人間も、年をとると足腰が衰えてきますが、4本足で歩く犬の場合、前足よりも特に後ろ足が先に衰えてきます。
後ろ足を引きずるようになってしまうと、思うように散歩に行けなくなってしまったり、トイレが自分でできなくなってしまうなどして、犬のストレスや飼い主さんの負担の原因になります。
そうならないために、今回の記事では、日常生活の中でできる犬の後ろ足のトレーニング方法をご紹介します。
この記事の目次
犬の足は後ろ足から弱る
一般的には、犬は高齢になると、前脚よりも先に後ろ足が衰えてきます。
これは、犬が普段生活をする中で、後ろ足のことはほとんど意識しないで動かしているからです。
前足2本をしっかりと動かせば、後ろ足は特に何も考えなくてもついてきてくれるので、意識が向かなくなってしまうのです。
さらに、重たい頭を支えているのも前足ばかりで、余計に踏ん張ろうとします。
個体差はありますが、犬は自分の体重の約7割を前足で、約3割を後ろ足で支えているとも言われます。
後ろ足をしっかり動かすトレーニングが必要!
普段意識せずに使ってしまう後ろ足をトレーニングするには、「なんとなく」動かせば歩けてしまうような道を歩かせるだけでは物足りません。
後ろ足を意識して動かさないと通れないような道や、障害物を使ったトレーニングなどが効果的です。
次の章からは、散歩中や家の中でできる後ろ足のトレーニング方法をご紹介していきます。
後ろ足のトレーニング方法【散歩編】
登り坂を歩かせる
平坦な道では、前足だけ踏ん張れば歩けてしまいますが、登り坂になるとそうはいきません。
後ろ足もしっかり使わないと、登ることができないのです。
急すぎる坂や、長い坂だと負担がかかりすぎてしまうので、犬の状態に合わせて、毎日の散歩に少しずつ登り坂のコースを取り入れてみましょう。
不安定な道を歩かせる
アスファルトで舗装された平らな道ではなく、砂利道、芝生、土手、砂場、砂浜、木の根っこ周りなどを歩かせてみるのもおすすめです。
特に、足が埋もれてしまう砂浜は歩くのが大変なので、良いトレーニングになります。
近くに砂浜がない場合は、芝生など、柔らかくてクッション性のあるところを歩かせることで、地面をしっかりと踏ん張って歩く練習になります。
後ろ足のトレーニング方法【室内編】
ポールをまたがせる
ポールや丸めたタオル、掃除のホース、飼い主さんの脚など、なんでも良いので、適度な高さのあるものを跨がせましょう。
おやつなどを使って誘導し、障害物の上を後ろ足までしっかり跨ぎ切らせます。
筆者の犬が椎間板ヘルニアになった時にも、リハビリとして毎日このトレーニングを行い、後ろ足の強化をしていました。
横着して障害物を避けて通ろうとしたりすることがありますが、そこは甘やかさず、しっかり跨がせることが重要です。
後ろ足に柔らかいヘアゴムをつける
後ろ足に、ホテルのアメニティにあるような柔らかいヘアゴムなどを軽くつけてあげることで、後ろ足に意識が向きやすくなります。
嫌がらなければ、ヘアゴムをつけたままトレーニングをするとより効果的です。
ただし、きつく締めたり、犬が嫌がっているのにつけ続けたりすると、ストレスの原因になってしまうので注意しましょう。
後ろ足をくすぐる
「後ろ足に意識を向けさせる」という意味では、後ろ足の肉球を軽くくすぐってみるのも有効です。
指で軽くなぞってあげるだけで、後ろ足を動かしたり、蹴ったりします。
ただしこちらも、しつこく長時間やってしまうとストレスになってしまうので、普段のスキンシップの中に少しだけ取り入れてみる程度にしておきましょう。
後ろ足のトレーニング方法【マッサージ編】
自分で後ろ足を動かさせることも重要ですが、合わせてマッサージも取り入れるとより効果的です。
後ろ足のマッサージをする際は、足を横に引っ張ったり、無理な体勢で持ち上げることは絶対にせず、優しく真上に持ち上げるようにしましょう。
後ろ足をさする
後ろ足を軽く持って、付け根から肉球までを軽くさすってあげるだけでも効果があります。
普段意識を向けない後ろ足ですが、さすられると自然と気になり、感覚が鈍りにくくなります。
後ろ足の曲げ伸ばしをさせる
前足につられて適当に「ついてくる」だけの後ろ足は、衰えてくるとしっかり持ち上げたり曲げ伸ばししたりできずに、引きずるような歩き方になっていきます。
時々片足ずつ優しく持ち上げて、曲げ伸ばしをさせましょう。自分で動かすことも重要ですが、飼い主さんの手で曲げ伸ばしさせるだけでも効果的です。
まとめ
今回は、年をとると衰えやすい犬の後ろ足の鍛え方をご紹介しました。
人間と同じように、犬も年をとってもできるだけ自分の足で動けるようにトレーニングしてあげることで、散歩などの楽しみがなくならないだけでなく、毎回のトイレのサポートの必要がないなど、飼い主さんの負担も小さくて済みます。
散歩で歩かせる場所を工夫したり、家の中での遊びに障害物を取り入れるなど、簡単なことの積み重ねでトレーニングをすることができるので、若いうち、あるいは年をとってきてからでも、少しずつ始めてみてはいかがでしょうか。