皆さんは、野生のオオヤマネコの一種である「ボブキャット」をご存知ですか?
極寒の地から砂漠地帯まで、様々なところに生息するボブキャットですが、ネズミなどの小動物の他にも、大きな動物や魚を狩ることもあります。2015年には、サメをくわえたボブキャットの写真が話題になりました。
今回の記事では、そんなボブキャットについて、特徴や生息地、日本で見られる動物園などをご紹介します。
この記事の目次
ボブキャットの基本情報
引用:YouTube
“Bobcat Hunting in Winter | Planet Earth II | BBC Earth” by BBC Earth
https://youtu.be/z7TQSCkY6y4
「ボブキャット」は学名ではない
ボブキャットは、学名では「Lynx rufus(リンクス・ルフス)」と呼ばれます。
「Lynx」は「オオヤマネコ」という意味で、「rufus」はラテン語で「短い尻尾」という意味があります。
この短い尻尾のことを「ボブテイル」と呼ぶため、「bobcat(ボブキャット)」と呼ばれるようになりました。
さらに、英語名では「Red lynx」と呼ばれることもあり、このことから日本語でも「アカオオヤマネコ」と呼ぶこともあります。
ボブキャットの分類
ボブキャットは、ネコ科オオヤマネコ属の中型獣に分類されます。
同じ分類には、「スペインオオヤマネコ」「カナダオオヤマネコ」などがいます。
ペットの猫からしたら体つきが立派なボブキャットですが、オオヤマネコ属の中では体のサイズが小さめで、赤ちゃんの頃のボブキャットはイエネコとほとんど見分けがつきません。
生息地
ボブキャットは、カナダ南部からアメリカ、メキシコの北東部まで幅広く分布しています。
様々な環境に適応でき、森林や草原だけでなく、湿り気のある沼沢地から乾燥している半砂漠地帯まで、色々なところに生息しています。
狩りの習性
ボブキャットは、昼間は木の上で休み、夕方になると狩りを始めます。
ただし、秋から冬にかけての寒い季節には獲物が日中に活動するため、それに合わせてボブキャットも昼間に行動します。
ボブキャットのエサは住んでいる環境や季節によっても異なりますが、ネズミやウサギなどの哺乳類や、カモなどの鳥、鳥の卵などを食べます。
一般的に、猫は水が苦手な動物として知られていますが、ボブキャットは水辺で魚などを狩ることもあります。さらに、自分よりも体の大きな鹿や羊などを捕まえることもあり、幅広く狩りができる動物として知られています。
2015年には、フロリダ州の海辺で、サメをくわえたボブキャットの写真が撮影され、話題を呼びました。
引用:YouTube
“Bobcat on beach with shark” by WPTV News – FL Palm Beaches and Treasure Coast
https://youtu.be/VTGRx-_AptI
ボブキャットの身体的特徴
引用:YouTube
“Cat vs. Bobcat” by Joern Rohde
https://youtu.be/zsRrnZ4hYSw
大きさ
ボブキャットはオオヤマネコ属の中では小さめとはいえ、やはりイエネコよりは大きく、体長は約65〜105cm、体重は6〜15kg程度です。
「ボブキャット」という名前の由来にもなった短い尻尾(ボブテイル)は11〜20cmほどですから、体の大きさの割にやはり短いことが分かります。
被毛の色
また、「アカオオヤマネコ」とも呼ばれるように、被毛の色は赤みがかったグレーや茶色の褐色で、黒色の斑点模様が全身に入っています。さらに、季節や生息地によっても毛色が変わるのもボブキャットの特徴です。
模様や飾り毛
耳の先端には黒い飾り毛が生えていて、トラなどのネコ科の動物の耳の裏に特徴的に見られる「虎耳状斑(こじじょうはん)」と呼ばれる白い斑点があります。これは、同じネコ科でもイエネコには見られません。
また、頰から顎にかけて長くてふさふさの毛が生えているのも、オオヤマネコ特有の特徴です。
ボブキャットは飼える?
昔は条件を満たせば飼えないことはなかった
数年前までは、各都道府県の飼育許可を得れば、日本でもボブキャットを飼育することは不可能ではありませんでした。
ただし、大型のヘビなどと同様に、猛獣に分類されるボブキャットを飼育するには、脱走を防ぐ頑丈な飼育環境を整えなければなりませんし、餌代もかなりかかるので、飼うのは決して容易ではなかったでしょう。
改正動物愛護法で飼育禁止に
令和2年6月に動物愛護法の改正案が成立すると、一般の家庭でペットとしてボブキャットを飼うことはできなくなりました。
違反すると、6ヶ月以下の懲役、または100万円以下の罰金が課せられます。
神戸でボブキャットに会える!
日本でボブキャットに会えるのは、兵庫県神戸市の「王子動物園」のみです。
2014年にアメリカ・ミネソタ州で生まれたメスの「ソラ」を見ることができます。気になる方はぜひ行ってみてくださいね。
ボブキャットのソラ
かわいいお顔を見せてくれましたよ☺️「姿が見えないな」と思ったら放飼場の奥のほうにいることもありますので、探してみてくださいね。#ボブキャット#神戸市 #王子動物園 pic.twitter.com/2sanMbLZpM
— 神戸市立王子動物園(公式) (@kobeojizoo) August 10, 2020
まとめ
ボブキャットは、オオヤマネコの中では小柄な方ですが、それでもイエネコに比べれば大きく、時にはサメを狩ることもある凶暴な猫です。
日本で飼育することはできませんが、神戸市内の動物園で見ることができます。
興味のある方は、イエネコと一味違う野生の猫を見に行ってみてはいかがでしょうか。