最近ようやく認知度が上がってきている犬の保育園や幼稚園ですが、決して悩みがある子だけが行く場所ではありません。「愛犬には悩みはないから大丈夫」と思っていても、犬の保育園や幼稚園に行かなかったことで悩みが出てくる可能性もあります。
そこで、今回は犬の保育園に行かないことで起こりうるリスクやお悩みになりやすい行動について具体的に紹介します。
この記事の目次
犬の保育園とは
犬の保育園とは、家庭で飼われている愛犬を日中のみ預かり、トレーニングや登園している犬たちと遊んだりする場所です。場所によって細かい点は異なりますが、多くの犬の保育園ではトレーニングとエネルギーの発散が行われます。
また、「犬の幼稚園」もあります。お店によっては、保育園と幼稚園とで明確な違いを謳っているところもありますが、基本的には大きな違いはないと考えて良いと思います。お店によってはトレーニングはなく預かりのみの所もあるようですので、気になる保育園や幼稚園の具体的なサービス内容は事前に確認が必要です。
子犬のうちに保育園へ行かないことで起こりうる5つのリスク
保育園はうちの子には関係ないと思っている方もまだまだ多いと思います。特に子犬をお迎えした場合、小さなお悩みはあっても深刻なお悩みが迎えてすぐの段階であるのは稀でしょう。
しかし、お悩みがないから保育園に通わないのではなく、お悩みが出ないようにするために保育園に通っていただきたいとドッグトレーナーとして強く思います。具体的に子犬のうちに保育園に通わないことで起こり得るリスクを見ていきます。
リスク①社会化不足
保育園は良質な社会化に最適な場所です。社会化に最も適した時期である社会化期は個体差はあるものの、生後3週から12週目と言われています。この時期の半分以上はご自宅にお迎えする前であることがほとんどですので、飼い主が社会化期に社会化できる期間は一瞬です。
さらに、ご自宅でできる社会化の量や質はどうしても限られ、警戒心が上がり社会化不足が原因のひとつとなって様々なお悩みを抱えることが多いのが現状です。また、社会化はただ様々なことを経験すれば良いわけではなく、その子にあったレベルで徐々に行うことも非常に大切です。
その点で、犬の保育園はプロのドッグトレーナーが愛犬の性格や得意不得意を把握したうえで、質の良い社会化を実施します。また、周りには登園している犬たちもいるため、安全な環境で犬に慣れる意味でも有益な場所ではないでしょうか。
社会化不足が原因でよく聞くお悩み
- 散歩中、在宅中に通行人への吠え、怯え
- 他の犬への吠え、怯え
- 音への過剰な反応
- 散歩時の引っ張り
- 散歩時に歩かない
- ブラッシングなど家でのお手入れが苦手
- トリミングが苦手
※社会化以外の原因が含まれることもあります
リスク②エネルギー発散不足
子犬も人が思う以上に体力があります。特にワクチンが終わるまで散歩をしない方もまだ多いと思いますので、その場合は特に発散が不十分であることが多いです。子犬は睡眠時間が成犬よりも長めではありますが、月齢を追うごとに体力も付いてきます。その時に発散がしっかりできていないことで、人としては困る行動が出やすくなります。
発散不足が原因でよく聞くお悩み
- 甘噛み
- ハウスでの吠え
- 夜中や朝方に吠える
- 家具などを噛む
- 食糞
※発散不足以外の原因が含まれることもあります
これらの行動は、発散する方法を子犬自らが考えた結果であったり、発散できずにストレスが溜まった結果として出る行動が多いです。
一方、保育園に通っている子は、保育園後はぐっすり寝るという話は飼い主からよく聞きます。保育園はトレーニング、人との遊び、犬同士の遊びを通して多くの発散ができます。また、ご自宅ではない場所に身を置くことによる刺激もあり、良い疲れが良い睡眠を促し、結果としてお悩み軽減に繋がると考えられます。
リスク③自信不足
人と同じで犬も様々な成功体験を通じて自信を付けることが大切です。これは社会化に通じる部分もありますが、家でルーティン化した日々やお留守番が多い生活をしていると、普段と違う局面になった時に対応ができず怖くて逃げる、吠える、身を守るために攻撃行動に出るといった行動を取りやすくなります。
保育園はご家庭ではできない多くのことを経験し、成功体験を通じて自信を付ける機会に多く触れることができます。自信が付くと、初めての局面でも落ち着いていられたり、極度に怖がらずに対応することができます。
リスク④飼い主と離れられない
昨今、在宅勤務が増えたことで留守番の機会が減ってうれしい反面、飼い主と離れられず、飼い主の姿が少し見えないと鳴く、眠れない、夜鳴きする、お留守番ができないといったお悩みも増えているようです。ご自宅や飼い主の存在が安心に繋がるのはとてもいいことですが、飼い主と数時間離れていても落ち着いていられるようにすることも大切です。
保育園では、飼い主がいない場でトレーナーや他の犬たちと楽しい経験をします。さらに、お昼寝の時間があることもあり、ご自宅以外でもリラックスして寝る練習や経験ができ、飼い主がいなくても寝られるという自信を付ける効果もあるでしょう。
リスク⑤トレーニング不足
トレーニング不足は室内やお散歩時のお悩みに繋がるのはもちろんですが、飼い主との関係性の欠如にも繋がると考えています。褒めて行うトレーニングは、愛犬とポジティブなコミュニケーションを取る手段のひとつです。ただし、トレーニング方法を誤ると逆効果になってしまいます。
その点、保育園ではトレーニング方法を飼い主に細かく教えているところもあり、ご自宅でもトレーナーと同じ方法で飼い主と愛犬がトレーニングできます。様々なことに対応できるようになることはもちろん、飼い主と愛犬の関係性もより良いものになるでしょう。
まとめ
リスクというやや強い表現での紹介をしてきましたが、そのくらい犬の保育園は一日も早く生後5か月までに利用していただきたい場所です。
犬の保育園は、健康な社会化期まっさかりの子犬にとってはメリットだらけです。先に紹介したリスク5点を緩和できる場所と考えていただいてもいいでしょう。また、ご自宅以外にも愛犬が楽しく安心して過ごせる場所を作る意味でも有益だと思います。
まずは、犬の保育園はお悩みが出る前から行く場所、お悩みが出るのを遅らせる場所という認識に変わると、トレーナーとしてうれしいです。