因となることもあります。

ホルモン反応性尿失禁

エストロジェンやテストステロンといった性ホルモンの減少によって引き起こされる尿失禁で、これは尿道括約筋の緊張低下が原因です。

避妊後の雌犬、または去勢後の雄犬で見られることがあり、特に中高齢になると発生が増加する傾向にあります。

ホルモン補充療法による治療が行われますが、雄の場合はテストステロンの補充によって前立腺過形成や肛門腺周囲腺腫を悪化させることもあるので注意が必要です。

糖尿病

血糖値の持続的な上昇によって様々な症状が現れますが、糖尿病の臨床徴候の中には多飲多尿があります
尿量が増加すると、失禁や尿漏れの原因となります。

副腎皮質機能亢進症(クッシング症候群)

内分泌疾患は、多飲多尿を引き起こすことが多いです。糖尿病と同様に、尿量の増加が排尿障害の原因です。

これらの疾患の際には、尿量の増加とともに飲水量の増加も認められるため、自宅での飲水量を把握しておくといいでしょう。

腎不全

腎臓の機能が低下することで尿の濃縮が起こらなくなり、薄い尿が排泄されるようになります。
水分が過剰に排泄されるため、飲水量と尿量が増加します。

肥満

体勢の変化時などに体内の脂肪によって膀胱が押され、意図せずに尿が漏れることがあります。
また肥満は糖尿病など他の疾患の素因にもなるため、併発症がないかの確認も必要となります。

前立腺疾患

前立腺の良性過形成は、去勢していない雄犬で一般的に見られる加齢変化です。
前立腺の増大は尿道の狭窄を起こし、尿が残りやすくなります。その結果として、排尿障害や尿失禁が認められるようになります。

また前立腺膿瘍、前立腺炎、前立腺腫瘍など、前立腺の腫大が引き起こされる疾患によっても同様の症状が見られます。

病的ではないお漏らし

子犬や老犬では尿道括約筋の機能が弱いため、尿漏れを起こすことがあります。興奮すると尿が漏れる、いわゆる「嬉ション」もこれに当たります。

通常は成長とともになくなっていく嬉ションですが、小型犬では尿道括約筋が元々弱いために成犬になっても嬉ションが治まらないこともあります。

犬の尿漏れが見られたら動物病院に連れて行こう

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現在確認できる尿漏れが、病気によるものかそうでないかを確認する必要があります。しかし、「病気でない」ことを証明するのは「病気である」と診断するよりも困難です。

尿漏れが見られた場合は、必要な検査をしっかりと受けておきましょう。

尿検査の必要性

膀胱に感染が起きているか、尿が薄くないか、尿糖が出現していないかなど、尿検査では様々なことがわかります。また尿漏れの原因は泌尿器系に異常があることが多いため、尿検査は原因を探るための非常に有能なツールとなります。

少しの違和感でも動物病院へ

少しでも愛犬に違和感を感じたら、まずは動物病院へ行ってみましょう。検査をして異常がなければ安心ですし、異常があれば病気の早期発見が可能です。

まとめ

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犬の尿漏れについて、「そんなこともあるよな」と特に気に留めない方も多いように思います。

しかし、愛犬の健康を守れるのは飼い主であるあなただけです。異常かもと感じたなら、ぜひ気軽に動物病院まで相談しに来て下さい。

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