犬の治療にも漢方薬が使える?専門の獣医師に相談してみよう

2024.09.17
犬の治療にも漢方薬が使える?専門の獣医師に相談してみよう

人の病気の治療には漢方が当たり前に取り入れられていますが、近年は犬の治療にも漢方が取り入れられるようになってきていることをご存じですか?

もし、愛犬の体調がなかなか改善しない場合は漢方薬を取り扱っている獣医師に相談してみるのもひとつの手かもしれません。

今回は、東洋医学の中でも、犬の治療に用いられる「漢方薬」についてご紹介します。

この記事の目次

東洋医学とは

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東洋医学とは、もともと中国発祥の伝統医学であり、日本に伝わって鍼灸医学や漢方医学として発展した医学のことを指します。

西洋医学は、投薬や手術といった方法で体の悪い部分に直接アプローチして治療します。これに対して東洋医学は、体の不調を内側から根本的に治すことを重視する治療法です。

具体的には、東洋医学では鍼灸やあん摩、漢方などを用いて治療を進めていきます。

東洋医学と西洋医学の違い

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犬の関節炎を例にあげ、東洋医学と西洋医学の違いを詳しく見ていきます。

西洋医学の場合

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西洋医学では、科学技術を用いて病気の発見や治療を行います。例えば関節炎の場合、視診や触診に加えてレントゲンなどの科学技術を駆使して以下のような症状や徴候を発見します。

  • 関節の動きの悪化や痛み
  • 関節の軋み
  • 関節液の粘性の低下
  • 軟骨の劣化
  • カルシウム沈着の発生

治療法としては、鎮痛剤や抗炎症剤などの治療薬やグルコサミンやコンドロイチンなどのサプリメントが使用されます。外科的な治療が行われることもあります。

東洋医学の場合

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一方、東洋医学では、東洋医学者の知識、経験、中国古来の哲学が重視され、東洋医学を用いた獣医学では、犬の病気の根本を解決することに焦点を当てています。

東洋医学では、病気は“気”と言われる生命エネルギーの弱りが原因だと考えられています。つまり、「生命エネルギーが弱っているから、体のバランスが失われ、病気になりやすい体、病気を受やすい体になっているんだ」という考え方です。

東洋医学での治療の仕方

東洋医学では、「自然治癒力」を使って病気を改善していきます。

自然治癒力とは「体内を循環する生命エネルギーの流れをよくして活性化し、体のバランスを整えること」というのが東洋医学の考え方です。

そして、自然治癒力や生命エネルギーを活性化させるために用いられるのが、漢方や鍼灸です。中でも漢方は特に重要な存在とされており、体内のバランスを整えるために使用されます。

犬に漢方薬って大丈夫なの?

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ところで、「漢方薬ってハーブや薬草を使うんでしょ?それって犬の健康に悪いんじゃないの?」と、思う方もいるかもしれません。

確かに、漢方薬にはハーブや薬草を使いますが、西洋医学で用いられる薬と比べると副作用は少ないとされており、日本でも漢方薬を扱う動物病院が徐々に増えてきています。

ただし、犬の漢方薬にも適切な種類や量がありますし、使い方を誤れば命に関わる可能性もあります。

愛犬の健康のために漢方薬を飲ませたい場合は、まずは専門の獣医師がいる病院に相談してください。人間用に処方された漢方薬を、自己判断で犬に与えるのは絶対にやめましょう

漢方薬の調合によく使われる生薬(薬草)

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一言で「漢方薬」と言っても、その種類はたくさんあります。ここでは、漢方薬によく使われる生薬とその代表的な効能についてご紹介します。

    ・葛根(かっこん)
    鎮痛や解熱作用があり、初期の風邪に使われる。

    ・麻黄(まおう)
    咳を鎮める作用がある。

    ・桂皮(けいひ)
    シナモン。体を芯から温め、血の巡りをよくしてくれる。

    ・芍薬(しゃくやく)
    鎮痛作用がある。

    ・乳香(にゅうこう)
    血の巡りを良くする。抗炎症および鎮痛作用。

    ・甘草(かんぞう)
    炎症やアレルギー症状を緩和してくれる。

    ・生姜(しょうきょう)
    しょうが。発汗、発散作用がある。

    ・大棗(たいそう)
    なつめ。筋肉や神経の緊張を緩和させる鎮痛・鎮静作用や冷えを改善する作用。

    ・川芎(せんきゅう)
    血液を動かし、痛みを和らげる作用がある。また、抗酸化作用がある。

犬用漢方薬の入手法

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薬局に行けば漢方薬は簡単に手に入りますが、それは人間用の漢方薬です。

犬用と人間用では調合の仕方や生薬の量が異なります。決して人間用の漢方を飼い犬に与えてはいけません。

どうやって購入すればいいの?

犬用の漢方薬はインターネットなどで購入することも可能ですが、まずは、漢方治療を推奨している獣医師に相談することをおすすめします。

飼い主さん自身が、飼い犬の病気を自己判断し、市販の犬用漢方薬を与えるのは大変危険です。きちんと飼い犬の病名を特定してもらい、病気の改善に必要な漢方薬を処方してもらいましょう。

また、インターネットで検索すると、犬用の漢方薬局などもあります。獣医師に病気を特定してもらった後、薬局で漢方薬剤師さんと相談して購入するのも良いかもしれません。

まとめ

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今回は中国の伝統的な治療法である漢方薬をご紹介しました。

「薬は化学薬品のイメージがあるため、抵抗感がある」という方も少なくないのではないでしょうか。これを機に、愛犬のために漢方薬についてさらに詳しく調べてみるのも良いかもしれません。

漢方薬について気になる方は、犬用の漢方薬を扱っている動物病院を調べ、専門の獣医師に相談してみることをおすすめします。

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