【獣医師監修】ヨークシャーテリアの好発疾患と日常生活でできる予防

2024.07.30
【獣医師監修】ヨークシャーテリアの好発疾患と日常生活でできる予防

「ヨーキー」ことヨークシャーテリアは「動く宝石」という別名があるほど、とてもエレガントな犬種です。

小型犬に分類され、日本でも人気が高い犬種ですが、健康を守るために飼い主さんはどのようなことに気を付ければ良いのでしょうか?

本記事ではヨークシャーテリアによく見られる疾患と、日常生活の中で気を付けるべきポイントをご紹介します。
ヨークシャーテリアを飼っている方や、飼おうと思っている方は、ぜひ参考にしてくださいね。

この記事の目次

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ヨークシャーテリアの基本情報

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歴史

ヨークシャーテリアの名前にもあるイギリスの地方「ヨークシャー州」は、19世紀には重要な工業地帯として栄えていました。その時代にネズミ退治のために飼われるようになったのが、ヨークシャーテリアでした。

工業地帯の庶民に飼われていましたが、その美しい毛並みから、次第に上流階級にも愛されるようになっていきました。

身体的特徴

「動く宝石」とも呼ばれるヨークシャーテリアの最大の魅力は、なんといっても手触りのよい毛質「シルキーコート」です。シングルコートのため、比較的抜け毛が少ない犬種です。

また、19世紀のヨークシャーテリアは体重5kg前後と、今よりも大き目の体格でしたが、その後愛玩犬として小型化された結果、現在では体重1.5〜3kg程度が標準となりました。世界で最も小さい犬種であるチワワに次ぐ小ささです。

性格

性格は賢く飼い主にも忠実ですが、一方で警戒心が強く、知らない犬や人に対しては吠えやすい犬種です。
子犬の頃に知らない人や犬、音などにしっかりと慣れさせることや、しつけを徹底することが重要です。

運動量

ネズミを捕る使役犬として活躍していただけあって、活発な犬種です。
超小型犬なので運動量はそこまで多くありませんが、毎日の散歩やおもちゃでの遊びはストレス発散のためにも必須です。

ヨークシャーテリアの好発疾患

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身体の小さい犬種であるヨークシャーテリアですが、骨関節疾患内臓疾患脳神経疾患など様々な病気に気を付けなければなりません。
日々の生活の中ですぐに異常に気付けるよう、よく様子を見てあげてください。

気管虚脱

【症状】
「ガーガー」という咳、重症になると呼吸困難、失神、運動不耐性(疲れやすい)、発熱など。
【原因】
遺伝的要因や、肥満など。
【備考】
本来は丸い形である気管が、呼吸や外からの圧迫によって潰れ、咳が出る。高室温や乾燥などによるパンティング呼吸に誘発されることも多い。

膝蓋骨脱臼

【症状】
跛行(足を引きずる)、挙上(患肢を上げる)
【原因】
先天的に膝蓋骨が嵌まっている溝が浅い、膝蓋骨に付着している筋肉の左右バランスが不均衡、膝への大きな物理的衝撃など。
【備考】
膝蓋骨の脱臼が繰り返されることによって関節炎が進行し、前十字靭帯や後十字靭帯の損傷および断裂に繋がることもある。

大腿骨頭壊死症

【症状】
跛行(はこう:足を引きずる)、挙上(きょじょう:患肢を上げる)
【原因】
遺伝的な要因が大きく、生後数ヵ月~1歳までの時期に発症する。
【備考】
痛みが激しい場合には外科手術により大腿骨頭を切除する必要がある。

膵炎

【症状】
突然の激しい嘔吐、下痢、発熱、腹痛など。
【原因】
高脂肪食の与えすぎ、肥満、全身性代謝疾患(糖尿病、慢性腎不全など)もリスク要因に。
【備考】
中~高齢での発症が多いと言われている。

門脈体循環シャント

【症状】
成長不良、体重減少、腹水貯留による腹囲膨満、運動失調や発作などの神経症状など。
【原因】
ヨークシャーテリアには遺伝的要因が強いと考えられている。
【備考】
本来、各組織で出た老廃物は門脈を通って肝臓に入り、解毒される。しかし、肝臓を迂回する血管(シャント血管)が生まれつき存在すると老廃物が肝臓を通らなくなり、心臓に戻って全身に運ばれてしまう。

環軸亜脱臼

【症状】
頸部の痛み、歩行困難、四肢の麻痺など
【原因】
第一頸椎(環椎)と第二頸椎(軸椎)が生まれつき不安定なことにより、脊髄を圧迫する。
【備考】
首が痛そうな様子が見られたら、動かさずにすぐに動物病院へ行きましょう。

壊死性髄膜脳炎

【症状】
痙攣発作、意識低下、異常行動(同じところをグルグル回る、頭を押し付ける)、失明など
【原因】
原因は不明。元々パグに多く発生する疾患であるため、遺伝的な要因が示唆されている。
【備考】
門脈体循環シャントと合わせて、ヨークシャーテリアで痙攣発作が見られた場合には注意。

水頭症

【症状】
意識障害、行動異常、痙攣、発育障害など
【原因】
多くは先天性で、1歳以下で発症することが多い。
【備考】
早期診断により適切な処置がされた場合は長期にわたるコントロールも可能。

ヨークシャーテリアに適した飼育環境

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ヨークシャーテリアの好発疾患には遺伝的なものもありますが、中には環境を見直すことで発症を少なくすることができるものもあります。
すごく難しいことはないので、ぜひ検討してみてください。

1. 滑りにくい床

まずは、床の材質を見直してみましょう。フローリングなどの滑りやすい床は、膝関節や腰に大きな負担となります。
しっかりと踏ん張れるように、カーペットや滑り止めマットなどを敷いてあげましょう。

2. 爪や足裏のお手入れは定期的に

せっかく床を滑りにくいものに変更しても、愛犬の爪や足裏の毛が伸びているとブレーキがうまくかかりません。
美しい毛並みを維持するために定期的にシャンプーも必要ですが、そのときに足周りの毛の処置も一緒に行いましょう。

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3. 首輪ではなくハーネスを使う

ヨークシャーテリアの中には気管が弱い子がいます。
気管虚脱の症状が現れていなくても、首周りに大きな力が加わることは避けた方がいいでしょう。
首輪の代わりにハーネスを用いることで首への負担を無くし、ストレスのない散歩を楽しみましょう。

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4. 脂肪の多い食事を避ける

脂肪の消化には、膵臓から分泌される「リパーゼ」が関与しています。脂肪の多い食事を摂ると膵臓に大きな負担がかかり、膵炎の発症リスクが高まります
何となく美味しそうなフードをあげるのではなく、栄養表示にも気を付けてみましょう。

5. 肥満に注意

「4. 脂肪の多い食事を避ける」にも通じますが、肥満は万病の元となります。

関節に負担をかける、様々な内臓疾患を誘発する、首の皮下脂肪が気管を圧迫するなど、一つも良いことはありません。
適切な栄養管理と運動によってスリムな体型を維持しましょう。

まとめ

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愛犬と幸せに過ごすためには、健康であることが重要です。そのためには、飼い主さんがしっかりと健康管理をしてあげる必要があります。

ヨークシャーテリアがかかりやすい疾患を把握しておくことで、できる限りの予防をしてあげましょう。

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