高齢者とシニア保護犬猫が出会う「シニア for シニア」とは

高齢者とシニア保護犬猫が出会う「シニア for シニア」とは

日本は超高齢社会を迎え、人だけでなくペットの高齢化も進んでいます。犬や猫の長寿化が進み、保護施設で暮らすシニア犬・シニア猫も増えてきました。

一方、高齢になってもペットと暮らしたいと考える人は少なくありません。こうした背景から、人と動物それぞれの高齢化を前提とした新たな支援の仕組みが求められています。

この記事では、高齢者やシニアの保護犬猫の現状と、公益社団法人アニマル・ドネーション(以下、アニドネ)の取り組み「シニア for シニア」について紹介します。

この記事の目次

高齢者・シニア犬猫・保護団体、それぞれが抱える課題

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人とペットの高齢化が進むなかで、3つの立場からそれぞれ異なる課題が生まれています。まずは現状を整理してみましょう。

「飼いたいのに飼えない」高齢者

高齢者がペットを迎えたくても踏み出せない背景には、将来への不安があります。自分が病気になったり、先に亡くなったりした場合の懸念から、責任をもって飼い続けられるか自信が持てないという声も多く聞かれます。

実際、筆者も犬を飼っているため毎日散歩に行くのですが、その途中で愛犬をなでてくれる顔見知りのお年寄りの中には、「犬が好きで飼いたいけれど、自分の年齢を考えると飼えない」とおっしゃる方が少なくありません。

また、保護犬・保護猫を迎えようとしても、譲渡審査で年齢を理由に断られるケースがあるのも現実です。意欲や飼育環境が整っていても、年齢によって希望が通らないことは少なくありません。

「家族が見つからない」シニア犬猫

保護施設では、高齢の犬や猫ほど新しい家族が見つかりにくい傾向があります。子犬や子猫に比べて譲渡希望者が集まりにくく、その結果、長期間施設で過ごすケースも珍しくありません。

穏やかな家庭環境でゆっくり過ごしたい年齢であるにもかかわらず、シニア犬猫たちは施設での生活が長引いているのが現状です。

「シニア犬猫の保護に悩む」保護団体

アニドネが保護団体に向けて実施したアンケートによると、特に犬の場合は保護頭数の3〜5割がシニア犬です。

シニア犬猫にかかる経済的な負担は大きく、保護から譲渡・貸与までの平均必要経費は犬が20万円以上、猫は10〜15万円未満という回答がもっとも多くなっています。

参考:
「シニア for シニア」認定団体アンケート | 寄付で拡げる犬猫の未来ー確かな団体選定のアニドネ

アニドネの取り組み「シニア for シニア」とは

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アニドネが取り組む「シニア for シニア」は、高齢者がシニアの保護犬猫を安心して家族に迎えられる仕組み作りを支援するプロジェクトです。

2026年4月に設立された「シニア for シニア基金」を中心に、高齢者とシニア犬猫、保護団体のそれぞれが抱える課題の解決を目指しています。対象は、犬の場合は7歳以上の犬と60歳以上の高齢者、猫の場合は7歳以上の猫と65歳以上の高齢者のマッチングです。

主な取り組み内容は、次のようなものです。

高齢者とシニア犬猫のマッチング支援

高齢者とシニア犬猫をつなぐマッチングは、アニドネに認定された保護団体(以下、アニドネ認定団体)が担っています。アニドネは「シニア for シニア基金」を通じて、保護団体の体制を後方から支えています。

万が一の場合の引き取りサポート

飼い主の入院や死亡など、継続して飼育できなくなった場合には、保護団体が責任を持って犬猫を再度引き取ります。高齢者が安心してペットを迎えられる仕組みになっています。

マッチングの経済的支援

アニドネ認定団体において高齢者とシニア犬猫のマッチングが成立した場合、1組あたり2万円の寄付金をその団体に届けます。これにより、アニドネ認定団体がシニア犬猫の医療費や飼養費を賄いやすくなり、高齢者が安心して迎えやすい環境につながります。

高齢者とシニア犬猫をつなぐ「シニア for シニア」の魅力

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高齢者がペットを飼えることだけが「シニア for シニア」のメリットではありません。シニア犬猫や社会的な側面からも、次のような効果があると考えられます。

高齢者にとって「健康と生きがいのある暮らし」

ペットとの暮らしは、高齢者の死亡リスクの低減や認知症予防、心の支え、社会的な孤立防止などに効果があることが、研究によって明らかになっています。

これは、地域のつながりや健康を支える「社会処方(孤立を防ぎ、薬に頼らず心身を整える解決策)」としての側面も持っており、人生の質を高める新たな選択肢として注目されています。

参考:
「シニア for シニア」という社会処方ー人間医学の知見から| AWGs

シニア犬・猫にとって「安全基地のある暮らし」

動物行動学の研究では、犬や猫は特定の人(飼い主)を「安全基地」として認識することが示されています。特に体調や行動の変化が現れやすいシニア犬猫には、1対1で目が届く家庭環境が、動物福祉の観点からも理想的な環境だと考えられます。

参考:
「シニア for シニア」という社会処方ー動物行動学の知見から | AWGs

社会にとって「より多くの命がつながる」

シニア犬猫が家庭に迎えられることで、保護施設の収容負担が軽減され、他の保護動物へのケアにも余裕が生まれます。そしてそれは、より多くの犬や猫の命を救うことにもつながっていきます

私たちにできる支援

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「シニア for シニア」の取り組みを応援するために、まずはこの仕組みを多くの人に知ってもらうことが第一歩です。

SNSでシェアしたり、周囲の人に話してみることも立派な支援のひとつです。また、基金への寄付を通じて、高齢者とシニア犬猫のマッチングを経済的に後押しすることもできます。

私たちの小さな支援が、高齢者とシニア犬猫の新しい暮らしにつながっていきます。

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