5月中旬、アメリカで発生した火災現場で、ビルの5階の窓から猫が飛び降りる様子を撮影した動画が話題になりました。
猫は高いところから飛び降りるのが得意とされていますが、一体どのくらいの高さまでなら無事に飛び降りられるのでしょうか。
そもそも、猫はどうして高所を好むのでしょうか。
今回の記事では、猫が高いところを得意とする理由や、飼育する上で注意したいポイントをご紹介します。
この記事の目次
火事で5階から飛び降りた猫
YouTube動画
“Cat jumps from fifth-floor of burning Chicago building and survives unharmed”
Guardian News
https://youtu.be/W01240u1P_c
アメリカ・シカゴで5月13日、火災が発生したビルの5階から、1匹の黒猫が飛び降りる様子が撮影されました。
火災があった部屋の住人はすでに外に避難しており、飼い猫だけが部屋に取り残されていたといいます。
猫はしばらく窓際から外を眺めていましたが、「このままここにいては危険だ」と思ったのか、覚悟を決めて窓から飛び降りました。そして様子を見守っていた人々の悲鳴が響く中、猫は芝生の上に華麗に着地を決め、何事もなかったかのように立ち去ったのです。
猫はその後、しばらく車の下に隠れてから再び建物の中に戻ったと、シカゴ消防局は伝えています。
猫は高いところから飛び降りるのが得意とはいえ、5階もの高さから飛び降りることは珍しく、動画を見た人々からは驚きの声があがっています。
猫は高いところから飛び降りても大丈夫?
秘密は「三半規管」にあり!
猫は、体の平衡感覚をつかさどる「三半規管」がとても発達しています。
高いところから飛び降りる際、この三半規管が地面に着地するまでの距離を脳に伝えてくれるため、猫は手足を開いて落下速度を調整し、最後は肉球で衝撃を吸収しながら上手に着地ができるのです。
どのくらいの高さまでなら飛び降りられる?
猫にもよりますが、一般的に6〜7メートル(建物の2階程度)の高さであれば、猫は無傷で飛び降りられると言われています。
それ以上の高さから飛び降りると、骨折をしたり、死亡してしまう可能性も高くなります。
意図的に飛び降りたかどうかも重要
意図的に飛び降りる場合、高さをしっかり計算した上で、筋肉の使い方も工夫しながら地面に着地するため、ケガのリスクが低くなります。
5階から飛び降りたシカゴの黒猫も、意を決して自分から飛び降りたために、ケガをしないで済んだのだと考えられます。ただし、それほどの高さであれば、意図的であっても失敗する可能性は十分にあったことは確かでしょう。
一方で、たとえ2階の高さであっても、ベランダでくつろいでいたときに間違って落ちてしまったなど、思いもよらず不意に落ちてしまった場合には、ケガをすることは珍しくないようです。
そもそも猫が高いところを好む理由
猫が高所を好むのは、野性時代に身につけた生きるための術が関係しています。
1. 危険を回避するため
飼い猫にはあまり馴染みがないかもしれませんが、外で暮らす猫は、猛禽類やヘビ、コヨーテなどの外敵から身を守る必要があります。
猫はなるべく地面から離れた木の上などに登ることで、地面で暮らす肉食動物から身を守ります。
そのほか、高いところにいることで、ノミやマダニなどの害虫・寄生虫からの回避もできると考えられています。
2. 広い視野を得るため
高いところに登ると、視野が広くなり、外敵や獲物を見つけやすくなります。
外敵を見つければすぐに安全なところへ逃げられますし、ネズミの巣穴位置などにも目を光らせておくことで食べ物も確保しやすくなって、まさに一石二鳥です。
3. ほかの猫よりも優位に立つため
ほとんどの猫は木の上などに登れますが、中でもより優れた筋肉やバランス感覚を持つ猫は、ほかの猫よりもさらに高いところに登ることができます。
つまり、高いところにいる猫ほど強いという認識が生まれ、上にいる猫は下の猫よりも優位に立てるのです。
高いところが好きな猫を飼う際の注意点
1. 棚の上に危険なものを置かない
高いところが好きな猫は、棚の上やピアノの上など、家の中のあらゆる高いところに登りたがります。
そのため、骨董品やフィギュアなど、壊れやすいものを棚に置いておくと、猫が通った際に落ちて壊れてしまうことがあります。
また、好奇心が旺盛な子猫や拾い食い癖のある猫を飼っている場合は特に、薬や殺虫剤、プラスチック片などを誤飲してしまう危険性が高いため、なるべく置かないようにしましょう。
2. ベランダからの落下事故に注意
先述した通り、高いところが得意な猫でも、不意に落ちてしまうとバランスを取りきれずに着地に失敗することがあります。
ベランダの手すりにネットを張ったり、ベランダに出られないようにすることで、猫が落ちてケガをすることがないように気をつけてあげましょう。
まとめ
今回は、猫が高いところを好む理由や、飛び降りても大丈夫な体の仕組みのほか、高所好きの猫だからこそ注意すべきポイントをご紹介しました。
猫は、野生の世界で生き残るために、高いところに登って生活ができるようになりました。
シカゴの火災で5階飛び降りた猫は無事でしたが、通常、猫が飛び降りられるのは2階くらいの高さまでです。
猫を飼っている場合は、室内の高い位置を常に安全に保っておくことはもちろんのこと、ベランダからの落下などにも注意してあげましょう。