愛犬の健康管理において、意識していることはどのくらいありますか?
食事や運動はしっかり管理しているから大丈夫と思うかもしれませんが、他にも日頃から注意すべき点がたくさんあります。
本記事では、犬との日常生活の中で注意してほしいことを、獣医師が詳しく解説します。
この記事の目次
これから犬を飼おうとしている方へ
この記事を読んでいる方の中には、まだ犬を飼っていない方もいるかもしれません。
犬を選ぶにあたって、次の2つのポイントをおさえておきましょう。
好発疾患のリスク
血統書が付いているような純血種では、例えばダックスフントは椎間板ヘルニアになりやすいなどのように、遺伝的に好発する疾患がある可能性があります。
ペットショップなどでは遺伝的な疾患についての詳しい説明はない場合が多いかと思いますが、あらかじめ犬種による疾患のリスクを理解することは重要です。
疾患のリスクを理解しておけば、生活の中で注意すべきことも分かるはずですし、万が一病気になってしまったとしても、慌てずに対応できます。
運動量
犬種によって筋肉量が異なり、それによって必要な運動量も異なります。
家を空けることが多い場合は、多くの運動量を必要とする犬種を飼うことはおすすめしません。
その犬種が一日にどのくらいの運動が必要で、それが実現可能かどうか考えてみましょう。
日常でできる健康管理①体重管理は「食べ物+運動」
人間同様、犬にとっても肥満は重大な疾患リスクになります。
内臓疾患はもちろん、関節疾患などの対策のためにも体重管理は重要です。
標準体重はその子の骨格や体の大きさによっても異なるので、定期的に体重を測定し、大きな増減がないか確かめておきましょう。
フードの選択
ドッグフードの選択は、犬のライフステージに合わせて行いましょう。
また、避妊/去勢をしている子は体重が増えやすい傾向にあるので、カロリーを抑えた食事管理が必要です。
人間の食べ物をあげるのは絶対NG
犬にかわいくおねだりをされると、ついつい人間の食べ物をあげたくなってしまいますよね。
しかし、人間の食べ物はカロリーが高い上に、塩分や脂肪分なども多く含まれています。
もしかしたら、家族の中に犬に懐かれたくてこっそりと食べ物をあげてしまう人がいるかもしれません。
体重管理は、家族全員の協力が必要不可欠です。
適切な運動を
犬種や年齢によって、1日に必要な運動量は異なります。獣医師さんと相談しながら、適切な運動量を守りましょう。
また、雨が続く時期には、家の中で運動させるなどして、運動不足を防ぎましょう。
日常でできる健康管理②異物・毒物の誤飲を防ごう
家の中には、人間にとっては無害でも、犬にとって猛毒であり、誤飲すると命に関わるものがあります。
チョコレートやタバコ、人間の薬などを、犬の手の届くところに置いていませんか?また、プラスチックや電池などの誤飲事故も多い傾向にあります。
いたずら盛りの子犬の時期は特に、犬の手の届く範囲に余計なものを置かないようにしましょう。
ゴミ箱や机の上も注意
留守の間などは、どうしても飼い主の目が行き届きませんし、犬も暇になります。
遊びを求めて机の上のものや、ゴミ箱の中を漁るかもしれません。普段はイタズラをしないような性格の子でも、万が一のことを考えて、余計なものは片づけておきましょう。
できれば、ゴミ箱は簡単に開かない蓋つきのものにしたり、犬の手の届かないところに置いておくのが確実です。
日常でできる健康管理③フローリングや段差に注意
室内で犬を飼う場合、床の素材や段差には注意が必要です。
滑り止めワックスやカーペットを活用しよう
肉球には滑り止めの機能もありますが、それでもフローリングはとても滑ります。
変な踏ん張り方をすることによって、膝や腰に余計な負担がかかってしまい、関節炎などの骨関節疾患の原因となることもあります。
フローリングには、滑り止めワックスを塗ったり、カーペットを敷くなどしてできるだけ滑りにくくしましょう。
犬用の階段を活用しよう
大きな段差では転落の危険がありますし、小さな段差でもつまずいてケガをすることもあります。
ソファやベッドなどの大きな段差には、ペット用の階段を設置してあげると良いでしょう。
日常でできる健康管理④排泄物から異常を知る
排泄物(尿や便)は、犬の健康を知る大切なバロメーターです。
排泄物の量や色、回数などを毎日確認することで、小さな異常にも気付くことができるかもしれません。
犬は言葉が話せない分、人間側が体調不良を拾ってあげる必要があるのです。
日常でできる健康管理⑤ストレスの発散法を確保する
生活の中で、何がストレスになるのか、どんな手段によってストレスを発散するのかは、犬によって違います。
例えば、散歩が大好きでも他の犬に恐怖を覚えるような子の場合、散歩に行くにしてもコースや時間帯を考える必要があります。
家を留守にする時間が長い場合には、犬が留守番をしている間に退屈させないよう、おやつが出てくるおもちゃなどを利用したいですね。
日常でできる健康管理⑥スキンシップはほどほどに
愛犬がかわいいのはわかります。しかし、いくらかわいいくても過度なスキンシップはNGです。
特に、キスや口移しでの給餌は絶対に止めてください。
それは、犬から人間に感染症が移ることがあるからです。
特に、免疫力が低下している状態の人(子供やお年寄り、基礎疾患のある人)は、重篤化する恐れもあります。
日常でできる健康管理⑦定期的なお手入れを忘れずに
ヒトが定期的に髪や爪を切るように、犬にも定期的なお手入れが必要です。
爪・足のケア
爪や足裏の毛が伸びている状態だと、床で滑ってケガをするかもしれません。
また、爪を切らずに放置すると、いずれ巻き爪となり、足に食い込んでいきます。
歯のケア
歯磨きをしないと、歯周病など様々な病気にかかりやすくなってしまいます。
できるだけ、子犬のうちから歯磨きに慣れさせておきましょう。
肛門腺のケア
お尻の横にある肛門腺(臭い腺)の分泌物を絞ってあげることも重要です。
排便とともに分泌物が出る子もいますが、特に小型犬では、上手に分泌物を排出できない子が多いです。
肛門腺に分泌物が溜まると袋が破け、肛門腺が破裂してしまいます。
これらのケアにはコツがいるため、いきなり行うことは難しいかもしれません。
慣れるまでは動物病院で一緒に練習しましょう。もちろん、不安だったらずっと病院で処置してもらうこともできます。
まとめ
犬と共に生活をするには、考えなければいけないことがたくさんあります。
犬の健康を守り、お互いに幸せな毎日を過ごせるように、日々の暮らしを見つめ直す時間があってもいいかもしれませんね。