犬・猫のワクチンはなぜ毎年必要?知っておきたい接種の理由

犬・猫のワクチンはなぜ毎年必要?知っておきたい接種の理由

ペットは家族の一員。だからこそ、健康を守るための「ワクチン接種」はとても重要です。しかし、「日本では狂犬病は出ていないから大丈夫では?」「毎年打つ必要あるの?」「うちの子、外に出ないから大丈夫では?」と感じている飼い主さんも少なくありません。

この記事では、犬や猫のワクチン接種の種類、接種率の現状、接種が必要な理由をわかりやすく解説します。ワクチン接種に疑問を感じている飼い主さんは、ぜひ参考になさってください。

この記事の目次

ワクチンってなに?どうして効くの?

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ワクチンの中には、ペットがもしかかってしまうと死んでしまう可能性が高い病気の原因となるウイルスや細菌を「弱くしたもの」や「すでに死んでいて増えないもの」が入っています。

体は一度その病原体をやっつけることで、その病原体を記憶します。この記憶の仕組みが「免疫」です。もし次に本物の病原体に感染した時は、免疫の働きですばやく撃退できるようになります。

そのため、「病気にかかりにくい」、「病気にかかっても軽くすむ」という状態を作ることができます。

ただし、体の中で作られた記憶はずっと残っているわけではなく、時間が経つと弱くなってしまいます。そのため多くのワクチンは、1年ごとにまた接種をして、記憶を作り直しているのです。

犬の狂犬病ワクチンは法律で義務付けられている

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日本では「狂犬病予防法」により、すべての犬に年1回の狂犬病ワクチン接種が義務付けられています(生後91日以降)。

日本はここ約70年間、国内での狂犬病の発生がありません。そのため、狂犬病という病気を聞いてもピンとこない方のほうが多いでしょう。

しかし、世界で見ればこれはとてもめずらしいことです。世界では毎年約5万人が狂犬病で亡くなっています。「海外では野良犬に触ってはいけない」と言われたことのある方もいらっしゃるのではないでしょうか。これはもし咬まれたときに狂犬病に感染する危険があるということです。

なぜ接種は義務なのか

これだけ人や物が行き来するなか、外国から日本国内に狂犬病がやってくる危険性はいまでもあります。

日本では、外国から動物を国内に持ち込むときは、空港や港で動物検疫の仕組みがあります。これは「国内に狂犬病を持ち込まない」ための制度です。

「もし国内に入ってしまったら流行らせない」ための仕組みが予防接種です。狂犬病に対して免疫のない犬がたくさんいたら、日本で狂犬病が一気に広まってしまうかもしれません。

狂犬病は犬だけの病気ではありません。狂犬病に感染した犬から人や他の動物に感染し、広まったら大変なことになります。そのような状況を防ぐため、犬に狂犬病ワクチンを接種することで予防をしています。

混合ワクチンはペットの健康を守るために必要

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一方で、混合ワクチンは普段の生活でペットを重い感染症から守るために接種します。ワクチンは、「何種類の病気を予防できるか?」によって「◯種混合」と呼ばれます。

犬の混合ワクチンで防げる主な病気

犬の混合ワクチンは、5種〜9種までありますが、多くの動物病院では5種混合を使っています。5種混合ワクチンは以下の病気を予防します。

  • ジステンパー:高熱、けいれん、致死率が高い
  • 犬パルボウイルス感染症:血便、嘔吐、子犬は特に危険
  • 伝染性肝炎:発熱、肝機能障害、突然死もありうる
  • 犬アデノ2型感染症:咳、鼻水、ケンネルコフの原因にも
  • 犬パラインフルエンザ感染症:咳、鼻水、発熱、ケンネルコフの原因にも

普段からよくアウトドアに出かけたり、河川敷を散歩するという家庭では、レプトスピラ症という野生動物の尿が感染源となる病気にかかるリスクが高くなるため、6種以上のワクチンを打つことが望ましいとされます。

猫の混合ワクチンで防げる主な病気

猫では、3種が基本のワクチンで、屋外にも出る猫には5種がすすめられます。

  • 猫ウイルス性鼻気管炎:くしゃみ、鼻水、目やに
  • 猫カリシウイルス感染症:口内炎、肺炎
  • 猫汎白血球減少症:嘔吐、下痢、致死率が高い

ワクチン接種率の現状

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日本でのペットにおけるワクチン接種率は、法律で義務化されている狂犬病ワクチンであっても徐々に下がってきています。厚生労働省の令和5年度末の統計では、全国平均は70.2%にとどまりました。

混合ワクチンの接種率も実はあまり高くなく、猫では10%台と言われています。子犬・子猫のうちは感染症リスクが高いためきちんと接種していても、成猫になったら打たなくなってしまったというお宅も多いのではないでしょうか。

ワクチンを打たないとどうなる?

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ワクチン未接種の犬や猫は、当然ながら感染症にかかりやすく、もし感染してしまったら症状が重くなりやすい傾向があります。特に子犬や子猫、シニア期のペット、持病のある子は免疫力が弱く、わずか数日で命を落としてしまうこともありえます

ワクチン接種証明の提示が必要な施設も多い

ペットホテルやトリミングサロン、ドッグラン、しつけ教室など、ペットが利用できる施設の多くでは、1年以内のワクチン接種証明書の提示が求められます。これは他のペットに病気を移さないためのルールです。

もしワクチン未接種だと、これらの施設を利用できないだけでなく、飼い主さんの急な出張や旅行、入院などの緊急時に預け先がなくなってしまうかもしれません。

動物病院も感染対策に苦労する

犬のパルボウイルス感染症など、とても強い感染力をもつ病気のペットが入院することになると、動物病院にも大変な労力がかかります。

入院している他の動物への感染は絶対に防がなくてはいけません。患者の犬は隔離し、お世話をする看護師も1人に決めます。使い捨ての白衣と手袋、マスクを付け、世話が終わった後はすべて廃棄し、触った可能性のあるドアノブやケージ、手も徹底的に消毒します。

このような手間がかかるため、感染力が強い病気の入院費は通常の入院よりも高くなってしまいます。また、ワクチンを打たないデメリットとして、獣医師による健康診断の機会が減り、体重減少や心雑音などの異常に気づきにくくなるというものもあります。

災害時の預け先問題

地震や豪雨などの災害時には、避難所にペットを連れて行かざるを得ないということも考えられます。

そのようなとき、ワクチン未接種のペットはペット用の一時預かり施設の利用を断られる可能性があります。災害時には、人だけではなくペットもストレスで免疫力が低下し、感染症が広がりやすくなっています。

災害はいつ起こるかわからないからこそ、平常時の備えとしてワクチン接種を済ませておくことは重要です

ワクチン接種の副反応について

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ワクチン接種の副反応を心配される方もいらっしゃいます。ワクチンは安全性が高いですが、まれに副反応が起こることがあります。

接種部位の腫れや軽度の元気消失、食欲低下といった症状は、しばらく様子を見れば収まることがほとんどです。

ごくまれに起こる重い副反応は、アナフィラキシーと呼ばれ、接種後30分以内に起こることが多いです。

  • 顔面の腫れ
  • 嘔吐、下痢
  • 急激な血圧低下
  • けいれん

接種後はしばらく病院内か周辺で過ごし、なにかあったらすぐに治療を受けられるようにしておくと安心です。接種のあとは走り回ったりせず、自宅で安静に過ごしましょう。

犬・猫のワクチン接種の必要性まとめ

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ワクチンは、愛犬、愛猫の命を守るために大切な予防医療です。

狂犬病ワクチンは法律で義務付けられたワクチンで、万が一日本で狂犬病が発生したときに広まらないよう、社会全体で接種率をあげておくことが大切です。

混合ワクチンは義務ではありませんが、重い感染症からペットを守るために重要な役割を果たします。未接種でいることは、感染症にかかってしまったときに重症化するリスクがあるだけでなく、ドッグランなどのペットと飼い主さんが一緒に楽しめる施設や災害時の避難所の利用制限にもつながりかねません。

「元気だから大丈夫」ではなく、「元気な今こそ予防する」という意識が大切です。動物病院にいって健康診断をしてもらう習慣を付けるためにも、ワクチン接種を忘れずに行いましょう。

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