皆さんは、「犬の保育園」や「犬の幼稚園」という名称を聞いたことはありますか。そしてそこでどんなことをするのか想像がつくでしょうか。
近年徐々に増えてきている犬の保育園ですが、まだ日本では馴染みがないのが現状です。そこで今回は、犬の保育園は何をするところで、どんなメリットやデメリットがあるか、愛犬には向いているか否かなどについて紹介します。
この記事の目次
犬の保育園とは
愛犬を日中のみ預かり、複数の犬と一緒にドッグトレーナーがトレーニングを行う施設です。
生後5ヶ月くらいまでは社会化トレーニングをメインに行い、徐々にオスワリ、マテ、オイデなどの基本トレーニングを行うところが多いのではないでしょうか。成犬は、具体的なお悩み改善を目指したトレーニングを行っていくことが多いでしょう。
また、「犬の保育園」と「犬の幼稚園」が存在しますが、明確な違いは現時点ではありません。名称よりも、気になる施設が具体的にどんな一日を過ごすのかを確認することをおすすめします。
保育園の一日の流れ
あくまでも一例ですが、筆者が働いている犬の保育園の一日の流れを紹介します。
- 朝:登園
- 登園後:トレーニングや他の犬とプレイタイム
- 昼:お昼寝
- 休憩後:トレーニングや他の犬とプレイタイム
- 夕方:お迎え
ざっくりとした流れになりますが、このように一日を過ごしてもらっています。メニューは一頭一頭の性格や状態に合わせて変えるため、犬ごとに内容は異なります。
年齢制限はある?
受け入れ年齢は施設によって様々です。保育園という名前の通り子犬をメインにしている施設も多く見かけます。一方で、年齢制限は特に設けず、愛犬の年齢や性格、健康状態に合わせたカリキュラムを用意してくれる保育園もあります。
サイズの制限はある?
サイズは施設の広さなどの理由から小型犬、中型犬のみというところもありますが、大型犬の受け入れをしているところもあります。ただし、犬の体重で料金が異なることもあり、大きいと費用は高くなる傾向があります。
登園のメリットとデメリット
登園によるメリット、デメリットをそれぞれ見ていきます。
登園のメリット
犬の保育園や幼稚園を利用することで、以下のように多くのメリットが考えられます。
- ドッグトレーナーの元で良質な社会化トレーニングができる
- 自宅での退屈な時間を有意義な社会化やトレーニング時間にできる
- 十分な発散ができる
- 他の犬と安全な環境で触れ合える
- 出てきた悩みや疑問をすぐにドッグトレーナーに相談できる
- 愛犬の日々の充実度が上がる
- 飼い主もトレーニングついて学ぶことができ、自宅でも実践しやすい
登園のデメリット
一方で、登園には以下のようなデメリットも考えられます。
- 費用がかかる
- 送り迎えの対応が必要(施設によっては送迎サービスがある)
- 犬同士の遊びの最中に歯が当たってケガをするなどのリスクがある
- シニアの場合には負担が大きくなることもある
なお、パピーに関してはデメリット以上に登園のメリットが多く、一日でも早くパピーの頃から登園することをおすすめします。
保育園の向き不向き
保育園に興味があっても愛犬が保育園に向いているかどうかが気になる方もいらっしゃると思います。具体的に向いている子、あまり向いていない子について解説します。
犬の保育園が向いている子
- パピー:パピーはよほどのことがない限り、保育園に行くことをおすすめします。犬生で一度しかない社会化期を自宅でまったり過ごすか、保育園で多くの刺激の中で過ごすかは、愛犬にとっても飼い主にとってもその後に大きく影響します。
- 犬が好きな子:犬が好きで発散が足りていない子やお留守番が多い子は、他の犬がいる中で良い刺激を得ながらトレーニングや発散ができるので保育園はおすすめです。
犬の保育園があまり向かない子
- 犬が過度に苦手な子:犬がいると吠える、攻撃行動に出る子は、精神的にも肉体的にも負担が大きくなるため、おすすめはしません。
- 人が過度に苦手な子:飼い主以外の人に慣れておらず、吠えや噛みなどの行動が出てしまう場合も負担が大きいため、おすすめはしません。
- シニアの子:刺激を得るという意味では普段と違う環境で過ごすのは良いことです。ただし、他の元気な登園生たちと常に同じ空間で過ごし愛犬が休めるような空間作りがされない場合は、負担が大きく体調に影響が出る可能性もあります。シニアの愛犬を登園させたい場合は、登園時間を短くしたり、愛犬に負担のない環境設定をしてもらえるか相談することをおすすめします。
犬、人が過度に苦手な子の場合は、犬や人に対して吠えるまたは噛むという経験を重ねてしまうことで、さらに犬、人嫌いが悪化してしまう可能性があるため、出張トレーニングなどで飼い主さんがいる状況でトレーニングをしていくことをおすすめします。
ただし、こちらは大まかな目安ですので、気になる保育園があればそちらに相談してみてください。愛犬に適した提案をしてくれるかもしれません。
保育園を選ぶ際のポイント
保育園に通わせてみたいと思われた場合、保育園選びのポイントを紹介します。
①トレーニングの方法
トレーニング方法には大きくわけて陽性トレーニングと陰性トレーニングの二種類があります。
陽性トレーニングは、取ってほしい行動をやそれに近しい行動をした時に報酬を与え、その行動の発現頻度を増やしていき、定着させる方法です。
一方の陰性トレーニングは、人からすると正しくない行動を取った際に、痛みや恐怖を与えその行動を取らないようにし人が望む行動だけを取るようにさせる方法です。
最近では、一般家庭の犬には陽性トレーニングを行うところが増えてきていると思いますが、その保育園が具体的にどんな方法でトレーニングをしているかを確認し、納得したうえで入ることをおすすめします。
②一日の登園する犬の数
保育園のメリットに他の犬と触れ合えるという点があると思いますが、一日どれくらいの犬が集まるかも確認しておきたいポイントです。あまりにも多い場合、愛犬の負担になってしまったり、トレーナーが一頭一頭に割ける時間が少ない、安全管理がしきれないというデメリットもあります。
トレーナーの数と犬の頭数がどれくらいも確認しておきましょう。
③自宅からの距離
頻繁に通うことのなる保育園ですので、あまりにも遠いと愛犬への負担が大きくなってしまうため、車でも30分圏内くらいが理想的でしょう。
送迎サービスを利用する場合も、送迎ではお店とご自宅のみの移動ではなく他の登園生の自宅も回るため、多くの時間車に乗ることも考えられます。そのため、車での移動が愛犬にとって負担になりすぎないかも確認しておきましょう。
まとめ
犬の保育園の具体的なイメージを少しでももっていただけたでしょうか。
パピーであれば一日も早く登園されることをおすすめしますし、成犬でも保育園で良い発散や良い刺激が得られることもあります。また、お悩みが深刻化する前にまずはカウンセリングなどで悩み相談をし、今の愛犬に何が必要なのかを聞いてみるのもいいでしょう。
保育園に登園するか否かも含め、愛犬にとってどういう過ごし方がいいかを考え最適な選択をしてあげてください。