アメリカでは毎年10月1日に、「ナショナル・ブラック・ドッグ・デー(National Black Dog Day)」という、黒い毛色の犬に感謝し彼らを応援する日が設けられています。アメリカのシェルターでは、黒い毛色が理由で黒犬たちの里親を見つけにくいという課題があるため、この日は黒犬に対する偏見を払拭し、新しい家族が見つかることを願い制定されました。
今回は、黒い毛色の犬が敬遠される理由や魅力的な黒犬たちについて、ご紹介いたします。
この記事の目次
ブラックドッグ・シンドロームとは?
ブラックドッグ・シンドローム(Black Dog Syndrome)とは、大きくて黒い犬が、小さくて色の明るい犬よりもシェルターから引き取られる可能性が低い現象を指します。黒い毛色を持つ犬は、攻撃性や問題行動がないにもかかわらず、他の毛色の犬よりも里親が見つかりにくい傾向があります。その原因として、次のような点が挙げられています。
写真写りの悪さ
日本と同様に、アメリカでも里親を探している犬たちの多くは、ウェブサイトに写真や動画を掲載して、犬を探している人たちの目に留まるようにしています。しかし、写真や動画にした時、黒犬たちを撮るのは非常に難しく、魅力的に映らないことが一つの原因だと考えられています。
本や映画、民話の影響
本や映画の中で、悪役の手下の犬たちが描かれているものを見たことがあるかもしれません。これらの描写では、しばしば大きくて黒い犬が用いられ、悪役の仲間として描かれることがあります。
さらに、ヨーロッパの民話においても、黒い犬は悪魔のような存在として表現され、この世と死後の世界の境界をさまよう姿が語り継がれてきました。このような歴史的な背景も、黒い犬を避ける傾向に影響を与えている一因とされています。
無意識に避けられている
北米最大のペット養子縁組サイトである「Petfinder」によると、多くのペットが引き取られるまでに約12.5週間を要する一方で、黒い毛色を持つペットはその4倍の時間を要します。これは高齢や病気のペットと同じくらいに、里親が見つかりにくい状況だとされています。
Black Dog Syndrome | Petfinder
https://www.petfinder.com/dogs-and-puppies/adoption/finding-a-dog/black-dog-syndrome/
魅力的な黒犬たちをご紹介!
このように、生まれながらにして人々に避けられがちな黒犬たちも、実際には魅力的な特徴を持つ子がたくさんいます。ここからは、カッコよさと可愛らしさを兼ね揃えた、素敵な黒犬たちをご紹介します。
フラットコーテッド・レトリーバー
フラットコーテッド・レトリーバーには、「ブラック」と「レバー」の毛色があります。「フラッティ」という愛称で親しまれ、人気のレトリーバー種です。滑らかな毛並みが美しく、他のレトリーバーと同様に高い学習能力を持ち、明るくフレンドリーで、遊び好きであり非常に活発です。
スキッパーキ
スキッパーキの毛色はブラックのみで、ふわふわした黒くて美しい毛並みが魅力的です。陽気で人懐こい反面、独立心が強い一面もあります。ベルギー原産の犬種であり、その名前「スキッパーキ」はベルギーのフランドル地方の方言で「小さな羊飼い(牧羊犬)」を意味しています。
ニューファンドランド
がっしりとした体格を持つ超大型犬のニューファンドランドは、カナダ原産の犬種です。毛色は「ブラック」「ホワイト&ブラック」「ブラウン」の3色があります。海難救助犬として活躍する犬種で、かの有名なナポレオンが溺れかけていた際に、地元の猟師が飼っていたニューファンドランドが助けたとされるエピソードが残っています。
ベルジアン・シェパード・ドッグ・グローネンダール
ベルギーの牧羊犬である「ベルジアン・シェパード・ドッグ」は、被毛のタイプによってグローネンダール、タービュレン、マリノア、ラケノアの4種類に分けられます。その中でも、漆黒の長毛を持つのがグローネンダールです。とても賢く忠実な犬種であり、世界的に見てもベルジアン・シェパード4種の中で最も人気のある犬種です。
プードル
日本でもおなじみのプードルの毛色はバリエーションが豊富で、「ブラック」「ホワイト」「ブラウン」「グレー」など、様々な色があります。生まれた時に最も濃い色をしており、成長するにつれて徐々に薄くなっていき、毛色によっては一生涯変化し続けることもあります。
雑種犬
雑種犬にも、可愛らしい黒犬がたくさんいます。雑種犬の魅力はなんといっても唯一無二の個性でしょう。毛色や体格など、成犬に成長する過程でどのような犬になるのかを想像しながら、一緒に楽しく過ごすことができます。また、比較的長い寿命と丈夫な体質を持つ点も、雑種犬の魅力の一つと言えます。
まとめ
今回は、人々が無意識のうちに避けがちな黒犬について、ご紹介しました。
黒犬への差別や偏見をなくすために、10月1日にはSNSなどで、「ナショナル・ブラック・ドッグ・デー」に関する投稿したり、そのような投稿に「いいね」をしたりして、黒犬たちを応援してみてはいかがでしょうか。