犬の飼い主の皆さんは、愛犬が伏せをするときに前足をクロスしたり、後ろ足を横や後方に投げ出してカエルのような体勢になっているのを見たことはありませんか?
とてもかわいらしいですが、犬はどのような理由からこのような体勢をするのでしょうか?
また、病気の可能性はあるのでしょうか?
今回の記事では、犬の「前足クロス」と「カエル足」について考えます。
この記事の目次
犬の「前足クロス」「カエル足」とは
「前足クロス」とは
その名の通り、2本の前足を重ねて伏せている状態です。人間の腕組みや足組みと似たようなものだと考えて良いでしょう。
前足クロスは、柴犬やトイ・プードル、イタリアン・グレーハウンドやミニチュア・ピンシャーなど、比較的足の長い犬種によく見られます。
ダックスフンドなどの足の短い犬はなかなか前足をクロスするのが難しく、ある程度長さがあったほうがクロスしやすいと考えられます。
もちろん、個体差はあるので、足の長い犬種だからと言って必ず前足クロスをするとは限りません。
「カエル足」とは
主に伏せているときに、股関節が外側に開いてカエルのような格好になっている状態のことを言います。
これは、「カエル座り」などと呼ばれることもあります。
こちらは、足が長い犬でも、短い犬でも見られ、全くしない犬もいます。
犬が前足をクロスする理由
1. リラックスしている
前足をクロスしている状態では、まっすぐにして伏せている状態に比べて、咄嗟に立ち上がることが難しいです。
そのため、いつでも動けるように警戒しているときに、前足クロスはしないと考えられます。
前足クロスをしているときは、犬がリラックスしている状態だと言えるでしょう。
2. 顎を乗せるのにちょうど良い
人間が枕を使うように、犬も顎を乗せるところがあると体勢が楽になります。
飼い主さんの腕や毛布などに顎を乗せることも多いのではないでしょうか。
前足をクロスさせることで、程よい段差ができ、顎を乗せるのにちょうど良い高さになると考えられます。
クロスさせた前足に顎を乗せていることが多いなら、顎枕として気に入っているのかもしれません。
3. 飼い主さんが喜ぶと思っている
愛犬が前足をクロスしているとき、「かわいい!」「お利口さんだね!」などと笑顔で話しかけたり、嬉しそうに写真を撮ったりしていませんか?
このような経験を何度かすると、犬は「前足をクロスすれば飼い主さんが喜んでくれる」と理解するようになります。
飼い主さんを喜ばせるために前足クロスをしているとしたら、とてもかわいらしいですね。
病気や怪我の可能性はある?
基本的に、前足クロスをしているからといって、足の病気や怪我を心配する必要はありません。
もし、日頃から愛犬の立ち方や歩き方に違和感がある場合は、生まれつき足の骨が変形している可能性があります。
例えば、立っているときやおすわりをしているときに前足の片方、または両方が外側を向いている場合などです。
一方、「足の骨の変形」というと、深刻な病気のように感じられますが、生まれつきである場合が多く、痛みを感じることは少ないので、それほど心配する必要はありません。
もし、歩きにくそうにしていたり、痛がっている様子が見られたら、獣医師さんに相談してみましょう。
犬が「カエル足」をする理由
1. リラックスしているから
前足クロスと同様、カエル足もすぐに立ち上がることが難しい体勢です。
そのため、カエル足をしている時は、緊張感がなくリラックスしている状態だと言えるでしょう。
2. フローリングで足が滑るのに慣れてしまった
マットを敷いていないフローリングは、犬にとって足が滑りやすく、歩きにくい環境です。
子犬の頃からフローリングで過ごすと、足を滑らせた状態に慣れてしまい、伏せるときに足を横や後ろに投げ出してしまうクセがつきやすいと考えられます。
3. 病気の可能性も
カエル足は、「股関節形成不全」という、股関節が脱臼する病気の症状として現れることがあります。
人間にも見られる病気ですが、犬の場合は特に大型犬に起こりやすいとされています。
カエル足の他に、次のような症状が見られる場合は股関節形成不全の可能性があります。気になる症状があれば、獣医師に相談しましょう。
- 脚を引きずって歩く。
- 後ろ足の両側を同時に蹴って、ウサギのように移動する。
- 散歩や、階段の昇り降りを嫌がる。
- 横座りをする。
まとめ
犬の「前足クロス」や「カエル足」は、その子のクセによるものが大きく、すぐに動けないのでリラックスしている状態だと言えます。
前足クロスがよく見られる場合は、足の骨が変形している可能性もありますが、特に心配する必要はありません。
一方、カエル足は、歩行困難などの症状を伴う場合は特に、股関節の脱臼をしている可能性があり、注意が必要です。
犬の座り方や伏せ方を観察し、「いつもと違う」「元気がない」などと感じたら、早めに動物病院に連れて行きましょう。