名前は全然違うペキニーズとチベタン・スパニエルですが、小型犬で顔の作りが似ているこの二犬種。日本においてペキニーズはメジャーですが、チベタン・スパニエルはまだあまり知られていない犬種です。そのため、街で見かけた場合は、ペキニーズとチベタン・スパニエルどちらかわからない方も多いかもしれません。
この記事では、ペキニーズとチベタン・スパニエルの共通点や異なる点について解説していきます。
この記事の目次
ペキニーズの祖先はチベタン・スパニエル説
チベタン・スパニエルは、ペキニーズのみならず、狆やパグとも顔が似ていますが、これは、チベタン・スパニエルがこれらの犬種の祖先だからと考えられています。
チベタン・スパニエルとペキニーズは共に長い歴史があり、あまり詳しいことは現時点でもわかっていませんが、宗教と密接な関係があったとされています。
チベタン・スパニエルは、紀元前1000年頃から存在したと考えられており、とても古い犬種です。チベットが原産で、チベット仏教で大切なシンボルとされる獅子の化身として崇められ、僧院で大切に飼われていたとされています。
一方のペキニーズは、ラマ教において伝説上の獅子犬に近づけるためにチベットの僧侶が飼育していたチベタン・スパニエルを改良し、生み出されたと考えられています(諸説あり)。
見分け方は毛の長さと横顔
顔の作りや体型が一見すると似ているチベタン・スパニエルとペキニーズですが、見分けやすい2つのポイントがあります。
異なる毛の長さ
一つは被毛が異なります。どちらもアンダーコートとオーバーコートの2層構造からなるダブルコートですが、チベタン・スパニエルは被毛がそこまで長くなりません。一方で、ペキニーズは全身を覆うほどの長さになります。
鼻の高さ
もう一つは、どちらも鼻ペチャ系と呼ばれるマズルが短い短頭種ですが、横から見た際の鼻の出方に違いがあります。チベタン・スパニエルは鼻がやや出ている一方で、ペキニーズは出ておらず、より短いマズルが特徴的です。
豊富なカラー
いずれも様々な単一のカラーや、混合した毛色が認められており、バリエーションが豊富です。
チベタン・スパニエルの毛色
- フォーン
- レッド
- セーブル
- ブラック
- ゴールド
- ブラックタン
- トライカラー
- パーティカラー(白地に一色または二色の斑がある)など
ペキニーズの毛色
- ホワイト
- レッド
- フォーン
- クリーム
- ブラック
- ブラックタン
- パーティカラー
性格の傾向は似ているようで結構違う
似ている部分もあれば、真逆の部分もある二犬種の性格の傾向について見ていきます。
チベタン・スパニエルの性格
チベタン・スパニエルは、メンタルがしっかりしており、明るく活動的で理解力も高い傾向があります。その反面、警戒心が高く、慣れていない人には慎重に対応することが多いです。
ペキニーズの性格
ペキニーズは、マイペースで落ち着いていて、精神的にタフな傾向があります。そのため、恐怖心から来る攻撃的な行動や、吠えなども少なくなります。飼い主など慣れた人とは関係性を築くことが得意で、甘えることもしばしばあります。
※あくまでの性格の「傾向」であり、遺伝や経験になどにより性格は個体によって異なります。
かかりやすい病気などは?
どちらも短頭種であることから、呼吸器系の病気には注意が必要です。また、暑さにはとても弱く、熱中症にも十分に注意しましょう。
チベタン・スパニエルが気を付けたい病気
- 気管が狭くなり呼吸がしづらくなる「気管狭窄」
- 呼吸器の疾患がきっかけで起こりやすい「心臓疾患」
- 目の痛みや視覚障害を引き起こす「緑内障」
- 膝蓋骨が正常な位置から外れてしまう「膝蓋骨脱臼」など
ペキニーズが気を付けたい病気
- 気管がつぶれ呼吸ができなくなる「気管虚脱」
- 鼻孔が狭くなる「鼻腔狭窄」
- 目を覆っている膜に炎症が起こる「結膜炎」
- 細菌やカビが原因で外耳道に炎症が起こる「外耳炎」など
また、ペキニーズは長い被毛に隠れてわかりにくいですが、体型は胴長で脚が短めです。ソファなどの高い場所から飛び降りる際には背中や腰に負担がかかるため、注意が必要です。
まとめ
見た目はとても似ていますが、意外と違う点もあったのではないでしょうか。飼うことを検討している場合は、性格の違いはもちろん、かかやりすい病気についてもきちんと把握し、適切な飼育環境を整えられるか考えてみてくださいね。