人が病気やケガをした場合、日本では公的医療保険が充実しているため、医療費の負担が安く済み気軽に医療機関を受診することができます。
では、ペットはどうでしょうか。ペットの治療も手術となれば高額になることが多く、保険に入っていない限り全額負担しなければいけません。そのため、最近ではペットの保険に加入したり、検討する方も増えているようです。
しかし、ペットの保険といってもさまざまで、どんなものがあるのかよくわからない方も多いのではないでしょうか。この記事では、ペット保険の種類と、保険を決める時のポイントについて解説します。
※この記事で紹介する保険の内容は一般的なものです。実際の保険は保険会社やプランによってさまざまですので、契約する前にその内容をしっかり確認するようにしましょう。
この記事の目次
世界と日本のペット保険事情
ペットの保険は、動物愛護先進国であるスウェーデンで1890年に誕生した馬や家畜を対象としたものが起源とされています。1924年には世界初となる犬を対象とした保険が同国で販売され、イギリスなどのヨーロッパ諸国やアメリカに広がりました。
日本でペット保険が誕生したのは1995年と、海外に比べるとその歴史はまだ浅く、当時は法整備が行われていなかったため悪質な保険を販売する会社もありました。2005年になると保険業法が改正され、ペット保険を扱える会社が限定されたことにより、ペット保険に加入する飼い主は増えつつあります。
現在のスウェーデンのペット保険加入率は50%ほどで、犬だけでみると75%が加入しています。一方で、日本では15%前後と、加入率が低いのが現状です。
ペットの保険を決めるときのポイント
ペットの保険を選ぶときは内容をしっかり確認することが重要です。ここでは、ペットの保険を決める上でチェックしたいポイントをご紹介します。
補償される治療の確認
多くのペット保険において、以下の治療は補償範囲外となることが多いため注意しましょう。
- 契約前のケガや病気、先天性異常
- 狂犬病やフィラリア症など、ワクチンにより予防ができる病気
- 妊娠や出産に関わる費用
- 避妊や去勢手術、爪切りなどのケガ・病気にあたらないもの
- 健康診断の費用
以上は一例です。保険によって上記のものが含まれたり、他の病気が含まれなかったりするため、補償内容をしっかり確認し、あとで後悔しないように気をつけましょう。
また、犬種によって、かかりやすい病気やケガをしやすい部位もあります。犬種の特性をしっかり理解し、将来予想される病気をカバーできるものを選択しましょう。
日額や回数制限の確認
通院、入院、手術で補償できる日額や日数制限が設けられている場合、一見手厚いと思われるプランであっても受け取れる保険料が制限される可能性があります。
また、ある病気に対して、保険料が下りる回数や金額に制限があることもあります。
年齢による保険料の確認
子犬の頃の保険料は安くても、年齢が上がるに連れて保険料が上がるものは少なくありません。長期的に保険料を支払うことを見据え、シニア期の保険料もしっかり確認しましょう。
子犬の頃は他の保険と比べると高めに設定されていても、ある年齢を超えると保険料が据え置きになる保険もあります。
特約も要チェック
ペット保険には、人の保険と同じように追加の料金を支払うことで特約をつけられる場合があります。代表的なものは以下の通りです。
- ペット賠償責任特約…飼っているペットが他人をケガさせたり、物を壊してしまったときに、損害賠償費を一定範囲内で補償
- 火葬費用特約…ペットが亡くなった時の火葬費用をサポート
犬による咬傷事故は年間4000件以上発生しています。おだやかな犬であっても、ちょっとしたことをきっかけにパニックになり、他人や他の犬に危害を加えてしまうこともあります。
いざというときに備えておきたいという場合は、特約の有無も確認しておきましょう。
保険契約の際に注意したいこと
保険の契約に慣れていないと、意外なところに落とし穴があるかもしれません。契約書に書かれている以上、「知らなかった」は通用しませんので、契約内容をしっかり理解し、トラブルを防ぎましょう。
申し込んだ日から補償されるわけではない
保険には待機期間があります。これは保険に加入したペットの健康状態を保険会社が確認するためで、多くの場合は30日程度の待機期間が設けられています。基本的にこの期間に発症した病気はその後も含めて保険は適用されません。
高齢になると新規加入ができない
対象となるペットが一定以上の年齢に達している場合、新たに加入できない場合があります。また、入れたとしても保険料が高めに設定されていることが多いため、シニア期になってから保険に入れたいと考える場合は要注意です。
告知義務は正確に
人の保険と同じように、病歴によっては入れない保険も存在します。保険を適用したいがために、告知の義務を果たさなかったり虚偽の告知をすると、保険料が支払われず、契約を解除させられてしまうことがあります。また、これまで支払った保険料も原則として返金されないため、告知は正確に行う必要があります。
終身保険なのに特定の病気の保証がなくなる
終身で加入できるとうたっているにも関わらず、腎臓病や心臓病などの慢性疾患に罹患した場合、更新のタイミングで補償から除外されてしまうことがあります。
定期的に行われる更新の際に、申し込み時の条件で継続できることを確認しましょう。
最後に
ペットが病気になったりケガをしてしまったりする場合でも、お金を気にせず治療ができるよう、ペット保険を検討したことがある方も多いのではないでしょうか。
ペットの保険といえど、保険会社によって金額や補償内容はさまざまで、保険料も決して安くありません。だからこそ、よくわからないまま契約するのではなく、内容をしっかり把握した上で、愛するペットを守れる保険を選択できるといいですね。